目次
株主の皆様へ
01:数字で見るホットリンクグループ
02:ホットリンクのグループビジョン
03:新体制の経営方針
04:経営方針の実現に向けた各事業戦略
05:各事業戦略の具体例
06:AI活用による事業推進~事業自体が変わることを恐れない~
07:グローバル経営における為替と投資の価格変動による業績影響
私たちは、
「ソーシャル・ファーストマーケティング(Social First Marketing)の新次元」
を掲げ、データとAIテクノロジーを羅針盤に、企業と生活者との関係性をより深く、持続可能なものへと進化させることに取り組んでおります。急速に変化する社会環境の中で、未来を切り拓く革新的な価値の創出を目指しています。
さらに、AIを中核とした未来変革への挑戦を重要な使命と捉え、ブロックチェーンなどの先端技術やソーシャルメディアの多様な可能性、そして豊富なデータを活用することで、企業の意思決定に新たな示唆を提供し、社会全体に変革の波を広げてまいります。
ホットリンク代表取締役グループCEO 檜野安弘
ホットリンクグループの全体像を「数字」でまとめています。売上や投資リターン、自己資本比率から、AI活用の進み具合、クライアント数まで、会社の“いま”をつかめる内容です。まずは企業や事業のこと、注力ポイントを知っていただく入り口としてご活用ください。
ホットリンクグループは、データ駆動型のマーケティング戦略を基盤に、企業と生活者のあいだに生まれるソーシャル行動を深く理解・活用する、「ソーシャル・ファーストマーケティング」を推進しています。
※ソーシャル行動とは、人々がオンラインやオフラインで情報を共有し、影響を与え合う行動のこと。
SNSでの投稿、コメント、シェア、コミュニティ内の会話、口コミ、購買行動などが含まれます。
これらは、ブランドが消費者の関心や態度を把握し、エンゲージメントを高める上で欠かせない要素です。
当社は、AIとビッグデータを活用し、こうしたソーシャル行動データを分析・活用することで、企業がより精緻なマーケティング戦略を構築できるよう支援しています。
ホットリンクグループの考える「ソーシャル・ファーストマーケティング」を実現するために、私たちはソーシャル行動データを活用したデータ駆動型の事業戦略を展開しています。その中核を担うのが、「SNSマーケティング支援事業」「DaaS事業」「Web3関連事業」の3つの事業です。
これらの事業はそれぞれ異なるアプローチでソーシャル行動データを活かしながら、企業のマーケティングや意思決定を支援し、世界中のクライアントに対して新たな価値を提供しています。
ホットリンクグループでは、SNSやWeb3など多様なソーシャル行動を起点に得られるデータをもとに、企業のマーケティング支援へとつなげる仕組みを構築しています。単なるデータ収集にとどまらず、分析・伝達・活用まで一貫して行うことで、顧客の意思決定を支援し、実践的かつ価値のあるマーケティングを実現します。
創業以来、多様なマーケティング領域への挑戦と事業進化を重ねてきたホットリンクグループは、SNS支援・データ提供・Web3投資といった異なる領域で事業展開を行ってきました。こうした取り組みの蓄積の結果として、現在の「SNSマーケティング支援事業」「DaaS事業」「Web3関連事業」の3事業体制が確立されました。
■株主視点を重視した経営
ホットリンクグループは、長期的な株主価値の最大化を目指して、透明性の高いガバナンス体制と適切な情報開示の仕組みを整備しています。さらに、配当方針や資本効率を重視した経営施策を推進することで、株主の皆様との信頼関係をより一層深めていきます。
そうした方針のもと、2025年度には初めての配当を実施し、株主還元に向けた第一歩を踏み出します。
【配当に関して】
【キャッシュ戦略と配当原資】
収益の一部を株主還元に充当することで、株主の皆様との強固なパートナーシップを築き、長期的な企業価値の向上を追求します。
また、キャッシュに関しては、株主還元に充てるだけでなく、引き続き事業活動や将来の成長に向けた投資・M&Aにも活用していきます。安定した財務基盤のもと、持続的な企業価値の向上を目指し、バランスの取れた資金配分を行うことで、成長と還元の両立を図ってまいります。
■BSとPLのバランスを意識した経営
PL(事業)とBS(投資)の最適バランスを追求し、将来を見据えた事業投資と堅実な財務運営の両立を目指します。
これまで各事業はそれぞれの領域で機能してきましたが、今後は「ソーシャル行動データ」を共通の基盤として、SNSマーケティング支援事業、DaaS事業、Web3関連事業が連携し、より高い付加価値を創出する体制へと進化していきます。各事業の強みを掛け合わせることで、クライアントへの提供価値を最大化し、グループ全体の成長を加速させていきます。
■SNSマーケティング支援事業のサービスラインアップ
ホットリンクのSNSマーケティング支援事業は、戦略設計から運用、分析、広告、インフルエンサーの活用まで、幅広いニーズに対応するフルサポート型のサービスを展開しています。
SNS活用の導入支援から、データに基づいた成果の最大化まで、企業の課題に応じて最適な手段を提案し、売上向上や認知拡大を支援します。
■メディア事業「fasme」の強化
若年層を中心にSNS上での“自己診断コンテンツ”は高い拡散力を持ち、fasmeでは診断ツールを活用したプロモーション施策を展開。消費者は興味に基づいて診断を体験し、自然な形で商品の認知・購買につながる導線を構築します。
クライアント企業に対しては、診断ツールの企画・制作から投稿タイミングでの収益化までを一気通貫で支援し、SNSマーケティングにおける新たな武器として機能しています。
加えて、訪日外国人向け広告では、インバウンド需要の回復とともに多言語対応による訴求力を強化。ホットリンクでは翻訳記事作成(最大5言語)を通じ、SNSを起点に訪日旅行者へのアプローチを可能にし、グローバルな情報発信を実現しています。
クライアントの商品やサービスに関する記事を作成し、fasmeのX(旧Twitter)やInstagramの公式アカウントから投稿・広告配信を行っています。さらに、主要メディアを通じたDSP配信を組み合わせることで、SNSユーザーをサイトへ効率的に誘導します。
ユーザーの年齢・性別・行動履歴をもとにパーソナライズされた広告を配信することで、高いコンバージョン率を実現。関連性の高いユーザーを取り込む仕組みにより、広告の精度が向上します。また、AIによる自動最適化機能により、手作業の負担が軽減され、広告運用の効率も大幅に向上しています。
■インフルエンサーマーケティングの強化
ホットリンクは、クライアントとインフルエンサーの両者にとって価値あるマーケティング支援を展開しています。
独自のソーシャルビッグデータ分析によりユーザーの関心や行動を可視化し、戦略的な施策を設計。UGC(ユーザー生成コンテンツ)や多様な表現手法を活かし、共感性の高いコンテンツを制作します。単なる広告効果にとどまらず、クライアントとインフルエンサーそれぞれのブランド価値向上を目指した、持続的なパートナーシップの構築を支援します。
■DaaS事業の事業内容
DaaS事業では、世界中の市場データをもとに、2つの手法でデータを取得しています。ひとつは、データ提供元からライセンス契約を結んで提供を受ける「ライセンス型データ取得」、もうひとつは、自社開発のクロールシステムによってオンライン上の公開情報を収集する「クロール型データ取得」です。
取得したデータは社内で一元管理され、AIやLLM(大規模言語モデル)を活用した分析により付加価値が加えられます。こうした高精度なデータをクライアントに提供することで、より戦略的な意思決定や施策実行を支援しています。
【DaaS事業の商品戦略に関して】
【DaaS事業の市場戦略に関して】
■市場戦略に関して
プロジェクト投資を拡大し、特にインフラ及びAI関連でブロックチェーンを活用した領域への投資を強化します。
【バリデータ事業に関して】
【金融(DeFi)事業に関して】
金融(DeFi)事業の開発を開始します。
ホットリンクグループでは、SNSマーケティング、DaaS、Web3の3事業が共通して活用する「ソーシャル行動データ」を軸に、横断的な事業連携を進めています。
その取り組みの一環として、新たに3事業が連携するデータ分析型のプロジェクトを始動しました。
・SNSマーケティングをはじめとする既存サービスは、今後AIの進化により、大きくその在り方が変わっていくと見込まれます。人手をかけて提供していた労働集約型のサービスも、AIの導入によって徐々に効率化が進み、新たな形へと進化していく流れが生まれつつあります。
・一般的には「従業員の約40%がAIに代替される可能性がある」とも言われており、ホットリンクもそうした時代の変化に応じて、AIと共存しながら、より創造性や付加価値の高い業務へのシフトが求められていくと考えています。
・この図では、サービスそのものがなくなるというよりも、AIの本格的な導入によって「人が介在する頻度」が少しずつ変化していく時間軸を表しており、持続的に価値を提供するための転換点を示唆しています。
ホットリンクでは、業務効率化と価値創出の両立を目指し、段階的にAIの導入と活用を進めています。
第1段階として、各事業部門およびコーポレート部門にAIを導入し(01)、続いて特定領域のコンサルティングやオペレーション業務に対応するAIエージェントを自社で作成・活用(02)します。ホットリンクでは(01)、(02)については現在実施済となります。
今後は、特定領域に特化したAIエージェントをクライアントに提供するAIDX事業の本格展開(03)へと進みます。さらに将来的には、人が複数のAIエージェントを統括・活用するフェーズ(04)を経て、最終的にはAIエージェント同士が自律的に管理・最適化を行う高度なAI活用社会(05)の実現を構想しています。
社内で培ったAI活用の知見を「AIDX」として体系化し、業務ごとの特性に応じたAIエージェントを開発・実装することで、生産性とクオリティの両立を実現しています。マーケティングやセールスなどのフロント業務では、社内業務に特化したAIエージェントが支援を担い、ナレッジの蓄積と活用を通じて、業務効率の大幅な向上を実現しています。
一方、SNSマーケティング支援領域では、投稿作成・広告運用・コンテンツ企画など、顧客ごとにカスタマイズされたAIエージェントが実務を担い、戦略的なアウトプットを可能にします。
今後は、これらのAIエージェントの活用実績を基に、SNS領域を皮切りとして社外クライアント向けにナレッジやツールを提供することで、AI活用の波をより広く社会に展開していく構想です。
AIの進化や市場環境の変化により、企業にはより効率的で、かつ顧客に新たな価値を提供できるサービス構築が求められています。
こうした背景の中、ホットリンクでは既存サービスの深化と並行して、次なる成長に向けた新たな領域への取り組みを本格化させています。
現在は、これまで培ってきた知見やアセットとの親和性が高い「隣地領域」を中心に事業展開を拡大中です。具体的には、fasmeを起点としたメディア事業の進化、SNSの活用を軸としたインフルエンサーマーケティング、クローリング型データの利活用など、既存事業の延長線上にある領域での新規展開を推進しています。
さらに、今後の成長ドライバーとなる「飛び地領域」においても、すでに新規事業の立ち上げに着手しています。
Web3やAIエージェント、オンチェーンデータ解析など、これまでとは異なる技術・市場を活用した事業構想を進めており、将来的な事業化に向けた実証や開発も始まっています。中長期的には、こうした先進的な取り組みを通じて、持続的かつ多面的な成長モデルの構築を目指しています。
ホットリンクグループでは、各事業において戦略的な意思決定とともに、AIの積極的な活用を推進し、サービスの高度化や効率化を通じて利益の最大化を目指しています。事業ごとの独自性と強みを活かしながらも、全体としてテクノロジーを軸とした経営を進めています。
一方で、当社グループは海外売上比率が約50%近いグローバル企業であり、さらにWeb3やDeFiなど新領域に対しても積極的に投資を行っています。こうした経営スタイルにより、本業にとどまらず、金融・為替・暗号資産など多様な領域からの影響を受ける構造になっているのが特徴です。
そのため、為替相場の変動や、保有・投資する資産価格の変動が業績に与えるインパクトが相対的に大きく、短期的な業績の振れ幅が拡大する可能性があります。
ホットリンクグループは、売上の約半分を海外事業が占めており、ドル建ての預金・債権・投資資産を多数保有しています。そのため、為替の変動は収益や投資損益に大きな影響を与える構造となっています。特にドル円相場の変動によって、売上・営業利益・当期純利益などのPL項目に直接的な影響が生じ、業績のブレが発生しやすくなります。
実際に、為替が10円変動することで約4,000万円の影響が出ると試算されており、近年では四半期ごとに数千万円単位で損益が上下するケースも見られます。
たとえば、2022年12月期には81百万円の差益、2024年12月期には73百万円の差損を計上しており、為替の影響が当社の最終利益に与えるインパクトがより可視化されています。
この為替影響は、特にDaaS事業のドル建て取引や、海外投資における評価損益・売却損益などに反映されやすく、今後も外部環境の変化に伴って業績に影響を与える可能性があります。
Web3関連事業において暗号資産(仮想通貨)への投資を行っており、その評価額は市場価格に大きく依存しています。暗号資産市場は非常にボラティリティ(価格変動性)が高く、ビットコインを例にとると、2022年末には約16,000ドルまで下落したものの、2024年には一時10万ドルを超えるなど、短期間で価格が大きく上下しています。
このような価格変動は、当社が保有する暗号資産の評価益・損益に直接的な影響を及ぼし、業績の振れ幅を拡大させる要因となっています。特に収益構造に占めるWeb3投資の比重が高まる中で、このボラティリティの影響を適切に管理していくことが求められます。
なお、暗号資産の評価額については、時価に基づいて会計処理が行われるため、実際の価格変動と決算への反映にはタイムラグが生じる点にも留意が必要です。
リアルタイムの市場変動が即座に業績に反映されるわけではないため、評価益・損益は決算期によって大きく変動する可能性があります。
為替変動と暗号資産市場の価格変動、加えて海外事業の収益変動が重なることで、当社の業績に大きな振れ幅が生じる可能性があります。特に「円安×ブルマーケット」では利益が大きく伸長する一方、「円高×ベアマーケット」では利益が圧縮される傾向があり、業績への影響が顕著になります。
為替変動や暗号資産市場の価格変動は、業績に大きな影響を与える可能性があるため、当社ではこうしたボラティリティ(価格の振れ)への対策として、戦略的なポートフォリオ運用を実践しています。
具体的には、複数の投資対象(Web2投資・Web3領域のファンド投資・Web3領域の直接投資)に分散して投資することで、リスクを抑制するとともに、収益化のタイミングを意図的に分散しています。
これにより、特定の市場環境や為替動向に依存しすぎることなく、毎期における経常的な収益の確保を目指す仕組みを構築しています。
■為替の変動は、一般的に不確実性が高い要素と見なされがちですが、当社にとっては事業成長を加速させる重要な推進力であると認識しています。
具体的には、以下のような側面が挙げられます。
・グローバル収益の最大化が可能になること
為替変動を活かすことで、同じビジネスでも円ベースでの収益性が高まる局面があり、事業成長の追い風となる
・通貨分散によるリスクヘッジが図れること
複数通貨にまたがる経済活動により、特定通貨の変動に依存しすぎない財務構造を構築できる
・世界経済の成長をダイレクトに取り込めること
海外投資を通じて、先進国・新興国いずれの成長機会にも機動的にアクセスできる
こうした観点から当社では、為替は単なる不安要素ではなく、「機会」として捉え、積極的に対応・活用していく姿勢を取っています。
■暗号資産は単なる投機対象ではなく、次世代の金融市場を支える重要な技術基盤として成長を続けています。この領域を早期から取り入れることで、Web3時代の新たな価値創出が実現可能だと考えております。
具体的には、以下のような取り組みを進めています。
・分散型金融(DeFi)を活用した新たな収益機会の創出
中央管理を必要としない金融スキームを活用し、柔軟かつ効率的な資金運用の機会を拡大
・ブロックチェーンデータとSNSデータの融合分析
消費者のソーシャル行動とトークンの取引履歴などを組み合わせ、新たなマーケティング活用や価値評価モデルの構築を推進
・Web3経済圏の成長とともに拡大する事業機会を創出
分散型アプリケーションや新しい経済圏において、新規プロジェクトやサービスへの参入余地を探索
・新たな金融市場としてのポジション確立
暗号資産市場において、投資家・事業者双方から信頼されるデータ基盤・サービスプロバイダーとしての立ち位置を確保
これらを通じて、Web3の進化に合わせた継続的な事業展開と、長期的な企業価値の向上を実現していきます。