サーチリフト・検索リフトとは?
サーチリフト・検索リフトとは主に広告施策によって対象キーワードの検索回数がどれぐらい上昇したのかを示す指標です。
多くの場合、企業名やブランド名、キャンペーン名などを計測の対象キーワードとすることが一般的です。
算出方法は施策前後の期間で比較して増加率を出す方法と、同期間の広告接触有無でユーザーをセグメント分けし比較する方法があります。
▼サーチリフトの計算式①
サーチリフト = 施策実施後の検索数 ÷ 施策実施前の検索数
▼サーチリフトの計算式②
サーチリフト = 広告接触ユーザーの検索数 ÷ 広告非接触ユーザーの検索数
Google広告やYouTube広告、Yahoo!広告、Meta広告などが一部の広告アカウントを対象にサーチリフト調査付帯の広告メニューを提供しており、広告配信の検索行動へのインパクトを検証することが可能になっています。
ブランドリフトや会話量リフトとの違い
ブランド広告の効果を測定する指標として、ブランドリフトや会話量リフトといった指標も存在します。
それぞれの違いについて表にまとめました。
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サーチリフト / 検索量リフト
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ブランドリフト
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会話量リフト
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計測項目
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特定キーワードの検索数
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広告想起
ブランド想起
ブランド認知度
ブランド好意度
購入意向
など
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主にSNS上の特定キーワードを含む投稿数
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計測方法
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検索データ
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アンケート調査
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投稿数データ
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ブランドリフト調査は広告に接触したユーザーと非接触ユーザーに分けてアンケート調査を実施し、広告想起やブランド想起、ブランド認知度、ブランド好意度、購入意向などの項目についての変化を計測する調査方法です。
会話量リフトは主にSNS広告において、広告に接触したユーザーのSNS上での特定キーワードを含む会話量(投稿数)の変化を計測します。
一方でサーチリフトは、広告接触ユーザーの検索エンジンやSNSにおける特定キーワードの検索回数の変化を計測する調査方法です。
ブランドリフト調査はディスプレイ広告枠を利用してアンケートを実施する必要があるのに対して、サーチリフトや会話量リフトは広告媒体が保有しているユーザー行動データを用いて算出されるため、アンケートを実施する必要はありません。
サーチリフトが注目されている背景
サーチリフト調査が注目されている背景には「指名検索」の重要性の高まりがあります。
指名検索の重要性について解説します。
リスティング広告のCPAが高騰している
多くの企業にとってリスティング広告は主要な集客チャネルの一つであることが多いです。リスティング広告の参入企業は年々増加しており、ユーザー数の増加以上に広告主が増えると入札が激しくなり単価が高騰します。
広告費がかからず他社との入札競争のない指名検索を増やすことがより重要になっています。
AIによってSEOのKnowクエリの価値が低下している
2024年8月以降、Googleは「AIによる概要(AI Overview)」という検索意図への回答の概要を検索結果画面に表示する機能を提供し始めました。
AI OverviewによってKnowクエリ(なにかを知りたい検索意図のクエリ)におけるゼロクリック率(どのサイトもクリックせずに検索を終了する率)が高まり、Knowクエリを中心としたSEO戦略の効果が大きく低減し始めました。
SEO施策において、AI Overviewでは満たされないBuyクエリや指名検索の重要度が相対的に高まっています。
一般クエリと比較して指名検索のCVRは12倍高い
ヤフーの検索データによると、指名キーワードで検索したユーザー群のサイト訪問後のCVR(購入などのアクション率)は、一般キーワード検索経由で訪問したユーザー群と比較して約12倍高いことがわかりました。

出所:1番目の指名検索「指名キーワード起点」が新たなブランディング指標に
一般キーワードで検索するユーザーは、複数の候補を比較しようとしている一方で、指名キーワードで検索しているユーザーはすでに特定のサービスに決めており、比較をしないため、CVRが高くなる傾向があります。
自社サービスや商品が選ばれる確率が圧倒的に高いというメリットがあるのです。
指名検索を増やす方法
ここで指名検索を増やす方法について具体的な施策を紹介します。
指名検索を増やす方法について詳細を知りたい方は下記記事もご覧ください。
関連:指名検索を増やす5つの方法!成功事例や少額予算でも可能な施策を紹介
広告でブランド接触回数や頻度を高める
指名検索を増やすためにはブランド名の認知度を高める必要があります。即効性がある認知度を高める施策の代表が広告出稿です。
多額の広告予算がある企業の場合、最低出稿額が高いがリーチ量も多いテレビなどの媒体に出稿することで指名検索を大きく伸ばせる可能性があります。
広告予算が少額の場合、少額から配信できるデジタル広告媒体で検証してみることをおすすめします。
参考:SNS広告とは?目的・媒体種類別に効果的な運用のポイント・特徴・費用を解説
PR施策でメディア掲載を増やす
認知を形成する手段としてPR施策でメディア掲載を増やす方法もおすすめです。
具体的にはメディアに引用されるプレスリリースを継続的に配信したり、メディアのインタビュー取材を積極的に受けたり、メディアへの寄稿・イベント登壇などの方法があります。
SNS上のUGCを増やす
指名検索を大幅に増やすためには、基本的に多額の広告投資が前提となります。
しかしSNSをうまく活用できると、広告を配信し続けなくても、一般ユーザーのUGC(クチコミ投稿)によって、自律的に指名検索を増やすことができる可能性があります。
参考:UGCとは?クチコミ活用の手法や売上貢献事例をわかりやすく解説
これまでのホットリンクの支援実績から、SNS上のUGC数は指名検索数と相関し、指名検索数は売上と相関することが、データ上で判明しています(※商材や消費者行動の特徴によって、相関関係が変わることもあります)。

このファクトを元に、SNS上で発生したUGCによって指名検索数と購買量が増える一連の流れを表した、SNS時代の新しい購買行動モデルが「ULSSAS」です。
▼ULSSASの流れ
U: UGC(認知)
L: Like(いいね)
S: Search 1(SNS検索)
S: Search 2(Google検索)
A: Action(購買)
S: Spread(拡散)

ULSSASの起点は、自社の投稿や広告配信です。これらにユーザーが接触し「いいね」をするなど興味を持ち、SNS内での検索、GoogleやYahooなどの検索エンジンでの検索と続き、購買、そして新たなUGCの発生につながります。
このサイクルが生まれれば、UGCによって認知が広がり、指名検索数が増加し、購買数が増え、またUGCが発生するといったように、自律的に指名検索数が増加していきます。
具体的なULSSASの回し方について知りたい方は、ホットリンクのコンサルタントとの個別相談会も可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
指名検索の増やし方について相談する
サーチリフトを計測する方法
ここからはサーチリフトを計測する方法をご紹介します。
Googleトレンド
Googleトレンドを利用すると、指名検索の相対値の推移を確認することが可能です。
実際の検索数を絶対値で確認することはできず、指定した条件における最大値を100とした相対値の推移であることにお気をつけください。
指名検索数が増えているのか、減っているのかを確認する用途でご利用ください。

Google広告のキーワードプランナー
Google広告が提供している広告入稿用の「キーワードプランナー」で指名検索数を確認することも可能です。
Google広告を配信していないと、月間平均検索ボリュームが「1,000〜1万」のようにおおまかな範囲でしか表示されませんが、配信していると実際の数値を確認可能になります。

Googleサーチコンソール
Googleが提供している検索に関する分析ツール「サーチコンソール」を利用すると、指名検索における自社サイトの検索結果上の表示回数やクリック数を確認することが可能です。
サイトがなかったり、指名検索に対するSEOができていない場合、実際の指名検索数と乖離が大きくなりますが、適切にSEOできている場合は「指名キーワードにおける自社サイト表示回数 ≒ 指名検索数」となります。
サーチコンソールで指名検索における表示回数を確認する方法は以下です。
- サイドバーから「検索結果」をクリック
- 上部のメニューから「フィルタを追加」をクリック
- 「検索キーワード」をクリック
- 「次を含むクエリ」などの条件でブランドキーワードを入力

WEB広告でサーチリフト調査を実施する
Google/YouTube広告やMeta広告、Yahoo!広告など一部のWeb広告媒体は、条件を満たした広告アカウントを対象にサーチリフト調査が付帯される広告メニューを提供しています。
例えばGoogleはYouTubeなどのディスプレイ広告に接触したユーザーと非接触ユーザーに分けて、指定したキーワードのGoogle上の自然検索数を比較し、サーチリフトを検証してくれるメニューを提供しています。また、Meta広告も一部の業種担当が付いているアカウントを対象に、Instagram内のサーチリフトメニューを提供しています。
Googleトレンドやサーチコンソールなどで指名検索数を検証する場合、施策前後の比較になるため季節性の影響を受け、正確に検証ができないことがあります。Web広告のサーチリフト調査であれば、同期間に広告接触有無でユーザーをセグメント分けして検索行動を比較検証してくれるため、より正確な効果測定が可能になります。
サーチリフトレポートを提供している広告媒体一覧
下記のWeb広告媒体はサーチリフトレポート機能を一部の広告アカウントに対して提供しています。
Google広告(YouTube)
Googleは広告アカウント担当者がついている一部の広告アカウントに対して、検索数の増加を測定できる無料のツールを提供しています。
検索数の増加ツールを利用することで、ユーザーが広告を見た後の商品やブランドの検索数の増加を測定することが可能です。
「検索数の増加」テスト手法を使用すると、選択した検索語句に対するユーザーのYouTubeとGoogleにおける検索行動にキャンペーンが及ぼす影響に関する分析情報を得ることができます。
検索数の増加を検出するためには、測定対象のキャンペーンのインプレッション数の合計が150万以上になるように予算を設定することが推奨されています。
希望する場合はGoogleのアカウント担当に連絡する必要があります。
出所:「検索数の増加」について
出所:「検索数の増加」測定を設定する
Meta広告(Instagram)
2025年からMeta広告も「検索量リフト」の新機能をローンチしています。
Meta広告に接触したユーザーのInstagramにおける検索量リフトを測定することが可能になります。
検索量リフトを用いてInstagram検索数が増えるクリエイティブやオーディエンスを特定することもできます。
画像や動画のビジュアル情報が重要な商材の場合、Instagram検索数を増やす施策の重要度は高いでしょう。Instagram検索の増加を目指す場合、Instagramの指名検索結果の最適化も合わせて行うことが重要になります。
Meta広告の検索量リフトは業種担当が付いているアカウントであれば利用可能です。
Yahoo!広告
Yahoo!広告は、特定キーワードにおける検索数の上昇を、広告に接触したユーザー群と非接触ユーザー群で比較できる、サーチリフトレポートを提供しています。
年代や性別、興味関心、広告接触回数別でサーチリフト値を算出することも可能です。
出所:【広告配信後の検索行動を分析】サーチリフトレポート
サーチリフト・指名検索が増加した成功事例
アイウェアブランド「JINS」
アイウェアブランドのJINS様は、ホットリンクの支援開始後1年でSNS上のUGC数が約380%増加し、結果として指名検索数が約165%増加しました。
具体的には下記3つの施策に取り組みました。
第1に質の高いフォロワーを集め、アカウント基盤を強化したこと。第2にユーザー起点のコミュニケーションを促し、UGCのきっかけとなるオーガニック投稿を展開して運用を工夫したこと。第3にキャンペーンの展開です。

この事例の詳細について問い合わせる
お菓子メーカー「シャトレーゼ」
お菓子メーカーのシャトレーゼ様は、若年層へのアプローチに課題を感じ、X活用を開始しました。
主にUGCを生み出すアカウント運用やX広告、参加型コンテンツ企画を実施。
https://x.com/chateraise_jp/status/1017696598158118913
結果、テキストのみのUGCが1.6倍、画像つきのUGCが11倍になりました。SNS上のUGC増加に比例して、指名検索数も大幅に増えました。

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大阪ガスマーケティング株式会社
大阪ガスマーケティングは、Yahoo!広告での動画広告施策において、広告接触者と非接触者の検索行動を比較するサーチリフト調査を実施しました。
15秒の動画広告接触者は検索行動が1.7倍に向上し、動画がユーザーの興味関心や理解を高め、指名検索を促進したことが確認されました。
WEB広告単体での効果検証として有意義で、今後の継続出稿にもつながったと評価しているようです。
短尺動画でも工夫次第で検索想起を喚起できる点もポイント。
出所:サーチリフト調査で判明! 動画広告と検索行動の相関関係
LIFULL HOME’S
LIFULL HOME'Sはインターネットミームを活用したYouTubeコンテンツを制作。すしざんまい社長の木村清氏を起用し、話題となりました。
ブランドのサーチリフトはローンチ1週間前と比べて130%強、対象ワードが含まれたTwitter投稿のリーチ数が配信開始1週間で約113万ありました。
出所:サーチリフトは130%強!LIFULLに聞く、インターネットミームを活用したYouTube制作とは
指名検索を増やすためのSNS活用がわかる本・書籍
指名検索を増やすためにどのようにSNSを活用すればいいのか、学習におすすめの本をご紹介していきます。
SNSマーケティング7つの鉄則

2023年に出版された、SNSマーケティングにおける、7つの鉄則を解説した書籍です。
鉄則1 トリプルメディアで分解するとSNSのうち手が見える
鉄則2 「言及在庫メソッド」がUGCを爆増させる
鉄則3 単体のSNSアカウント運用は失敗する
鉄則4 プラットフォーム特性の理解が動画を伸ばす
鉄則5 インフルエンサーはフォロワー数で選ばない
鉄則6 プラットフォームごとの「法律」が変われば対策も変える
鉄則7 組織のスキルアップがSNSマーケティングを成功させる
クチコミのつくり方から、成果につながる運用体制の構築まで理解することができます。
書籍の詳細を見る
ゼロからわかるビジネスInstagram 結果につながるSNS時代のマーケティング
一番わかりやすいInstagramマーケティングの入門書!予算や知名度に頼らず結果を出すために必要な考え方や行動を、マーケティングのプロが解説します。
Instagramの詳細なアルゴリズム解説やUGCの醸成の仕方、アカウントの運用手法、インスタで成果を出しやすい写真の撮り方などについて、書籍に掲載されています。
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SNSマーケティングを学べるセミナー一覧
企業のSNSマーケティングを支援しているホットリンクは、定期的にSNSマーケティングに関するセミナー・ウェビナーを実施しています。
詳細は下記ページをご覧ください。
セミナー一覧を見る
指名検索を増やす方法をさらに学びましょう
ここまでサーチリフトや指名検索について解説してきました。
SNSを用いて実際に指名検索を増やすためにはさらに踏み込んで、SNS戦略や具体的な施策について理解する必要があります。
ここまで読んでくださった方向けに、ホットリンク独自のUGC活用・SNS運用のノウハウを詰め込んだ特別資料を、無料でご提供します。
この機会にぜひ、ご一読くださいね。
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