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この記事の内容
最終更新日:2023年9月1日
各業界で活躍するさまざまなプロフェッショナルとの対談企画「ザ・プロフェッショナル」。今回は、ホットリンクが運営する女性向けメディア「fasme」とのコラボレーションで、女性のキャリアや生き方にフォーカスした「fasme presents ザ・プロフェッショナル」をお届けします。
今回のゲストは、キャリアに特化したパーソナルトレーニングサービス「POSIWILL CAREER」などを提供するポジウィル株式会社で執行役員を務める岡 千尋さん。モデレーターは、「fasme」の運営にも携わっているホットリンクのSNSコンサルタント・富井真歩です。
岡さんはポジウィルの執行役員として、一人でも多くの方が自分に合った仕事に取り組める世界の実現に励んでいます。自身もキャリアに悩む20代を過ごし、現在は理想的な状態で仕事にも家庭にも向き合えていると言います。
仕事と家庭との両立について悩む女性に向けて、岡さんが考えるキャリア論を語っていただきました。
(執筆:水落絵理香 撮影:市村円香 編集:倉内夏海)
関西学院大学卒業後、紀陽銀行にて約2年間勤務。その後、リクルートキャリアや株式会社CRAZYを経て、ポジウィル株式会社にジョイン。キャリアコンサルタントとして相談者と向き合う傍ら、新規事業の立ち上げなども担当。2023年6月に第一子誕生。
富井: まず、岡さんの担当業務を教えてください。
岡: 執行役員として、キャリアに悩む相談者とコミュニケーションをとる部署全体のフォローとキャリアカウンセラーの育成、新規事業の立ち上げなどを担当しています。
ポジウィルに入社する以前から、個人に対するキャリア支援をやってみたいと思っていました。CEOの金井芽衣が一人でポジウィルを立ち上げて、SNSでの発信を強化していた頃、「考えが合いそうだし協力したい」と思ってコンタクトをとり、副業として関わったところから現在に至ります。
富井: ポジウィル社が提供されている「POSIWILL CAREER」は、どのようなサービスですか?
岡: 相談者に対し専任のカウンセラーがついて、1対1でキャリアのトレーニングを実施していくサービスです。
今は価値観が多様化し、選択肢の幅も広がったことで、キャリア形成に悩む方が増えています。そこで、キャリアコーチングで自己分析・自己理解を促し、自分にはどのような仕事が合っているのかを一緒に探っていきます。
富井: 明確に「こうなりたい」というビジョンをもっている方よりも、自分自身のキャリアや未来に迷いがある方からの相談が多いのでしょうか。
岡: はい。むしろ、明確な未来を持っていない方が9割近くを占めています。
やりたいことがわからない方に対して、まずはコーチングを通じて内面を掘り下げ、自分が持つ価値観や特性を見つけるために伴走させていただくケースが多いですね。
富井: 単に仕事選びがスムーズになるだけでなく、生き方や価値観に大きく影響しそうですね。
岡: まさしく、そこが私たちのサービスの特長です。新たな自分に気付けたとか、自分に合った選択ができて前向きになれたというお声をいただくことが多いんです。
あと、相談者様のお話を聞いていると、子供時代や社会人で経験した挫折を引きずって、なんとなく自信を持てない方が多いです。失敗を捉え直して前向きになれるようなアドバイスも心がけています。
富井: 例えば女性には、どのような悩みをもつ方が多いのでしょうか。
岡: 「仕事をがんばりたいけど、プライベートもおざなりにしたくない」という方が多いですね。
最近だと、場所や時間にとらわれない働き方をしたいという方が増えています。でも、「今の自分のキャリアと理想とのギャップがありすぎて、どう到達すればいいかわからない」という方も多くいらっしゃいます。
あとは、すごく我慢して働いてきた職場に、出産後も復帰するべきなのか……など、ライフイベントの前後で悩まれる方は多いですね。
富井: 岡さん自身も仕事にかなりコミットされながら、今年6月にお子様を出産されましたよね。もともと、結婚・出産についてどのような考えをもっていましたか?
岡: 私の母は専業主婦なのですが、「本当は働きたかった」とよく話していました。
そんな母の姿を見て、小さい頃から無意識に「私は仕事も家庭の幸せもどっちも取れる人生がいいな」と漠然と思っていたんです。結婚も出産も納得した仕事に取り組むことも、全部諦めたくないなと。
富井: 私も、岡さんと近い感情があります。
私の場合は母親が教師をやっていて、バリバリ仕事をしながら完璧に家事をこなすタイプで、小さい頃からその姿に憧れていました。ただ、社会人になった今だからわかりますが、仕事と家事の両方をきちんとこなすのは決して簡単ではないんだろうな……と感じています。
岡: そうなんですよね。私も、仕事と家庭のどちらも諦めない人生にしたいと思いつつ、20代になってから「そんなに甘くなかったな」と痛感しました。
正直、キャリアプランはほとんど考えていなくて、1社目に地元の銀行を選んだのも、「定時退社できて、給料も良い会社に入りさえすればなんとかなる」と思っていたからなんです。
でも、実際に入社してみると、銀行の社風に合わないことに気づきました。決められたことを細かいところまで徹底してやらなければいけないんですが、それが本当に苦手で。結果的に2年ほどで辞めました。
そこから、もっと自分自身に力をつけたいと思い、リクルートキャリアに入社しました。こちらは自分の性格ともすごく合っていて、4年ほど働きました。ただ、仕事にのめり込む中で迷いが出てきたんです。
富井: プライベートに関する迷いでしょうか。
岡: はい。仕事はすごく楽しいし、成長できるし、会社も好きだし、周りの人も好きだけど、ライフイベントを迎える余白が全くないなと、27~28歳のタイミングで気づいたんです。
このままだと、もし子供が生まれても、育児をやりきれない自分を責めそうだなと。なので意を決して、当時は珍しい、リモートかつフルフレックスで働ける会社に転職しました。
責任は重くなるけど、時間や場所の制約がない環境のほうがいいのかな、こういう環境のほうが、長い目で見たときに働きやすいのではないかなと考えたんです。その後に入社したポジウィルもリモートワークで、現在も満足度高く働けているので、この選択は間違っていなかったのだと思います。
このように、20代は失敗を重ねながら、自分に合う働き方やプライベートとの向き合い方を模索していましたね。
富井: ポジウィル社での働き方について、もう少し詳しく教えてください。
岡: ポジウィルは、コロナになる前からリモートワークを推奨していましたし、働く時間や働く場所に関しても柔軟です。この環境であれば、例え結婚や出産をしても成果を求めて働きながら、合間に家事をして……という行き来がしやすいなと感じました。
代表の金井自身、女性が働きやすい環境や制度に関する情報は敏感にキャッチしていますし、しっかり成果を出せば制約なく働けるというのは、創業当初から意識していたのだと思います。
富井: 妊娠前と現在を比べて、大きく変わった部分はありますか?
岡: 妊娠前はハードワーカーだったので、時間を気にせず仕事をしていることが多かったのですが、妊娠期間は自分ではコントロールできない体調の変化もあるので、どうしても時間を気にしたり、効率的に働かなくてはいけません。
そうやって制約ができたことが、私にはありがたくて。
ずっと垂れ流すように働いていたのが、時間を有効活用する意識が高まり、結果的に生産性がすごく上がりました。正直、育児中はパフォーマンスが落ちるのではないかと怖かったのですが、むしろ良い方向に働いていて、ストレスもあまり感じないですね。
よくSNSなどで「育児が大変で仕事どころじゃない」とか「つわりがすごくてつらい」という体験談を目にしていて、産後鬱になったらどうしようと不安になっていたのですが、そこまで重く捉える必要はなかったなと、今では思います。
岡: 妊娠前に、誰かから「そんなに深刻に考えなくていいよ」という言葉をかけてもらえていたら、もっと安心できたように感じます。
富井: 弊社の育児中の方々も、仕事の進め方が上手なメンバーが多いな……と思いながら、お話を聞いていました。妊娠・出産・育児中も、スムーズに仕事をこなすコツはありますか?
岡: 一人で全部やろうとしないことですね。
私が乗り越えられているのは、私がいなくても業務が回るような仕組みを、周囲も協力して作り上げてくれたからこそです。
だから、ライフイベントを迎える時にだけ甘えるのではなく、それを見据えて、日頃から社内で信頼を積み上げていくことが大切だと思います。
あとは、パートナーと対等であることもとても大事です。夫とは家庭内での役割が本当に平等で、夫が家にいるときは赤ちゃんのおむつを替えてくれたりお風呂に入れてくれたり、私がやっていることのほうが少ないぐらいです。
ここまでパートナーと対等にいられるのは、私自身が経済的にもキャリア的にも自立しているからだと思います。少しでも引け目を感じていたら、自分がやらなきゃと勝手に負担を増やしていたかもしれません。
富井: 信頼を積み上げるためには、どのような行動を意識すると良いでしょうか。
岡: 自分がやれることならなんでもいいと思うんです。要は、いかにGiveしていくかが大事で。
家族や身近にいる人でも、会社で関わる人たちでも、対象は誰でも良いんですが、「相手に対して何かできることはないか」というマインドを持ち続けることが大切です。
私の場合は営業がメインなので、誰よりも成果を上げることにコミットしようという背中を見せることが多く、それでメンバーが団結してくれることが多かったですね。常にGiveできることを考えながら、日々の業務に取り組んだり、コミュニケーションしたりするのが良いと思います。
富井: 今のお話を聞いて、仕事での成長や成功が、家庭にも活きてくるんだという発見がありました。結婚や家庭をもつことに向けて、新しく何かを頑張らなければいけないというわけではないと気づけてよかったです。
岡: 「仕事と家庭は峻別するべき」という考えもありはしますし、私も以前は仕事と家庭を分けなくてはと思っていました。
しかし、自分自身が出産したことで、もっとごちゃまぜにしてもいいんだなって気づいて。みなさんも「こうするべき」と考えすぎずに、もっと自由に軽やかに捉えていいんですよ。
富井: ありがとうございます! 働きながら家庭をもつことに、勇気がもてます。
それでは最後に、岡さんが描く理想の未来を教えてください。
岡: 自分のことを好きでいられて、自分が夢中になれることを見つけて、頑張れる人をたくさん輩出したいですね。その気持ちでずっとこの事業に取り組んでいるので、これからも引き続きがんばります。
あとは、いろんな方のキャリアトレーニングに携わるなかで、自己肯定感や自信の有無って、幼少期の経験がすごく影響しているなと感じていて。文部科学省による、このような研究結果も発表されています。
※参考: 令和2年度青少年の体験活動に関する調査研究結果報告 ~21世紀出生児縦断調査を活用した体験活動の効果等分析結果について~
一概に定義するのはとても難しいのですが、「子どもがのびのびと育つような、良い夫婦・良い家族ってなんだろう」というところにも、興味があります。その答えを見つけて、日本社会に提示できるような事業にもチャレンジしたいですね。
私自身の家庭に関しては、親も子供も同じように好きなことを見つけて、没頭できるような環境を作っていきたいです。
富井: 岡さん、ありがとうございました!
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