株式会社ホットリンクと普千(上海)商務諮訊有限公司では、中国本土で話題になっている事件・社会現象等を「新浪微博(シナウェイボー)」データより分析し、中国に進出している日系企業に向けてお届けします。
日中首脳の直接会談は実に3年ぶりで、尖閣諸島の国有化以来冷えきっていた日中関係改善の第一歩として、日本のメディアでも大々的に取り上げられました。両国首脳会談の実現は中国のメディアでもビッグニュースとして取り上げられており、「日本の要請に応じて」というフレーズはしっかりと強調されているものの、何れのメディアも概ね好意的に報道しています。
习近平“严肃”见安倍 中日迈改善关系一步
(習近平国家主席“厳しい表情”で日本の安倍首相と会見、中日関係改善の第一歩へ)
http://news.qq.com/a/20141111/004161.htm
习近平应约会见安倍晋三 专家:应约会见符合各方期待
(習近平国家主席安倍首相と会見、専門家:会見は両国の期待に沿うもの)
http://news.dahe.cn/2014/11-11/103743930.html
また今回の日中で発表された声明の内容から多くのメディアで、日本の安倍首相の靖国不参拝の確約を得た、領土問題の存在を認めさせた等、中国の外交的勝利をアピールする記事もみられますが、一方で声明内容の理解については両国間で相当の隔たりがあることを指摘しているメディアもあり、両国首脳が直接会談を行なったことは評価するものの、声明の内容については中国メディアの中でも評価が分かれるところです。
中日首次"明文"表示钓鱼岛问题存在"不同主张"
(中日両国初めて“魚釣島問題には異なる主張が存在する”ことを認める)
http://www.mnw.cn/news/top/818985.html
このように、メディアは概ね好意的に受け取られている3年ぶりの日中首脳会談ですが、中国の一般国民は今回の会談をどのように考えているのでしょうか。今回は新浪微博(シナウェイボー)に書き込まれた今回の両国首脳会談に関する内容を分析し、国民の本音を探ってみたいと思います。
【今回の日中首脳会談に関するウェイボー上の意見】
※調査期間:2014年11月10日‐14日21時までの書き込みを集計
※調査対象:新浪微博(シナウェイボー)
新浪ウェイボー上の書き込みの論調をみると、今回の日中首脳会談については、ネガティブな書き込みを行なっているユーザーは全体の2割にとどまっており、半分弱のユーザーが今回の会談を好意的にとらえていることが分かります。少なくともネット上では多くの国民が今回の会談に対してポジティブにとらえていると言えそうです。
●ポジティブな書き込み例
- ・3年間も会わないほうがおかしいよ、問題あるときほど会って話さないと
- ・安倍さん何だかんだで勇気あるよねえ、政治家にむいてるよ
- ・仲良くが一番さ
- ・中国はAPECのホストとして面子が必要だし、安倍さんは外交上のポイントになるわけで双方にとってはまあ良かったんじゃないの
- ・お互い満面の笑みってのもおかしいだろうし、会ったってことが重要だよ
●ニュートラルな書き込み例
- ・二人のあの顔、まあ無理もないか、いろいろあった相手と初めて会うんだから
- ・顔がかてー、うちの主席の仏様みたいな無表情はこういうときに得だよな
- ・安倍さんって小さいね、うちの主席がでかいのか
- ・減るもんじゃないし会っとけ会っとけ
- ・安倍さんは奥さんのほうが堂々としている・・・
- ・安倍さん国会解散するだってねえ、せっかく中国来て主席にも会ってポイントあげたのに長くやる気ないのかなあ
●ネガティブな書き込み例
- ・おいおい、戦争だとか言ってたのは何だったんだよ、異なる意見が存在することを認めるってことは釣魚島が固有の領土であるっていう主張が崩れるだろうに、安倍にしてやられたようなもんだ畜生
- ・共通認識とか言っといて、帰ってそうそうに領土問題は存在しないとか外相がほざくわけだから、中国政府の間抜けぶりと日本政府の狡猾さだけが残ったね
- ・何があっても絶対に会わない韓国の大統領を見習え!
- ・結局戦争を賭しても我が国固有領土を守るとかそういうのは口だけだよ、政治的に得があるなら嫌いな相手とも握手もする、政府に煽られて愛国やらさけんだ奴らだけがバカをみる、まったく腐った世の中だ
まとめ
書き込み内容をみるとポジティブな書き込みは、声明の具体的な内容はあまり触れず、両国の首脳が直接会談を行なったことを評価する声が多いようです。安倍首相、習近平国家主席の顔の表情が硬いことについては、喧嘩して3年会わなかった相手と満面の笑みで握手するほうが逆にうそ臭いという声もあり、安倍首相の表情もそれほど批判の対象にはなっていないことがわかります。
逆にネガティブな意見の場合は、両国が今回発表した声明に関する具体的な内容に触れての批判的な意見が多くなっているのが特徴といえます。特に批判の対象となっているのは、中国のメディアや政府が宣伝している「日本側が尖閣諸島(中国側は釣魚島)について異なる考えが存在することを認めた」という点についても、中国のネットユーザーは「そもそも釣魚島は中国の固有の領土、戦争を賭しても守ると言っていたのに、今さら日本側が異なる意見の存在を認めた」ということを得意げに宣伝するのは道理に合わないとむしろ中国政府の対応を批判する声が多いようです。
3年ぶりの首脳会談の実現によって日中関係が改善の方向に向かうことは、特に日中両国の経済界から切望の声が強いと言われていますが、ネット上の国民の声をみても、多くの人々が日中関係が改善することについて概ね好意的です。日中首脳が一度会っただけで今すぐに両国の関係が突然友好的になることはないと思いますが、国民レベルでも今回の会談はポジティブに捉えられているわけですから、今後両国の関係が改善に方向に向かっていく可能性は十分にあると考えられます。
以上
※本リリースに掲載する社名または製品名は、各社の商標または登録商標です。