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「ブランディングにつながるSNS運用をしたい」 「でもブランディングってそもそもどういう意味?何をやればいいの?」 など、SNSを活用したブランディングについてお悩みの方も多いのではないでしょうか。 この記事ではブランディングについて基本的な考え方と、SNSを活用したブランディングについて解説していきます。
この記事の内容
最終更新日:2024年10月1日
SNSのブランディングについて考える前に、まずはブランディングとは何なのかについて考えてみましょう。
ブランディングというと、おしゃれで高級感のある表現をすることだと思っている方もいらっしゃいますが、誤った認識です。
ブランディングについてはさまざまな定義が存在しているため、単一の定義を示すことが難しい側面があります。そこで、多くの人が参考にしているブランド・マネジメントの権威、ケビン・レーン・ケラー氏の著書「戦略的ブランド・マネジメント」と、一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会における定義を紹介します。
▼ケビン・レーン・ケラーの「戦略的ブランド・マネジメント」
ブランディングは精神的な構造を創り出すこと、消費者が意思決定を単純化できるように、製品・サービスについての知識を整理すること
▼一般財団法人ブランド・マネージャー認定協会
ブランド・アイデンティティ(企業がある製品・サービスが「何ものか」を示すため定める「旗印」のこと。言い換えると「ブランド独自の価値」をひとことで表したもの。)とブランド・イメージ(消費者・顧客が心の中に抱く、ブランドに対する心象のこと。)を一致させる活動のこと。
つまりブランディングとは、消費者の脳内のブランドに関する知識を整理するプロセスのことだとわかります。
コミュニケーションによって消費者の記憶に働きかけることで、ブランドを認知し、 想起し、選択肢の中から選んでもらえる確率を上げることがブランディングの役割と言えます。
ブランディングの考え方の中でも特に重要な概念の一つが、CEP(カテゴリエントリポイント)です。
CEPとは、消費者がブランドを想起する手がかりやきっかけになるポイントのことです。
消費者が達成したい目的や、場所、時間帯やシーズンなどの時間、製品利用前後にしていること、代用品、同時に利用する製品、一緒にいる人、感情など、CEPは様々な切り口に分類することができます。
CEPの具体的な例としては、「お昼に安く早くランチを済ませるなら」、「一人暮らしの新生活に揃えるなら」、「キャンプで食べる豪快な食材といえば」、「クリスマスにパートナーにプレゼントするギフトといえば」などが挙げられます。
ブランドは独自のブランドアセットを定義し、CEPと、ブランドアセット、ブランド名を消費者の脳内で紐づけていく活動を行う必要があります。
ブランディング活動の結果、CEPからブランド名やブランドアセットが連想され、逆にブランドアセットに接した時にブランドに関連するベネフィットや意図した印象が想起されることを目指します。
「おしゃれで高級感のある発信をすること」がブランディングではないことを、理解していただけたでしょうか?
つまり、SNSブランディングとは、消費者がブランドを認知し、 意図したCEPでブランドを想起し、選択肢の中から選んでもらえる確率を上げるために、SNS上で行うあらゆるブランドコミュニケーションであると言えます。
近年SNSはユーザー数が増え続け、多くの消費者が日常的に利用しているため、SNSにおけるブランドコミュニケーションの重要性が高まっているのです。
SNSにおけるブランディング活動の大きなメリットは、ブランディングに必要なブランド露出量(アテンション量)を、ユーザーが補ってくれる点です。
ブランディングを成功させて売上にインパクトを与えるためには、多くのブランド露出を獲得し、ブランド認知を形成する必要があります。広くあまねくブランド認知を形成するためには多額の広告費が必須と言えるでしょう。
しかしSNSにおいては、一般ユーザーがUGC(クチコミ投稿)をすることで、自律的にブランド認知が形成される可能性があります。UGCが拡散されて認知が広がり、購買数が増え、購買者がまたUGCを投稿する「ULSSAS」の循環ができると、ブランドが広告を配信しなくても自律的にアテンションをすることができるようになり、広告費の削減につながります。
これはSNSにおけるブランディング活動の大きなメリットと言えるでしょう。
SNSブランディングのデメリットについては、ブランドがUGCの内容や品質をコントロールすることはできない点が挙げられます。
公式アカウントの企画や、SNS外の広告などでSNS上のクチコミ文脈に対して影響を与えることはできますが、一般ユーザーの投稿品質やデザインをコントロールすることは不可能と考えたほうがいいでしょう。
UGCの品質やデザインについてはブランドガイドラインに固執せず公式アカウントから幅広く紹介し、良質なUGCは重点的にリポストするような運用を心がけることをおすすめします。
SNSブランディングにおすすめのSNSを紹介します。
Instagramは、Facebookを運営しているMetaが運営する写真・動画共有SNSサービスです。Instagramの国内月間アクティブユーザー数は約3300万人で利用者数ランキングでは国内4位、利用率ランキングでは国内3位のSNSメディアとなっています。
写真や動画などのヴィジュアルを中心としたSNSなので、ヴィジュアルアイデンティティの認知に最適なSNSと言えるでしょう。
女性ユーザーがやや多いので、20~30代の女性向けブランドのブランディングにも向いています。
関連記事:Instagramでブランディングを成功させる6ステップ!よくある間違いや成功事例も
Xは、2006年に140文字以内(英数半角280文字)で短文の投稿ができるSNS「Twitter」としてリリースされたSNSです。2023年7月に「X(エックス)」に名称が変更されました。
現在では短文投稿だけでなく、「Xスペース」という音声でリアルタイムの会話ができる機能や、X Premiumに課金したユーザー限定で25,000文字の長文投稿機能が提供されています。
ユーザーが他ユーザーの投稿をシェアする「リポスト」機能があるため、拡散性が高いことが大きな特徴です。
国内月間アクティブユーザー数が6,658万人で、利用者数ランキングでは国内3位、利用率ランキングでは国内4位。
全年代の利用率は46.2%。利用率が一番高い年代は20代で78.6%。若年層がメインで利用していると思われる方も多いですが、40-50代でも約40%の方が利用しています。
テキストでのコミュニケーションが中心なので、無形商材やB2Bサービスのブランディングにも向いています。
TikTokは、ByteDanceが運営するショート動画に特化したソーシャルネットワーキングサービスです。中国版のTikTokは抖音(ドウイン)と呼ばれており、日本で利用できるTikTokは抖音(ドウイン)の国際版のアプリとなります。
TikTokは国内月間アクティブユーザー数が1,700万人で、利用者数ランキング・利用率ランキング共に国内6位。
全年代の利用率は25.1%。利用率が一番高い年代は10代で62.4%。男女比では、男性22%、女性28%と女性の方が多く利用しているメディアです。
10代など若年層向けの商材や、飲食店や美容室など動画での表現が向いている事業のブランディングには最適です。
SNSを活用したブランディングにおいてよくある失敗について解説します。
ブランドを構築・保護するための運用ルールを策定していない、あるいは策定したものの方針に沿って運用されていないケースです。
例)プロフィール写真を人物の写真にしたほうが反応されやすいと聞き、ブランドのロゴから人物写真に変えた。投稿への反応率は高まったが、ユーザーにロゴを露出する機会がなくなった
アカウントのフォロワー数が伸びたとしても、ブランドアセットの認知や、ターゲットCEPにおける想起が高まらないSNS運用を継続しても、ブランドの売上アップにはつながりづらいです。
逆に、ブランドガイドラインや世界観を守るためのルールを厳格に設定しすぎたため、SNSユーザーに反応される投稿を作成できないケースです。
ブランドガイドラインを守った投稿でも、SNSユーザーの興味を引けない投稿であれば、いくら運用を継続してもアカウントは成長せず、結果としてブランディングに必要なアテンションを得ることができません。
ブランドガイドラインの柔軟性が低く、投稿のリーチを伸ばすために投稿改善をしたくてもできないというケースがよく見られます。
例)ブランドフォントが視認性の低いものしか定義されておらず、Instagram上の文字入れ投稿がすべて視認しづらいものになってしまい、保存やリーチが伸びない
また、ブランドルールが厳しく、一般ユーザーの投稿を公式アカウントでシェアできないというケースも見られます。
公式アカウントがUGCをシェアして他ユーザーへ拡散することは、SNS運用において非常に重要なアクションですが、UGCシェアが禁止されていると本来のSNSマーケティングの効果を得られません。
このような状況に陥らないように、ブランドガイドラインに一定の柔軟性を持たせておく必要があります。
SNSブランディングを成功させる6ステップを解説します。
まずは、消費者に記憶してもらいたい、ブランドアセットを定義します。
ブランドアセットとは、消費者がブランド名やブランドに関する記憶を呼び起こすことができる、独自の資産のことを指します。
SNSマーケティングを通じて、ブランドアセットの露出を増やし、記憶してもらうことで、ブランド認知や想起を高めていきます。
ブランドアセットの例としては下記が挙げられます。
上記に挙げたブランドアセットをすべて定義する必要はありません。ブランドの状況に応じて必要なブランドアセットを定義しましょう。
続いて、消費者にブランド名やブランドアセットを想起してもらいたいCEPを整理します。
ブランドに紐づくCEPの数が多いほど想起してもらえる入口が増え、CEPとブランドの結びつきの強度が強いほど、選ばれる確率が高まります。
カテゴリー購買客や競合ブランドに関する調査を実施し、自社ブランドとの連想を強化するべきCEPを整理していきましょう。
列挙したCEPの中でも特に注力するCEPをいくつかピックアップして、重点CEPとして設定します。
ブランドイメージに一貫性を持たせるために、ブランドコミュニケーション(ブランドとしての表現)のルールを策定します。
ブランドコミュニケーションのルールがないと、クリエイティブ制作者によってSNSユーザーが受け取るブランドイメージが大きく異なったり、投稿文やDM・コメントの担当者次第でブランドイメージが左右されてしまいます。
策定するルールの例としては次の項目が挙げられます。
重点CEPとブランドコミュニケーションルールが策定できたら、実際の運用フェーズです。
「重点CEPの強化につながるか?」の観点で投稿企画や写真素材の生成、UGC企画を行います。
例えば食品メーカーで、「ビールに合うがっつり食べられる食品といえば」という重点CEPがある場合、ビールと一緒に写っている写真素材撮影を強化したり、「世界ビール・デー」にあわせて投稿を作成したり、ビールと自社商品一緒に撮って投稿するUGC企画を立案する、といったことが考えられます。
また、ブランドコミュニケーションルールに沿って写真素材撮影や画像・動画のデザイン加工、投稿文の作成を進めます。
運用が開始された後も、実際に方針に沿った運用が継続されているかをマネジメントする必要があります。
ブランディング担当者は、日頃からブランドガイドラインをスタッフに周知し、浸透するように努めましょう。
また、SNS上のクリエイティブや、運用担当者のコミュニケーション内容を定期的に確認し、ブランドガイドラインに沿わない点を見つけた場合、修正対応の依頼をするようにしましょう。
定期的に消費者調査を実施するのもおすすめです。
ブランディングの効果は短期的に見えるものではありませんが、SNS活用による中長期的な変化を捉えるために定期モニタリングのポイントを設けておきましょう。
ブランドの認知度や純粋想起、助成想起、各CEPにおける想起などを確認します。
最近ではセルフサーブで消費者調査を実施できる安価なサービスも多数ありますので、調べてみるといいでしょう。
SNSブランディングの成功は、単純にアカウントの見た目の統一感があったり、おしゃれかどうかだけで判断することはできません。
ここまで説明してきたように、消費者の脳内で意図した記憶を構築できているかがポイントだからです。
このセクションでは実際にブランディングに寄与しているSNS用の事例をご紹介します。
1945年に創業された、アメリカの老舗ソーセージブランドのジョンソンヴィル様。Xにおいて、シェアされやすいフォロワー基盤を構築。インフルエンサーやタレントを起用し、「バーベキュー」「お酒と一緒に」といった、特定のシーンをイメージさせる訴求企画も実施。
発生したUGCのリポスト運用も実施し、1年でクチコミ数が9倍まで増加しました。
事例詳細はこちら:商品の「自分ごと化」を促し、1年でクチコミ数が9倍に! 売上アップも実現した老舗ソーセージブランド、ジョンソンヴィルのSNS活用
Instagramでは運用目的を「認知拡大」と「注力CEPにおけるブランド想起強化」の2点に設定。
消費者調査を元に、「BBQ食材といえば」「パーティー食材といえば」「休日のぜいたくなランチといえば」「ビールのお供といえば」「キャンプといえば」などのブランド戦略上注力するCEPを決めました。
CEPごとに、ジョンソンヴィルのソーセージを利用した写真素材やレシピ動画を制作。
モーメントやCEPに合わせた投稿や、UGC投稿企画を継続しました。
特に注力したのが、クリスマスやハロウィンなどの季節のイベントです。
「#クリスマス」「#クリスマスディナー」など、シーズン中にInstagramユーザーが検索するハッシュタグを狙ってレシピ動画を投稿し、広告配信も実施。
ターゲットとしていたクリスマス関連のハッシュタグで軒並み上位表示に成功し、多くの「保存」アクションを獲得。結果として公式のレシピを真似した、狙ったCEPにおけるUGCも数多く投稿されました。
事例詳細:【成功事例】食品ブランド向けInstagram施策 カギはブランド戦略に紐づいたUGCの活用
美容室専売の化粧品を取り扱うミルボン様は、お客様にミルボンを裏方ではなく「ブランド」として認知していただくこと、美容室専売商品の魅力や価値を広く伝え、サロンの売上に貢献することを目的にInstagram活用に注力しました。
カルーセルで1枚目はブランドの世界観を表現するビジュアル重視の画像にし、2枚目以降に保存やエンゲージされやすい情報を伝える構成の勝ちパターンの投稿を見出し、ミルボンとしてのブランディングも保ちつつ、Instagramでの伸びやすさを兼ねた、ハイブリッドな投稿を量産できる体制になりました。
事例詳細:InstagramのUGC数が8ヶ月で6倍に!美容室専売メーカー、ミルボンのTwitter&Instagram活用術
讃岐うどん専門店として、全国に800以上の店舗を構える丸亀製麺様。
#丸亀製麺さん暑いです #丸亀製麺さん暑いです などのハッシュタグを用いた、Xキャンペーンを実施し、短期間でXトレンド1位を2度獲得。「暑いときに食べるものと言えば丸亀製麺」の想起を強化しました。
事例詳細:【事例】丸亀製麺、短期間でTwitterトレンド1位を2度獲得!成功の鍵を握ったのは「データ分析」
Instagramでは「丸亀製麺の楽しみ方が一番わかるメニュー表」をテーマに運用を開始し、短期間でInstagramフォロワー数が増加し、平均リーチ数は3倍以上になるなど、大きな成長を遂げました。
Instagram投稿のクリエイティブに用いるフォントやあしらいを、丸亀製麺のブランドルールに沿った一貫性のある表現にすることを徹底しています。
事例詳細:【事例】お客様に寄り添った「丸亀製麺らしい発信」をInstagramでも。平均リーチ数3倍以上を実現した、二人三脚のインスタ運用
化粧品メーカーのコーセーは、ただフォロワー数を増やすよりも、自社の投稿をしっかり見てくれるエンゲージユーザーを増やすことを目的に、リーチ数・インプレッション数やエンゲージメントを重視した運用に切り替えを実施しました。
UGCをピックアップしてInstagramのストーリーズにシェアすることで顧客とのコミュニケーション施策も強化。Instagramのトレンドを意識したフィード投稿にも注力。
ファンとのコミュニケーションを第一にしたアカウント運用によって、コメント数をはじめとする投稿へのエンゲージメント数の増加につながりました。
事例詳細:【事例】目指すのは、長期的なファン化。コーセーが実践するコミュニケーション重視のInstagram・Twitter活用
お菓子メーカーのシャトレーゼ様は、若年層の認知に課題を感じ、X活用を開始しました。
UGCを生み出すアカウント運用やTwitter広告、参加型コンテンツ企画を実施した結果、UGC投稿数が1年で約8倍に増加し、店舗売上の増加にも寄与しました。
また、誕生日ケーキの投稿を「#ハッピーバースデーシャトレーゼ」をつけてリポストしたり、アレルギーフリーのケーキについて言及してくれているUGCを公式アカウントからシェアしたりして、「誕生日ケーキと言えばシャトレーゼ」「アレルギーフリーのケーキと言えばシャトレーゼ」といった想起を強化しました。
その結果、UGC投稿数が1年で約8倍に増加し、店舗売上の増加にも寄与しました。
事例詳細はこちら:クチコミ数が1年で約8倍! 店舗売上の増加にも寄与した、お菓子メーカー・シャトレーゼのTwitter活用
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