SNSコラム

【後編】UGC100万件以上を生んだ企画の仕掛人が語る、アスリートのブランディングとは?

2020年08月04日
SNSコラム

前編では、株式会社Revive・CEOの前田さんがトップアスリートのマーケティングとキャリアを支援したいと感じたきっかけを紹介。スポーツ領域でのSNSマーケティングやデジタル・トランスフォーメーション(DX)の可能性を解説してくれました。

【前編】「このビジネスには未来しかない」スポーツ界が秘めるSNS活用のポテンシャル

後編では、実際にReviveで行ったアスリート支援の事例に触れつつ、アスリートのブランディングにかける思いを語っていただきました。

UGC100万件以上を生んだTwitter企画「#近本photo」

私がエレン:
前編では主にYouTubeを主戦場にした動画企画のお話をうかがいましたが、ほかのプラットフォームはいかがですか? 

前田:
Twitterを活用した事例もありますよ。それこそ、ホットリンクさんが提唱している「ULSSAS」のサイクルを発生させた事例になります。

阪神タイガース所属の近本光司という選手がいるんですが、彼は甲子園で活躍してドラフトでプロになった選手ではありません。高校、大学、社会人と野球を続けて、社会人時代の活躍を評価されて2019年にプロ選手になりました。プロになる前は、自分がプロの舞台で活躍できるなんて1mmも考えていなかったそうです。

近本選手は社会人の経験もあるので「今がどんな時代か」というイメージや、そこに対するアンテナもあったんですね。時代の空気感も踏まえつつ、野球選手を引退した後の人生の土台も作りたいと考えていました。

そこで僕たちは、1年をかけて彼を主にTwitter上でプロモーションする企画や方法を考えました。そしてSNSで定期的にファンと交流するという、野球選手では誰もやっていない取り組みにチャレンジしたんです。

そこから生まれたのが、「#近本photo」というTwitterのハッシュタグでした。

「#近本photo」Twitter検索結果

近本選手のTwitterアカウントは、月に1回プロフィール写真を変更します。そのとき、ファンの皆さんが「#近本photo」を付けて投稿してくれた写真から、プロフィール写真を選びました

ユニークで面白い写真をあげてくれたファンには、ノリツッコミで返したり、いいね!をしたりして、ファンとの交流を深めていったんです。

この活動をしている最中に飯髙さんと出会って、「ULSASS」の考え方を知りましたね。

参考:「SNS時代のマーケティングフレームワーク、「ULSSAS(ウルサス)」とは #ホットリンク|ムロヤ」note

飯髙:
「#近本photo」に関しては、阪神タイガースってファンがとても多いし、同じ野球ファンってことで読売ジャイアンツのファンも見る可能性が高いと思ったんです。

「球団」や「ファン」っていう横軸が野球にはあるので、近本選手のファン以外の層にもどうやったら波及できるか考えて、前田さんに企画アドバイスをさせていただいてましたね。

前田:
はい。飯髙さんと出会ってなかったら、多分UGCの活用とかULSSASのサイクルを回していくというよりも、インフルエンサーマーケティング的な手法を選んでいたかもしれないです。

ULSSASが回るようになって「『#近本photo』でつぶやいたら、近本選手本人が見てくれる。いいね!してくれる」という雰囲気が醸成できたんですね。そうなると、阪神のファンや野球のファン層そのものに企画が波及していくようになりました。結果として、この1年で「近本光司」のUGCは100万件以上にのぼりましたね。この実績を活かしつつ、今後はスポンサーとの協賛なども模索していこうと企画しています。

あと、最近でいえばTikTokを活用した企画でも成功事例が出るようになりました。Twitterの特性のひとつは拡散機能だと思うんですが、TikTokのそれは新規層へのリーチです。これはバドミントン世界王者の奥原選手の動画なんですが、再生回数が200万回を超えました。

奥原希望さん TikTok投稿動画

こうしてTikTokでバズれば、今までアスリートを知らなかった人にもリーチすることができるんです。
新規層へのリーチという観点ならTikTokの方がTwitterよりも圧倒的に速い。そのことを活かして企画を出していけば、最終的にはマネタイズに繋がる可能性もあると考えています。

アスリートのパーソナリティを理解したブランディング

私がエレン:
前田さんはどんなことに意識して、アスリートのブランディングをしていますか?

前田:
もともとのパーソナリティを深く理解する必要があるかなと思います。例えば格闘家でRIZINの試合にも出場している、平本蓮選手という若い有望な選手がいます。
見た目も好青年な印象なので、団体はクリーンなキャラクターで売ろうとしたんですね。でも実際のところ、彼は全然そんなタイプじゃありません(笑)。スタンドプレーもできるし、いわゆるヒール(悪役)にもなれるんですね。

でもヒール的なイメージとは裏腹に、実は格闘技に関しては超論理的。知識があまりない方でも「格闘技ってこんなに緻密な戦略で成り立っているんだ」と思わせる説得力があります。だから動画企画でも、そうした彼の個性が出るような企画を考えています。

前田:
平本選手のような、ある意味ヒール(悪役)になれる存在は正直とても強いです。しかし、彼らの動画はそれぞれのバックボーンや性格があってできるもの。

人柄あってこそのブランディングなので、アスリートに無理をさせてしまうとメンタルがやられてしまいます。なので弊社所属の選手のマーケティングやブランディング支援を行ううえで、そこは気をつけていますね。

飯髙:
ブランディングって、完成形というものがほぼ存在しないじゃないですか。だからこそ、アスリートの魅力を最大限活かせるコンテンツを作って、反応を見ながら絞っていく必要がる。そういうコンテンツ作りを繰り返したら、2〜3カ月である程度の道筋が見えてくるんじゃないかなと思います。

前田:
あと、選手のパーソナリティを打ち出すという点でいうと、彼らが競技以外で強烈な趣味を持っている場合、たとえ再生回数がいかなくても必ずその動画を出すと決めています。

仮にその選手がコーヒー好きだとして、選手もコーヒーも好きなファンは一定数いるじゃないですか。そこで、アスリートがコーヒーを紹介する動画を小出しにしたら、思わぬブランディングや商機につながるかもしれない。どうアスリートの趣味の部分をプロダクトしていくかも、考えていくと面白いですよね。

私がエレン:
どういった動画であれ、パーソナリティが反映されるとブランディングに良い影響があるんですね。

前田
正直、完全にSNSを全くやらないというブランディングもあると思います。たとえばイチローさんは「この人は今、何を考えているだろう?」と思わせるために、SNSを活用していないそうです。

ただこの手法は、実践できない選手がほとんどです。
サッカーの三浦知良選手のように、一生サッカーに関わっていきたい選手ばかりではありません。でもほぼ全員の選手が、「サッカーの世界以外で生きる」ための準備や方法論を知りません。
だからこそ今の時代、SNSをうまく活かして人柄を知ってもらううことが、一番分かりやすい方法だと思います。

飯髙:
企業は経営理念やビジョンが普通にあるけれど、アスリートは企業と違い「去年はこうなりたかったけど、今年はこうなりたい」と目標がぶれることも多い。それこそ三浦和良選手のように、「一生サッカーに関わっていたい」と思える人はまれです。

だからアスリートの特性に合わせて、短いスパンでいろんなタイプのコンテンツを出していくのは面白いですね。
そのアスリートのコアファンなら「選手」という軸を愛してくれるので、それこそアスリートがコーヒーのことを語る動画だって楽しんでくれると思います。

一方で、「スポーツ」という軸からアスリートを好きになったファンは、競技特性の高いトレーニング法を紹介する動画にも興味を持つし、そこから彼らが出場する試合に行ってみようとなるかもしれない。それぞれの軸のファンに合わせたコンテンツのアプローチ方法がありますよね。

マーケティング支援を通じ、アスリートが人生の可能性を広げる取り組みを

私がエレン:
最後に、前田さんがアスリートのマーケティングのブランディング支援で伝えていきたいことを教えてください。

前田:
アスリートの方々は、人生の可能性を広げる要素をすでに持っている。それを活用できるかどうかは、自分次第だということに気づいてほしいです。

ひとつの競技を数十年突きつめて取り組んだそのキャリアは、本来出会えない方と交流できたり、認知されたりするチケットでもあります。それをスポーツの道だけで閉ざしてしまうのは、非常にもったいない。

アメフトの世界で日本トップになった自負から言えますが、正直今のキャリアを手に入れてからのほうが、アメフト自体もうまくなったなと感じます。競技以外のマインドセットが手に入れば、今とは違う成長曲線を描けるんです

より大きな、広い視点で人生を楽しみ尽くしましょう。そう思えるアスリートの方々と、人生の可能性が広がるような取り組みをしていきたいですね。

飯髙:
あのイチローさんでさえ、最近の動画のなかでは「プロになってからの方がしんどかった」って語ってますもんね。

飯髙:
僕もプロのサッカー選手を目指して途中で諦めた人間だけど、今のほうが楽しいです。多くの方々と出会えて知識の幅も経験も広がったから。プロアスリートもあくまで職業のひとつなので、いろんな形があっていいと思います。

前田:
語弊があるかもしませんが、「たかがスポーツ」です。仕事としてやってもいいし、違う場所で楽しみを見つけて、新たな出会いを作ってもいい。そこにアスリートも気づいてほしいですね。

 

――前田眞郷さん、本日はお忙しいところありがとうございました。

 

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