SNSコラム

SNSのKPI、間違った設計をしていませんか?

2022年07月12日
SNSコラム

最終更新日:2023年1月20日

SNS活用において、「KPIをどう設計すればよいか?」というご相談をよくいただきます。

この記事では、
・そもそも、KGI-KPIの本質とは?
・どのようなKPIの立て方が成果を生みづらくしてしまっているのか?
・SNSが台頭している今、必要なKPIの考え方

など、明確な成果に導くためのKPI設計を解説します。

SNSの戦略立案に関しては、こちらの記事もご覧ください。

参考:SNSマーケティング、戦略立案のポイント

KPI設計≒戦略設計

SNSのKPI設計は、「SNSマーケティング戦略をどう立てるか?」とほぼ同義です。

間違ったKPIの設計例4選

KPI設計は、実際に取り組んでみないと最適解が見つからないパターンも多いですが、間違ったKPIの立て方には明確なパターンがあります。失敗を知ることで、失敗を避けることは可能です。

よくある間違った例を紹介します。

①KGIと連動していない

「KPIマネジメント」とはそもそも、目標達成までのプロセスを管理するマネジメント法です。

KGI=「Key Goal Indicator(重要目標達成指標)」
KPI=「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」

KGIとは、売上などの事業の最終的な目標達成に必要な重要指標を指します。
KPIは、KGIを達成するための鍵となる指標です。

KGIが売上10億円だとしたら、そのKGIに到達するためにどのような行動が必要になるかを、具体的な数値で表したのがKPIとなります。

SNSにおいて、公式アカウントのフォロワー数だけをKPIに置いている場合、「フォロワー数を増やして、どうKGIに繋がるのか?」という視点が抜けてしまっていることが少なくありません。

KPIを「KPI単体」で考えていたならば、「このKPIはどうすればKGIに連動できるか?」と、考えるようにしましょう。

②MBOにすり替わっている

評価のための目標設計=MBOであるにも関わらず、KPIとして設計されてしまっている例も少なくありません。

「MBO」とは、「Management By Objectives」の略語。「目標管理制度」を意味します。
個人と組織の目標とをすり合わせて作る、個人の目標設定です。評価には、達成率がよく使われると思われます。

例えば、あなたがチームのマネージャーだとして、

「MBOで連動させるKPIとして、定量的に評価がしやすいフォロワー数を置こう。1万人獲得を目標に、達成度に合わせて賞与支給額を変動させよう」

という設計をしたとします。

しかし、あくまでこれはMBOであり「このKPIはどのKGIのための指標か?」という観点が抜け落ちています。
KGIに貢献するための的確な「KPI」を設計すべきところが、「人事評価に紐づく目標設計」にすり替わってしまうと、最適な KPIマネジメントは難しくなるでしょう。
社内でKPIという用語がMBO的な意味で使われてしまっており、そのまま浸透してしまっていないか、改めてチェックすることをオススメします。

③SNSの貢献がラストクリックのみ

例えば、ECサイトの売り上げアップのための因数分解を行なうとします。

例)
EC売上=客数×客単価

   客数=新規客+既存客

    新規客=流入数×CVR

     流入数=SEO経由流入+広告経由流入+SNS経由流入……etc.

このような因数分解からKPIを立てると、「CVを増やすにはUUを増やす必要がある」という考えから、
「SEO経由の流入や広告経由の流入、SNS経由の流入数を増やす
→いかにラストクリックコンバージョンを増やせばいいか?」
という結論に至る可能性があります。


Aさんの購買例
Twitterの企業アカウントの投稿を見た後、Googleで自社ECサイトを検索し、ECサイトを立ち上げ、購買

Bさんの購買例
企業の公式LINEで商品の情報を知り、Instagramで企業アカウントを検索。その後Googleで企業名を検索し、Google広告から購買

このような顧客の検索行動・購買行動が起きている可能性も考えられます。

ラストクリック偏重では、実際の顧客の検索・購買行動を一切無視してしまうことにつながりかねないのです。

SEOやリスティング広告の評価において、ラストクリックの数値を重視するのは、Webマーケティング業界においては一般的なKPIかもしれません。
しかし、単チャネルごとのCPAで評価をする「部分最適」の発想をSNSのKPIにも適用すると、結果的に正しい評価ができなくなるケースは多いです。

顧客がどのチャネルやタッチポイントから自社の商品やサービスに接しているのかを、全体的な視点から俯瞰して見ることが重要といえます。

宜しければ、こちらの記事もあわせてご参考になさってください。

参考:ラストクリック偏重になっていませんか? 「SNSで売上は伸びない」という思い込みについて

補足:1対nの数字だけではなく、N対nの数字も見る

自社の投稿のインプレッション数・リーチ数・プロフィールアクセス数・いいね!数といった数値は、「1対n」の数字です。
つまり、「アカウント運用」の数字となります。

SNSが台頭した現在は、1対nの数字だけではなく、「N対n」の数字=UGCの数にも注目することが大切です。

「UGC」とは「User Generated Content」の略称で、ユーザーによるSNSへの投稿を指す言葉です。詳しく知りたい方は、こちらの記事もどうぞ。

参考:【徹底解説】UGCとは何か、なぜマーケティングで重要になってきたのか

N対nの数字、つまりUGCの数にも注目するべき理由は、商品カテゴリにもよりますが、UGC数と指名検索数が相関しているケースがあるからです。

UGCの数が増えれば増えるほど、あなたの会社の商品やサービスの認知度が高まり、興味を持ってくれる人が増えます。
これらの人々はその後検索行動を起こすため、自然と、指名検索数が増加する傾向があります。

そして、指名検索数が増えるほど、購買数も増えていきます
下記はUGC数と指名検索数と、売上金額の相関関係をグラフに表した図です。

UGCと指名検索数、売上との相関関係については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

参考:「フォロワーを増やすだけ」ではなぜ無意味なのか? 

事業フェーズが変わっても、ずっと同じKPIを追っている

例えばあなたが、新規事業のオウンドメディア立ち上げを任されたとしましょう。
立ち上げ初期では、KPIとして記事制作100本が設計されました。

しかし、立ち上げから1年後もその目標本数が続く状況は、妥当といえるでしょうか。
有名なライターの連載を獲得するとか、広告案件獲得のために営業の訪問数を考えるなど、何かしら次の目標を設定する方が自然な流れでしょう。

KPIは、事業のフェーズやステージによって、都度変わっていくものです。
SNSマーケティングの初期フェーズから投稿のリーチ数を追っても、意味のある成果は創出しづらいでしょう。
まだフォロワー数が少ないのであれば、フォロワー数をKPIに置く方が適当かもしれませんし、月10件の投稿など、行動量を追った方が状況に即している可能性もあります。

状況が変われば、見るべき数値も指標も変わっていきます。

自社のSNSマーケティングが新しいフェーズに入っていることに気づかず、旧来のフェーズと同じKPIを追いかけている場合は、見直す必要があるかもしれません。

KPI設計の考え方

「SNS専門のKPIの立て方」や「SNSに特化したKPIの考え方」は、存在しません。

KPIは、いってみれば「商売繁盛のキードライバー」です。

・そもそものKGIはなんですか?
・達成に向けた成功要因であるKSFはなんですか?
・そこから導き出せるKPIはなんですか?

上記の順番に沿った思考プロセスをたどることが、本質的なKGI-KPIの設計に役立ちます。

もしKGIからして曖昧なようであれば、一般的なKGI-KFS-KPIの設計方法から立ち返り、振り返ってみてください。
その際に、上記の一連の思考プロセスがご参考になれば幸いです。

本当に重要な数字とモニタリング指標は区別する

投稿のインプレッション数・エンゲージメント数・いいね!数・プロフィールへのアクセス数といった数値がKPIとなり、結果的に20個もの数値が置かれてしまったとします。
しかし実際のところ、多すぎるKPIの設計はあり得ません。

多すぎるKPIは、現場やチーム内の工数を圧迫したり、運用上の疲弊を招いたりする可能性があります。目標達成にあたり、効率の悪い動きが発生してしまうことも考えられます。

KPIの数が多すぎる場合は、「モニタリングすべき指標」に変えていきましょう。

TwitterアナリティクスやInstagramインサイトなどの公式分析ツールでは、UGCの数を見ることはできません。
UGCのデータを確認するには、ソーシャルリスニングツールを用いる方法がオススメです。


世界中のソーシャルメディアへのAPIデータアクセス権を保有しているホットリンクでは、独自のソーシャルリスニングツールを提供しています。
ご興味のある方は、詳細をご確認ください。

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KPI設計はトップアジェンダ

冒頭でも書きましたが、KPIは「戦略」とほとんど同じ意味を持ちます
多くの企業において、戦略設計はデジタル部門責任者や経営、マネジメント層の役割でしょう。

自社のマーケティングの全体像や、デジタルマーケティング環境の変化や最先端などを深く知っている人でなければ、良質な戦略=良質なKPIを立てることは困難です。

ご存知のとおり、コロナ禍以降SNSは、人々の検索・購買行動に一層の影響を与えています。

マーケティング環境全体に大きな変革が起こっている現在、マネジメント層こそ率先して、自社のKPIが最新のマーケティング環境に適応しているかどうか、振り返っていただければ幸いです。

本文中で紹介した、間違ったKPIの代表例に該当していらっしゃる場合は、見直しや改善をご検討ください。

KPIの正しい設計についてお困りの方は、ホットリンクまでお気軽にご相談くださいませ。

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