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AIでデータ処理や英文対応を効率化! アナリティクス部によるAI活用術

2025年02月26日
AI・WEB3

最終更新日:2025年3月17日

ホットリンクでは、2024年7月より生成AIツールの活用を本格化させ、現在は業務のAI化を全社で推進するプロジェクトを進めています。

アナリティクス部では、お客様対応を担うCS(カスタマーサポート)や、SNSデータの分析レポート作成、検索式の変換などを行うデータ処理にAIを活用しています。その一例として、従来5営業日ほどかかっていた検索式の変換作業を、生成AIツールで作成したマクロによって1日で完了できるようになりました。これにより、大幅な工数削減を実現しています。

本記事では、ホットリンクのアナリティクス部における具体的なAI活用事例や、今後の展望について話しています

※この記事は、ホットリンクのコンテンツ制作を担うマーケティング部が作成したフローに則り、ChatGPTなどのAIツールを活用してアナリティクス部が取材・執筆したものです。

(取材・執筆:宮石 麻理恵 編集:髙橋 真穂)

この記事に登場するメンバー


株式会社ホットリンク アナリティクス部 部長

蕨野 桂一郎
2015年、ホットリンク入社。SNSデータ分析のスペシャリスト。現在はアナリティクス部部長として、Instagram分析ツール「hashpick」やダークウェブサービス「DarkOwl」のカスタマーサクセスを担当。

 


株式会社ホットリンク アナリティクス部 リーダー

大沢 拓海
2021年、ホットリンク入社。それ以前は、メディア運営やWEB広告業界で、営業や経営企画などの業務を幅広く経験。「hashpick」の顧客対応の中心役として、カスタマーサクセスの業務を担う。XやInstagramの分析業務にも携わる。

業務の変化に伴ったAI推進

――まずは、お二人の自己紹介も兼ねて、業務の担当範囲をお聞かせください。

蕨野:私は主に、ダークウェブサービス「DarkOwl」のセールス関連を担当しています。直近では、ソーシャルメディア分析ツール「Meltwater」への移行作業を推進しています。

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大沢:私は、Instagram分析ツール「hashpick」のCS業務を中心に、利用ガイドの整備を担当しています。また、営業メンバーが精度の高い提案を行えるよう、市場動向やクライアントのSNS分析データを提供し、課題を整理しています。その分析結果をもとに、営業資料の作成や戦略立案をサポートすることもあります。

――では、アナリティクス部におけるAI活用の概要や方針についてお話しいただけますか。

蕨野:アナリティクス部の業務は、大きく2つに分かれています。お客様とのコミュニケーションを行うCS業務と、データ処理や分析レポート作成などの分析業務です。

 昨年末から業務体制が変化し、現在はMeltwaterへの移行作業を進めながら、営業の提案時に活用する市場分析や競合調査、SNSデータの整理・集計の効率化に取り組んでいます。さらに、それらのデータを活用し、営業の提案に役立つ提案書や市場調査レポートの作成も強化しています。

 業務の変化がたくさんある状況だったため、「各々の業務でひとまず使ってみましょう」という方針で取り組んでいきました。

大沢:そうですね。以前は問い合わせ対応でのAI活用が多かったですが、現在はレポート作成やデータ整理などに活用することが増えていますね。いずれの業務でもAIを取り入れて、それぞれの作業に応じた活用を進めています。

英文メールからマクロ作成まで。AIで知識を補った効率化

――アナリティクス部としての業務の変化があった中、具体的にどのような工程でAIを活用していますか。

蕨野:CS業務では、お客様からの問い合わせ対応の中で、アメリカのパートナー企業に確認が必要な場合、英語でのやり取りにChatGPTを活用しています。私自身、英語はある程度読めるのですが、ビジネスメールを作成するのは難しく感じていました。そこでAIに「お客様との関係性を考慮し、適切なビジネス表現を選択してください」と指示すると、ビジネスシーンにふさわしい文面で翻訳してくれるので非常に便利です。そのおかげで、1通あたりの作成時間が三分の一に短縮されました。

 契約書の翻訳にも活用しており、ChatGPTにPDFをアップロードし、契約書の内容をAIに要約させることで、工数を削減できています。翻訳の精度も高く、約9割はそのまま使えるレベルです。細かい表現の違和感がないかは目視で確認し、必要に応じて他の翻訳ツールも併用しています。「契約期間はどこに記載されていますか?」「解約条項の内容を教えてください」などと質問をすると、日本語で言及箇所について教えてくれるので、スムーズにやりとりできるようになりました。

 このように機密情報を扱う際には、セキュリティ面にも考慮が必要です。ホットリンクではChatGPT Teamプランを利用しており、入力したデータがAIの学習に使用されない仕様になっているため、契約書の翻訳作業にも安全に活用できています。

 そのほかの業務では、データ処理の一環として、Meltwaterへの移行作業を進める際にAIを活用しました。以前のツールとはキーワードの検索の仕組みが異なるため、登録済みのキーワードを適用するために、AIでマクロを作成し、Meltwaterの検索式に変換しました。

 従来のツールでは、メインキーワード、ANDワード、ORワード、NOTワードがそれぞれ別のカラムに分かれ、各カラムには複数の単語が含まれていました。登録されたキーワードは約3,500件にのぼり、手作業での管理が難しく、Meltwaterの検索式に変換するには、いくつかのルールを適用する必要がありました。

マクロを作成した際のChatGPTとのやり取り

蕨野:例えば、「複数語の場合は括弧で括る」「メインキーワードは『OR』で結ぶ」「ANDワード内の単語は『AND』で結ぶ」などの細かい指定が求められ、手作業での変換は非常に負担が大きく、時間のかかる作業でした。

 そこで、AIを活用してマクロを作成し、変換作業を自動化しました。その結果、手作業で5営業日以上かかる工程を1日で完了できました。

――複雑な作業の工数も、大幅に削減できてますね。大沢さんはいかがですか?

大沢:私は、顧客対応における事前調査でAIを活用しています。新しい取引先への提案時に、企業の情報を調べて、事業内容や課題を事前に把握して、スムーズに提案できるように情報をまとめます。手作業だと、1社あたりの調査で30分〜1時間かかっていましたが、ChatGPTを活用することで5〜10分ほどに短縮できています。

 例えば、hashpickを提案する場合は、それをChatGPTに「こういう提案をしたいので、◯◯◯◯会社について調査して」と指示をします。そうすると、調べたい企業の特徴や直近の取り組みなどが、下記のように整理された状態で返ってきます。

大沢:hashpickの提案に関連するポイントもまとめられているので、打ち合わせ前にお客様の概要や課題を把握しやすくなります。

 その情報をもとに、打ち合わせでは「御社の事業領域では、こうした動きが見られます」「直近で◯◯の取り組みをされていますが、このような課題はありませんか?」といった視点から、業界動向や企業の取り組みを踏まえた具体的な提案につなげることができます。

 これにより、事前調査の効率化にとどまらず、お客様にとってより的確な示唆を提供し、提案の質を高めることができます。

業務に最適なAIツール選びと再現性の向上

――業務のさまざまな工程で効率化が進んでいますね。その中で、課題に感じる部分はありますか?

蕨野:適切なプロンプトでないと、想定よりも作業時間がかかってしまう点が課題ですね。

 例えば、マクロ作成では、ほぼ知識がない状態で進めたので、何度もChatGPTに「◯◯◯◯がうまく動かないです。問題点を教えてください」と聞きながら試行錯誤を重ねました。最終的に作成できたという点では、ChatGPTを活用できたと感じますが、求める回答を得るまでにやり取りが増え、時間がかかってしまいました。

マクロを作成した際のChatGPTとのやり取り
エラー発生時にChatGPTを活用して解決していた様子

蕨野:今後は効率化や安定したアウトプットを目指すためにも、プロンプトの質を高めていきたいと考えています。

大沢:AIへの指示が具体的でないと、期待する回答を得られないことが多いですよね。

 最近はWordファイルでの分析書面の作成や、さまざまな書類の整理などが増え、AIを活用した文章作成も増えています。しかし、AIが作成した文章は特有の機械っぽさが残っていることが多いです。

 特に、分析業務やレポート作成では、より自然な表現や、適切な情報整理が求められるので、AIの活用もそれに合わせて見直していく必要があると思っています。部内でもより効果的にAIを活用できるよう、アナリティクス部の業務に役立つプロンプトをNotionにまとめ、共有しました。

Notionに作成したアナリティクス部の業務に役立つプロンプトまとめ
Notion上でトグルを開くと具体的なやり方やプロンプトが表示されます

蕨野:具体的な活用方法を整理したことで部内からの反応も良く、実際に使う中で「こういうプロンプトも良さそう!」といった声が部会などで挙がるようになりました。

――最後に、アナリティクス部として、今後どのようにAI活用を進めていきたいですか。

蕨野:引き続き、分析・提案系業務やドキュメント作成の部分をはじめ、それぞれの業務に合わせたAI活用を進めます。

 また、チーム全体でAI活用に取り組む姿勢も強化していきたいです。定例会でAI活用の事例を共有するだけでなく、「このプロンプトを試したら良かった!」など、日常的にSlackなどで気軽にシェアしていきたいですね。

大沢:そうですね。あとは、先ほどの課題でもお話ししたように、機械っぽい文章の出力を減らすために、適切なプロンプトを設計したいです。そのために、Notionにまとめたプロンプト集を実際に活用しながら、より自然な文章を生成できる効果的な指示の方法を模索していきます。そこから得られた知見はガイドラインに取り入れ、随時更新していきます。

 また、ChatGPT以外にもさまざまなAIツールがあるので、それぞれの得意・不得意を調べながら、他に活用できるツールがあれば導入していきたいと考えています。業務ごとに最適なAIツールを選び、さらなる効率化を目指します。

――蕨野さん・大沢さん、ありがとうございました!

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