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この記事の内容
最終更新日:2023年8月9日
各業界で活躍するさまざまなプロフェッショナルと、SNSやマーケティング、ビジネスのあり方について考える対談シリーズ「ザ・プロフェッショナル」。モデレーターを務めるのは、元ホットリンクCMO・GiftX代表のいいたかゆうたと、ホットリンクのインハウスエディターで広報も務める倉内夏海です。
今回は特別編として、3名のゲストをお招きしました。株式会社ベイジ (baigie)代表取締役の枌谷 力さん、インサイトフォース株式会社取締役と株式会社グロースX取締役COOを兼務する山口 義宏さん、そして事業会社に勤務する匿名マーケター・みる兄さんです。
この企画では、いいたかも交えた4名に対して、SNS・マーケティング・生成型AIにまつわる5つのお題を用意。それぞれの回答を画用紙に書いていただき、自由に議論を交わしていただきました。
(撮影:小林一真 執筆:サトートモロー 取材・編集:澤山モッツァレラ)
●UGCの威力を感じたことはありますか?
●SNSを上手に駆使していると思う会社はどこですか?
●ChatGPTなど、生成型AIはマーケティング活動にどう影響を与えると思いますか?
●マーケティングにおけるSNSは、今後(例えば3年後)どのような使われ方になりそうか
―― 最初のテーマは、「マーケティングにおけるSNSの現在の立ち位置、役割について」です。マーケティングにおける、SNSの現在の立ち位置・役割について、皆さんが思うところを書いていただければと思います。
いいたか: すごい、枌谷さんキレイに書いてるな…。
みる兄さん: パワポ資料のようですね。
―― では、一番最初に書き終えた枌谷さんから答えを見せてください。
枌谷: マーケティングをトリプルメディア(オウンドメディア・アーンドメディア・ペイドメディア)という観点で分けると、SNSはアーンドメディアに分類されがちです。ですが、SNSにはペイドメディアの要素もあるし、オウンドメディアの要素もあります。
オウンドメディア、アーンドメディア、ペイドメディアをシームレスにつないで、同じインターフェース上で見ることができる。それが、SNSというプラットフォームの特徴の一つだと思います。
これができる、マーケティング施策というのはなかなかないという点が、マーケティングにおけるSNSの特異性というか、立ち位置かなと思います。
―― いいたかさんはどんなことを書きましたか?
いいたか: 私はよく、「極端な話、新たに指名検索を獲得できるプラットフォームはSNSだけだ」と話しています。
Googleやブログにおいて、何かしらの検索行動が行なわれた後の行動というのは、新たな指名検索ではないという考え方を持っているんです。実質的に、新たな指名検索が生まれるのはSNS上のUGCだけだと感じています。
―― みる兄さんはいかがですか?
みる兄さん: 僕は基本的に、メディアやソーシャルの話をする時は、ブランドを中心に置いた上で何がどこに配置されるのかを考えるようにしています。
この質問でも同じで、SNSの立ち位置を考えた結果、やはりメディアの一部だと結論づけました。ブランドにとってのSNSは、UGCを生み出すアーンドメディア的側面と、ブランド側がコンテンツを発信するオウンドメディア的側面の、架け橋だと思います。
SNSは、よくも悪くもトランジスタ(電子回路において、電気信号の増幅や切り替えができる部品)です。炎上もしかり、良質なバズもしかり。ブランドを伸ばすも殺すも、SNS次第です。
今から5年くらい前は、この図の中心にオウンドメディアを置いて、コンテンツ発信やソーシャルメディア、動画制作などを考えていました。今はそうではなく、根本にあるのはブランドで、その周りにメディアがあると捉えています。
―― 5年前と今で、どうして思考が転換したのでしょうか?
みる兄さん: いいたかさんという人がアドバイスしてくれたんですよ。本人は覚えていないでしょうが(笑)。
いいたか: 覚えてますよ(笑)。
みる兄さん: 「メディア事業を展開している会社なら、オウンドメディアを中心に置く考え方も一理あるけれど、世の中の事業会社の中心はあくまでブランドですよね。ブランドを軸にした上で、メディア戦略全体を設計する方がいいんじゃないですか」と言われて。
いいことを言うなと思い、考えを変えたんです。
いいたか: これ、絶対記事に書いてくださいね(笑)。
―― 意図せず、いいたかさんを持ち上げる結果になってしまいました(笑)。山口さんの回答もお願いします。
山口: SNSというのは、お金が成果に関与しにくい施策の一つだと思っています。
一定の共感なりエンゲージメントを得られないと、SNSの施策は長期的には機能しません。共感やエンゲージメントを得るには、いい体験によってファンを生み出せる、ブランドや商品であることが根本的に必要です。
その上、SNSでは運用者の人柄がなかなか隠せません。このように、SNSはお金の投下量という手段で成果を出すというのが、もっとも難しい存在だと思います。ある意味、お金で済まそうという会社からすると、一番アンコントローラブルでやりにくいメディアと言えるかもしれません。
逆に、お金はないけれど人格的な振る舞いができたり、よい商品・サービスがある会社は、リソースの少なさがハンデにならないため、相対的に優位に戦えます。
そういう意味で、SNSは下剋上のメディアだと僕は見ています。非常にフェアで、おそろしい平場という感じでしょうか。SNSは他の施策の効果を拡張して高めてくれることもあれば、思い通りにいかないこともたくさんあります。
平場であるがゆえに、施策のよしあしの反応を得られやすいです。
僕や枌谷さんのようにBtoBでビジネスをする人は、思想や手法を型化してソリューションにまとめることが多いです。その考えをX(旧Twitter)に投げかけて得られた反応から、「この考えや手法は需要があるのかないのか」を判断できたりします。
僕の書籍『マーケティングの仕事と年収のリアル』は、X(旧Twitter)でつぶやいていたことをnoteでまとめたところ、大いにバズったのが出版のきっかけでした。SNSは、安価なスモールテストの場という感覚があります。
いいたか: 「お金で成果が得られにくい」というのは、その通りだと私も思います。広告には「どうすればCVRを向上できるか」という、非常に分かりやすい指標があります。SNSはフォロワー数やインプレッションなど、目に見える数字が多すぎて、直接的なCVの要因が判断できません。
結果、お金がある会社は予算を投じて企画を連発し、その瞬間のPOSを見に行くという行動に走りやすいのかなと。
山口: オウンドメディアとSNSは、短期のROI(投資利益率)をKPIにするとほぼペイしません。短期的な数字をKPIにするという入口が、失敗の源になっています。長い時間をかけてメディアのコンテンツ蓄積や、SNSのフォロワー蓄積といった、マーケティング施策の成果を後押しする資産形成という目線がないとSNSに手を出しても結局は続かないと思いますね。
SNSには、副次的な効果がたくさんあります。いいたかさんがおっしゃるように、SNSの成果は測定が難しいです。ですが、「この投稿を見た人が、ブランドにポジティブな評価を持ったのでCVした」という、間接的な効果もさまざまな顧客インタビューの場面で見てきました。
もう一つ大事なのは、企業がSNSを介して、自社のアセットを洗い出すきっかけにできるという点です。
企業が体系的にSNS運用する時、会社全体のバリューチェーンからネタをひねり出すじゃないですか。SNSに限らず、オウンドメディア運営でもブランド戦略でも、企業のアセットをすべて洗い出す下ごしらえの作業は基本だと思います。
これができるというのは、とても貴重なことだと思うんです。
目先のUU(ユニークユーザー)や短期的な成果を無視するなとは言いませんが、それを第1にSNS運用した瞬間、施策は失敗に終わるという危うさを感じますね。その先にある副次的な効果に目を向けないと、SNS運用は継続できません。
枌谷: 山口さんがおっしゃるように、顧客獲得だけでなく社内の知見の共通言語化や、運用者の学習や教育、マーケティングにもSNSは使えるんですよね。
僕もブログ記事を書く時、X(旧Twitter)でそのテーマが当たるかどうかの反応を見てから、記事化することがあります。X(旧Twitter)での実験を挟んでから記事化すると、1週間で1万PVを達成する確率が高くなるんです。
山口: SNSは細かく小さく反応を得る貴重な接点ですよね。この点でいうと、グロースX社内では松本健太郎さんが、積極的に潜在顧客と交流しつつスモールテストをうまくやっていてすごいなぁ、と。
社内で準備しているセミナーコンテンツについて、スライドを作ったらポンポンSNSにスライドを投稿し、そこで反応を見ているんですよね。ついでに松本さんの仕事の喜怒哀楽コンディションもすぐ把握できるので、同僚としてはありがたいです(笑)。
―― 二つ目のテーマは、「UGCの威力を感じたことはありますか?」です。
皆さんは普段から、積極的にSNSを活用して、テストマーケティング的なこともされていると思います。その中で、特にビジネスにおいて、自社のサービスや企画を実践する過程でUGCの力を感じたことはありますか?
いいたか: あります。
みる兄さん: あります。
山口: あります。
枌谷: あります。僕はむしろ、UGC一本足打法みたいなところがあります(笑)。
―― あるかどうかの質問なので、Yes/Noの回答になってしまいますね(笑)。ぜひ具体的な体験も紹介いただければと思います。今度はみる兄さんからお願いします。
みる兄さん: UGCは「物が売れる起点」になっていると思います。自社でも他社でも、ユーザー調査で購入のきっかけをお客様に聞くと、「推奨者からの紹介」という回答が非常に多いです。
明円卓さんのJANAI COFFEEは、まさにUGCを活用して2次3次のバズを生み出し、お店の行列を作っている典型だと思います。
身近なUGCだと、おそらく内輪で終わってしまいます。自分たちのコミュニティとは関係ない、小さなトライブ(特定の分野に興味関心を示す集団)からにじみ出るようにUGCが発生した時、ブランド側は「キタ!」と感じるんですよね。
―― UGCがにじみ出てくるか否かの違いは、どこにあると思いますか?
みる兄さん: コンテンツパワーと推奨者の熱量だと思います。
コンテンツに魅力があって、推奨者の言葉に説得力があると、身近な場所とは関係ない人が「面白そう」と感じるのかなと。説得力のある人がUGCを出し始めた時、一気に物事が動く気がします。残念ながら、そこまでUGCが発生せず、閉じたコミュニティだけで盛り上がって終わる事例は多いです。
僕はサッカーが好きで、スポーツ系の知人が多いです。先日、別のメディアの企画で株式会社ユナイテッドアローズの藤原義昭さんを取材したら、サッカーつながりの友人からかなり反響がありました。
ユナイテッドアローズは、系列ブランドのビューティ&ユースが、ガンバ大阪さんのユニフォームをデザインしています。そのつながりで、「みる兄ってアパレルの取材もするんだ!」と驚いていました。
友人がその記事をツイートすると、普段あまり関係のないトライブでUGCが生まれ、その輪がグッと広がったんです。内輪感を脱した時のクチコミは、ものすごい破壊力を生み出すと感じました。
―― ありがとうございます! 続いて、山口さんの回答をお願いします。
山口: SNSでUGCが生まれたということは、僕たちの見えないところで、それよりはるかにたくさんいい話・悪い話が発話されていると捉えています。
僕が以前、社外取締役を務めていたチョコレートブランドのMinimalでは、いいUGCがそのまま数字に反映されたり、お店の集客行列につながったりしていました。「2ヵ月前に、インフルエンサーがうちのガトーショコラをおすすめしてくれたから、若いお客様が増えた」という社内の話は沢山耳にしました。
定量的な因果関係の証明は測定コストが高すぎてやりきれませんが、そうやってお客様が増えた事例を何度も目にしてきたので体感値としてインパクトを感じます。
あと、枌谷さんはX(旧Twitter)で、グロースXのことをものすごくつぶやいてくださるんです。それこそ、広告と疑われるようなレベルで(笑)。
枌谷: ただお喋りなだけです(笑)。
山口: 何度も言及していただいた影響で、問い合わせをいただくことがありました。
こうした事例を見て、僕は本当の評価が表出しにくい商材ほど、UGCの効果は高いと思っています。グロースXはまさに、そうした商材の一つです。会社が導入した教育商材について、面と向かって正直な感想は伝えられないじゃないですか。
ポジティブであれネガティブであれ、「表では言いにくいこと」が、UGCとして生まれやすい気がしますね。
―― 私たちが目にするUGCも、あくまで氷山の一角に過ぎないというわけですね。枌谷さんはいかがですか?
枌谷: ベイジは、UGCで成り立っている会社と言っても過言ではありません。それは採用と顧客獲得の両方で言えることなんですが、採用に関して言うと、約40人のメンバーのうち、ほぼ全員最初の接点はSNSだと思います。
いいたか: ものすごい割合ですね。
枌谷: 顧客獲得も同様です。アクセス解析をすると、CV直前のチャネルがSNSであるケースは、2%ほどしかありません。ですが、問い合わせ段階でベイジを知ったきっかけを尋ねると、約4割がSNSと回答します。有効商談までその範囲を広げると、7割程度はSNS起点になるんですよね。
あと、意思決定者がうちを知っているというより、現場のスタッフさんや社内インフルエンサーさんがうちを知っているというケースが多いです。Web制作という商材は、上司や経営陣が社員に「いい会社知らない?」と聞くタイプの商材です。そのため、現場に知られているというのが効果を発揮します。
ダークソーシャルでベイジのことを認知してもらい、お声がけいただく。その流れによって、うちの会社は成り立っています。
山口: 僕も十数年X(旧Twitter)をしてきた中で、インサイトフォースのコンサルティング案件で「つぶやきを見て発注しました」という人には会ったことがありません。ですが経営陣から発注いただき、クライアントの現場と一緒にプロジェクトを進めるという段階で、「X(旧Twitter)でフォローしています」と言われることはとても増えました。
僕が知る限り、ベイジさんはもっともSNSネイティブな会社だと思います。
枌谷: ありがとうございます。とはいえ、今後組織を拡大する場合は、SNSだけではダメだと感じています。現在はグロースXさんの講座を受講して、さまざまなチャネルにも挑戦しているところです。展示会にも参加したし、今後広告にも着手します。
みる兄さん: ベイジさんは、公式アカウントで発信したことはあるんですか?
枌谷: 一時期やっていました。1ヵ月で5,000フォロワーまで行きましたが、「ツイートの内容だけでベイジを認知されたくない」と思い、アカウントを閉鎖してもらったんです(笑)。
ベイジでは、Web制作とは別に業務デザインのUIデザインという事業にも取り組んでいます。公式アカウントは後者に特化していましたが、内容がデザイン初心者向けに偏っていたんです。
一部のスペシャリストから、「UIデザインってそういうことじゃないよね」というツッコミもつぶやかれていました。事業としても足場固めのタイミングで、ここで初心者向けコンテンツで名前を知られるのは、マイナスブランディングになると感じたんです。
これはよくないなと思い、一旦アカウントを閉じました。今もまだ、公式アカウントについて絶賛試行錯誤中です。
みる兄さん: ブランドコントロールを意識して、アカウントを閉鎖したのですね。
いいたか: そういう決断も時には大切ですよね。
みる兄さん: 「内容を分かりやすくしてフォロワーを増やす」のと、「会社としてどう見られるか」のどちらを選ぶかで、食い違いは起きやすいですよね。
―― いいたかさんはどうでしょうか?
いいたか: 「たくさんあります」というのが回答です。
例えば、今ここに3名ホットリンクのメンバーがいますが、全員SNS採用です。僕がホットリンク時代に担当したクライアントさんも、X(旧Twitter)のDMからお仕事につながったことがあります。
あと、僕の書籍『僕らはSNSでモノを買う』のカバーイラストには、アメフト選手や美容師など、さまざまなジャンルから40人の知人のSNSアイコンが掲載されています。この40人も、全員意図して選びました。
枌谷: カテゴリーエントリーポイントを増やしたんですね。
いいたか: アイコンを載せた人たちの発話によって、「この本は面白そう」という第二次発話が生まれ、遠くまでUGCが発生するという構図を狙ったんです。この狙いはキレイにハマり、想像以上の部数が出版されました。
GiftXで「GIFTFUL」をリリースした時も、SNSで明確に利用者が増えたというわけではありませんでした。しかし、まったく知らない人たちの間で、「こういうサービスが欲しかった」というUGCが発生しているのを見ました。その様子を見て、UGCの威力を実感しましたね。
―― 三つ目のテーマは、「SNSを上手に駆使していると思う会社はどこですか?」です。
いいたか: ベイジ!
山口: ベイジ!
一同:笑
山口: SNSは、時間を費用として計上しなければ無料のプラットフォームじゃないですか。SNSを本業と結びつけて使えているという意味で考えると、枌谷さんはすごいと思います。
時間はかけていると思うんですが、時間以外の費用はかけていないという意味では、すごく燃費がいいなと思うんですよね。
枌谷: ありがとうございます(笑)。このお題は難しいですね。冒頭でも話しましたが、おそらく「SNSを上手に駆使している会社」には、お金をガンガンかけて露出している会社は当てはまらないと思うので。
山口: お金も使っているけれど、上手な会社さんもいますよね。足立光さんが関わっていらっしゃるファミリーマートとか。
―― 会社とは書いていますが、BtoB、BtoCや会社・個人など限定せず、お答えいただければと思います。枌谷さんから教えてください。
枌谷: BtoBで上手な会社といわれて思い浮かぶ会社も、実は代表や名物社員の印象が強いだけというケースもあり。組織全体で成功しているのをピックアップするのは難しいところですね。
山口: 「仕組みで成果を買えない」の典型な気がしますね。
―― 山口さんはいかがですか?
山口: 僕が枌谷さんのSNS活用で素晴らしいと思っているのは、ツイートに枌谷さんのキャラクターが沁みだしている部分があるという点です。業務系のノウハウをつぶやく人は、もっとフォロワー数の限界値が低くなると思うんです。
ですが、枌谷さんは業務ノウハウを超えて、キャラクターとしても愛されているというか。スコープが広いからこそ、ここまでのフォロワー数に達しているのだと思います。
枌谷さんのコンテンツ制作力と人格で成立している点でいうと、属人性が非常に高いですよね。他の企業や個人ではマネできないという意味で、ベイジさん(枌谷さん)と書きました。
ファミリーマートさんも、足立さんが関わる会社さんは本当に素晴らしいと思って取り上げました。足立さんは、「SNSでどう紹介されるか」「世間でどうウワサされるか」も織り込んで、商品企画を練っているそうです。それにより競合よりも広告投資が少ない中、話題性を生み出していると。
これって、ものすごくSNS活用において難易度が高いですが、本質的な話だと思いませんか? SNSは投稿内容をうまく考えるみたいな次元では限界があって、すべてのバリューチェーンでSNS的に話題性の高い企画を考え続けるというのは、アイデア千本ノックのような過酷な世界ですが本質だと思います。
足立さんは外から拝見している限り、マクドナルドだけでなくファミリーマートでもそれを再現されていて、それを実現できるチームづくりに再現性を持っているように見えます。再現性を持ってSNSネイティブなチームビルディングを出来ている点が、別格だと感じますね。
北の達人コーポレーションの木下勝寿さんは、投稿がもはや一つのLPなんですよね。連続ツイートには必ず、アイキャッチになる問いがあって、最後にはCTAがあって商品やイベントや書籍への送客があります。
SNSの投稿であれだけ完璧なシナリオが構成されているのを見ると、木下さんのLP職人としてのレベルの高さを思い知らされますね。X(旧Twitter)を高いレベルでLP化できた初めての方だと思います。
いいたか: ある意味で、唯一無二の「CVを取れるSNS活用法」かもしれませんね。
山口: 先日、木下さんが「久しぶりに育毛剤のLPを自分で考えた」とつぶやいたんです。それを読んだ誰かが、「俺、ハゲていないのに商品購入しそうになった」とつぶやいていましたが、僕も同じ気持ちだったので共感の嵐でした(笑)。
みる兄さん: 買う気にさせる天才ですね。しかも、それがテキストベースで実行できる人は、なかなかいないと思います。
枌谷: 木下さんのような天才性がにじみ出るというのは、SNSの醍醐味かもしれませんね。
―― 人柄のみならず、その人しか持っていない武器もそのまま表出されるのですね。みる兄さんはどのように書きましたか?
みる兄さん: 僕は面識がないのですが、先ほどJANAI COFFEEで紹介した明円さんの企画には、いつも注目しています。最初からどんな文脈でUGCを生むか、人々が楽しめるかを設計した上でサービスを作っているんですよね。
しかも一発屋で終わるのではなく、再現性もある。「やだなー展」もそうですが、一見変わった企画だなと思っていても、SNSはもちろんのこと地上波でも話題にされていて。毎回といっていいほど話題になる企画を作れている点に、そのすごさを感じさせられます。
いいたか: 明円さんとは、以前ホットリンクの企画で話したことがあります。彼が面白いのは、初対面の人に必ず宝くじを渡すという点です。
宝くじをもらったら、捨てずに当選日までとっておくじゃないですか。たった300円で、自分のことを忘れないようにする発想が、ものすごく面白いなと感じました。
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みる兄さん: 木下さんがLP脳の持ち主だとしたら、明円さんは企画脳の持ち主なんでしょうね。仕事以外でも、ずっと面白いことを考え続けているのだろうな。
スターバックスコーヒーは、季節ごとのフレーバーの展開など、SNSにアップしたくなる企画を常に考え実行しているという点が、他のカフェと一線を画す強さだと思います。
枌谷: 毎回カラフルで目を引く商品を出していますよね。
みる兄さん: 季節の商品とベーシックな商品を、すごく上手に組み合わせていますよね。
―― いいたかさんはどうですか?
いいたか: 企業では、言わずもがなでベイジさんです。あと個人として注目しているのが、トラックめいめいさんです。
トラックの運転手であるめいめいさんが、毎日仕事終わりに面白いTシャツを着て、ビールを飲んでいる写真をあげているだけなんです。10万フォロワーくらいで止まるかなと思っていたら、今や30万フォロワーを超えていますから。久しぶりに、「すごい人が出てきたな」と思いました。
Tシャツを販売したら速攻で売り切れるし、つい先日はドラマ化も決まってすごく驚きました(笑)。トラック運転手が、一つのつぶやきで世界を変えたって意味で、SNSのすごさを垣間見ました。
―― 四つ目のテーマは、「ChatGPTなど、生成型AIはマーケティング活動にどう影響を与えると思いますか?」です。すでに、影響を受けていると感じている人もいるかもしれません。皆さんの体感として、ビジネスにどんな影響力があるかを書いていただければと思います。
みる兄さん: 皆さんはChatGPTを使っていますか?
いいたか: 使っていますよ。イラっとした時にコメントを書いて、慰めてもらっています。
山口: 今のところは、下書きの文章を整形するツールとして使っています。誤字脱字のチェックとか、言い回しの確認とか。
枌谷: ChatGPTは、とにかく謝罪文が最強ですね。謝罪とか辞退とかで、すごくいい文章を書いてくれます(笑)。
―― いいたかさんが真っ先に書き終わりましたね。
いいたか: 回答になっていない回答を書いてしまいました。私は、AIは人の温かみを宿せないと思っています。今後宿せるかもしれないので、ちょっと文章を追加しましたが(笑)。
おそらく今後、商品の売り方はAIが考えてくれる気がします。その代わり、商品を良くしたり別の分野に取り組めたりする時間ができるというのは、ポジティブな影響ではないでしょうか。
実際、現時点で広告周りはかなり便利になりました。自動入力で、簡単な広告文はすぐに作成できます。その分、上流からマーケティング施策を落とし込めない広告運用者は、いずれ淘汰される気がします。
―― 枌谷さんの回答も、いいたかさんの話に近い気がします。
枌谷: 何割かのマーケティング従事者の仕事は、遠からず消滅しそうな予感があります。逆に、デジタルで代替できないアナログの仕事は、価値が上がりそうな気がするんです。現在は、それぞれの領域をデジタルで代替できるのかどうかを、見極めるタイミングだと日々感じています。
ベイジでは、デザイナーのキャリアに必要なスキルを100項目くらいにまとめ、ツリー構造に分類してスキルマップを作成しました。そして、それぞれの項目について「これはAIの発達で不要になるスキルか」をチェックし、評価制度や今後の人材育成に反映させようとしています。
もしかすると、すべての領域が自動化されたら、訪問営業に強い人の価値が上がるかもしれません。ゴリゴリの営業が得意な人が、高い価値を発揮するような。
―― デジタルで便利になりすぎた結果、対面のコミュニケーションが得意な人にスポットライトが当たると。
枌谷: ChatGPTのAPIを用いてサービスを立ち上げても、それは「誰でも作れるサービス」です。もしも、同様のサービスを持つ会社が4社現れた時、勝ち残れるのはおそらく「営業力が強い会社」だと思うんですよね。
そうした身体性の部分が、差別化のポイントになるという野性味あふれる世界が、訪れる可能性もあり得ると思います。山口さんと食事した時にも、こういう話をしましたよね。
山口: デジタルで完結できることは、AIによって制作コストが限りなくゼロに近づくでしょう。模倣のコストも劇的に下がるので、価格競争にさらされます。デジタルに完全に完結しているビジネスは、今後非常に危うくなると思っています。
枌谷さんのおっしゃる通りで、最後に残るのはデジタル化できないものであるというのは、強い仮説として考えています。
―― 人の血が通った、経験に裏付けされたものが必要になるということでしょうか。
山口: 商品・サービスの体験でも、営業でも、対面=アナログとデジタルのハイブリッドで最適な顧客体験を作り込むことが、今後重要になると思います。
社内でも、ChatGPTに「セミナーのタイトルを10案出して」というと、人間よりもはるかに早く、正確な回答を出してくるんです。「顧客体験を改善する方法10個出して」というと、おそらく僕よりも早く汎用性の高い回答を出すと思います。
世の中の相談事の7、8割は、汎用的なアイディアで解決します。そのことを考慮すると、ChatGPTは現段階でも相当優秀ですね。でも、残りの2割くらいに、人が独自に考える構想なり人格・癖などの味付けがあり、それが事業や商品・サービスの独自性となり、ときには競争力にもつながっていくのだと思います。
山口: この技術が浸透すると、マーケティング従事者はマルチロールが可能になって、三人必要だった仕事が一人でできるようになります。これまで、マーケターは専門性で職種が細分化されてきましたが、今後は総合職化する流れが生まれる気がします。
枌谷: デザイナーの仕事を、デザインセンスがあるマーケターがやる未来だって、ありえなくはないですよね。
山口: 確かに。BtoBでは奇抜なデザインが必要ないことが多いので、教師データ(機械学習で用いられる、例題と答えが用意されたデータ)の再編集でアウトプットするAIで十分対応できるかもしれませんね。
広告の運用においても、スキルによる成果の差が生まれにくくなっています。成果を高めるには、西口一希さんの言葉を借りると顧客戦略、つまりWho(誰に)とWhat(何を)の組み合わせの再定義をするほかなくなるかもしれません。まだこの領域は、AIでは足りない部分があり、人間の方がクリエイティブな発見が出てくる気がします。
この状況をポジティブに捉えるとするならば、マーケティングの全体感があり、AIなどの技術を使いこなし、一人で複数の施策をマルチで動かせる人は、これまでよりも高収入になるチャンスがあるかもしれません。
みる兄さん: つい先日、サイバーエージェントが生成型AIを活用することで、30人以上いたディレクターがゼロになったというニュースを見て衝撃を受けました。
ChatGPTで広告会社の組織激変、サイバーでは30人以上いたディレクターがゼロに
山口: バックオフィスでは、SaaSの出現で自動化が進み、人材配置の再定義が行われました。マーケティングも、生成型AIの登場でその局面に入ったと言えます。今後はその過渡期に入るので、しばらく混乱は続くでしょうね。
コンサルティング業界も同様で、資料作成や分析、情報収集といった業務は、ことごとく自動化される部分が増えると思います。最後に残るのは、経営者の決断を促すのがうまい人。個人の癖のあるキャラクターを含めたタレント(才能)に、お金がより集まる世の中が来るかもしれません。
―― 最後はみる兄さんの回答ですね。
みる兄さん: この言葉には二つ意味があります。
一つ目は物・サービスの観点で、生成型AIの進化によって1位の総取りが加速して、中間層が駆逐されてしまうということです。昨今、ブランドやサービスの選ばれ方は、検索からレコメンドへと変化しています。今後、レコメンドされる枠に入れるかは、ブランドにとって死活問題です。
人からのレコメンドは、その人の個性が反映されます。しかし、ChatGPTによって汎用性の高いレコメンドが行われるようになれば、基本的にトップ層のブランドが紹介されるでしょう。
その結果、上位2〜3位までのブランドに人気が集中していきます。結果、人気店の行列はより長くなる一方で、それ以外のサービスは徐々に淘汰されていくと思います。
二つ目は人の観点で、中途半端なジェネラリストが苦境に立たされるということです。施策を自分で提案・実行してきたのではなく、あくまで実行の判断を行っていた中間層は、今後「あなたの得意分野は?」を問われるようになります。
そこに答えを示せない人は、順調なキャリアを描きにくくなる気がします。クリエイティブだって、プロジェクトマネジメントのサブのような立場が、不要になるかもしれません。
山口: 撮影スタジオを押さえて、モデルをブッキングしてヘアメイクや照明職人に依頼して撮影・編集して……という、現場の姿も大きく変わるでしょうね。
枌谷: その点は、フォトグラファーの世界が先行しているかもしれません。フィルムからデジタルに変わる中、彼らがどうなっているのかを知ると、僕たちの未来のヒントになるかも。
山口: 撮影の世界では、ライティングやレタッチや編集など、各ジャンルに職人がいました。今はインフルエンサーなどは、ひとりでライティング、撮影、レタッチ、編集する人が増え、場合によってはライターも兼務してと多能工化しています。それと同じ状況が、マーケターにも訪れるのは時間の問題だと思います。
枌谷: 僕自身は生成型AIを使ってみて、まだ若干の執行猶予があると思っています。例えば、画像生成AIはまだ、思い通りの絵を出力できるわけではありません。また、社内でChatGPTのAPIを用いてサービスのサンプルを作っていますが、挙動が遅く課題が山積しています。
これらの課題は、いずれ必ずクリアされるでしょう。この執行猶予期間のうちに、どれだけ次の時代に向けてアジャストできるかが、試されている気がします。
これは余談ですが、先日呼子港(佐賀県唐津市呼子町)から船に乗って、離島で営業している一軒家のレストランに食事へ行ったんです。この時の超アナログ体験が、すごく新鮮だったんですよね。
こういうサービスや、NOT A HOTELのように、特別な滞在価値を提供するサービスは、デジタルに侵食されないかもしれません。
いいたか: 大牧温泉観光旅館のように、川沿いにあって船でしか入れない旅館もそこに分類できますね。
みる兄さん: 超アナログ体験の価値が、相対的に高まるわけですか。
山口: 過去30年のパラダイムでは、雑に言えばカテゴリとして伸びてきたデジタルを選んだ人間の所得が伸びてきたメガトレンドがありました。今後、相対的にその図式が逆転する気がします。
―― 皆さんの話を聞いていて、私のキャリアは大丈夫なのか不安になってきました。私と同じ30代や20代の方は、この記事を読んで同じ思いに駆られるかもしれません……。
山口: 僕たちの世代も同じですよ! 今後職業の再定義が進むという点でいえば、環境に適応しやすい若い世代の方が、チャンスはあると思います。むしろ僕たちのように、ある程度年齢を重ねて既得権を得ながら生きている人間の方が、変化が遅れたり行動が中途半端になったりと危ういです(笑)。
枌谷: イノベーションのジレンマが、自分の中で起きているんですよね。
―― 職業の再定義が進む中、情報にキャッチアップしていかないと取り残されてしまうというのは、年齢を問わず共通の課題なのかもしれませんね。
―― 最後のテーマは、「マーケティングにおけるSNSは、今後(例えば3年後)どのような使われ方になりそうか」です。
いいたか: 最後にすごく難しいテーマが来ましたね!(笑)。
枌谷: マーケティングですら3年後はどうなるか予測できないし、SNSも含むとなるとダブルで難しいテーマですね。
みる兄さん: むしろ、コロナ禍が起きた3年前と、今とで、マーケティングやSNSに変化はありましたか?
いいたか: デジタルシフトは一気に進みましたが、大きな変化は特にないですよね。ECが普及したとはいえ、まだまだ発展途上ですし。
山口: ひとつの予想として、テクノロジーの変化に適応したSNSが登場すると考えています。SNSは確かに普及しましたが、今も「見ている側」「投稿しない人」がマジョリティです。その背景には、情報の入力→投稿にハードルがあるからです。
ChatGPTか他の生成型AIが、そのハードルを下げる進化を遂げたなら、それに最適化されたプラットフォームが生まれると思うんですよね。もしかしたら、X(旧Twitter)が進化してそうなるかもしれません。
それと、SNSがより身近で閉ざされたコミュニティに変化する気がするんです。よく「隣の芝生は青く見える」と言いますが、SNSの弊害は、世界中の「隣の芝」の上澄みが目に入るという点にあります。
アメリカの研究のニュースで、、SNSの使用時間が1日3時間以上の10代は、メンタルヘルスが悪化するリスクが2倍あると報告されている記事を見ましたが、SNSが人生に与える影響力は大きい。
コロナ禍で活動が制限された時、多くの人が身近な家族や友人と時間を過ごしました。そのことで、自分の半径3mの世界でも、楽しく生きられるということに気づいた人もいそうな感覚があります。
距離が遠すぎる人と交流して、本当にいいことがあるのか。そうした想いを顕在化した小さなコミュニティ、小さな共有、小さなトライブを育てていくようなSNSが、より注目されるようになる気がします。
みる兄さん: コミュニティも小規模の方が、結果的にみんな幸せだよねと感じる部分はあります。ただ、プラットフォームやブランド側は、それだとリーチが狭くなるので、コミュニティを混ぜたがるじゃないですか。このジレンマに対して、プラットフォームはどう動くでしょうか。
山口: 多くのリーチを求めるという、マーケティング広告主の需要はなくならないでしょう。とはいえ、一部の消費財を除き、売上が立っていてLTVが高いユーザーはごく一部というケースは、非常に多いです。
リーチ以外に経済的価値を見出せるロジックや指標が浸透すれば、小さなコミュニティに対してもマネタイズできる機会は増えていく気がします。
みる兄さん: そうなれば、リーチ目的の広告とは別に、閉じたコミュニティでも機能するインタレストグラフに合ったSNS広告が出せるようになるかもしれませんね。
いいたか: AIが進化しても、「自分が信頼できる情報から物を買いたい」という欲求は、変わらず残ると思います。車の購入を検討している時、車に詳しいAさんと出会うことができたら、その情報はすごく有益なものになるじゃないですか。人は本来、情報がない時は手探りで探します。その本質からは、今後もズレないのかなと思うんですよね。
山口: 僕は、そういういいたかさんのニーズすらAIで代替できる気がしています。
実は先日、ChatGPTに車の買い替えの相談をしてみたんです。「ある車種で、二つのグレードのどちらを選ぶか悩んでいます。どちらがいいと思いますか?」と、かなりニッチなテーマで質問したら、車好きな自分から見ても相当フェアで良い回答をしてくれました。
みる兄さん: ChatGPTは、80〜90点ぐらいの回答を出してくるんですよね。
山口: その上、「最後は試乗して決めてください」と、意思決定を相手にゆだねるズル賢いリスクヘッジまでしてくる(笑)。回答が物足りないと思えば、さらに質問を重ねてレコメンドを促せば、いいたかさんのライフスタイルにフィットした、インフルエンサーっぽい意見も出せると思うんです。
「週末にキャンプへ行った時、奥さんから○○と言われたでしょう? それなら、120万円高いけれどこちらの車がいいんじゃないですか?」
これくらいの回答は、AIでも全然可能だと思います。
枌谷: 物に対するレコメンド能力は、AIにも十分備わることが想像できますが、人間にとって楽しいのはどちらなんでしょう? 物を買うことを楽しむのか、Aさんに車の話を聞くのが楽しいのか。後者が動機だとすれば、そのニーズはなくならない気がしますね。
山口: 確かに。コト(車の購入)を共有するなら人間同士の方が相性がよさそうです。でもマトリックスの世界のように、人間味のある反応すらAIが一部代替できるようになるかもしれませんよね。
枌谷: そうなると、孤独の解消にAIでどこまで対応できるかが、大きなカギを握っていそうです。
いいたか: AIの機能面で、人間のぬるっとした情緒を、満たすような場所ができるのかは興味がありますね。
山口: 今ここにいる皆さんと「久しぶりに会った」という感覚がないのは、SNSがあるからです。しかし生成型AIが進化すれば、いいたかGPTとみる兄GPTが生まれて、X(旧Twitter)でつぶやいてもバレないレベルまで到達するかもしれません。
こうなると、残されるのはフィジカルの接触だけになるのかなと。
枌谷: 映画でも見られる光景ですね。『Her』では主人公が人工知能OSに恋をしたし、『ブレードランナー 2049』ではホログラムのAI女性に恋をするシーンがありました。
みる兄さん: 生成型AIが「汎用的に回答できる」状態から、「個性を発揮し始める」状態になると、孤独の解消やよりとがったレコメンドができるようになるのかも。
山口: 3年後には、自分をほめてくれるフォロワーがAIで自動生成されて、朝からたくさんリプライやいいねがついている状態になっているかもしれませんよ(笑)。
みる兄さん: クソリプも全部書き換えてくれそう(笑)。
いいたか: 自分に都合のいいSNSを形成するというのは、十分ありえそうな話です。
話は逸れますが、『カメラを止めるな』の上田慎一郎監督が、縦型ショートフィルムをSNSに投稿して話題になりました。
https://www.tiktok.com/@picorelab/video/7170988826335235329?lang=ja-JP
作品の中で、登場人物はAIのサポートで女性をデートに誘うんです。デート中の会話もAIが指示してくれるのですが、実は女性側もAIのサポートを受けていました。山口さんのいう「フィジカルの接触」と、AIとの組み合わせを実現したような作品ですよね。
山口: 僕が見た海外ニュースでは、Zoomの採用面接で、面接官の質問をAIにリアルタイムで認識させて、理想的な回答をテキスト表示してくれるというサービスが紹介されていました。
僕たちが「皮膚感覚」「アナログ」と言っているものも、気づかないうちにAIが代替できる時代が来るのかもしれません。
みる兄さん: 一度、枌谷さんの過去ツイートをAIに学習させた後、アカウントを作ってどこまでフォロワーを伸ばせるか試してみたいです。
枌谷: 実は少し前に、実験で自分の価値観を1,000文字ほどChatGPTに伝えて、僕がよく受ける質問に回答させてみたんです。そうしたら、いかにも僕っぽい回答を連発してきました(笑)。本気を出せば、今の技術でも疑似人格生成は出来ちゃう気がします。
―― ここでお話に出たアイディアは、年内に全部できそうですね…。このお題に対して、パキッと明確な答えが出ないというのが、逆にリアリティがあっていいと感じました。
枌谷: 大きな変化はなんとなく見えるけれど、細かな変化は不透明ですよね。
山口: 実装の速度もまったく読めないですからね。
みる兄さん: ビジネス的には、暗い要素ばかり見つかった気がしますが(笑)。
枌谷: 生成型AIの出現で、ライティングとデザインはもろに影響を受けると言われています。ベイジは二つとも事業の柱なので、危機感がありますよね。3年後とか、もしかしたらトマト農家になっているかも。
山口: マーケティングも打撃を受ける側なので、他人事ではないです。3年後、4人で集まって「あの時は明るく談笑していたけれど、全然そんな場合じゃなかったね…」と、反省の弁を述べているかもしれない(笑)。
とはいえ、楽しみ半分、達観半分という心境で、笑いながら楽観的に対処していくしかないんでしょうね。
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