SNSコラム

なんとなくの運用を終わらせる。書籍『SNSマーケティング「超」攻略事典88』著者インタビュー #SNS攻略88

更新日:2026年6月22日
公開日:2026年6月22日
SNSコラム

企業のSNS担当の方からいただくご相談は、「フォロワーを増やしたい」「投稿をバズらせたい」から始まることが少なくありません。その手前にある「そもそも、このSNS活用で事業成長につながるのか」という問いが見落とされがちです。

こうした現場の課題に向き合ってきたホットリンクの柴岡幸輝による書籍『SNSマーケティング「超」攻略事典88』が、本日翔泳社より発売されました。

ホットリンクが240社以上のSNS支援で蓄積してきた知見を88項目に凝縮した本書。著者である柴岡に、SNS施策が成果に結びつかない根本的な原因から、UGC(ユーザーによるクチコミ)を軸にした戦略設計まで、詳しく聞きました。

(執筆:成神佳彰 編集:倉内夏海

インタビューに登場するメンバー


柴岡 幸輝
株式会社ホットリンク コンサルティング営業本部 ソリューション営業部 部長

新卒で広告代理店に入社し、デジタル領域のマーケティング支援に従事。その後、インフルエンサーマーケティング専業会社でのクライアント支援を経て、2022年にホットリンクへ入社。アカウント運用・SNS広告・UGC活用を横断した支援経験を積み、現在はソリューション営業部の部長として新規案件の獲得を牽引。現場で得た知見とノウハウを本書に凝縮した。

SNS施策が成果に結びつかない、本当の理由

――柴岡さんは、企業のSNS課題に向き合うコンサルティング営業部の部長として、日々お客様と向き合っていますよね。どのようなご相談が多いですか?

柴岡:ホットリンクで商談を担当するようになった2022年頃から変わらず、「フォロワーを増やしたい」「バズる投稿を考えてほしい」「投稿制作のリソースが足りないので代わりに作ってほしい」といったものですね。

 どれも具体的な悩みとして理解できるのですが、もう一歩手前の重要な問いが見落とされていると感じることも少なくありません。

「フォロワーが増えたとして、それは本当に売上につながるのか」
「ファンを増やしたい。でも、自社の商材はそもそもファンがつくものなのか」
「もっと投稿したい。でも、投稿を増やすだけで事業成果は生まれるのか」

 これらの問いがないままSNS活用を続けてしまうこと。それが、成果に結びつかない企業に共通しているパターンです。

――目的より手段が先行してしまっているということですね。

柴岡:そうですね。SNSマーケティングは、事業成長のための手段のひとつに過ぎません。もちろん効果的に使えば大きなインパクトがありますが、何でも解決してくれる魔法の杖ではないんです。

 そもそも、SNSマーケティングという打ち手が自社に最適なのか。注力する媒体の選定を誤っていないか。事業成長につながるSNS戦略は何か。KPIはKGIと正しく連動しているか。

 こうした問いに腰を据えて向き合い、効果検証を重ねながら運用する。それこそが、SNS活用を事業成長につなげるうえで欠かせない姿勢だと考えています。

SNS活用に必要な「鳥の目」と「魚の目」

――柴岡さんの著書『SNSマーケティング「超」攻略事典88』の冒頭には「現在地チェックリスト」があります。どんな観点で設計したのでしょうか?

柴岡:このチェックリストは、自社のSNS活用の現在地を俯瞰できるように設計しました。オウンド・ペイド・アーンドのトリプルメディアの観点に加え、戦略設計、KPI設計、データ分析など、SNS施策を事業成長につなげるうえで確認すべき項目を整理しています。

 こうした設計にしたのは、現場で接するSNS担当者の方々が、どうしても「虫の目」で取り組んでしまいがちだからです。投稿のエンゲージメントやフォロワー数の増減など、目の前の数字に意識が向きすぎてしまうことが少なくありません。

 もちろん、日々の数値を見ることも重要です。ただ、本来は「鳥の目」と「魚の目」をもつ必要があります。鳥の目とは、マーケティング全体の中でSNSがどんな役割を担うべきかを俯瞰する視点。魚の目とは、レコメンドメディア化やAIの台頭によってSNSの構造がどう変わっているか、大きな流れを読む視点です。

――SNSマーケティング=アカウント運用という思い込みもありそうですね。

柴岡:そうなんです。自社アカウントで投稿することがSNS活用の全てだと思ってしまうと、オウンドメディアという局所的な視点にとどまって、ペイドメディアやアーンドメディアへの意識が薄れてしまいます。

 だからこそ、まずは自社のSNS活用がどこに偏っているのか、どの観点が不足しているのかを把握することが大切です。チェックリストは、その現在地を確認するためのものです。

 チェックが少ない項目ほど、そこに伸びしろがあると考えてください。自社のSNS活用を見直す入口として使ってもらえたら嬉しいですね。

▼チェックリストのサンプル

企業アカウントはSNSの「部外者」である

――本書が強調するトリプルメディアの観点は、なぜ重要なのでしょうか?

柴岡:認知施策を行う場合、SNSの本質的な役割は「想起を獲得すること」だと考えています。

 ユーザーが何かを買いたいと思った瞬間に、自社のブランドや商品が真っ先に頭に浮かぶ状態をつくること。これが達成できれば、指名買いが生まれ、競合との比較検討においても有利なポジションからスタートできます。

――想起の獲得には、何が必要ですか?

柴岡:まず「アテンションの量」を担保することです。どれだけよい内容を発信しても、ユーザーの目に触れなければ想起にはつながりません。

 そのうえで、「アテンションの質」にこだわること。単に多くの人に見てもらうだけでなく、「どのような文脈で想起されたいか」という訴求軸を設計します。

 ただ、現実は簡単ではありません。SNSのレコメンドメディア化と、AIの台頭によるコンテンツ量の爆発によって、企業アカウントの投稿を自然にユーザーへ届けるハードルは上がっています。

 実際、ホットリンクが国内企業11社のX公式アカウントを対象に実施した調査では、投稿のフォロワーへの想定表示率の平均は7.94%にとどまりました。フォロワーが多いアカウントであっても、「投稿すればフォロワーに届く」という前提は成立しにくくなっています。自社アカウントだけでアテンションを確保しようとしても、構造的に限界があるんです。


※参考:ホットリンク、広告費をUGC・指名検索として“残す”新手法「ULSSAS AD」を正式リリース

柴岡:そもそもSNSは、個人個人のメディアの集合体であり、生活者同士の会話で成り立つ場所です。少し強い言い方をすると、企業アカウントはいわば「部外者」だと言えます。

 だからこそ、企業が一方的に伝えたいことを発信するだけでは、生活者の会話には入り込みにくい。SNS上で自然に受け入れられるためには、ユーザーが何に反応し、どんな文脈なら語りたくなるのかを考える必要があります。

――「部外者」である企業は、SNS上でどのように振る舞うべきでしょうか。

柴岡:その場の主役であるユーザー自身に語ってもらうこと、つまりUGCを活用することが、自然で効果的です。

 生活者の間で話題になっている商品は、アテンションの量も自然と増えていきます。しかもクチコミは企業発信より信頼性が高く、購買意欲を高めやすい。

 では、そのクチコミはどうすれば生まれるのか。

 企業アカウントから話題のきっかけを提供し(オウンドメディア)、広告を活用して親和性の高いコミュニティに情報を確実に届けて(ペイドメディア)、その結果としてクチコミが生まれ広がる(アーンドメディア)。この3つが連動してはじめて、自社ブランドのアテンション量が増え、第一想起の獲得につながります。

クチコミは「分析して終わり」ではない

――書籍では、UGC活用や分析についても解説していますね。どのような視点が大切ですか?

柴岡:UGCを分析する上で最も大切なのは「Who×What」、つまり自社ブランドが誰にどのように語られているかを丁寧に読み解くことです。

 例えば、あるソーセージブランドのクチコミを分析すると、キャンプ好きのユーザーからは「アウトドアにぴったりの食材」として語られ、主婦層からは「食べ盛りの子どもに満足感がある」と評価されており、一人暮らしの男性からは「ジャンクで満足できる晩ごはん」として語られていました。

 ひとつのブランドが複数のコミュニティから、それぞれ異なる価値として受け取られているわけです。こうした語られ方の違いを把握できれば、どの層に、どの価値を打ち出すべきかが見えてきます。UGCは件数だけを見るのではなく、「誰が、何を語っているのか」まで読み解く必要があります。

――件数だけでなく、語られている文脈まで見ることが大切なんですね。

柴岡:はい。こうした分析は、従来であればグループインタビューや大規模アンケートに多大な時間とコストがかかっていたものが、SNSであれば今日からすぐに始められます。しかも、該当ユーザーの過去の投稿や行動履歴も残っているため、「なぜこのブランドを選んだのか」というインサイトへの仮説も立てやすい。

 Who(誰から)とWhat(どのように語られているか)を特定した上で、How(どう施策に落とし込むか)を考える。このフローが、UGC活用の基本です。

 クチコミは分析して終わりではなく、コンテンツ設計やインフルエンサー選定、広告クリエイティブの方向性やターゲティングに活かしてこそ、真価を発揮します。

本書は「答え」ではなく「出発点」として使ってほしい

――最後に、本書をどんな方に、どのように使ってほしいですか?

柴岡:SNSを担当したばかりの方やアカウントをまだ開設していない方は、ぜひ冒頭から順番に読んでいただきたいです。SNSを取り巻く環境や基本的な考え方、戦略設計の枠組みをひとつひとつ積み上げながら理解できるよう構成しています。

 すでに運用されている方には、冒頭の「現在地チェックリスト」から入ることをおすすめします。本書は88項目に分かれているので、最初から通読するだけでなく、自社の課題に近い項目から読み進めることもできます。チェックが少ないカテゴリを起点に、該当の章をかいつまんで読むこともできます。

 「なんとなく成果が出ていない」と感じている方ほど、チェックリストで自社の現在地を可視化することで、次の一手が見えてくるはずです。

――執筆にあたって、特に意識したことは?

柴岡:特定のSNSのテクニックや最新トレンドを追いかけた本にはしたくなかったので、そうならないように意識しました。

 各SNSのアルゴリズムは変わります。プラットフォーム自体も変化します。でも、「誰から、どのように想起されたいか」を起点に戦略を設計し、UGCを通じて認知の循環をつくるという本質は変わりません。

 本書の内容を唯一絶対の「答え」として扱うのではなく、自社ブランドの場合はどうすべきかを考えるための「出発点」として活用してほしいです。

 SNSは、テレビや雑誌と違って、予算規模に関わらずどんな企業でも今日から取り組むことができる媒体です。正しい考え方を身につければ、SNSは事業成長のキードライバーになります。

 SNSマーケティングを武器にできる企業や人が、もっと増えてほしい。本書がその一助になれば嬉しいです。

――柴岡さん、ありがとうございました!

★本書の内容を解説する無料のオンラインセミナー「まだバズを狙い続けますか? SNSマーケティングの常識を問い直そう」を6月24日に開催します! 詳細はこちらをご覧ください。(申込締切:6月23日正午)

書籍『SNSマーケティング「超」攻略事典88』について


タイトル:『SNSマーケティング「超」攻略事典88』
著者:柴岡 幸輝(株式会社ホットリンク コンサルティング営業本部 ソリューション営業部 部長)
定価:1,900円(税別)
出版社:翔泳社
発売日:2026年6月22日
判型:A5判、208ページ
ISBN-10:4798195340
ISBN-13:978-4798195346
Amazon商品ページ:https://www.amazon.co.jp/gp/product/4798195340

※全国の書店およびAmazonを含むオンライン書店で販売予定。電子書籍(Kindle版)も予約受付中。

※本書に関するSNS投稿は、ハッシュタグ「#SNS攻略88」をお付けいただけますと幸いです。ホットリンク社員より「いいね」やリポストをさせていただきます。

【目次】
第1章 SNSマーケティングの基礎知識を身につける
第2章 SNSをオウンドメディアとして活用する
第3章 SNSをペイドメディアとして活用する
第4章 SNSをアーンドメディアとして活用する
第5章 インフルエンサー・キャンペーンを活用する
第6章 データを分析しPDCAを回す
第7章 SNS運用担当者が押さえておきたい実務の疑問

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