SNSコラム

Instagramで人気の「#ホカンス」 ホテリスト・さかかなが流行の経緯をデータで考察 #まなぼうSNS

2021年09月01日
#まなぼうSNS | Instagram活用 | SNSコラム

最終更新日:2024年1月10日

ホットリンクのさかかなです。ソーシャルメディア事業本部で、SNSマーケティングのコンサルティングをしています。

ホテルが好きで、週末に都内のホテルに宿泊しては「素敵なホテルに遊びに来たよ~」「ホテルステイよき~」とTwitterで呟いている「ホテリスト」です。

今回は、ホットリンクのソーシャルリスニングツール「BuzzSpreader Powered by クチコミ@係長」を使って「2021年上半期インスタ流行語大賞」にランクインした「ホカンス(호캉스)」をテーマに考察していきます。

参考:【2021年上半期インスタ流行語大賞】をPetrelが発表!「うっせぇわ」「お疲れサマンサ」などZ世代の新ワードに注目。

「ホカンス」は韓国発の「ホテル」+「バカンス」を組み合わせた、「ホテル滞在を楽しむバカンス」を指す造語です。元々は韓国で流行しており、SNSを通じて日本でも人気となりました。

若年層の女性を中心にInstagramをはじめとしたSNSでトレンドとなっており、「#ホカンス」というハッシュタグも生まれています。

今回は、Twitter上で「ホテリスト」としても活動している私が、
・ホカンス流行のきっかけと流れ
・いま、若年層女性たちがホテル体験にもとめているもの
以上の2つを、Twitter/Instagramのデータを元に考察してみました。

Twitterの言及推移から考える、ホカンスブームの流れ

「ホカンス」の特徴は、近場のホテルでバカンス体験をすることで、SNS上では、「ホカンスする」「ホカンスしたい」など動詞として使われています。Instagramだけではなく、YoutubeやTikTokでも「ホカンス」「#ホカンス」と検索すると、主に若年層を中心としたユーザーによる投稿がたくさん行なわれています。

Instagram上の「#ホカンス」は、「日常のワンシーン」を切り取ったような印象です。いわゆるインスタ映えっぽい「非日常的なラグジュアリー体験」よりも、「ちょっぴりグレードの高い、お洒落なカフェで撮った」ようなカジュアルさと親近感を覚える投稿の方が目立ちます。若者にとってどのような写真が「インスタ映え」のトレンドなのか、検索してみると参考になると思います。

ホカンスはどのようなきっかけで韓国から流入し、日本の若年層の間でSNS上のトレンドになったのでしょうか。

2018年(プレ流行期)

下図は、「ホカンス」の2018年7月~2021年7月までのTwitter上における言及数の推移を表したグラフです。

対象メディア:Twitter10%サンプリング
検索ワード:ホカンス
分析期間:2018年7月~2021年7月


ホカンスが日本にSNS経由で伝わってきたのは2018年の7月のこと。最初に大きな言及数の「山」を作ったのは、2018年の8月です。


きっかけは、ある韓流アイドルのメンバーがInstagramに投稿したストーリーズでした。韓国語を読める日本のファンが、ホカンスに言及したメンバーのInstagramストーリーズをスクショし、和訳を記載した画像をTwitterに投稿したところ、ファンの間で拡散され、話題になりました。

同年8月に「Yahoo!ニュース」でも韓国のホカンスが紹介されていたことから、次なるブームとして日本でも注目され始めていたこともうかがえます。

参考:「日本との違いも? アイドルや美ボディ“ホカンス族”も楽しむ韓国の『ナイトプール事情』(慎武宏)」 Yahoo!ニュース

ただし、2018年当時の時点では、まだ韓国国内ですら「ホカンスした」ことをSNSに投稿している人はそれほど多くはなかったようです。

2019年(ジワジワ普及期)

2019年になると、韓国国内でもホカンスはメジャーになり、アイドルグループが出演するテレビ番組などでも取り上げられるようになりました。
すると、日本の韓流アイドルファンたちがホカンスをSNS上で紹介し始め、大きなバズが起こります。

上図を一部拡大したもの

その後、拡散のチェーンは韓流アイドルファン→トレンドに敏感な一般の人たちへと普及していったようです。「韓流アイドル」の文脈ではなく、「ホテル利用」の文脈で、このようなクチコミも生まれ始めました。

・韓国で流行っているらしい「ホカンス」を体験したこと
・週末に友達とおしゃべりをしながらリラックスする時間を過ごせたこと
・グレードの高い部屋でゆったりと美味しいスイーツを堪能し、プチ贅沢をしてきたこと

2020年~2021年現在(最盛期)

その後2020年2月から5月にかけて、新型コロナウイルス感染症の流行による緊急事態宣言発令の影響もあり、言及数がガクンと落ち込みます。

上図を一部拡大したもの

緊急事態宣言解除を境に言及数は急激に増加し、昨年に比べて3倍以上に伸長しました。7月に東京を除く全国で始まった「Go To キャンペーン(トラベル)」が、言及数伸長の背景にあったと考えられます。10月には東京もキャンペーンの対象となり、2020年11月は、年内で最も「ホカンス」の言及が伸びた月となりました。

年明けの2回目の緊急事態宣言発令後の2021年1月~2月にかけて、ホカンスの言及数は再び減少します。

春休み・卒業旅行のシーズンである3月からまた徐々に言及数は回復し、「2021年上半期インスタ流行語大賞」のランクインと、地上波のニュース番組で特集されたことが要因となり、2021年6月には過去最高の1,600件以上(※10%サンプリング)の言及数が出ました。

・新型コロナウイルス感染症の影響で遠出ができない/大人数で過ごすことが困難な状況
・近場での旅行/親しい人たちと少人数で過ごせる空間に対するニーズ

このような外因と内因が重なった結果、日本国内でも多くの人々にホカンスが「自分ゴト化」されたことで、ブームが起こったのかもしれません。

Instagramのデータから考える、若年層女性がホテル体験に求めるもの

「ホカンス」を実際に楽しんでいる若年層女性たちは、どのようなホテルに泊まっているのでしょうか。
また、彼女たちは今、「ホテル」にどのような体験や価値を求めているのでしょうか。

Instagram上で「#ホカンス」がついている投稿のうち、トップ投稿1,900件から価格帯・地域・ホテル名・投稿数と割合を抽出したデータをもとに、考察してみます。

※1:ホテル名は正式名称ではなく、投稿されたホテルすべてを網羅できておりません。データは目視で確認しております。
※2:価格帯は2020年、2021年の新型ウイルス流行時の金額を想定しています。価格帯は正確ではなく、おおよその目安です。

データから、ホカンスに利用されているホテルは「ライフスタイルホテル」と呼ばれる新しいタイプのホテルが多いことに気づきました。

90年代における世界的なホテルトレンドは、フレンドリーで個性的な体験を提供する「ブティックホテル」が牽引していました。しかし00年代に入ると、「ライフスタイルホテル」と呼ばれる「もっとシンプルに旅行を楽しみたい」ミレニアル層向けのホテルがトレンドになります。

ライフスタイルホテルの特徴は、ざっくり以下の2点です。

・「目的地としてのホテル」というコンセプト
・ラグジュアリーホテルほどのサービスはない代わりに、手頃な価格で「自分たちに合った宿泊」を楽しめる

ミレニアル世代やZ世代をターゲットにした、「目的地としてのホテル」という新しいコンセプトと、コロナ禍で「旅行に行けない」状況のマッチが、若年層女性の間でのホカンスブームを後押ししたとも考えられます。

今、ホカンスを楽しむ女性たちの間でライフスタイルホテルが選ばれている心理はなんでしょうか。

私は、「あくまで日常生活や手に届く範囲内にある非日常を楽しみたい」「自分が大切にしたい丁寧な暮らしを、ホテル体験に求める」からではないかと思います。

「#ホカンス」で投稿されているInstagramの画像の多くは、「ちょっぴりグレードの高い、お洒落なカフェで撮った」ような、日常の延長線上にあるような写真です。
友達同士でリラックスして、自然な雰囲気で写っている投稿を見ていると、彼女たちにとって「目的地としてのホテルに泊まる」ことは、スターバックスに行って友達と新作のフラペチーノを頼むことと同じ感覚なのかもしれません。

彼女たちは喉を潤したくてスターバックスに行くわけではありません。「スタバにいること」自体の特別感、フラペチーノの写真を撮ってSNSにあげること、いつ行っても居心地が良いことなど、消費に求める本当の価値は別のところにあります。

5年後、10年後、彼女たちは今より多くの消費体験をしているでしょう。経済力や家庭を持つ彼女たちの消費欲求を満たせる「フラペチーノ」は、どのようなものになるでしょうか。

それは、SNSで「映え」るだけではなく、誰かに当然にシェアしたくなるけれども、「シェアが難しいときめきの体験」ではないかと、さかかなはちょっと思うのです。

さかかな。2020年10月にホットリンクに入社。ソーシャルメディア事業本部・コンサルティング部に所属。前職では、不動産会社にて商業施設の販促を担当。 

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