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【前編】SNSマーケティングを支える世界的AI研究者、日本人8人のうちのひとり。榊剛士博士緊急インタビュー

2020年02月13日
ホットリンク
先日ビジネスインサイダーから配信されたニュース記事に、社内が歓喜に湧きました。

中国・清華大学による「AMiner」という学術論文検索サービスが、世界的なAI研究者を自動ランキングアルゴリズムにより2000人リストアップ。うち日本人は8人掲載されており、弊社のR&D部部長・榊剛士博士が日本人研究者のひとりに選出されました。

「中国・清華大学の「世界的AI研究者2000人」リストに載った8人の日本人」Business Insider Japan

榊博士、おめでとうございます。

というわけで、マーケティング部部長・ムロヤをインタビュアーに据えて社内で榊博士に緊急インタビュー。

ご自身の研究内容やツイッターをはじめとするソーシャルメディア領域でのAI研究の今後などを、熱く詳しく語っていただきました。

※弊社の凄絶早口ランキング第1位は榊博士、第2位がインタビュアーのムロヤです。また、ムロヤは理系出身でAIに関する知識も多少ある一方、執筆を担当したライター・右利きのエレンは文系出身、AIに関しても「人工知能である」ということぐらいしか知りません。別にハイパー聴力の持ち主でもありません。そんなライターによるインタビュー全文書き起こしの挑戦記録です。

修士卒業後、会社員を経て博士課程に進学

ムロヤ:
まずは簡単に自己紹介をお願いします。

榊:
2006年ぐらいに修士卒業したあとに一回会社員になってから3年勤めた後に博士課程に入り直し、その時に東大の松尾先生のもとで博士号を取得して、でまあ大学でオクソドクター(??)を経た後にホットリンクにいるって感じですね。

ホットリンクでは博士課程のころにバイトしてたので流れてまあホットリンクに所属しました。

専門は自然言語処理で、まあ主にAI領域といわれている分野で、AI/人工知能、自然言語処理、ウェブマイニング、いわゆるウェブデータの解析ですね。最近だと計算社会科学のあたりをカバーしていると。

ムロヤ:
計算社会科学って何ですか?

榊:
いわゆる社会科学、心理学、社会学では大量のデータや定量的なデータにもとづいてやるのが難しかったんです。そもそもデータが溜められない。そこに今データが溜まるようになってきたので、じゃあそこに対して統計学や機械学習を適用することで、計算を用いて社会科学をやっていこうという。

ムロヤ:
昔は社会学ってアンケートとかをベースに調査していって理論構築していたけれどもその元データとしてソーシャルビッグデータを使っていこうという。

榊:
そうです。社会調査に関連したビッグデータを使ったりとかですね、まあ他にもありますけども。計算社会科学は幅広いのでいろんなものを扱うんですけど、僕の中では特にソーシャルビッグデータを扱ってます。

10年前の研究論文がニュースに

ムロヤ:
世界的AI研究者2000人のうちの8人の日本人としてビジネスインサイダーのニュース記事に榊博士が掲載されていたわけですが、あのニュース記事で紹介されていた論文ってどんな論文なんですか?

榊:
あれはかれこれ10年前の論文なんですが、当時ツイッターが日本ではやり始めたぐらいの時ですかね。ツイッターから地震を検出できるのではないかという話が上がりまして。で、もともと学部生の方がツイッターから地震の投稿を集めてきて、地震が起きたのは検知できますよ、という成果がありまして、そこにプラスしてさらに位置情報を持ってくればツイッターで地震の震源地もあてられるよということを予測した論文ですね。

榊博士1

榊:
でもそれはひとつの具体例で、実際にはツイッターのデータ、つまりソーシャルビッグデータを観測すれば現実に起こってることを結構高い精度で観測できますよ、という部分がメインの論文ですね。

ツイッターとAIの技術を使って世の中を観測すると、ソーシャルセンサーっていうふうに、ある種のセンサーとして扱うというそういう論文です。

ムロヤ:
普通の論文の引用数が10とかでしたっけ?

榊:
まあ10とか20とか。その中で4000本ある。

ムロヤ:
すごいですね。4000にいった要因って何ですか?

榊:
ちょうどそのソーシャルビッグデータを使って世の中を観測しようというアイディアはそれまでにも出てたんですけれども、ちゃんとした精度や形で出したっていうのはあの論文がほぼ初めてでして。そういった意味では他の人がツイッターやブログなどから世の中の現象を観測しようといったときにまず引用するのがこの論文にしようというふうに~~~(以下聞き取れず)

ムロヤ:
ツイッターデータ解析系で得られた成果は?

榊:
まずツイッターで世の中を観測しようとするとこの地震の事例があって、できることが分かったので、我々もこういうことをしてみた・皆さんも引用するので。で、そこは結構松尾先生のロジックもあって。松尾先生は「そういう論文をいち早く出せばきっとみんなから引用されるようになるだろう」という読みがあって、狙って先生がそのトピックを選んだという経緯がありますね。

ツテはフェンシュツからダッツィーする

ムロヤ:
今は主にどういう研究をしてるんですか?

榊:
弊社の方向性もありますけど今は主にツイッターのデータ分析をしています。たださっき計算社会科学って言いましたけど、そのー、それ、なんていうんでしょうね。だからそのー、地震の観測ってすごく具体的な、物理的な現象で、まあ正解があるものを観測しているんですけど、もうちょっと社会学寄りなところや心理学寄りなところをやっています。具体的には例えばソーシャルメディアでどういう人に情報が拡散していくのか、とかですね。分かりやすくいえば「炎上」ですね。まあ炎上っていうけどもじゃあ炎上ってどういうふうに情報が拡散していくのか。誰が上になって拡散していくのか。で、拡散する方でいうと、例えばある投稿をしました、と。じゃあどういう人がどこにいいね!を押してるのかと。どういう人が拡散しやすいのか、と。そういう情報を集めれば、いわゆるソーシャルメディアの中での情報拡散をいかにモデリング化していくか、といったことを研究しています。

ムロヤ:
炎上のメカニズム的な話ですよね?

榊:
メカニズムまでは、まだ大して踏み込めてないんですけどね~。

榊博士2

榊:
よく言われてるのはあれですね、ツイッターのデータをコミュニティとして扱う。コミュニティってどこかというと、同じような、例えばRTのネットワークを用いて、そこで固まってる人たちを取ってくると、同じような情報を拡散している人たちが取れるわけですよね。

数式1

榊:
これはクラスタリングを取ってくるための数式なんですけど、ツイッター上で固まってるコミュニティ内の人たちをまとめてくくるやつです。

炎上っていっても、ボリュームとしては確かにいっぱい出てるんですけど、実は炎上って限られたコミュニティの中だけでも回ってくることが結構あって。よく炎上しやすいのはいわゆる議論好きな方々の政治的思想に基づいた話題ですね。でもそこってすごく、ツイッターの中では、まあ一個のコミュニティの中で起こってるんで、まあ、そんなに幅広くはないんですね。ツイッターの中でもまあオタク系がいて、オタクの中でも腐女子系がいたりとか、まあ、ニコ動系とかpixiv系って人たちがいたりとかするし、研究者のコミュニティもあるし、中高生や大学生のコミュニティもあるし、その中で政治的なコミュニティがあって、その中で拡散してる枠組みだったりするわけです。炎上を見やすくするためにはまずコミュニティに対する~~~(??聞き取り不可)と炎上の幅広さが分かる。みたいな感じです。

ムロヤ:
上の式はなんですか?

榊:
これはすごく、あのシンプルで有名な手法で、クラスタリングをするときどうするかというと、まあ要はどうやって人をグルーピングするか?が重要で、そのときにどういう風にクラスタリングをすればいいか?どういう人たちをひとまとまりにするか?というと、ユーザーを分けたときに、この中でもリンクする繋がりの密度と、自分以外の繋がりの密度が、形成されるんですね。

クラスタ内とクラスタ外にすると、クラスタ内部が濃ければ濃いほど、この値が大きくなるじゃないですか。外を濃くすると、外が小さくなり~~~(??分からん)、クラスタ外での密度が薄ければ薄いほど、またこの数字大きくなるじゃないですか。そうするとこの、クラスタ、ぎゅっとまとまってる方が、ここだけでまとまって、他の人とは関係性がないみたいなのが高ければ高いほど、この値が大きくなるじゃないですか。それを全部の人にやるんですね。で、これが、その値で、これが一番高くなるように、みんなをグルーピングする。それでまとめてみると、炎上が広がる角度がかなり分かりやすく見える、という話。

これをルーマン法(??)と言います。通常のAI、今流行りのAIとはちょっと違うところあるんですけどね。ソーシャルビッグデータを使うとなると。

ムロヤ:
なるほどなるほど。モデリング化してたり再現性のある仕組みとして解明されている数式ってありますか?

榊:
一番有名なのは、SIR方法(??)じゃないですかね。

榊博士3

榊:
まあいわゆるその、感染症のモデルと一緒なんですね。サセプティブルから感染してインフェクティッドになって…えっと、Sがサセプティブルで感染しやすい人なのでメインエフェクトで感染するんですね(??)。なので感染された人たちがさらに回復するのでリカバード(??)する。で、そのS、情報も伝搬、ある種の情報を持ってる人から伝わって、それで感染して、またそれがツテはフェンシュツからダッツィーする(????)ので同じく伝わっていくSIRモデルっていうのを数式化してますね。

ムロヤ:
なるほどなるほど。感染症とうわさって結構モデルが近いって言いますもんね。広がり方が。

榊:
これを結構モデルやベースにして作られてるものがいっぱいあるんです。みんながこう上手く、ようはくさん(??)シュミレートするっていうのはよくやられている。でもこれだけじゃ説明つかない部分もいっぱいあるのが、ソーシャルメディア。だから僕は面白いと思ってるんですよ。

ムロヤ:
感染症って要はある一か所から病原菌が出て、そこから1:n:nで情報伝搬していって、一方でUGCってポコポコポコポコ各所から生まれて拡散されるので、それぞれの伝搬の仕方と影響が変わってくるって話ですよね?

榊:
ああ、そうそうそうそう!!!そこにはインフルエンサーモデルと山火事モデルっていう層があって。

榊博士4

榊:
まあ、そうですねー。バラマシは結構今のインフルエンサーマーケティングに近い話で、よく情報拡散っていうのはインフルエンスする人が拡散することで広まるっていうスタンスがあるんですよね。

ムロヤ:
バ、バラ…?バラマシ?

榊:
バラバシですね。その人が一部の特別な脳です(??)、ハブ。いわゆるハブ。いわゆるインフルエンサーが、情報を拡散すると。

→アルバート・ラズロ・バラバシ『新ネットワーク思考―世界のしくみを読み解く』

それ以降は、ダンカン・ワッツという人がいる。その人は山火事モデルを取っていて。

バラバシだと、特別な人がいてネットワークを形成する、だからインフルエンサーが情報を拡散するんだと。
ワッツはそうではなく、まさにうちでいうUGCに近い話で、山火事のようにボボボッと灯ったものが段々広まっていくという。影響されやすい、情報を拡散しやすい人がいるからこそ広まるんだという、まあどちらかというとその、ハブじゃないんだけど横とか他のコミュニティにまたがっている人がいて、こういうところがむしろ情報を拡散していくんだぞみたいな。

ムロヤ:
複数のクラスタをまたがっている人に聞くと(??)多様なクラスタに伝搬しますねという話ですか?

榊:
そこは同じでいいです。コミュニティを繋ぐのは今はインフルエンサーであるという話と、いやそうではなくインフルエンサーではなくても、ハブになっていない人たちでも、大きな進路(??)はハブになっていてそういう人たちが情報を広めていく。で、こういうのがポンポンポンポンいろんな人が出てきて、情報が広まるよ、っていう。要はインフルエンサーがいなくても情報は広がるっていうのがダンカン・ワッツ。

世界的AI研究者に聞くオススメの論文

ムロヤ:
SNSマーケターにオススメの論文は?

榊:
『キーパーソン・マーケティング』ですね。一定の認知がないと拡散しない・クチコミしない、みんなが知りすぎててもやらないしってやつです。投稿数多い人が結構強い影響力持つし、みたいなそういう~~~(聞き取り不可)、すごく似たような話をされてる本で。あれはなんか、分かりやすいですね~。

→山本晶『キーパーソン・マーケティング: なぜ、あの人のクチコミは影響力があるのか』

あとは結構古いけど、安田雪先生の本かと。『ネットワーク分析』という本を20年ぐらい前に出されてます。

→安田雪『ネットワーク分析―何が行為を決定するか (ワードマップ) 』

――後編では榊博士が「やばたにえんのむりちゃづけ」をソーシャルビッグデータ解析の手法を使って解説してくれました。明日2/14に公開予定です。

後編はこちら
【後編】SNSマーケティングを支える世界的AI研究者、日本人8人のうちのひとり。榊剛士博士緊急インタビュー

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