SNSコラム

日中ともに重要なカギとなる! コスメブランドにおける「UGC活用」 とは

2021年08月19日
SNSコラム | コスメ業界向け

最終更新日:2021年8月19日

コスメ企業のSNSマーケティング支援も行なうホットリンクには、コスメ業界研究チーム(通称・Beautyチーム)が存在します。

Beautyチームの岡崎佑紀・富井真歩・高田安由美に、ホットリンクのグループ企業・株式会社トレンドExpressの佐野あゆみさんを迎え、「日中コスメ×SNS最前線」をテーマに座談会を実施しました。

第1回目は、2020年から現在に至るまでのコスメ市場の動向とZ世代の消費行動の違い、中国のインフルエンサー「KOL」について意見を交わしました。

コロナ・SNS・Z世代――2020年以降の日中コスメ市場最前線

今回は、コスメ市場におけるライブコマースやUGCの活用状況などについて、日中間の違いや共通点を探ります。

(執筆&編集:私がエレン/倉内夏海 撮影:小林一真 インタビュー:私がエレン)

※高田のみZoomにて取材参加。被写体には、写真撮影時のみマスクを外してもらっています。インタビューはマスク着用のほか、感染症対策を施してから行なっています。

日本がライブコマースで記録的売上を作るのはこれから

私がエレン:
中国ではライブコマースもさかんですよね。ライブ配信を行なうのは、美容部員さんとKOL(※1)のどちらが多いのでしょうか?

 

「KOL」とは……
「Key Opinion Leader」の略語で、中国のインフルエンサーを指す。一般的に万単位のフォロワーがおり、中国ではプロモーションに欠かせない存在とされる。広義の意味では芸能人など、非常に大きな影響力をもつ人物も含まれる。

佐野:
半々くらい
だと思います。
ブランドの認知獲得狙いか、商品の特長や品質を訴求したいのかなど、企業が何を目的にライブ配信を実施したいのか次第で、起用すべきインフルエンサーは変わります。

たとえば、敏感肌用化粧品の成分や使用感を紹介する場合は、美容部員さんを起用する方が説得力がありますよね。一方で、「とにかく自社ブランドの認知をあげたい」という場合は、知名度が高くかつ影響力が大きいKOLを起用すると良いと思います。

富井:
日本の場合は、美容部員さんがライブ配信を行なう場合が多いです。気軽にアサインできて、高頻度でライブ配信を行なえるメリットがありますよね。

「美容のプロフェッショナル」としての信頼性も担保されますし、現場でお客様に日々向き合っているので、説得力のあるお話ができる点もポイントです。ただ、あくまで一般人の方ですので「タレント性」に欠けてしまう部分はあります。

岡崎:
スタッフが出演するライブ配信を成功させるためには、まずは配信のテーマをしっかり決めることが大切です。

美容部員さんが定期的に出演しつつ、時々配信場所を変えたり、スパイス的な要素としてインフルエンサーに出演してもらったりするのもオススメです。配信で使うアイテムやその日のテーマを事前に告知することも、視聴数アップに効果的です。

私がエレン:
「インフルエンサー」といえば、日本のブランドって同じインフルエンサーを定期的にライブ配信に起用する施策をあまりやってないですよね。

佐野:
中国では、ライブコマースで成功したKOLは、「実績あり」と一定の信頼感が醸成され、同じブランドでの再起用やほかのブランドでの起用も行なわれやすいです。
日本ではまだライブコマースに馴染みが薄く、ライブコマースでの高い売上実績がある著名インフルエンサーもいないことから、同じインフルエンサーを継続起用することに前向きではないのだと思います。

中国のライブコマースでは「ライブ開始4時間で、商品数約850万件、総額約26億元(日本円で約442億円)販売した」といった莫大な売上記録がいくつも生まれています。

高田:
確かに、日本にはまだそこまでの規模の売上や記録は生まれていないかもしれませんね。

日中ともに、戦略的UGC創出はSNSマーケのカギ

私がエレン:
日本と中国、それぞれどのSNSでコスメの情報収集が多く行なわれているのでしょうか。 

富井:
日本は10代~30代まで共通でInstagramが強いです。Z世代に関しては、TikTokも増えてきていますね。
InstagramのリールズとTikTok、どちらをより多く見ているかZ世代に尋ねたアンケート調査では、6割がTiktokを選んでいます。

参考:リアルZ世代のトレンドを調べるZ総研トレンド通信〜Z総研トレンド通信Vol.9『Instagram後編』〜

クライアントにもリールズ活用はオススメしてます。

公式アカウントのフィード投稿はハッシュタグのトップに表示されないことが多いんですが、リールズを活用した結果、ブランド名のハッシュタグトップに、公式アカウントによる投稿が掲載された事例もあります。

佐野:
中国でも、コスメの情報収集源は中国版Instagramと言われている「小紅書(RED)」が強いですね。
あとは「抖音(Douyin)」(中国版TikTok。読みは「ドウイン」)でもコスメの動画は多く、最近ではEC機能が連携していることから購買行動にも繋がりやすくなっています。

高田:
コスメの情報収集に関しては、日中ともに10代~30代においてInstagramとREDが強いんですね。日本でも「TikTokで見たから買った」というZ世代のUGCも出ていますし。

佐野:
ちなみに、コスメ系に限らず、中国の消費動向や世論全般に影響力をもっているのは「微博(Weibo)」ですね。トレンド情報や経済ニュース、社会問題などを、Twitterのようにオールマイティに情報を集めるツールだと認識されています。
クチコミから消費者のインサイトを深く捉えるためには、Weiboの分析は欠かせません。その上で「REDではこう、抖音ではこう」と見ていきます。

高田:
中国では、コスメ商材に関するUGCの質や内容に、プラットフォーム別の違いってありますか?

日本では、Twitterだと「買ってみた」を中心に、スウォッチのUGCも見られます。Instagramだと置き画のおしゃれな写真や、まとめ情報をスワイプで紹介しているUGCが多いです。プラットフォームごとに、多少の違いはあるように思います。

佐野:
中国でもその傾向はありますね。

たとえばWeiboのKOLが行なう投稿には、日本のTwitterの美容垢と同じで、ひとつの画像のなかに文章も入れて紹介する「まとめ画像」が多いです。

REDにもまとめ画像を投稿するユーザーはいますが、Instagramと同じようにカルーセル機能があるため、複数枚の写真を投稿しているパターンも多く見られます。この辺は、日本のInstagramのUGCと近い傾向が見られますね。

岡崎:
REDやWeiboで、企業が運用している「公式アカウント」や「企業アカウント」のようなものはありますか? 企業アカウントの発信とUGCだったら、やはりUGCの方が購入の際の参考にされやすいのでしょうか?

佐野:
もちろん企業アカウントはあります。企業アカウントを持つことはブランドイメージの確立・浸透の観点からも重要です。発信するコンテンツは、なるべく広告色を感じさせず、一般人には作れない高いクオリティのクリエイティブで、話題を醸成することが大切です。

また、先ほど話題(※座談会1回目の記事参照)に出たように、中国は、日本よりもクチコミ・UGCが消費行動に与える影響が大きい市場です。
そのため戦略的なUGC創出を行なえば、日本以上にダイレクトに売上やブランディング面に影響が出てくる場合もあると思います。

岡崎:
SNSマーケティングにおいてUGCがカギとなるのは、日本も中国も同様みたいですね。 

ホットリンクでは、商材とUGC活用との相性を見極める「三枚おろし」という手法を提唱しているんですが(※2)、コスメ商材は一般的にUGC活用と相性が良いんですよね。

ブランドによりますが、比較的安価ですし、手に取られる回数が多いですし、クチコミを出す心理的ハードルも低いので、クチコミが生まれやすい。
コスメブランドさんをご支援する際は、必ずこのお話をしています。

(※2)「三枚おろし」の詳細はこちらから。
三枚おろし理論とは

富井:
UGCを起点とした消費者行動(※3)が起きているお話は、ホットリンクとしてもこれまでに何度もさせて頂いていますが、日本ではまだ、UGCを活用した施策をやられているコスメブランドさんは多くないです。

SNSを「オウンドメディア」的に使っている企業アカウントさんは多いです。もちろんそれが不正解ではありませんが、「一方的な情報発信以外に成果を出せる方法はないか」「もっとクチコミを活用したい」など、「アーンドメディア」としてSNSを活用したいといったご相談も、少しずつ増えてきた印象ありますね。

(※3)「UGCを起点とした消費者行動」=「ULSSAS」という購買行動プロセスを指します。ULSSASの詳細はこちらから。
ULSSAS(ウルサス)とは

いずれ日本にもくる、SNSとEC連携の波に乗り遅れないように

私がエレン:
それでは、最後の質問です。中国国内のメディア環境やデジタル施策、SNSの活用法などから、日本のコスメブランドはどのような点を参考にできそうでしょうか? 

佐野: 
中国では抖音に代表されるように、SNSとECのシームレスな連携が定着しています。いずれ日本の主要SNSでもECとの連携が進むと思うので、そうした観点から中国の主要プラットフォームの動向を観察すると、参考になる部分があるかもしれません。

また、最近注目されているのは、自社ブランドを愛してくれているロイヤルカスタマーの影響力に焦点を当てるマーケティングです。
アメリカ・ニューヨーク市場に上場した中国コスメブランド「完美日記(Perfect Diary)」は、そうした「ファンマーケティング」で成功し、欧米ブランドと肩を並べるまでの存在感を作り上げました。
こういった戦略・手法は日本のコスメブランドにもぜひ知っていただきたいですね。

私がエレン:
ありがとうございます。Beautyチームから、日本のコスメブランドに向けたメッセージはありますか。

高田:
日本はずっと店頭でのタッチアップに頼っていた部分が大きいと思いますが、新型コロナウイルスの流行を機に、店頭接客のあり方や販促、プロモーション、SNS活用など、顧客とのあらゆるタッチポイントがますます変わっていくと思います。

コロナが収束した後も、柔軟な姿勢で変化に対応していく必要がありそうです。中国の事例や施策から学べることが、たくさんあると思いました。

岡崎:
コロナ禍でのEC商品購入増やライブ配信視聴者数増など、オンラインでの商品接触は増加傾向にあります。オンラインでの購入を後押しできるようなSNS活用やECサイトの強化など、店頭に行かずとも商品のことを理解できるようなアプローチは、まだまだ必要です。

特にコロナが落ち着き始めたアメリカでは、リップの需要が前年比1,000%増となっているそうです。下火になっていた商品が再び注目される流れは、日本でも起こり得ると考えています。
未来を先読みしながら、コスメ企業様をご支援していきたいです。

富井:
店頭で商品を見る前にデジタル上でクチコミをチェックし、ある程度目星をつけてから買う、というユーザーの行動がメジャーになりつつあります。

コスメ業界でのSNS活用は必須になっていくと思うので、海外の事例にもっと目を向け、クライアントの支援に活用していきたいです。

―トレンドExpressの佐野さんと、ホットリンクのBeautyチームの座談会をお届けしました。
日中のコスメ市場やSNS活用の比較など、大変有意義な情報交換の機会となりました。佐野さん、お忙しいところありがとうございました!

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