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この記事の内容
最終更新日:2023年6月12日
※こちらの記事は2019年6月に社員の個人noteで公開された記事をベースに加筆修正を施しています。
ホットリンクのムロヤ(@rmuroya)です。Google大好きです。
2019年3月に、Google Japanによる「WebmasterConferenceFukuoka」のLT登壇の機会をいただき参加してきたのですが、懇親会の中で、「Twitter活用を模索してたんです」などとお声を多数いただき、SEO界隈の方々のSNSへの関心が高まっていると感じました。
こんな記事も話題でしたね。 「Googleはツイッターアカウントを見て専門性、権威性、信頼性(E-A-T)を測っているのではないか」俺の遺言を聴いてほしい
YMYLとE-A-Tなど、いくらコンテンツが良くても、「誰が言うか」の評価軸が高まっているクエリが出てきています。
そうした流れもあってか、「E-A-T担保のためにSNSを活用しよう」という動きがちらほらと見られます。
他にも、 「指名検索されるとSEOに強くなる。これからは指名検索を増やそう」 「SNS経由の流入確保のためにもTwitterに力をいれよう」 「アルゴリズムに左右されないように、SNSのフォロワーを増やしておこう」 などと、模索が始まっています。
SEO・リスティング広告の「検索」は手法が確立しています。サーチは知識が体系化されています。20代半ばにして高度なSEO技術を駆使して、とてつもなくサイトをグロースさせている人が何人もいます。
巨人がわんさかいて、その巨人の肩に乗りやすい。それが検索の世界です。
一方、SNSには単発のキャンペーンの成功事例があっても、中長期的な成功事例がまだ世に多く出ていないように、スタンダードがありません。
そのためか、次のような取り組みをされることが多いです。
「よし、ソーシャルでの発信力を高めるためにアカウント運用を始めよう」 「フォロワーを増やすために、投稿数を増やして拡散できるようにPDCAを回そう」 「大手企業の〇〇のように、人格をだしてユニークな投稿をしなきゃな」
SNSは活用用途が多様であるため、いろんな声が聞こえてきます。
一つ言えることは、SNSを活用したマーケティングには向き不向きがある、ということです。
ここの特性を踏まえないで走り出してしまうと、せっかくのリソースの浪費になってしまいます。
安易にアカウント運用に取り組むのではなく、本質的な課題発見。それも、より大きな課題発見に取り組むことから始まると思います。
ソーシャル上のブランド言及のことをなんと呼んでいますか?
SEOとSNSの両方の業界を見てきた私の観測範囲ですが、 ・SEO界隈では「サイテーション」 ・ソーシャルメディアマーケ界隈では「UGC」 と別名称で呼ばれていると思っています。
サイテーションは昨今ではSEO界隈で話題のワードです。これが一見同じように見えて、全く異なるのです。
サイテーションはソーシャルシグナルになる、と言う仮定を持っておられると思います(本記事では、実際にそういう傾向にあるのかといったアルゴリズムへの影響については触れません)。
また、サイテーションには、Googleアルゴリズムのランキングシグナルへの最適化思考が裏に見えます。200以上あるランキングアルゴリズムをハックして、その時々のアルゴリズムに最適化したチューニングを施し、上位表示を実現し、検索トラフィックを獲得していく思考が垣間見えます。
一方、UGCは、ソーシャルメディア上でのクチコミ。アテンション獲得や態度変容のためのものです。
着目しているファネルの層が全く異なりますよね。
用語の発祥が違うため、どう捉えるかでその後に進められる思考体系は全く異なる罠が隠されています。これが、その後の戦術の立案に大きな影響を及ぼすのです。
仮にサイテーションがソーシャルシグナルとして実は使われている、とします。仮に。仮に仮に。ソーシャルシグナルと言われているものは、要するにオープンデータ(オープンソーシャルのデータ)ですよね。
サイテーション=ソーシャルシグナルだと、ブラックなハットな方は、
・サイテーションを出すために、架空のアカウントを量産してブランドワードをツイートする ・ブラックなインフルエンサーマーケで、サイテーションをお金で買う
と、Twitterアカウントが、被リンク全盛期のサテライトサイトのようになってしまうことを危惧しています。
また、LINEなどのダークソーシャルのUGCはどうマーケターとして取り扱うでしょうか。
LINEなどのダークソーシャルでのUGCが態度変容に繋がり、コンバージョンに寄与していることがある場合、「サイテーション=ソーシャルシグナルだろう」という思考ではそのチャンスに目を向けられず、すっぽりと意識から抜け落ちてしまいます。なんともったいない。
いい商品・サービスだから、言及されるはずですよね。あるいは面白いコミュニケーションだから、言及されるはずですよね。ブランドやサイトが言及されるには、まずはこれらの要素が基盤となるはずです。
サイテーションから、偽りのプロモーションが始まることはあってはなりません。それはステマで、いずれはプラットフォームのみならず、社会からも糾弾される手法だと思います。
「指名検索」についてもよく触れられるようになったなぁと感じるトピックです。
SEO文脈以外にも、マーケティングの指標して注目されてきているようにも感じます。
ここの落とし穴は、「SEOのために、指名検索を増やすことにも力を入れよう」という思考(本記事では、アルゴリズムとして、指名検索数の多さがサイト評価を高めるシグナルなのかどうかについては触れません)。
そもそもSEOとは、一般検索の際に上位表示されやすいようにする対策だったと思います。
指名検索を増やすために必要なことはなんでしょうか。
その問いに答えるにあたって、「SEOのため」の視野では、見えてこないのです。発想が出てこないのです。
「指名検索を増やすにはどうしたらいいか」と新しい悩みを抱えているSEO担当者も少なくないと思いますが、まず、知らないことは検索できないことは自明ですよね。
そのため、アテンションがまず第一にきます。そして、想起できないと、その時に検索バーにも打ち込めません。
アテンションを増やしたり、想起を高めることはSEOなのでしょうか。言葉の定義戦争が勃発しそうですが、獲得系マーケというかは、ブランディング寄りであることは言わずもがなでしょう。
私は検索マーケティング大好き人間ですが、SEOは数あるマーケティングの手法の一つ。悲しくも、SEOでビジネス貢献出来ることは限られているという現実を私たちは突きつけられているのです。SEOでできる事は、検索行動「後」のことなのですから。
セールスファネルのサーチを起点に考えてしまうと、思考の立脚点を誤ってしまい、正しい解(HOW)にたどり着けないのです。
ビジネスモデルによっては、タッチポイントにおいて検索チャネルの重要性が極めて高い場合には、上位表示をすることのリターンも大きいでしょう。徹底してリソース投入することは否定するつもりは一切ありません。むしろガンガンやった方がいいですよね。
ただ、みなさんご存知のように、「SEO的に」の議論はだいたいにおいて無意味だったりするよね、という話だと思います。結果としてSEOに効果がある、ってことはクエリや施策によってはあるでしょうが、考え方を誤ってしまってはいけないということ。
いつぞやの「ページスピード改善はSEO的に効きますか?」みたいな話に近いです。SEOに効かなくても、読み込み速度が遅ければ離脱が発生して、そりゃあサイトで目的を果たしてくれないよね、と。全体の観点から考えることです。
ソーシャルメディアマーケティングは誤解が多い領域です。安易に取り組んでも、思ったような成果につながりにくい領域です。だからこそ、本質的に捉えて、本質的な価値提供ができる施策を遂行していきたいところ。本質的な施策を考えられるように、捉え方を変えて、思考の立脚点を正していきたいところ。
思考の立脚点を誤って置いてしまうと、ビジネスを伸ばす変数に霧がかかって見えなくなってしまいます。
SEO的によりも、マーケティング的に考える必要性が、この昨今はますます高まっているのだと強く感じます。
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