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この記事の内容
最終更新日:2022年9月20日
前編では、鈴木さんにこれまでニューバランス社が実施したSNSを活用した施策の事例やスポーツシューズ業界のトレンドの移り変わりなどについて伺いました。
ニューバランス・鈴木健さんに聞くSNSマーケティング。Instagram施策を通じて見えたインフルエンサーとフォロワーの関係とは【前編】
後編では、SNSマーケティングにおいて企業が勘違いしがちなポイントの話やお互いの社におけるブランディングのあるべき姿などについて、たっぷり語って頂きました。
飯髙悠太(以下、飯髙): 鈴木さんって普段どんな感じでSNSと関わってらっしゃるんですか?
鈴木健(以下、鈴木): 僕はSNS好きなので、なるべく複数のチャネルを使うようにしてます。Twitterは2009年ぐらいから使ってますね。その頃ってまだTwitterが出始めたころなので、気軽にリプとかRTとかもしてましたし、色々と無邪気だったなあと今は思います(笑)。
飯髙: いわゆる闇があんまりなかった時代ですよね(笑)。何言っても割と許される時代だった(笑)。
鈴木: そうそう(笑)。楽しく使ってましたね。Twitterが出てくる前はmixiとかGREEが盛んな時代だったので、それこそオフ会がすごく多かったですよね。僕もちょくちょく出席していました。Facebookは遅咲きの印象がありますが、友達と繋がるために使っている感じです。
飯髙: この前、鈴木さんがアドタイでULSSASについて触れてくださってたじゃないですか。
すごくありがたいなと思ったんですが、2008年に日本にTwitterとFacebookが上陸して、InstagramやTikTokも浸透して、SNSがユーザーの生活に組み込まれたことで購買行動も変わったんだっていう話を僕はずっとしてるんですけど。なかなか理解してもらうのがまだ難しい部分がありまして。
鈴木: そうなんですか? どんなふうに?
飯髙: SNSが出てくる前の、メールやSMSを使ってた時代って「スニーカー欲しいけど何買ったらいいか分かんないな」って悩んだときに、おしゃれな人に相談したって経験がある人は多いと思うんですよ。
この話は書籍にも書いたんですけど、その後SNSが出てきて、自分が好きなおしゃれな人をフォローして、その人がオススメしているモノを買うという行動が生まれてきたわけじゃないですか。例えば商品をInstagramで検索して気に入ったら買うとか、Twitterで見かけた商品を検索して良さげと思ったら買っちゃうとか。
飯髙: LINEやメッセンジャーなどのダークソーシャル上でもこういう購買行動って生まれているんですよ。ニューバランスの新商品が気になると思ったら、ニューバランス大好きな友達に「この商品って実際どんな感じ?」とメッセンジャーアプリで聞く。で、その回答がいい感じだったら、自分の足のサイズはもう分かってるし、実物を手に取らないでECで買う。こういう行動が起こってるんですよ。
この感覚って20代の前半ぐらいにはSNSがあった僕らの世代とか、それより下の世代には当たり前の行動として浸透してますし理解してもらえるんですけど、僕らより上の、SNSを普段あまり使っていない世代の方々の目には「本当にそんな風にモノが買われてるの?」って不思議に映るみたいで。
そこらへんって、鈴木さんにはどう映りますか? ニューバランスさんのお客さんの中の、そういうユーザー行動って見えているのかなと。
鈴木: 飯髙君が言うような購買行動はあるんじゃないのかなあとは思いますよ。 ただ、SNSで目立てばモノって買われるわけじゃないですよね。SNS上だけで盛り上がっている面白いネタとかもありますけど、そこでの盛り上がりを嘘くさいと思って便乗しない人もいますし。
鈴木: 僕は、ユーザー行動の背景やユーザーのリアルな状況がSNSに反映されているだけだなと思うんです。商品をSNS上で確認するのも、それはリアリティをチェックしているのであって。とくに新発売の時期はかなりそういう行動は見られます。
ただ、デジタルによる購買が浸透したことで、それだけ情報の賞味期限や伝達期間が短くなった側面はありますね。 昔はなるべく早く店頭に入れないと鮮度が弱くなってしまうとか、販売期間が長くてもそれほど焦ることもそれほど強くなかったんですが、マーケティングの経路がデジタルに切り替わってから「ある程度の時間を取っちゃうとシュ~ッと売上が落ちてしまうな」ということは起こるようになりました。
飯髙: 今は情報量が多すぎますからね。
鈴木: 情報の鮮度が高いときに発売されていればきちんと市場も動くんですけど、長く広告やプロモーションを出稿していれば買われるわけではない、というのはありますね。リアルでの販売とはそこが違います。
飯髙: 情報の伝搬に関しては、デジタルだと伝わるのも早いけれども消えるのも早い。リアルの方が長生きはしますよね。
あとは、シンプルにひとつチャネルが増えたっていう捉え方もできますよね。まずリアルがあって、検索があって、そこにSNSが参入して。
そもそも、僕たちの行動ってリアルが一番最初にあるじゃないですか。で、リアルでやっていた井戸端会議の場所がデジタルに移っただけって話だと思うんです。
鈴木: そうですね。当たり前なんですが、初動の段階でデジタルが強いブランドっていうのは、リアルでの出現率も高いんですよ。
飯髙: 手に取ってる回数もそれだけ多いでしょうからね。それは想像ができます。
飯髙: SNSでの発信方法に関しては、企業としてはどういったふうに気を付けてますか?
鈴木: なんか段々息苦しくなってきましたよね(笑)。どうあるべきなのかなっていうのは悩むところですね。
飯髙: 日本の企業アカウントって、「こういう『運用』をすればいいじゃん」という思考にずーっと囚われてしまってるんですね。本来、企業がやるべきことってアカウントの運用ではないじゃないですか。目的は、ブランドのロイヤリティを上げるとか新規客にアテンションをかけていくっていうことなんですけど、どうしても「運用」に走ってしまう企業さんが多いんですよ。「中の人のキャラはどうする?」とか。
でも「運用に走るとSNSを使ったマーケティングが難しくなる」という課題感は今世の中的にもかなり出てきて、僕らの仕事のニーズもあるんです。 そこでお話を聞きに行くと「こういうふうに運用しているんですけど、どう思いますか?」とか、まず運用の話が出てきてしまう。
企業アカウントをどう運用していくべきかより、企業に対するクチコミ数とかをKPIに置くべきなのに、フォロワー数やエンゲージメントをKPIに設定してしまうんですよね。で、突然「じゃあ中の人のキャラ作りましょう!」って話になってしまうとか。
鈴木: う~ん……(笑)。
飯髙: だから「そこじゃないですよね? 売上あげるためにやりたいんですよね?」っていうところから話を初めて、一旦運用の話を脇に置いて頂くんですけど。
鈴木: そこじゃないって感じですよね~。
飯髙: はい(笑)。っていうようなことをこの1年ほど言い続けていたら、運用の文脈ではなく、売上を上げたいという文脈からコンサル依頼を頂くようになりまして「やっと空気が少し変わってきたな」という実感が出てきました。
運用に対する疲弊感、いわば「運用疲れ」を覚えている人が、今やっと増えてきた段階なのかなと思っていて。
飯髙: ニューバランスさんがそんなにSNSを頑張らなくても成果が出ているのは、恐らく勝手に手に取った人がクチコミを生んでくれる、という構図が自然に出来ているからだと思うんです。だから「引き続き良い商品を作ろう」という方向を向けるというか。
本来企業がやるべきことって、そこじゃないですか。良い商品を作り、勝手に人が手に取ってくれて「この靴すごく良かった!」ってクチコミを出してくれるのが理想的ですよね。
その状態に到達できた企業がSNSで頑張って商品やブランドをアプローチする理由って、あまりなかったりする。でも、その状態にまで到達している企業ばかりじゃないので、僕らのようなコンサルの仕事があるわけで。
鈴木: うん。ニューバランスがSNSをメディア的なアプローチで使っているのは、そういう流れを促すための文脈に則ってやっている、という面もあります。
ただ、自分たちの得意なことの方がどうしてもやりがちなので、得意ではない領域で新しい文脈を作るにはどうしたらいいのかな? という部分を考える必要もあると思っています。その一例がさっきInstagram施策の部分で話した(前編)、ダウンジャケットの訴求ですね。
商品のいちカテゴリが、SNSの中でどのように使われているのかを知ったうえでアクションする必要性は感じてはいますよ。個人的には、僕はそっちの方がやっていて面白い。
飯髙: うんうん。基本的に、良いモノを作ってきちんとユーザーに届ければ、UGCってちゃんと生まれるんですよね。なので、SNSをマーケティングで活用するには評判の増幅装置として使うのが今は一番いい感じかなーと思います。
飯髙: 率直にお伺いしますが、鈴木さんはホットリンクにどんな印象をお持ちですか?
鈴木: ウルサス本こと『僕らはSNSでモノを買う』を、僕も読んだんですけどほんといい本だなと。ULSSASのくだりも含めて、飯髙君の書いている話は「すごくしっくりくるな」と思いました。だからアドタイの記事でも取り上げさせて頂いたんですけど。 AdverTimes(アドタイ) by 宣伝会議「ブランドに必要なのは「愛」か、それとも「友情」か?」
SNSマーケティングって、別にSNSだけで成立しているわけじゃない。ブランドや商品があって、それをいかに流通させていくかという手段として使われているんだという部分が見えないと、確かに意味のない指標を追いかけるだけになってしまいますよね。
飯髙: ありがとうございます。
鈴木: なんというか「すごいスーパースターを作らなきゃいけない!」っていう話ではないですよね、SNSマーケティングって。それは『ブランディングの科学』のバイロン・シャープも全く同じようなことを言ってますし、世の中的に俯瞰して見てもそういう話ではないよな、と思います。
今、僕はジョーナ・バーガーが書いた『なぜ「あれ」は流行るのか?』って本を改めて読んでるんですけど、面白いなと思ったのが、彼は結局「重要なのは感情、エモーションだ」と主張していて。
それは誰でも言いそうなことではあるんですが、シェアするものとシェアしないものは「感情のタイプが違う」という話を彼はしているんですね。
飯髙: 感情のタイプが違うと。
鈴木: 昔、長尺のアスリート動画を作ったことがあるんですが、評判は悪くなかったんです。でも、あまりシェアはされなかったんですよ。
なんでだったのかなと考えてたんですが、バーガーの本を読んでてわかったのが、「いいな~」と思っても、そこで終わってしまう種類の感情ってあるんですね。 シェアを引き出す種類の感情じゃなかったら、いかに「エモーショナル」でもダメなんだと。
特に「じんわりくる」系のものはシェアにまで繋がらないみたいです。うちで作ったそのアスリート動画もそういうじんわりくる系のストーリーだったんですが、何かを「伝える」という観点では良かったかもしれないんですけど、シェアしたくなるという観点で見ると、それに足りるコンテンツではなかった。 なので、どういう方向性でコンテンツをシェアさせたいのか? という部分はきちんと設計する必要があると、読んでて思いましたね。
飯髙:そのコンテンツのシェアっていうところをバズの観点で見ると、最近のバズの潮流からはコンテンツの質と同時に流通経路も必要だとわかるんですよね。
飯髙: 世間で言うところのバズって「こういう感情訴求をするとクチコミを出してくれるよ」という、UGCの発露の部分にアプローチしてるんですが、どんなフォロー・フォロワーネットワークを整備していれば情報が伝搬されやすいかな? っていう部分も、実は見ていく必要があるんです。
いわばネットワークサイエンス的なアプローチになってくるんですけど、そこってホットリンクが得意にしている領域なんですね。
バズって感染症の伝搬経路やうわさの広がり方と近いものがあるとされていて、社会学的な領域では結構発達している分、マーケティングにも応用できるんですが、ネットワークサイエンスの領域をマーケティングに応用できるだけの研究やノウハウって、まだ少ないんですよね。そこらへんの話は、先日うちのR&D部のAI研究者の榊にインタビューしたんですけど。
鈴木: あ~、あの全然何を言ってるのかわかんなかったやつね(笑)。
【前編】SNSマーケティングを支える世界的AI研究者、日本人8人のうちのひとり。榊剛史博士緊急インタビュー
飯髙: (笑)。今後は、ネットワークサイエンス的な視点や知見がどんどんマーケティングにも入ってくると思うんですよね。
例えば、良いコンテンツがスーパーカーだとすると、そのスーパーカーが走り回れるような道路も作っていかなきゃいけないよねって話で。ホットリンクとしては、そういうことも伝えていきたいと思っています。
鈴木: なるほどね。流通経路ってことですよね。
飯髙: そう。流通経路の話として、バズを例に出しますね。
僕らも色々なバズを研究しているんですが、インフルエンサーが悪いとは言いませんけど、インフルエンサーって「数の定義」で成立しているんです。これって、考え方がマスメディアと一緒なんですよ。「これだけ視聴数が多いからこのインフルエンサーに頼もう」っていう考え方がその背景にはある。
それが悪ではありませんし、確かにフォロワーをたくさん抱えたインフルエンサーがツイートすると拡散もいいね!も大量にされます。でも、コンテンツが長生きするわけではない。例えば3日でバズったら、収束するのも3日です。拡散の入射角と反射角が一緒なんですよね。
一方、小さなコミュニティ内で連鎖していったバズを見ると、バズった元のアカウントってフォロワーが多いわけではないんです。 これは悪い例のバズですが、ふざけて撮った写真が炎上したとして、その大元のアカウントを見ると50人ぐらいしかいなかったりする。数で定義されているインフルエンサーの概念がバズに適用されるとしたら、この人が炎上することってありえないじゃないですか。
鈴木: 確かにそうですね。
飯髙: じゃあなぜバズが起こるのかというと、小さなコミュニティ内で拡散の連鎖がどんどん起こって生まれるからなんですよ。
ふざけて撮った写真を見たツイート主のクラスメイトが「面白いじゃんこれ」と反応して、同じクラス内で拡散される。それが隣のクラスにも伝わって広がる。さらにその隣のクラスにも広がる。これが連鎖して、最終的に大人に突っ込まれて潰れる、っていうイメージです。 これはもちろん、良い方のバズの広がり方に関しても同じ仕組みです。
これを企業アプローチに置き換えて考えると、言えることってシンプルなんです。 自社のクチコミを広めるための流通経路をどう作るか? という論点になるんですね。
飯髙: この話は書籍にも書きましたけど、Twitterって50人以下のフォロワーを抱えている人が65%、51人~300人までが25%なので、Twitterユーザーの90%はフォロワーが多くないんです。
そのデータを踏まえて、僕らは企業さんに「300人以下のフォロワーで発言数が多い人をフォロワーに抱え込むべき」とお伝えしているんですが、ここにブランド愛があるとさらに良い。
ニューバランスさんの立場で考えると、ニューバランスが大好きで靴を買ったら絶対にツイートしてくれるという人ですね。そういうフォロワーを抱え込んで、ニューバランスの靴に関する発言量を増やしてもらうと、ブランドロイヤリティも上がります。
Twitterユーザーの90%が300人以下の関係性でやっていることも加味すると、タイムラインで「ニューバランスいいよね」って言っている人が5人いたら、そのタイムラインではニューバランスは「流行っている」という現象も引き起こせるんです。
鈴木: うーん、なるほど。
飯髙: こういうノウハウも全てお伝えしたうえで僕らが言っているのは「ちゃんと企業として正しいアプローチをしましょう。スーパーカーも道路も両方作りましょう」という話なんですね。
要するに、ホットリンクがやっていることってその道路を「整備」することなんですよ。僕らはスーパーカーは作れないので、そこは企業さんに頑張って頂くとして、そのスーパーカーが走り回れるような良い道を引いてあげるのが、僕らの役目ですね。
鈴木: うんうん。今のお話は理にかなってますね。
飯髙: ブランディングをやっていく上で、こだわりを持っている部分はどこですか?
鈴木: 成功のパターンがある程度積まれてしまうと、その繰り返ししか起こらないようになってくる傾向があるので、既存のパターンを超えた新しい試みはしなくちゃいけないよねという考えは持っています。
ニューバランスってロイヤリティが高いファンも多い分、その方々と喋っている方がラクではあるんですよ。でも、ロイヤリティの高いファンの方々とだけ喋っていると、新規が全然獲得できない。
なので、新規客にどういうふうに関心を持ってもらえたらよいのかな? というところは考え続けていくべきだと思っています。「このケースには、こういうパターンで返せばいいんじゃない?」ということばかりやっていると、段々と保守的になってきてしまうんですよね。
そうなると、上手くいった方法しか試したくなくなってしまう。「難しいよ」とか「それは自分たちの得意な領域じゃないから無理だよ」とか、そういう姿勢を経営層とか社歴の長い社員が見せ続けてしまうと、若手や部下から見てビビっているように見えることもあると思います。
鈴木: 「経営層が新しいことやらないって感じだから忖度しておこう」と遠慮してしまうのではなく、新しいチャレンジを受け止め、その成果を見る余裕は会社的にもあるので、仮に失敗しても別にそれほど大きなことにはならないから「もう少しこういうことをやりましょうよ」と部下に言ってもらえる方がいいなって思います。
飯髙: うちはニューバランスさんとは少し違いますね。 根本的に、僕たちって「今やってることを疑わないとやばいぞ」っていう部分が常にある業界だと思っていて。
BtoBのセオリーにあることをずっとやり続けても、結局追いつけるところって先人たちの背中だけなんですよ。それって結果的には何も変わらないので「だったら変わったことにチャレンジして1番を取る方法ってあるんじゃないのかな」というところは、すごく模索しています。 競合と比較して、うちのクチコミが多く出るところで1番を取っていったら、結果的に超プラスになると思ってるんですよね。
考え方や思考のベースは鈴木さんと一緒だなと思ったんですが、「失敗しても大丈夫だよね」というよりは、「失敗しちゃまずいけど、新しいことにチャレンジしないと結果変わらないよね」というのが僕の考え方ですね。
鈴木: 確かに表層的な部分は違いますけど、根本の思考自体は一緒ですね。
飯髙: 僕たちがやってることの一例として、ホットリンクのメールマガジンって全くリンク貼ってないものが定期的にあるんですよ。普通、企業が出すメルマガってリンク貼りまくってリードを取ろうとするんですけど、連続小説を配信したこともあって。
鈴木: へえ~。
飯髙: あとは社員のパーソナリティに寄ったような、出産の話を配信したこともあります。普通、そんなのどうでもいいじゃないですか。でも、毎回開封率が40%とかいくんですよ。これって結構レアなことじゃないですか。「ホットリンク社のメルマガ面白いよね」っていうクチコミもTwitterで生まれてますし。
株式会社ホットリンク「メールマガジン講読フォーム」
こういう取り組みが問い合わせや採用など、プラスの結果に繋がることも起こってまして。「この会社にコンサル依頼すれば面白いことをやってくれるんじゃないか?」と思って問い合わせてくださる企業さんもいらっしゃるんですよ。
鈴木: それは確かに新しい取り組みですね。
飯髙: 気をつけていることとしては、面白いことはやるけど、本当にふざけてないんですよ(笑)。「ふざけきらずに、正しい、新しいことをやろう」というのがホットリンクのスタンスですね。
飯髙: 今って、メディアや流通に色んな変化が起きてると思うんです。 この記事の読者層は、アパレルやスポーツ用品、靴業界などの同業者やマーケティングに携わっている方々でしょうが、2020年以降「こういった部分の変化に注目しておくといい」とか「こういう視点を持っておこう」というポイントがあれば、読者にメッセージを頂きたいです。
鈴木: 博報堂のメディア定点調査を見てると、メディアの種類が増えた分だけ接触時間も増えてるんですよね。
博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所「メディア定点調査」
全然トレードオフが起こっていないので、世の中が複雑になればなるほど、トレードオフ的な行動は起きなくなっていく。そういう背景を考えると、自分が面白いと思うことには、どんどん興味を持ってやっていけばいいんじゃないかと思いますね。
例えば、こんなにデジタル化が進んだ今の時代でも「自分は新聞やラジオが好きだ」という人はいるわけですし、それ自体も成立するわけじゃないですか。新聞もラジオも全然消えてないですし。
だからこそ「今あえてラジオを聞いている人ってどんな人なの?」っていうところを見る視点は大事だと思いますね。聴取率や他のマスメディアと比べるとこういう属性の人が多く見ている、とかそういうことじゃなく「なぜ今ラジオを聞いてるの?」など、数字に表れていない部分の背景を考える視点です。すると「ユーザーの生活とオールドメディアはどういう組み合わせになっているか」が探れます。
そういう観点から物事に興味を持つと、実は世の中に潜んでいる面白い組み合わせが発見出来たり、「必ずしもみんなが新しいと思っているものだけが新しいわけじゃないよね」ということが分かったりする。
鈴木: 僕が個人的に興味を持っているのが、外国人の視点から見た日本なんですよ。 この前テレビで見て面白かったのが、今山梨県にインド料理屋が増えているというニュースで。なんでかというと、インド人って宝石商が多いんですけど、山梨県って宝石の産地なんです。それでインド人が多く商談に訪れるからという理由で、その人たちを相手にインド料理屋が増えている。なんか面白いでしょ(笑)?
これって「同じ日本を見てるのに、全く違う見方で人が集まっている」っていうことなんですよね。つまり、素材は全く変わっていないのに、違う見方をしたら見える景色や見出せる便益が変わってくるということです。
なので、一見もう廃れたと思われるようなものでも、視点を変えると面白いものってたくさん発見できるということは言いたいですね。 それってメディアもマーケティングも同じじゃないかなと、僕は思います。
――鈴木健さん、本日はお忙しいところありがとうございました。
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