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想起集合(エボークトセット)とは?顧客に選ばれるブランドを作る戦略と調査方法、成功事例を紹介

更新日:2026年4月24日
公開日:2026年4月24日
SNSマーケティング

「認知はされているのに、購入時の候補に入らない」。こうした課題の背景には、マーケティングにおける「想起集合」の設計不足があります。本記事では、想起集合の定義から、想起集合に入れない原因、入るための戦略、そして自社ポジションの調査方法、成功事例までを一気通貫で解説します。

想起集合(エボークトセット)とは?

想起集合とは、消費者がある商品カテゴリの購入を検討する際に、自然と頭の中に思い浮かべるブランドや商品の候補群のことです。英語では「Evoked Set(エボークトセット)」と呼ばれ、購買行動の起点を説明するマーケティングの基礎概念として位置づけられています。

想起集合の定義と一般的な数

想起集合は、消費者が持つすべての認知ブランドの中から、購買時に能動的に選択肢として浮かび上がるブランドに絞り込まれたものです。古典的には、1カテゴリあたりの想起集合は3〜5個程度とされてきました(Hauser & Wernerfelt, 1990)。しかし近年の日本では、想起集合が平均2個以下と報告されている消費者調査もあり、購入時に思い浮かべるブランドはごく少数にとどまるのが実態です。

つまり、どれだけ認知度が高くても、この数個のリストに入らなければ購買対象にすらなりません。想起集合に入ることは、ブランドが「選ばれる土俵」に立つための最低条件だと言えます。

身近な例で理解する想起集合

想起集合の概念を理解しやすい身近な例を挙げます。

- 「ビールといえば?」 → アサヒ、キリン、サッポロ、エビスなど

- 「コンビニといえば?」 → セブン-イレブン、ファミリーマート、ローソン

- 「検索エンジンといえば?」 → Google、Yahoo!

ここで思い浮かんだブランドが、あなたにとっての想起集合です。逆に言えば、ここに挙がらないブランドは、そのカテゴリの買い物において選ばれる可能性が極めて低い状態にあります。

想起集合がマーケティングで重要な理由|購買候補に入る最低条件

想起集合がマーケティング戦略の中核に据えられる理由は、購買行動の構造にあります。消費者はカテゴリ内のすべてのブランドを比較検討しているわけではなく、頭に浮かんだ数個の中から意思決定を行っています。

想起集合に入らないブランドは比較検討されない

購買プロセスでは、ブランドが「知られている」だけでは不十分です。購入を思い立った瞬間に想起されなければ、いくら店頭で目立っても、いくら広告を打っても、そもそも比較対象として検討されません。マーケティング施策の多くが「認知」や「理解」を目指しがちですが、本当に成果につなげるには「購買文脈で想起される状態」を作ることが必要です。

購買される文脈のことをCEP(カテゴリーエントリーポイント)と呼びます。

カテゴリーエントリーポイントについては下記記事で詳しく解説しているのであわせてご覧ください。

関連:CEP(カテゴリーエントリーポイント)とは?顧客に想起される文脈の重要性を解説

デジタル・AI時代に想起集合の重要性が増している背景

オンライン上で検索エンジンやAIエージェントを用いて簡単に比較検討される時代において、「コスメ おすすめ」のような一般キーワードにおける競合性は高まっています。

一方でブランド名や商品名のような指名検索キーワードにおいては他社と比較されづらく、実際にヤフーの検索データによると、指名キーワードで検索したユーザー群のサイト訪問後のCVR(購入などのアクション率)は、一般キーワード検索経由で訪問したユーザー群と比較して約12倍高いことがわかっています。

つまり、デジタル上の購買行動を動かすには、検索の前段階、すなわち想起の瞬間にブランド名が浮かぶ状態を作り、指名検索される状態を作る必要があるのです。

関連:指名検索を増やす5つの方法!成功事例や少額予算でも可能な施策を紹介

想起集合と関連する概念

想起集合を理解するには、関連する用語との違いを整理しておくことが欠かせません。ここでは混同されやすい4つの概念を整理します。

想起集合の構造

用語

定義

ブランド数の目安

入手可能集合(Available set)

市場で購入可能なブランド全体(消費者はこの中から選択する)

カテゴリ全体(数十〜数百個)

知名集合(認知集合)

「知っている」レベルのブランド群

10〜30個

処理集合(Processed set)

情報を処理・評価し、態度を形成したブランド群

5〜10個

想起集合(エボークトセット)

購買検討時に自然と思い浮かぶブランド群

3〜5個(近年の日本国内調査では平均2個以下)

第一想起(トップオブマインド)

最初に思い浮かぶブランド

1個

 

認知から購買に近づくほど、候補は絞り込まれていきます。このフローにおける各集合に自社ブランドが入るようにすることが、ブランド戦略の基本です。

各概念について詳しく解説していきます。

入手可能集合とは

入手可能集合は、特定のカテゴリ内で市場に流通している、消費者が物理的に購入できるブランド全体を指します。購買に至るまでの各集合における最上位集合で、想起集合や知名集合はいずれもこの入手可能集合の子階層にあたります。

マーケティングの出発点として、自社ブランドが入手可能集合に入っているか、つまり販路や流通の観点で消費者の手に届く状態にあるかを確認することが前提となります。BtoCではECモール・実店舗への掲載、BtoBでは取引可能ベンダーリストへの登録などが、入手可能集合に入るために必要になります。入手可能集合に入っていないブランドは、そもそも後工程の検討プロセスに進むことができません。

知名集合とは

知名集合は、入手可能集合のうち消費者が「名前を聞いたことがある」「見たことがある」と認識しているブランド群を指します。広告接触、店頭露出、SNS投稿、口コミなど、何らかの形で認知の接点を持ったブランドが入り、一般的に1カテゴリあたり10〜30個程度です。

ただし、知名集合に入ったからといって購買候補になるとは限りません。「知っているだけで選ばれないブランド」は、次段階である処理集合や想起集合に進めず止まっている状態です。認知度調査で測られるのはこの知名集合の広さですが、認知度だけを指標にすると「覚えられているが選ばれない」状態を見逃しやすくなります。

処理集合とは

処理集合は、知名集合のうち消費者がブランドの情報を実際に処理・評価し、何らかの態度を形成したブランド群を指します。Brisoux & Laroche(1980)のブランド・カテゴライゼーション・モデルで定義された概念で、知名集合と想起集合の中間に位置づけられます。一般的に5〜10個程度です。

単にブランドを知ってもらうだけでなく、接触したときに肯定的な態度形成へ誘導する情報設計が、処理集合から想起集合への移行を左右します。

想起集合と第一想起(トップオブマインド)の違い

第一想起(トップオブマインド)は、想起集合の中でも最初に頭に浮かぶブランドを指します。第一想起されるブランドは購買確度が最も高く、カテゴリ代表として扱われます。想起集合に入ることが「選ばれる候補になる」条件だとすれば、第一想起はその中で「最も選ばれやすい状態」を指しています。

純粋想起と助成想起の違い

調査手法の文脈では、「純粋想起」と「助成想起」という区別も重要です。

  • 純粋想起: ヒントなしで「○○カテゴリといえば?」と聞かれてブランド名を挙げる状態。想起集合の中核。
  • 助成想起: ブランド名のリストを提示されて「知っているか?」と聞かれて答える状態。認知集合に近い。

想起集合を測りたい場合は、純粋想起で調べるのが基本です。

ブランドが想起集合に入れない原因

「知名度はあるのに想起されない」という状態の場合、CEP(どんな文脈で思い出してもらうか)が設計されていないケースが考えられます。たとえば「疲れたとき」「週末の家族との食事で」「提案資料を作るとき」など、具体的な生活・仕事シーンとブランドが紐づいていないと、購買文脈で想起されません。

想起集合に入るための3つのマーケティング戦略と具体戦術

ここからは、実際に自社ブランドを想起集合に入れるための3つの戦略を紹介します。

戦略1: ブランドアセットの確立

想起しやすさを高めるには、ブランドの識別記号(ロゴ、色、キャラクター、音、決め台詞)を一貫して使い続けることが有効です。広告やパッケージ、SNS投稿で同じ記号を繰り返し露出することで、消費者の脳内でブランドの記憶が形成されやすくなります。

戦略2: カテゴリーエントリーポイント(CEP)を特定する

続いて、自社商品が使われる・選ばれる文脈(CEP)を洗い出しましょう。

顧客調査やSNS上の発言などを元に、自社ブランドの購買につながる文脈を「目的」「時間」「場所」「利用する前後」「併用するもの」「代用品」「一緒に利用する人」「感情」などの切り口から洗い出します。現状の自社ブランドとの結びつきの強弱を評価し、強化優先度の高いCEPを決定しましょう。注力CEPが決まったら、消費者の脳内で自社ブランドとCEPの結びつきを強化することを目的としたマーケティング・コミュニケーションを継続します。

想起集合に入るためにカテゴリーエントリーポイントを定義する

戦略3: SNSでのUGC創出で無数のCEPとの接続を強化する

広告発信で想起を強化できるのは特定のCEPに限定されますが、実際には強化すべき文脈は無数に存在します。そこで鍵になるのが、生活者自身がブランドを様々な文脈で語るUGCです。SNS上ではさまざまなユーザーが、それぞれの文脈におけるブランドに関するUGCを投稿しています。そのため、企業が発信する広告では拾いきれない無数のCEPを生活者起点のUGCで強化することができます。

ホットリンクでは、UGC起点で想起され、指名検索が増え、購買につながる一連のフローを「ULSSAS(ウルサス)」というフレームワークで可視化しています。

UGCを活用して無数のCEPで想起集合入りする

ULSSASの具体的な施策についてはお気軽にホットリンクにお問い合わせください。

ホットリンクに相談してみる

自社の想起集合ポジションを調査する3つの方法

施策の前後で効果を検証するには、自社が顧客の想起集合にどの程度入っているかを定量的に把握する必要があります。ここでは代表的な3つの調査アプローチを紹介します。

方法1: アンケート調査(純粋想起・助成想起)

最も基本的なのが、純粋想起と助成想起を組み合わせたアンケート調査です。

STEP 1: カテゴリ利用者にヒントなしで「○○といえば思い浮かぶブランドを3つ挙げてください」と質問する(純粋想起率を測定)

STEP 2: ブランド名のリストを見せて「知っているブランドを選んでください」と質問する(助成想起率・認知率を測定)

STEP 3: 純粋想起・第一想起・助成想起のスコアを競合と比較し、認知は取れているが想起されていないブランドを特定する

この調査を四半期〜半年ごとに継続することで、想起集合内のポジション変化を追跡できます。

方法2: ソーシャルリスニングで想起文脈を把握する

SNS上の投稿データを分析することで、「どんな文脈で自社・競合が語られているか」が見えてきます。X(旧Twitter)やInstagramの投稿を対象に、ブランド名とその周辺に出現する共起語を抽出すれば、どのCEPで自社が強く、どのCEPで競合に負けているかが明らかになります。アンケートでは把握しづらい生活文脈のリアルなデータが取れる点が強みです。

ホットリンクが提供する「hashpick」では、ブランドごとの投稿量や言及文脈を確認することが可能です。

方法3: 検索データ・指名検索数で想起強度を測る

ブランドへの指名検索数は、想起集合における強度を示す有力な代替指標です。Googleトレンド、サーチコンソール、Ahrefsなどのツールで、競合と自社の指名検索数を比較すれば、市場内での想起ポジションを可視化できます。SNS施策や広告の前後で指名検索数がどう変動したかを見ることで、想起集合への入り込みが進んでいるかを判断できます。

これら3つの方法を組み合わせることで、アンケートの定点観測・SNSの文脈分析・検索データの行動指標という3つの角度から、自社の想起集合ポジションを立体的に把握できます。

SNS・UGCで想起集合入りに成功した事例

1945年に創業された、アメリカの老舗ソーセージブランドのジョンソンヴィル様はブランド想起の向上を目的にSNSのUGC活用に取り組みました。

特に注力したのは、CEP(カテゴリーエントリーポイント)における想起の強化です。

消費者調査を元に、「BBQ食材といえば」「パーティー食材といえば」「休日のぜいたくなランチといえば」「ビールのお供といえば」「キャンプといえば」などのブランド戦略上注力するCEPを決めました。

Xにおいて、UGCが投稿されやすいフォロワー基盤構築に注力しました。インフルエンサーやタレントを起用し、「バーベキュー」「ビールと一緒に」といった、特定のシーンをイメージさせる訴求企画も実施。

発生したUGCのリポスト運用も実施し、1年でクチコミ数が9倍まで増加。ブランド想起の強化に大きく貢献しました。

SNSで想起集合入りに成功した事例

事例詳細:商品の「自分ごと化」を促し、1年でクチコミ数が9倍に! 売上アップも実現した老舗ソーセージブランド、ジョンソンヴィルのSNS活用

InstagramではCEPごとに、ジョンソンヴィルのソーセージを利用した写真素材やレシピ動画を制作。

モーメントやCEPに合わせた投稿や、UGC投稿企画を継続しました。

特に注力したのが、クリスマスやハロウィンなどの季節のイベントです。

「クリスマス」「クリスマスディナー」など、シーズン中にInstagramユーザーが検索するキーワードを狙ってレシピ動画を投稿し、広告配信も実施。

ターゲットとしていたクリスマス関連のキーワードで軒並み上位表示に成功し、多くの「保存」を獲得。結果として公式のレシピを真似した、狙ったCEPにおけるUGCも数多く投稿されました。

事例詳細:【成功事例】食品ブランド向けInstagram施策 カギはブランド戦略に紐づいたUGCの活用

ブランド想起を高めるホットリンクのSNSマーケティング支援

ホットリンクではSNSのビッグデータ解析をもとに、購買につながる文脈におけるブランド想起を高めるUGC創出企画のご提案が可能です。

クチコミデータを活用した消費者インサイトの抽出から、UGCを起点としたマーケティング戦略の立案・実行まで、一気通貫でサポートいたします。

詳細をご希望の方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

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