
第三者によるクチコミをマーケティング活用できないかと考え始めているマーケティング担当者の方が増えています。
クチコミをマーケティング活用して売上アップにつなげるには、前提となる考え方をおさえておくことが重要です。この記事では長年企業のクチコミ分析やマーケティング支援を行ってきたホットリンクのコンサルタントが、クチコミマーケティングについて解説していきます。
この記事の内容
クチコミマーケティングとは、生活者が発信するクチコミをブランド認知や信頼形成、購入促進につなげるマーケティング手法です。UGCマーケティングと言われたり、英語ではWOMM(Word of Mouth Marketing)と呼ばれたりします。
クチコミが生まれる場所は地域コミュニティや家庭内、友だち間などのオフライン接点から、SNSやブログなどのオンラインまで、多様です。近年では特にXやInstagramなどのSNS上でのUGC(ユーザー生成コンテンツのこと)を活用したマーケティングを指すことが増えています。
日々サービスや製品に関するクチコミは自然発生的に生まれています。クチコミマーケティングでは、クチコミが生まれるきっかけと、生まれたあとに情報が広がる拡散経路を、企業側が意図的に用意します。
押さえておきたいのは、企業がコントロールできるのはクチコミそのものではなく、クチコミが生まれるきっかけだという点です。生活者の発信内容を企業がコントロールすることは非常に難しいということを念頭においておきましょう。
企業のクチコミマーケティングが成功するケースでは、下記の3つの要素が揃っていることが多いです。
まず、クチコミの発生しやすさは商材によって異なります。たとえば新発売のアイスクリームや、話題の飲食店についてはクチコミをしたくなる人が多いかもしれませんが、セロハンテープやトイレットペーパーなどのコモデティ商品はクチコミされづらい側面があります。
ホットリンクが2026年に実施した「UGCに関する消費者調査2026」でも、クチコミ投稿のされやすさは商品ジャンルによって大きく異なることがわかります。

また、商品やサービスを手に取ったり体験する人の数が十分にあることも条件となります。例えばキャンピングカーのような高額の商材は購入者によるクチコミは出やすいかもしれませんが、アイスクリームなどの低価格帯商品と比較すると購入者数が圧倒的に少ないため、発生するクチコミ数も限定的です。
さらにクチコミが第三者に見える場所で語られるということも重要です。1対1のクローズドな場所でのクチコミも重要ですが、情報が閉じてしまい広がりが限定的です。X(旧Twitter)などのSNSプラットフォーム上でオープンに投稿されたクチコミは拡散されて多くの人に見てもらえる可能性があります。
「バズマーケティングやインフルエンサー施策と何が違うの?」と思う方も多いかもしれません。
バズマーケティングは、話題になる仕掛けを企業が作り、短期間で一気に拡散させます。インフルエンサーマーケティングも、有償でインフルエンサーに投稿を依頼して短期的な話題化や売上につなげることが一般的です。
一方でクチコミマーケティングは、生活者がブランドについて語る理由を用意し、クチコミが少しずつ積み上がっていくことを狙います。
|
手法 |
拡散の起点 |
主な狙い |
効果の残り方 |
|
クチコミマーケティング |
生活者の投稿 |
継続的な指名検索と購買の増加 |
クチコミが資産として積み上がる |
|
バズマーケティング |
話題性の高い企画やコンテンツ |
短期的な売上や話題化 |
単発で終わりやすい |
|
インフルエンサーマーケティング |
有償で依頼するインフルエンサー |
短期的な売上や話題化 |
単発で終わりやすい |
クチコミマーケティングが近年注目されている背景には誰もが発信者になれるSNSの普及という側面があります。誰もがサービスや商品の体験をクチコミとして投稿できる環境が整ったため、多くの人が購入前にSNSで検索をして評判を確認してから購買をするという流れが一般化しています。
実際にホットリンクが実施した「UGCに関する消費者調査2026」の結果によると、約8割の生活者が、クチコミが見つからないことを理由に購入を見送った経験をしていることがわかります。クチコミは購買を後押しするだけでなく、不足すると機会損失を生む「購買の前提条件」になっていることを示す結果です。

クチコミが売上につながる関係性は、指名検索との相関関係を知ることが大切です。ホットリンクのこれまでの支援実績では、UGC数と指名検索数、そして売上のあいだに相関関係が確認できています。

クチコミが増えるとブランドが人目に触れる回数が増え、UGCによってブランド名を覚えた人が購買機会に至ったときに指名検索をします。指名検索は商品カテゴリー名での検索と違って他社と比較されにくく、そのまま購入につながりやすい特長があります。
このように指名検索数と売上アップまでつなげられる手法としてクチコミマーケティングが注目されています。
自社の商材がクチコミ施策に向くかどうかは、ホットリンクの三枚おろし理論で切り分けられます。
魚を三枚におろすように、ブランドを3つのタイプに分ける考え方です。
判断材料は2つあります。まずSNS上でUGCが出ているかを見て、出ていないブランドは次に指名検索があるかを見ます。

3次切り分けに当てはまる商材でも、語られる文脈を提供すればクチコミは増やせます。この打ち手は記事後半のPGCのセクションで扱います。
自社商品の切り分けがわからない、という方はぜひお気軽にホットリンクにお問合せください。
関連:三枚おろし理論の詳細
クチコミを活用する流れは大きく「収集・分析」「創出」「活用」の3つにわかれます。
いきなりクチコミの創出施策や活用を検討する前に、現状でSNS上に投稿されているクチコミを収集・分析するところから始めましょう。
収集は、各SNSやレビューサイトなどで集めます。UGCの数が多い場合にはUGCの収集ツールを利用することを推奨しますが、まだUGCの数が少ない場合などにはツールを活用しなくても期間を定めて手動で収集することもできます。UGCの分析は、定量観点と定性観点を組み合わせて実施すると質が高くなります。
定量的な分析では、「年別・月別でのUGC数推移」や「商品別UGC数」「競合とのUGC数比較」などを分析します。
定性的な分析では、UGCの投稿内容を分析しながら、ユーザーインサイトやUGC増加につなげるきっかけを探っていきます。具体的には「UGCの内容のカテゴライズ」「ポジティブなUGCの分類」「ネガティブなUGCの分類」「UGC投稿者の属性」などを分析しながら、「どんな内容のUGCが多いのか」「どんなユーザーがUGCを投稿しているのか」などを抽出していきます。
クチコミの創出方法に関しては、短期施策と中長期施策の時間軸を分けて設計することがポイントです。
短期施策に関しては、顧客参加型のキャンペーンやコンテストを実施したり、イベント開催、PR施策との連動、自社SNSからの呼びかけ/投げかけ投稿、インセンティブ設計、インフルエンサーマーケティング、ギフティング施策など、ブランドからのアクションによって一時的にUGCを促進する施策となります。メリットとしては、短期間でUGCを創出することが出来ますが、自然発生的なUGCではないためUGCの質が低い可能性がある、施策を実施しないとUGCが創出されない状況になってしまう、などのデメリットがあります。
中長期施策に関しては、インセンティブなしの自然発生的なUGC創出がされるような設計をしていくことになります。王道はブランド力や商品力を向上させながら、UGCとして話題にあがりやすいブランドを作っていくことになります。
クチコミの活用に関しては、SNSの中だけではなく、外も含めて広範囲に活用することができます。
SNS内の活用に関しては、定期的にUGCをリポストしてフォロワーに紹介していくことが王道の活用方法となります。自社投稿だとどうしても宣伝感が強くなりますが、UGCの場合には一般ユーザーの率直な感想やレビューであるため宣伝感がなく、他のユーザーへ受け入れられやすい質の高いコンテンツとなります。
SNS外の活用に関しては、WebサイトやECサイトへの掲載、広告クリエイティブ活用、商品企画への活用、などに展開することが出来ます。特に、サイトへの掲載や広告クリエイティブ活用に関しては、UGC活用とそうでない場合を比較した際に、クリック率や購買率が高くなるケースが多く、最近では多くの企業で活用されています。
ここからはクチコミを増やすための具体的な方法を8つ紹介していきます。
InstagramやTikTokなどの画像や動画のビジュアル主体のSNSにおいては、商品やサービス体験で写真や動画を撮影してもらえるかどうかがクチコミ投稿において決定的に重要です。また、Googleマップの口コミにおいては、テキストだけでなく写真や動画が添えられていることで顧客の懸念が払拭されたり、来店意欲が高まる側面があります。
そこでおすすめしたいのが、来店した顧客がクチコミ投稿用の「写真や動画を撮影したくなる体験設計」を考えてみることです。
撮影したくなるポイントは写真と動画で異なります。
完成形が美しいものや特徴的な商品は写真で切り取って撮影してシェアされやすい傾向があります。
一方で動画の場合、動きのあるプロセス自体が撮影されてシェアされることも多いです。
例えば和栗モンブランを提供するカフェは、完成形をテーブルに提供するのではなく、顧客の目の前でモンブランを盛り付ける作業を行うことで動画で撮影してもらう機会を提供し、多くの動画で口コミ投稿がされました。
「完成までのプロセスに魅力があるサービスは動画のクチコミ投稿が出やすい」「完成形に魅力がある商品は写真のクチコミ投稿が出やすい」ということを理解して、体験設計をしてみてください。
商品やサービスに対する直接の言及ではなく、言及されやすいコンテンツを企画して話題のネタにするPGCという手法です。PGCについてはのちほど詳細に解説します。
店舗ビジネスにおいて、来店した顧客に直接クチコミ投稿を依頼する方法です。
来店中の顧客は良い体験をした嬉しさなど熱量が高い状態なので、クチコミを投稿してくれる確率が高いです。
ただし、高評価を強要するようなコミュニケーションはしないようにしましょう。Googleのガイドライン違反になるだけでなく、顧客に悪い印象を与えてしまう可能性もあるためです。あくまでも良い体験をした顧客が自発的にクチコミ投稿してくれるよう、依頼する程度にとどめておく必要があります。
顧客がクチコミ投稿をスムーズに行えるようにクチコミしやすい導線を設置しておくことも有効です。
例えば、Googleマップのクチコミ投稿URLやInstagramの位置情報URLをQRコードにして卓上に置いておいたり、名刺やチラシにQRコードを印刷しておいてお客様の帰り際にお渡しするのもいいでしょう。
クチコミを投稿しようと思ったものの、「何を書けばいいんだっけ?」と考えていたら投稿し忘れていた、という方も多いものです。
お客様がクチコミ投稿する内容に迷わないように、クチコミ投稿QRコードの近くなどに、クチコミを書く際の観点や例文を示しておくと良いでしょう。
顧客のメールアドレスやLINEを保有している場合、購入後や商品受け取り後、来店後にフォローメールやLINEでクチコミ投稿の導線を送付するのもいいでしょう。
ただし、アンケートを実施して高評価をした顧客のみにGoogleマップのクチコミ投稿依頼をするのは、「肯定的なクチコミを選択的に募ったりする行為」としてGoogleの規約違反となる可能性があるので留意しておきましょう。
SNSでクチコミ投稿をしてくれた人を対象に抽選で景品を提供するSNS投稿キャンペーンを実施する方法もあります。
魅力的な景品であればクチコミ投稿を増やせる可能性があります。
インセンティブを伴う投稿キャンペーンを実施する際は各プラットフォームの規約を確認し、違反にならないように気をつけましょう。
顧客が良いクチコミをシェアしたくなるのは、特に予想を上回ったり、意外性のある満足できる体験をした時です。
提供する商品や接客など、お客様に満足していただける体験を提供することが最も本質的なクチコミを増やす方法と言えます。
ステルスマーケティングとは、事業者の表示であるにもかかわらず、一般消費者がそれを判別しにくい状態を指します。消費者庁は2023年10月1日から、これを景品表示法違反としています。規制の対象となるのは商品やサービスを供給する事業者であり、依頼を受けて投稿したインフルエンサー等の第三者は対象になりません。
出典:消費者庁「ステルスマーケティングは景品表示法違反となります」
消費者庁の運用基準では、事業者が第三者に依頼や指示をした投稿も「事業者の表示」に含まれると整理されています。投稿文を企業が用意した場合はもちろん、内容を発信者に任せた場合でも、依頼した事実があれば表示規制の対象です。
問題になりやすいのは、次のような依頼の仕方です。
いずれも、企業からの依頼だと生活者が判別できない状態を作っている点が共通します。責任を投稿者側に移せない以上、依頼の作法は担当者の裁量ではなく社内の運用として固定しておきましょう。
WOMJ(クチコミマーケティング協会)のWOMJガイドラインは、関係性の明示を2つに分けて定めています。ひとつはマーケティング主体の明示で、企業名やブランド名を明らかにすることです。もうひとつは関係内容の明示で、主体と発信者のあいだにどのような関係があるのかを明らかにすることを指します。関係内容は言葉で説明するほか、#PRや#プロモーションといった関係タグでも示せます。
同ガイドラインは2026年1月に改訂されています。依頼時のテンプレートに明示の文言を入れる、タグの位置を投稿前に確認する、といった手順を社内ルールとして固定しておくといいでしょう。
単発のキャンペーンで瞬間的にクチコミ投稿が増えても、キャンペーンが終われば元の水準に戻ります。狙いたいのは、クチコミがクチコミを呼び、継続的にクチコミが積層していく状態です。
ULSSAS(ウルサス)とは、SNSでのUGCを起点に購買と次のクチコミ形成が循環する消費者行動モデルです。

循環の流れは、UGC(ユーザー生成コンテンツ)、Like(いいね)、Search1(SNS検索)、Search2(Google/Yahoo!検索)、Action(購買)、Spread(拡散)の6つです。ホットリンクが提唱しているモデルで、一方通行のフローではなく、最後のSpreadが次のUGCに戻るフライホイール構造になっているのが特長です。
サイクルが回り始めると、UGCが次のUGCを生み、広告費を大きく投下しなくても認知が継続的に発生する状態になります。この循環を回すために必要なのは、良質なフォロワー基盤の構築と、継続的なブランド露出を確保する広告配信、そしてシェアされやすいアカウント運用です。ここでいう良質なフォロワーとは、数の多さではなく、投稿に反応して自分の言葉で広げてくれる層を指します。
ULSSASの循環をつくるための広告配信サービスも提供しています。詳細は下記サービスページをご覧ください。
ULSSASの循環を回そうとしても、コモデティ商材など、そもそもクチコミが出づらい商材があります。また、クチコミが出ている商材でも、ある時期から件数が伸びなくなります。この2つの障壁を乗り越えるための打ち手が、PGCという考え方です。

クチコミは、語られる中身によって2つに分けられます。ひとつは商品・サービス文脈で、「〇〇がおいしい」「〇〇を買ってみた」のように、商品やサービスそのものを話題にした投稿です。もうひとつはコミュニケーション文脈で、「〇〇のこの企画がいい」「〇〇のCMに感動した」のように、商品以外の切り口で語られる投稿を指します。
つまり、無形商材やコモディティ商材のように商品そのものを語りにくい場合でも、企画やコンテンツ、広告表現を題材にすればブランドについての会話を生むことはできるということです。日清食品のカップヌードルはコモディティ化した商材ですが、アニメシリーズのCMが投稿の題材になり、商品そのものとは別の切り口でクチコミが積み上がっています。
自社の商材で商品・サービス文脈のクチコミが出ないときは、クチコミ施策そのものを諦める前に、コミュニケーション文脈で語ってもらえる切り口がないかを検討してみてください。
PGCはProfessional Generated Contentの略で、プロがつくったコンテンツを指します。つくり手がユーザーならUGC、企業やクリエイターならPGCという整理です。ホットリンクではこの言葉を、UGCに火を付けるコンテンツマーケティングという意味で使っています。

PGCが効くのは、次の2つの状況です。
商品を説明するコンテンツではなく、ターゲットが話題にしたくなるコンテンツを逆算してつくるのがPGCです。
関連:ソーシャルメディアマーケティングにおける「PGC」の必要性
実際にクチコミの増加と、それに伴い指名検索と売上増加につながった事例をご紹介します。

株式会社シャトレーゼは、国内外に500以上の店舗を構える菓子メーカーです。折込みチラシやポスティングを主軸としたプロモーションでは集客が難しくなり、とくに若年層へのアプローチに課題を抱えていました。ホットリンクはXのコンサルティングと広告運用を支援しました。
まずは拡散されやすいXアカウントの基盤づくりに注力しました。加えて、「レモン・ザ・スーパー」を使ったアイスカクテルの投稿など、ユーザーが真似したくなるオーガニック投稿を実施。それによって発生したUGCを公式アカウントでリポスト・引用リポストし、公式アカウントを起点にUGCが拡散される状態をつくりました。その結果として約1年でクチコミ数が約8倍に増加しました。クチコミ数の増加とともに売上昨対比も右肩上がりに上昇し、広告コストの大幅な削減も実現しています。
事例詳細:株式会社シャトレーゼの事例
アイウエアブランド「JINS」を展開する株式会社ジンズは、Xで発信する情報の内容と、フォロワーとのコミュニケーションのあり方に課題を感じていました。そこでホットリンクの支援のもと、公式Xアカウントの運用方針を大きく転換しています。
転換したのは、自社の告知を流す発信から、フォロワーとのやり取りを軸にした発信へという方向です。運用方針の転換から1年でUGC数が約380%、指名検索数が約165%に成長しています。記事前半で触れたクチコミと指名検索の相関が、実際の支援の中で数字として確認できた事例です。
事例詳細:株式会社ジンズの事例
クチコミをマーケティングに活用し売上アップにつなげるためには、語られる文脈の分析と設計、語られるコンテンツ制作が必要になります。ホットリンクは長年企業のクチコミマーケティングをご支援してきた実績と経験があります。自社の商材ならどこから手をつけるべきか、整理したい場合はぜひお気軽にご相談ください。
X(旧Twitter), Instagramマーケティングについてお悩みの方へ