SNSコラム

2024年SNS総振り返り|SNSコンサルタントが語る、今年の動向と2025年の活用ポイント

2024年12月26日
SNSコラム

最終更新日:2024年12月26日

今年も、各SNSでさまざまな変化がありました。プラットフォームごとに機能のアップデートが続き、X(Twitter)で対話型生成AI「Grok(グロック)」が公開されるなど、SNSにもAI化の波が押し寄せていることを印象付けました。

新しい年を迎えるにあたり、ホットリンクのSNSコンサルティング事業を牽引するSNSコンサルタントの3名に、インタビューを実施。今年の動向を振り返るとともに、2025年のSNS活用について意見を交わしました。

(インタビュー・執筆・編集:倉内夏海

この記事に登場するメンバー

株式会社ホットリンク ソーシャルメディアコンサルティング本部
本部長 山本明生
副本部長 北原一輝
アカウントコンサルティング1部 萩原愛梨

2023年以上に、「個人の好み」に最適化されたXのタイムライン

――まずは、ホットリンクでご支援させていただく機会の多いXについて振り返りましょう。インタビュー前に実施したアンケートで、山本さんは「Xのタイムラインがより一層、個人の好みに最適化されていった」と書いていました。これは2023年から続く傾向ですよね。

山本:そうですね。今年は2023年以上に、Xのタイムラインが「個人の好きなトピック」に寄っていきました。そのため、いくらフォロワーが多くても、「ユーザーが興味をもつ投稿」でない限りアルゴリズムによってレコメンドされることはなく、タイムラインに表示もされません。

北原:私も、ユーザーの好みに合うコンテンツをおすすめする仕組み(アルゴリズム)が、引き続き強いなと感じました。ユーザーもレコメンドに慣れてきましたよね。タイムラインの「おすすめ」の仕組みを理解し、「自分の好きなものだけを表示させるタイムラインを作ろう」と発想する層も現れています。

 その結果、一回の表示(インプレッション)の質が高まったように感じます。ユーザーに表示されているということは、アルゴリズムが「ユーザーにぴったりなコンテンツ」と判断した証と言えます。インプレッション数にも意味があるし、正当性が感じられます。

山本:確かに。これまで多くの企業アカウントが、広告費をかけて効率的にフォロワーを集め、自社の発信をユーザーのタイムラインに表示させてきました。「フォロワーの多さ」が企業の武器でしたが、現在は、フォロワー数が武器として機能しづらくなっています。その傾向が、今年はより強くなりました。

 その感覚に比例するように、今年に入ってから企業アカウントは全体的にインプレッションが下がっています。今まで以上に、オーガニック投稿を続けるだけではインプレッションを集めるのが難しいなと、さまざまなアカウントを見ていて感じました。

――企業がXを使って成果につなげる方法が、変わってきていますね。

山本:そうですね。フォローの有無に関わらず、投稿がおすすめされることが当たり前になった現在は、以前ほどフォロワー数に意味がありません。フォロワーを集めるために使っていた予算を、「ユーザーが興味のあるコミュニティに飛び込んでいくための費用」として使っていくことが大事です。

 例えば、広告の活用ですね。ユーザーが興味のあるコミュニティをターゲティングし、広告を配信することで、確実にターゲット群のアテンションが獲得できます。他にも、ユーザーの関心に沿うインフルエンサーやクリエイターを起用して、投稿する内容を磨き込むのも一手です。これらが、今後のX活用の前提になっていくと思います。

2024年のInstagramは「会話」を重視

――続いて、Instagramについても印象的なトピックスを教えてください。

北原:2024年のInstagramは「会話」がキーワードだったと思います。アップデートされた機能の多くが、会話の発生に寄与するものでした。

 例えばノート機能など、DMに関するアップデートが大量にありました。ノートは、DMの受信箱やプロフィールを開くとストーリーズのようにアイコンが表示され、そこに吹き出しのように「一言」が掲載できる機能です。

北原:吹き出しをタップすると、すぐにノートの投稿者へメッセージが送れるので、会話を始めやすい設計になっています。

 ストーリーズにもコメント機能が加わり、ストーリーズの画面内で会話ができるようになりました。

※参考記事:【インスタ新機能】ストーリーズにコメントできるようになった!使い方&ポイントを解説!

北原:また、Instagramと同じMeta社が運営する「Threads」にも、さまざまなアップデートがありました。

 例えば、画像や動画を最大20枚まで投稿できるようになったり、検索画面に「トレンドランキング機能」が追加されたりしました。後者は、AIによって選ばれた複数のトピックが表示される機能で、気になるトレンドをタップすることで、関連する投稿が一覧できます。

――2023年7月のローンチ以降も、アップデートが続いていたんですね。

北原:はい。それに伴い、ユーザー数も増えています。Meta社のCEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は、2024年10月に「月間アクティブユーザー数は2億7,500万人を超え、1日あたりの新規登録者数は100万人を超えています」(※)とThreadsに投稿しました。

※出典:マーク・ザッカーバーグ氏の投稿|Threads

――Meta社はなぜ会話を重視しているのでしょう?

北原:私個人の考えになりますが、会話が続けば続くほど、InstagramやThreadsの利用時間やアプリを立ち上げる頻度が増えるからではないでしょうか。

 先日、ホットリンクのインターン生から「LINEは交換せずに、インスタのDMでやり取りすることもよくあります。投稿からお互いのことが分かるから話しやすい」と聞きました。Instagramはメッセージアプリではないけれど、そんな使われ方もしているんです。だったら、プラットフォーム側が「もっと利用時間を増やしてもらおう」と考えるのは自然だと思います。

――「投稿している内容からお互いのことがよく分かる」は、言われてみればそうですね。

北原:趣味に関するフィード投稿や旅先からのストーリーズ更新があったら、会話のきっかけも見つけやすいですよね。共通のフォロワーも分かるので、「〇〇さんと仲いいんだ」という会話も生まれそうです。そう考えると、「LINEよりInstagramアカウントの交換」となるのも理解できますよね。

 Threadsのユーザー数が伸びているのも、会話に特化しているからだと思います。DMは基本的に1対1のやり取りですが、Threadsは「自分と同じコミュニティの人たちと会話する」という感覚が強いです。

 企業がThreadsを運用する場合、オウンドメディアとしての活用に適していることには変わりないですが、検索機能が充実したことで、UGC(ユーザーによるクチコミ)を活用したアーンドメディアとしての可能性もどんどん広がっていくと思います。ゆくゆくは、広告機能も実装されるでしょう。

関連記事:Threads活用の現在地 競合が少ない今こそ、押さえておきたい運用のコツ

TikTokはライブ機能を強化。BeRealやPinterestはユーザー数が増加

――XやInstagram以外のSNSについても、気になったトピックはありましたか? 例えば、BeRealの広告は話題になりましたね。

萩原:X・Instagram以外と言われて、私もこの件が一番に思い浮かびました。今まで「広告のないSNS」と言われていましたが、収益化を考えたら、やはり必要な機能ですよね。私はあまり見かけないので、実感が薄いですが…。

山本:私からは、TikTokの話をさせてください。2024年のTikTokは、ライブ配信に注力していた印象が強いです。ライブ機能自体は元々ありましたが、それをかなり強化していました。

 世の中にはいろんなコンテンツフォーマットが存在しますが、私が思う最強のコンテンツはライブです。ライブのような「生のコンテンツ」は、その場でしか見れない、そこでしか出せないコンテンツです。

 例えば、ドラマやバラエティー番組はアーカイブ放送・配信がありますよね。でも、クリエイターたちが行うライブ配信は、多くの場合、その瞬間にアクセスしていないと視聴できません。アーカイブが残っていたとしても、やはりリアルタイムの視聴とは臨場感が違います。ライブを強化して、ユーザーがアプリを立ち上げる頻度を上げ、アプリに滞在する時間を増やそうという動きが、直近のアップデートからうかがえました。

北原:私は全体的な観点で、二つ感じたことがあります。

 一つ目は、BeRealもThreadsも、あとはPinterestもユーザー数が伸びたということ。これは、特定のSNSから離れてそれらのプラットフォームに移ったわけではなく、ユーザーがいろんなSNSを用途に合わせて使い分けている証拠だと思っています。

 例えば、友達と会話をするならInstagram、友達と「今」を共有するならBeReal、趣味や自分の好きなものに視覚的に触れるならPinterest、世の中の動きを知るならX…みたいなイメージです。ユーザーが自分の使いやすい、居心地のいいSNSを選択する風潮は元々ありましたが、2024年はより加速したように思います。

 二つ目は、クリエイターエコノミーの激化です。ライブを行うユーザーへ投げ銭ができるようにするなど、クリエイターへの魅力付けを各プラットフォームで行っています。人気のクリエイターをプラットフォーム間で奪い合うのも、昨年から続く潮流ですね。

SNSを活用する企業にも求められる変化

――ここまで挙げていただいた変化について、企業のSNS担当者様とお話しする機会も多かったのではと思います。「今年はこんなご相談が多かった」と感じることや、印象的なエピソードはありますか?

萩原:私は、Xの「いいね」が非表示になったことが印象に残っています。これによって、コンプレックス商材を扱うお客様に、「いいね」を促す投稿のご提案ができました。

 コンプレックス商材には、「興味はあるけれど、その情報に反応していることを知られたくない」というユーザーが一定数います。そのため、今までは「いいねやリポストをお願いします」「リプライで教えてください」と呼びかけても、インプレッション数の割にエンゲージメントが伸び悩む傾向がありました。

 しかし、いいねが非表示になった後で再チャレンジしたところ、数字に改善が見られました。やはり「いいねをしていることを知られたくない」という心理が働いていたのではないかと感じました。

――「今まであった機能がなくなった」と聞くとネガティブですが、提案の幅が広がった例もあるのですね。機能と言えば、Xに導入された「Grok」に関する問い合わせもありましたか?

山本:「どのように活用できるか」というご相談よりも、「自社の情報が学習に使用されることはありませんか」といった懸念が多く寄せられ、オプトアウト機能について説明することが多かったですね。

 Grok以外だと、先ほども触れた「インプレッション数が上がらない」というご相談が非常に多かったです。

 それに対しては、アルゴリズム変動の影響を受け、​企業アカウントの投稿は生活者のタイムライン上に表示されづらくなっていること。そのため、「オウンドメディア運用だけ」では、SNS活用の目的である「質の高いリーチの獲得」が難しくなっていることをお伝えし、広告の活用をご提案することが多かったです。見てもらえる機会を効率的に増やすことが、その先のエンゲージメント向上や売り上げアップにつながっていくので。

――北原さんは、いかがでしたか?

北原:先ほど、タイムラインを作るユーザーが現れていると話しましたが、お客様の感覚もアップデートされていると思います。「投稿をバズらせたい」というご相談をいただくことが減り、ひとつひとつの投稿ではなく、「そもそもSNSをどう使うか」というお話をさせていただくことが多くなりました。

 それはやはり、オウンドメディア運用だけを続けていても、投稿が明らかに伸びなくなったからだと思います。最近は、インフルエンサーの活用や広告配信を検討される企業様も増え、SNS活用の選択肢を広げている企業様も多いです。

――新たな選択肢として、ThreadsやBeRealなど、新興SNSを検討されるお客様も増えていますか?

萩原:はい。私は、「そろそろThreadsを始めた方がいいですか?」というご相談も多くいただきました。今年の前半では未実装の機能も多かったため、「現状はInstagramに注力しましょう」とお伝えすることも多かったですが、現在は「Threadsも活用していきましょう」とお伝えしています。

 北原さんがおっしゃったように、Threadsには「コミュニティ」という強みがあります。Instagramは拡散性が低く、個人での完結性が高いSNSですが、Threadsはリポスト機能があって拡散性が高く、コミュニティ作りに向いています。

 今年8月から、ThreadsはMeta社の他メディアとの連携が強化されたので、Instagramなどと併用することをおすすめすしています。

2025年のキーワードは「複数のSNSで、複数の手法を」

――それでは最後に、これまで伺った2024年のトピックも踏まえて、2025年のSNS活用に関する展望を教えてください。

北原:私たちから、3点お伝えさせてください。

 まず、SNSは複数の媒体を組み合わせて活用した方が効果的です。複数運用することでアテンションが分散し、より多くのユーザーと接点が得られます。

 しかし、アルゴリズムの影響を加味すると、オウンドメディアとして運用するだけでは限界があります。一つひとつの投稿を伸ばすことだけにこだわらず、きちんと広告も活用していきましょう。そうすることで、アルゴリズムによるレコメンドを突破できます。

 また、打ち出したい内容によっては、インフルエンサーマーケティングも視野に入れるなど、幅広い観点からSNSと向き合っていくことも大切です。達成したい目的に対して「そもそもSNSをどう使うか」を考え、単一の媒体や手法に依存せずに、柔軟な発想でSNSを活用していきましょう。

――北原さん・山本さん・萩原さん、ありがとうございました!

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