SNSコラム

Twitterがもたらした全国区への返り咲き。20万フォロワーを誇るアイラップが考える「中の人」マーケティング #きょうのUGC

2022年06月22日
Twitter活用 | きょうのUGC

質の高いUGC(※)を生み出し、集客やサービス認知に成功している企業事例を紹介する連載「きょうのUGC」。

今回のゲストは、岩谷マテリアル株式会社の袋型ラップ「アイラップ」の公式Twitterアカウントを運営する、通称「中の人」さんです。

アイラップは1976年発売の歴史ある商品。2018年6月にTwitterアカウントを開設すると、直後からツイートした内容が話題を呼び、今では20万以上のフォロワーを抱えています。

同アカウントはどのような経緯で生まれ、日々どんな思いで発信しているのか。フォロワーとの関係構築で大切にしていることや、Twitter運用から得た学びを「中の人」さんに教えていただきました。

※UGCとはUser Generated Contentの略称で、ユーザーによるSNSへの投稿を指す言葉です。詳しく知りたい方は、こちらの記事をどうぞ!

(執筆:サトートモロー 進行・編集:澤山モッツァレラ、倉内夏海)

両極端な反応が生んだ最初のバズ

―発売から40年以上ということで、歴史を感じさせるパッケージですね。

中の人:
そうですね。パッケージは昭和の雰囲気を残したままですが、時代の移り変わりによって、使用用途は徐々に変化してきました。

食材の保存や温めだけでなく、最近ではちょっとした生活の助けになったり、災害など非常時に有用だということで、注目を集めたようです。

実は、Twitterをきっかけに全国区の知名度に返り咲くことができたんです。

―きっかけとなった投稿は覚えていますか?

中の人:
2018年7月に投稿したこちらですね。

投稿した当時、Twitterでは「#一般人の方が時々誤解しておられること」というハッシュタグが流行っていました。

そこで、このハッシュタグをつけて「アイラップは一部地域限定の商品じゃなく、全国展開しているんだよ」とつぶやいたんです。これをきっかけに、アイラップの問い合わせが急増しました。

―アイラップを「一部地域限定の商品」と認識していた方が多かったのでしょうか。

中の人:
このツイートでは、大きく分けて二つの反応が見られました。「不思議に思う方」と「ショックを受ける方」です。

前者は「アイラップって何? そんな商品は知らない」と感じる、関東や関西の方々です。一方で、日本海側の方々は「アイラップって全国の商品じゃないの? なぜ知らないの?」と驚いたり、ショックを受けていました。

まるで両極端な二つの反応が、バズる要因になったのだと思います。このツイートで、全国の皆様に商品が知られ、ウェブニュースやラジオでの紹介に至りました。

―なるほど。全国販売の商品でありながら「全国区の知名度への返り咲き」に至った経緯も教えてください。

中の人:
アイラップは発売当初から全国展開していました。しかし特許が切れると、類似品が一気に広まり、売り場を縮小せざるを得なくなりました。

そのような状況でも、山形県の食品スーパーのオーナー様が、アイラップを気に入ってくださって。問屋さんも巻き込んで、根気強く販売してくださいました。その結果、日本海側の5県(山形・新潟・富山・石川・福井)に定着し、流通量が集中しました。そのため、両極端な二つの反応が生まれたのです。

今では全国からお問い合わせいただくようになり、全国区に返り咲くことができました。会社としてもかなり驚いています。

―Twitterアカウントは、アイラップを広める目的で開設されたのでしょうか。

中の人:
いいえ。このアカウントの当初の目的は、私が商品開発とデザインを担当したアイラップのシリーズ商品「おにぎりぽっけ」の販促でした。

弊社は商社に分類される企業ですので、商品開発よりも「流通」に長けています。しかし、商品を作ったのなら宣伝して広めていないと、消費者には気づいてもらえません。

アイラップも、一部地域に定着はしたものの、40年以上大した宣伝を行ってきませんでした。私はそこに危機感を覚えたので、なんとかSNSで情報を出したいと、会社にかけあいました。

―許可はすぐに下りましたか?

中の人:
最初はかなり反対されました。会社としては、企業のSNSでの発信による「炎上」が懸念点だったようです。それでも数ヶ月、ねばりにねばってやり取りした結果、「3ヶ月限定でアカウントを運用していい」という許可が出たんです。

でも、Twitte上でいきなり「おにぎりぽっけ」と名乗っても、結局は誰にも気づいてもらえないだろうと考えました。

そこで、一部で高い認知度がある「アイラップ」の名前を使い、まずはアイラップユーザー様に情報を届けることにしました。

―アカウントの立ち上げから、わずか1ヶ月で結果が出たのはすごいですね。

中の人:
最初のうちは、ずっと手探りでした。

アカウントの運用をはじめた直後に、上長から「Twitter社さんがセミナーを開くみたいだよ」と教えてもらいました。これが、バズるきっかけに近づいた第一歩でした。

セミナーの内容はとにかくメモして、上から順番に拡散力が高まる施策を重ねました。

そのうちの一つに、「トレンドのハッシュタグに乗る」がありました。実践した結果が、先ほどのバズりにつながったのだと思います。

20万フォロワー突破のきっかけとなった「チャンカレミートアップ」

中の人:
しかし、バズった後に直面したのが、「バズったからといってフォロワーが増えるわけではない」という問題でした。

私は、SNSをほとんどやってこなかった人間です。バズった時に宣伝をすることもなければ、そもそも当時は「バズる」という言葉さえ知りませんでした。

―それが今や、20万以上のフォロワーを抱えるアカウントにまで成長しました。どんなきっかけがあったのでしょうか?

中の人:
大きな転機となったのは、2018年10月に行われた、Twitter社と金沢のチャンピオンカレーさんが主催する「チャンカレミートアップ」への参加でした。

このイベントには、約100社のSNS担当者さんたちが参加しました。アイラップは、チャンピオンカレーさんから「イベントに登壇しないか」と、お誘いをいただいたんです。

その頃、SNSを運用する担当者さんたちが「中の人」として、メディアやイベントに出て活動していることを知りました。私もやってみようかと考えていた時に、お声掛けいただいて。

そこでチャンカレミートアップを、「アイラップの中の人」という存在を表に出すきっかけにしようと決めました。

―2回目の転機も、Twitter社主催のイベントだったのですね。

中の人:
そうですね。私は普段から「やらぬ後悔よりやる後悔」を座右の銘にしています。当時在籍していた部署でも「まずはチャレンジしよう」という言葉を掲げていました。

SNS運用は、私も会社もノウハウがない状態での挑戦だったので、イベント登壇に関しても、まずは冒険しようと思いましたね。

チャンカレミートアップをきっかけに、さまざまな公式アカウントさんと交流するようになりました。つながりができることによって、お相手のファンの方々にも露出する機会が増えました。

結果として、多くの方々に存在を知っていただき、「中の人マーケティング」の重要性にはっきりと気づかされました。人とのつながりやご縁によって、アカウントが知られるようになったと強く感じます。

フォロワー数も、ありがたいことに20万以上となりましたが、今でもフォロワー数以上につながりを大事にした発信を心がけています。

ちなみに、アイラップが広まることによって、本来の目的だった「おにぎりぽっけ」も一緒に売上が伸びました。結果オーライです(笑)。

基本は「人の生活を豊かにすること」につながる発信

―現在、アカウントはどのような体制で運用されていますか?

中の人:
基本的に、私一人ですべてやっています。会社が私一人の部署を作ってくれたので、自分の裁量で責任をもって運用できています。一方で、後継者を作り、運用を維持する仕組みを作ることも必要だと感じています。

―発信する内容について、大切にされていることを教えてください。

中の人:
「人の生活を豊かにすること」につながる発信をするよう、いつも心がけています。フォロワーのみなさんには、それぞれの生活があります。みなさんと私をつなぐ軸として、アイラップが存在しています。

だからこそ、「このユーザー様の使い方を他の方も知ったら、さらに生活が豊かになるんじゃないか」という投稿を見たら、すぐにリツイートします。

反対に「この使い方は危ないかも」と思った時は、他の方が真似しないようコメントなどで指摘することもあります。

―ユーザーからのアイラップに関する投稿(UGC)も多いですよね。

中の人:
ユーザー様からの投稿が増えたなと実感したのは、商品が認知されはじめた2019年後半頃だったと思います。

アカウントを開設して、試行錯誤しながら運用するうちに「アイラップってアカウント、面白いね」と認知されるようになり、「買ってみた」「こういう使い方してみた」というUGCが生まれるようになりました。そして、私がUGCをリツイートする。

こうしたサイクルが、雪だるまのように積み重なった結果が、今なのかなと思います。

―UGCを生み出すために、企画を立てることもありますか?

中の人:
なるべく幅広い層に認知していただきたいということで、ハッシュタグを使った部活動のような発信を行っています。

例えば、「#公式BBQ部」というイベントを開催して、各企業のアカウント様が持ち寄ったものを発信しました。

 

他には、「#公式ミニ四駆部」を作って発信したこともあります。

―アイラップの利用者層である、主婦の方々だけをターゲットにしているわけではないのですね。

中の人:
ミニ四駆部なんて、特にターゲットとは違いますよね(笑)。それでも、刺さる人には刺さるので、こうした発信でアピールしています。

実は、こうした発信をきっかけに、模型や手芸といったホビーの分野で「アイラップが使える!」と気づかれる方も多いんです。

その一人が、世界的なプロモデラーの瀬川たかしさんです。


彼がツイートした翌日には、ヨドバシAkibaのプラモデルコーナーにアイラップシリーズが並んだという、伝説的なエピソードも生まれました。

―そのような工夫もあって、UGCが積み上がってきているんですね。ユーザー投稿が拡散した結果、売上にも変化はありましたか?

中の人:
具体的には話せませんが、Twitterをはじめてから、販売数が2倍にまで増えました。

―2倍! すごい数字ですね。Twitterは「地域を超えない」という特性があるとされています。日本海側で盛り上がっていたアイラップが越境して、新しいユーザーにも届いているというのは、すごいことだと思います。

中の人:
確かに、地域性の壁は私も痛感しました。そこで私が注目したのは、アイラップ「以外」の話題です。先ほどお話ししたハッシュタグや部活動、私の趣味に関するツイートですね。

こうした発信をきっかけに「こんな商品があったんだ。でもうちの周りにはないかも」とつぶやく人がいて。それを見て、私が「ここで売っていますよ!」とお答えする。

アイラップの公式アカウントは、ただ商品情報を発信するだけでなく、ユーザー様に寄り添う存在でありたいとずっと考えていました。

こうした活動は、ある意味で営業マンに近いかも知れません。

SNSでのつながりをリアルへ

―今後、SNSを活用してどんなことをしていきたいですか?

中の人:
少し生意気な言い方なのですが、SNSにおいて、他の企業様のアカウントと同じことはしたくないと思っています。

とにかく前を向き、やりたいことは全てやっていく。「ユーザー目線第一」という信条を曲げずに、今後も運用していきたいですね。

その一つとして、SNSからリアルへ活動を広げたいと考えています。

ありがたいことに、アイラップはTwitter上でそれなりに名前を知られるようになりました。かたや、本来の戦場である「売り場」においては、まだまだ知らない方が多いと感じています。

リアルの場でも、商品の認知を広めたい。その試みの第一歩が、先日プレスリリースを出した、フマキラーさんとアイラップの異業種SNSコラボです。

このコラボでは、SDGsに基づいた食品ロスを削減するという共同目標を掲げています。

SNSをフル活用して、さまざまな企業の担当者さんとつながりを作り、そのつながりをリアルにも活かしていく。そのための取り組みを、始めたばかりです。

―SNSだけに留まらず、リアルにも展開させるのは面白い試みですね。

中の人:
弊社は、広告費をあまりかけることができません。そうなると、必要なのはあれこれ工夫することです。

もちろん、会社の都合だけではなく、「みなさんの生活を豊かにすること」を考えた工夫でなければなりません。2022年は、その前提の中でできる全ての工夫を思い切りやるのが目標です。

―中の人さん、本日はありがとうございました!

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