SNSコラム

すべてのSNSは、TikTok化する!? 2024年のSNSマーケティング概観

2024年02月08日
SNSコラム | ザ・プロフェッショナル

最終更新日:2024年2月8日

各業界で活躍するさまざまなプロフェッショナルと、SNSやマーケティング、ビジネスのあり方について考える対談シリーズ「ザ・プロフェッショナル」。

今回の記事は、ホットリンクが誇るSNSマーケティングのプロフェッショナル3名と共に、2023年の振り返りおよび2024年のSNSマーケティングについて語ったXR動画を記事化した番外編となります(収録日:2023年12月5日)。テーマと、参加メンバーは以下の通り。

●X(旧Twitter)および2023年のSNSマーケティングの振り返り
 大野 俊太郎(株式会社ホットリンク 執行役員)

●ショート動画活用とインフルエンサーマーケティング
 伊藤 舞(CNS事業本部・コンテンツ推進部 リーダー)

●Instagram、Meta社における市場の変化
 富井 真歩(アカウントコンサルティング部 リーダー)

収録には、株式会社サニーサイドエックス様にご協力いただきました。同社が2023年9月にオープンした新ブランドコミュニケーション・スタジオ「XR STUDIO」では、実写映像と3DCG空間のリアルタイム合成が可能です。

XR動画はYouTubeにて公開中ですので、そちらもお楽しみください。なお今回使用している画像は、コンテンツの性質上すべて動画からのキャプチャとなります。そちらも予めご承知おきください。

(執筆:サトートモロー 取材・編集:澤山モッツァレラ

単一SNSに集約するリスクが顕在化した

澤山:トップバッターとして、ホットリンク執行役員の大野俊太郎さんに「Xおよび2023年のSNSマーケティングの振り返り、来年の展望」を伺います。まず、大野さんの専門や実績についてお話しいただけますか?

大野:専門というと偉そうになっちゃいますが……(笑)。僕は約10年間、ソーシャルメディアのマーケティング支援を担当してきました。ホットリンクはもちろん、前職も含めてこの分野だけに携わってきました。

 弊社での主な業務内容は、お客様へのコンサルティングです。ソーシャルメディアを駆使した業績の向上、ソーシャルメディア内の課題解決などを提案します。ソーシャルメディアという領域の特性上、BtoC向けの消費財などを取り扱っているお客様を担当することが多いです。

 ホットリンクはもともと、Xでの支援から事業を発展させてきたので、お客様からのご相談もXが中心でした。2023年以降は、相談内容がInstagramだったりTikTokだったりと範囲が広がっています。僕自身、複数のメディアでお客様を支援する機会がかなり増えました。

 その要因として、1つのメディアだけに投資するリスクをお客様が意識するようになったことが挙げられます。

澤山:特にXは、経営者が変わったことがお客様にとって大きな要因になった気がします。

大野:そうですね。企業側にとって、Xの体制の変化はリスクなのかチャンスなのか、判断しきれていない状態がずっと続いています。企業として変化は喜ばしい一方、安定性も大切にしたいのが本音です。今後の変化に対していつでもピボットできるように、「複数のメディアに根を張っておこう」という意識が広がりました。

澤山:Xの変化の余波が、企業のソーシャルメディア活用にも影響を及ぼしたのですね。

大野:2023年のSNSマーケティングのトレンドを、Xが牽引していた側面は大きいです。Meta社がThreadsというテキストベースのソーシャルメディアを新たにリリースしたのも、Xの変化で生まれた流れの1つではないでしょうか。

 一方で、X自体も他メディアの影響を強く受けているなと思います。例えばTikTokをきっかけに、ショート動画や縦型動画がInstagramやYouTube、そしてXにまで加速度的に普及しました。

 加えて、生成AIを今後どう活用していくかという話題も、2023年はすごく盛り上がりましたよね。SNSにおける生成AI活用は、2024年もとんでもない影響力を持つと感じます。

 SNS運用では、コンテンツを作り続けなければいけません。1つ1つのコンテンツ制作には時間・手間もかかります。これこそが、ソーシャルメディアを活用しきれない最大の原因だと思うのです。

 生成AIは、こうした問題を解決すると僕は考えています画像・動画制作やテキスト入力、メディアへの入稿といった作業が、AIに代替される未来は間近に迫っていると思っています。スタジオやプロのクリエイターを手配してのコンテンツ制作は、よりリッチな領域として残っていくでしょう。

 SNSの運用代行という仕事も、AIに頼む方がより正確に施策を実行できるようになるかもしれません。生成AIの発達次第で、来年以降の展開は激しく変化すると思います。

澤山:2023年も、ホットリンクは多くのお客様のSNSを支援してきました。お客様からはどのような声を頂きましたか?

大野:「コミュニケーションがしっかりしている」「支援のやり方が丁寧」と評価していただくことが多かったです。その背景には、Xをはじめとした外部要因の変化が影響していると考えています。

 マーケティング支援を依頼する以上、手法や施策でホームラン=大きな成果につながるという結果を求めているお客様は多いです。しかしこれだけ変動が激しいと、こうした施策・手法は「今しか通用しない」というパターンになりがちです。そうしたスポットの成果よりも、変化し続ける状況に対する「的確な判断」を求めるお客様が増えています

 弊社は変化に対して、何を判断材料にしてどのように判断するかが得意だと自負しています。それを改めて評価していただいたのが、今年の特徴かなと思います。

澤山:個別の戦術ではなく、物事に対する解像度やポジションの取り方がお客様に高く評価されたのですね。

1ユーザーの発言が「世の中事」しやすくなった

澤山:2023年にSNS上で起こった出来事や企業の取り組みとして、大野さんが注目したトピックは何ですか?

大野:Xでの出来事で、大きく2つ印象に残っていることがあります。1つ目はスシローさんの迷惑動画騒動です。「露出を高めたい」という個人の欲求が過激な行動につながり、それが拡散され話題となりました。この1件は、このSNSの弊害が表れている一方で、「スシローを救いたい」という呼びかけも大きく拡散されました。

 2つ目は味の素さんの冷凍餃子に関する動きです(参考)。味の素の冷凍餃子って、全然焦げ付かないので誰でも簡単に調理できるんですよね。ですが、Xでは「餃子を焼いたらフライパンに張り付いた」という投稿が話題になりました。

 それに対して、味の素さんは研究のために焦げ付いたフライパンを送ってほしいと呼びかけたんです。結果、味の素さんの元に1,000個以上のフライパンが集まり、餃子の張り付きを改善するための検証結果が発表されました。

 どちらの出来事も、SNSを起点として1ユーザーの発言が拡散され、企業や人々を動かすに至りました。その拡散を生み出したのが、アルゴリズムの変化だと思っています

 現在のXは、人気コンテンツがフォローの有無に関わらずタイムラインに表示されます。昔なら一部のコミュニティにしか届かなかったコンテンツが、良くも悪くも「世の中事」として多くの人々に触れられるようになったんです。

大野:僕はこの変化を好意的に捉えています。企業のほとんどは、商品・サービスを使ってくださる顧客のことを常に考えています。ですが、それが表立って見えることはありません。

 しかし、普段からの行動がXで可視化されることで、ユーザーから「この会社すごい!」と思ってもらいやすくなりました。企業の取り組んでいることが、SNSによって拡散されることで届きやすくなったわけです。

 来年以降も、企業は顧客のために行っていることを、そのままSNSに反映していけばいい。その行動が、ポジティブな格差につながると思います。

澤山:企業のポリシーが外部に見えやすくなっているからこそ、外部環境の変化に右往左往しない「ブレない企業」がSNSで活躍できるのかもしれませんね。今後は個別の施策以上に、裏側にある思想がより評価されていく世の中になるのでしょう。

大野:ソーシャルメディアの世界は、今後ますます変化していくし面白くなると思います。その中で、どうやってお客様を支援していくべきか常に考えていきたいですね。

各媒体が、「TikTok化」している!?

澤山:続いて、ホットリンクCNS事業本部・コンテンツ推進部リーダーである伊藤舞さん(参考)に「ショート動画とインフルエンサーマーケティング」というテーマでお話を伺います。まず、伊藤さんの普段の業務から教えて下さい。

伊藤:私は普段、クリエイターさんやタレントさんを起用したプロモーション施策の企画・ディレクションを担当しています。支援している業界はコスメやファッション、飲食と幅広いです。前職もインフルエンサーマーケティングの会社にいました。

まず、SNSマーケティングを取り巻く概況から説明したいと思います。皆さんご存知の通り、TikTokがものすごい勢いで成長していて、ソーシャルメディア史上最速で10億ユーザーに到達しました。2024年には、広告受注額がYouTubeを上回ると言われています。


出典:https://crossscreen.media/state-of-the-screens/tiktoks-still-trending/

伊藤:TikTokの台頭を受けて、InstagramはAIレコメンドの割合を2023年末までに倍増させると発表しました。Instagram利用時間全体のうち、短尺動画フォーマットのリールが30%増えているなど、InstagramのTikTok化が進んでいます。

 Xでも、2023年6月に「バーティカルビデオ広告」という縦型動画の広告サービスをリリースしました。YouTubeの「ショーツ」やLINEの「VOOM」など、各メディアも続々と縦型ショート動画に参入しています。

 人から人への情報拡散が主流だったソーシャルネットワークが、AIレコメンドによるコンテンツ拡散に移行している。というのが、最近のSNSの概況です

澤山:確かに昨年を振り返ると、AIによるレコメンドの影響力がより強まっているのを感じます(参考:企業はレコメンドメディアにどう向き合うべきか?

伊藤:現在はフォロワー数より、「拡散されるコンテンツの蓄積」が重視されています。弊社のInstagram運用のデータを見ると、フィードよりもリールの方がリーチ数が増えています。InstagramやX、YouTubeでもショート動画の表示枠が増加した影響で、フォロワー数以上のリーチを獲得しやすくなりました。

ショート動画は「再生開始2秒」で決まる

伊藤:そんなショート動画を活用する上で、重要なポイントを3つまとめました。

①コンテンツの蓄積
コンテンツが増えれば増えるほど、そのコンテンツにエンゲージしてくれるユーザーが増えるので、ユーザーの情報がより精緻になります。アルゴリズムに学習をしてもらうためにも、まずは「コンテンツを増やすこと」が必要です。(参考:「コンテンツの蓄積」が、レコメンドメディアにおいて重要になった理由

②ジャンルに一貫性のあるコンテンツ
訴求するテーマ・ジャンルに一貫性を持たせることで、AIの学習が進んでアカウントの潜在ユーザーにコンテンツが届きやすくなります。訴求したい層にアルゴリズムを誘導するためにも、一貫性のあるコンテンツ制作を意識してください。

③初速がつくコンテンツ
投稿がどれだけ早くエンゲージメントされたかによって、おすすめや発見タブへの掲載率が変わります。Instagramだと特に初速が重要で、発見タブ掲載後に初速でエンゲージメントを多く獲得できると、発見タブの表示時間を延ばすことができるんです。

 TikTokでは、視聴継続率を高めることが重要とされています。継続率の維持が高い=視聴される時間が長いほど、フォロワー外にもリーチされやすいコンテンツといえます。


澤山:こうした要素に加えて、インフルエンサーを起用したショート動画活用を成功させるには、どのような意識が必要ですか?

伊藤:先ほど、初速にエンゲージされるかがレコメンドされるのに重要だと話しました。この点を踏まえて、再生開始2秒への工夫がとても重要だと言われていますちょっと引きの部分を用意したり、目的に応じて構成を変えたりという感じです。

 例えば、ブランドやサービスの理解促進を目的にコンテンツを作る場合、どうしても盛り込む情報が増えてしまいます。ユーザーに少しでも楽しんでもらうために、ネタ動画っぽくなるような構成案を考えるといった工夫が重要です。

 また、インフルエンサーマーケティングではインフルエンサー選びが重要です

  • 企業が発信したい内容
  • クリエイターが普段発信している内容
  • ファンが求めている情報

 この3要素が同じ方向であるほど、PR色が強すぎず、ファンに受け入れられやすいコンテンツが作りやすくなります。

澤山:ホットリンクのご支援で、インフルエンサーマーケティングに成功した事例にはどのようなものがありますか?

伊藤:アウトドア系のインフルエンサーであるリロ氏とソーセージブランドのジョンソンヴィル様とのコラボは、非常に良い事例だと思います(参考:リロ氏に、SNSライクな動画のつくり方を聞いただけの記事。。ジョンソンヴィル様が発信した情報と、リロ氏が普段投稿している内容、リロ氏のファンが求めるコンテンツが合致したことで、商品の販売数が大きく伸びました。

https://twitter.com/ly_rone/status/1219526928203300865

ThreadsとX(旧Twitter)、どんな違いがある?

澤山:最後のパートでは、ホットリンク・アカウントコンサルティング部 リーダーである富井真歩さん(参考)に「2023年におけるInstagramならびにMeta社の動き」についてお話しいただきます。まずは、富井さんの業務内容から教えてください。

富井:私はSNSの運用代行などを担当しています。お客様と一緒にコンテンツを作りながら、どのようにInstagramを活用してお客様の売り上げ向上につなげるかを考えるのが私の役目です。コスメブランドやアパレルの他、無形商材など幅広いジャンルのお客様と日々接しています。

 あと、ホットリンクが運営する女性向けメディア「fasme(ファスミー)」の編集長も務めています。

澤山:ありがとうございます。2023年におけるMeta社のもっとも大きなトピックは、やはり「Threads」のリリースが挙げられると思います。

富井:おっしゃるとおりで、Threadsは2023年7月に誕生したばかりのメディアですInstagramとの大きな違いは、テキストベースで人とつながるというコンセプトであるということ。ローンチからわずか5日で1億ユーザーを超えたというのも、大きな話題になりました。

 皆さんが気になるのは、ThreadsとXの違いだと思います。機能面で比べると、投稿可能な文字数や掲載可能な画像枚数など、細かな違いが多いです。

(編集部注:23年11月時点)

富井:ユーザー層にも違いがあります。Threadsを頻繁に利用しているのは、InstagramのDMやストーリーズで気軽に、友人とコミュニケーションしている方々が多いです。Instagramは見る専門(ラーカー)で投稿はしていないという方々は、Instagramに残っている印象があります。一方で、普段はInstagramを使っていない方は、Xをそのまま利用しているようですね。
富井:Threads誕生の背景には、テキスト軸でも人々がつながれるメディアを作りたいというMeta社の想いがあったのだと思います。実際に、Threadsではコメントなどで会話が生まれている投稿が、伸びやすい傾向にあるようです。リリース当初は「Xと比べて機能面に乏しい」と言われていましたが、最近ではキーワード検索をはじめ、さまざまな改善が進んでいます。

澤山:今後の成長に注目ですね。

フォロワー数から脱却し、レコメンドの波に乗れるか?

澤山:Threads以外で、2023年のInstagram・Meta社はどのような変化がありましたか?

富井:2022年はショート動画黎明期といえるほど、Instagramではリールに関するアップデートがたくさん発表されました。2023年も同様で、動画編集の機能改善、サブスクリプション機能や一斉配信チャンネル、リールへの投げ銭機能の実装など多くのアップデートが見られました。アップデートを見ていると、Meta社がクリエイターの支援に力を入れていることがわかります。

 それに、AIレコメンドの影響力の強さも日々感じています。お客様の支援をしていると、フォロワーを増やしてもなかなかリーチされないという場面をよく目にするようになりました。

澤山:以前よりも、フォロー・フォロワー関係が希薄化しているということでしょうか。

富井:そうだと思います。企業に限らず、SNSでは「フォロワー重視」の運用が当たり前でした。その方針から離れて、AIレコメンドの波にいかに乗れるかが、今後のSNS運用では重要になると思います

澤山:弊社が支援させていただいたお客様で、富井さんの印象に残っている事例はありますか?

富井:特に大きな成果につながったのは、NTTドコモ様が運用する「dポイントクラブ」のInstagram支援です。具体的な数字として、リールのリーチ数が支援前の約3倍、エンゲージメント数は約14倍に増やすことができました。

【事例】多彩なアイディアと柔軟な運用体制でSNS活用が加速。dポイントクラブのInstagram運用

 「dポイントクラブ」では、アカウント運用以前までレシピ系など暮らしに役立つ投稿が目立っていました。そうした投稿のうち、イメージキャラクターを活用した投稿やTips系の投稿に絞っていったんです。お客様と数値を見つつPDCAを回していき、リールに注力した結果、数字を大きく伸ばすことができました。

澤山:すごい成長ぶりですね!

富井:2023年は「Instagramの運用目的自体を見直そう」というお客様も多く見受けられました。こうした考えを持てる企業は、SNSと非常に相性がいいと思います。

澤山:変化することを前提に、SNS運用に臨めるかは非常に重要ということですね。その上で、顧客やユーザーに価値あるものを届けようという姿勢が、企業の成功につながると。SNS運用以前のポリシーや姿勢が大事なのだということを、改めて感じられる話でした。

生成AIの生み出すパワーに、大きな期待が集まる

澤山:改めて、興味深いお話をありがとうございました。社員ながら、とても勉強になりました。最後に、それぞれ振り返りのコメントをいただけますか?

大野:生成AIの生み出すパワーに、ものすごく期待しています。ソーシャルメディアの運用にかかる工数がAIによって一気に短縮されれば、よりクリエイティブなことに時間を使えますから。AIの活用で、SNS活用がさらに発展していくと、とてもワクワクしています。

伊藤:レコメンドメディアマーケティングでは、コンテンツがさらに重要性を増していきます。今以上にクリエイターさんをサポートできるよう、2024年も頑張ります。

富井:各媒体の動向やクリエイターさんからのお話を通じて、2023年は本当に変化の多い1年だったなと思っています。2023年9月には、Meta社からAIで絵文字・ステッカーを生成できる機能の実装が発表されました。

 新しい機能を使って、どんどん楽しいことにチャレンジしていきたいです。SNSを運用している方は、SNSは変化するのが当たり前と考え、その変化を楽しんでほしいです。

澤山:皆さんありがとうございました。2024年も引き続き、SNSマーケティングを盛り上げていきましょう!

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