SNSコラム

【業界別】企業のInstagram活用事例の紹介/解説

2020年08月21日
Instagram活用 | SNSコラム

最終更新日:2024年1月10日

Instagramは国内月間アクティブユーザー数3,300万人を誇る、国内でも主要なSNSです。20代~30代に多く利用されていますが、最近では40代以上にも利用が拡大されています。女性のユーザーが多いイメージですが、男性のユーザー人気も集め始めています。

参考:「Instagramの国内月間アクティブアカウント数が3300万を突破」Facebook

「COVID-19ホットスポットでのSNSアクティビティは? 利用者数の変化をチェックしてみた」

ショッピング機能が実装されていることもあり、Instagramはいまや「購買の場」としても使われています。Instagram上には企業の商品やサービスに関するUGC(ユーザーが生成したコンテンツ)がたくさん投稿されているため、UGCを活用して購買につなげていくことも可能です。

アパレル/コスメ/食/飲料/小売/メディア/レジャーの各業界から、人気の高いInstagramアカウントの活用例を集めました。

アパレル:UNIQLO銀座店

国内を代表するファッションブランド、「UNIQLO」。複数のInstagramアカウントが展開されていますが、注目したいのは世界最大級の旗艦店であるUNIQLO銀座店のアカウントです。

事例のポイント:
・UGCの活用
・ハッシュタグでイメージ作り

※UGCとは……
User Generated Conetensの略語で、「ユーザーが生成したコンテンツ」を指す。

具体的な事例

①UGCの活用

ユニクロ銀座店のアカウントでは、UNIQLOのアイテムを取り入れたコーディネートのUGCを投稿しています。

ポイントは、誰もが知るタレントや著名人ではなく、Instagram上でファッション関連の情報発信を行っているユーザーのUGCを紹介している点です。

施策を分析すると、このような流れがうかがえます。

1)公式アカウントがUGCを投稿

公式アカウントがUGCを紹介し、投稿を取り上げてもらいたいユーザーに採用される投稿のイメージを伝えます。投稿を取り上げてもらったユーザーは「好きなブランドが自分の投稿を紹介してくれた」と、アカウントに好印象を抱きます。

2)再びUGCが生まれる

ほかの人のUGCが紹介されているのを見たユーザーは「自分の投稿も取り上げられるかもしれない」と、期待感も込めてUGCを積極的に生んでくれます。一度UGCを紹介してもらったユーザーも「また取り上げてくれるかもしれない」と、再度写真をアップしてくれることもあります。

こうした流れを経て自社ブランドのUGCが自然発生的に生まれていくと、自社商品のクチコミや良い評判がInstagram上で蓄積されます。
すると、情報収集の主流機能であるハッシュタグ検索や発見タブのトップに載るなど、自社商品を見つけてもらいやすくなるのです。また、UGC活用はブランド想起や購買意欲の刺激にも寄与します。

②ハッシュタグによるブランディング

キャプションには、必ず特定のハッシュタグが記載されています。
代表的なハッシュタグは「#uniqloginza」。その時々のシーズン特有のハッシュタグや、ユーザーが着ているアイテムなどと関連する独自のハッシュタグも明記されています。

「#uniqlo」ではなく、「#uniqloginza」が指定ハッシュタグである理由は、ユニクロのアイテムを使った大人な印象のコーディネートを探しやすくするためかもしれません。社会人世代の女性が多く集まるイメージのある「銀座」店の客層となるユーザーにも、アプローチしているのではないでしょうか。

また、アカウントから発信したい世界観とは紐づかない投稿が多すぎると、ブランドイメージにも影響が出ます。公式アカウント側が「お手本」となるような投稿を発信すれば、その投稿に共感を覚えた一般ユーザーは「お手本」に近いイメージのUGCを生んでくれます。公式が伝えたい世界観が表現されているUGCが、指定のハッシュタグに蓄積され続けていけば、ブランディングにも寄与します。

「UNIQLO GINZA」というブランドとそのイメージを確固たるものにするためにも、指定のハッシュタグが作られたのかもしれません。公式アカウント側としても、特定のハッシュタグを作った方がUGCを発見しやすいメリットがあります。

コスメ:資生堂「マジョリカ・マジョルカ」

資生堂の「マジョリカ・マジョルカ」は、「魔法」やおとぎ話といった世界観をベースにした若年層向けの低価格コスメブランドです。

事例のポイント:
・動画を活用し、メイクテクニックを紹介
・「マジョリ画」企画でUGCを創出

具体的な事例

・動画を活用し、メイクテクニックを紹介

マジョリカ・マジョルカのアカウントでは、商品の説明を動画を使って行っています。

例えばこの投稿では、以下の工夫が施されていることがうかがえます。

・短尺で、シンプルにわかりやすく商品の使い方を説明
・真似しやすいメイクテクニック
・アイラインの引き方を数パターンを見せ、できるメイクのバリエーションをアピール
・ビフォー/アフターを見せることで、商品価値を訴求

数パターンのアイメイクやビフォー/アフターを見せることで、ユーザーが商品を手に取った先の自分の姿をイメージしやすい訴求をしている点も、メイク動画コンテンツのポイントです。
「自分もこういうメイクをしてみたい」と、ユーザーにワクワクした気持ちを感じてもらえるようなクリエイティブになっている点も参考になります。

②「マジョリ画」企画でUGCを創出

人気イラストレーター・宇野亞喜良さんとのコラボ企画「マジョリ画」。マジョリカ・マジョルカの世界観と親和性の高い宇野さんの絵柄をもとにしたジェネレーターで、ユーザーが自分の似顔絵を作成できる企画でした。

作った似顔絵(UGC)はSNSでシェアできるほか「自分へのごほうび」や「友達へのギフト」として、UGCをあしらったギフトボックスも購入できました。

ハッシュタグ「#マジョリ画」の投稿数は約2.2万件。一時想定以上のアクセスにより保存やシェアができないといった不具合が発生するほど、人気と話題を集めました。


ギフトボックスセットを購入すると、その似顔絵カードと、ジェネレーター上で使ったアイテムが実際に届くという仕掛け。

また、ギフトボックスを購入すればジェネレーター上で作った似顔絵(UGC)が現物となって一緒に届くなど、UGCを「プレゼント」に結び付けた
点もこの事例の特徴です。ブランドマネージャーによれば、公式ECサイトでの売上は前年比380%(発売後1カ月)(※2016年時点)という成果につながったそうです。

参考:「“バズ”の先、需要を喚起する為に〜マジョリカ マジョルカが仕掛けた「ギフト」施策とは」 AdGang

人気イラストレーターとのコラボによりプレミアム感を演出したことや、ユーザーが好きに作れるようコンテンツに大きく「加工の余白」を残した点も、成功の要因でしょう。「ユーザー参加型」のコンテンツはInstagramユーザーにも喜ばれることが多いです。
公式アカウントはUGCもリポストしているため、投稿をシェアすることでユーザーにも喜んでもらいつつ、一緒に企画を盛り上げていたことがわかります。

事例自体は4年前のものですが、現在でも通用する参考事例として紹介しました。

食:Tasty Japan

「Tasty Japan」はアメリカ発のWebメディア『BuzzFeed』が運営する料理動画メディア『Tasty』の日本版。

Instagramの公式アカウントのフォロワー数は約660万人。国内のすべての企業アカウントでフォロワー数第1位に輝くアカウントです。

参考:Instagram(インスタグラム)解析・人気ランキング

事例のポイント:
・ユーザーの心をつかむ料理動画コンテンツ
・有益なコンテンツの提供

具体的な事例

アカウントの最大の特徴は、バリエーション豊富な料理動画コンテンツが日々投稿されていることです。写真よりも動画がコンテンツのメインとなっています。

①ユーザーの心をつかむ料理動画コンテンツ

Tasty Japanの料理動画のコンセプトは「見て幸せ、作って楽しい」。

コンセプトどおり、見ているだけでお腹が空いてきたり、思わず自分も作ってみたくなるような気分にさせられたりする動画ばかりです。

動画の尺はおおよそ2~3分と、見やすい時間にまとまっています。
短尺動画はSNSでは見られやすい傾向があるため、Tasty Japanのショートコンテンツはプラットフォームとの相性もよいでしょう。
調理工程もテンポよく編集されており、直感的でわかりやすいです。

料理系のアカウントは、写真や料理動画のクオリティが非常に重要。Tasty Japanがこれだけの人気を集めている要因は、シズル感あふれるハイクオリティなコンテンツが多くのユーザーの心をつかんでいるからでしょう。

ちなみに、アカウントトップページのハイライトではユーザーに向けて企画のアイディアも募集しています。ユーザーとコミュニケーションを取ることを忘れない点も、Tasty Japanが多くのユーザーに親しまれている要因かもしれません。

②有益なコンテンツの提供

どの投稿でも、映像だけでは把握しきれない調理方法や食材などがキャプションにくわしく書かれています。ユーザーは投稿を見ながらレシピを作ることも可能なのです。

また、最近(2020年7月時点)ではプロの料理人による料理動画の投稿も始まりました。Tasty Japanらしい動画フォーマットに載せて、プロが直々にレシピのコツを解説しています。

Instagramといえば、おしゃれだったりアーティスティックだったり、いわゆる「インスタ映え」的な投稿が主流のイメージがあるかもしれません。
しかし最近ではユーザーが実生活で活かせたり、悩みを解決したりするような「有益コンテンツ」の投稿も増えているのです。

この観点からみると、Tasty Japanは料理や食という人の生活の基本となるものに直接アプローチしています。実用的な体験(サービス)をコンテンツとして発信している点も、Tasty Japanが人気を集める理由のひとつでしょう。
ユーザーの日常生活に活きる有益コンテンツも、投稿アイディアの参考にしてみてはいかがでしょうか。

飲料:スターバックス

世界中にファンも多いコーヒーチェーン店「スターバックス」。
スターバックスのInstagramアカウントで注目したいのは、ストーリーズ機能を上手に活用している点です。

事例のポイント:
・ストーリーズ機能でユーザーとコミュニケーション

具体的な事例

ストーリーズ機能でユーザーとコミュニケーション

Instagramのストーリーズはフィード投稿よりも閲覧機会が多く、いまやInstagramでもっとも使われている機能となっています。

スタンプを使ってユーザーに質問したり、アンケートを募集したり、クイズを投げかけたりなど、さまざまな方法でユーザーと双方向的なコミュニケーションを取ることが可能です。

以下にいくつか、スターバックスが実践している例をあげましょう。

①お題に沿ったUGCを投稿してもらう

特定の「お題」をストーリーズからユーザーに投げかけ、UGC用のフォーマットも提供。投稿されたUGCはスタッフが確認してストーリーズでシェアできるように、公式アカウントのIDをメンションするように呼びかけています。

②アンケート機能を使う

スタンプのアンケート機能を使ってユーザーにお題を与え、回答を集める企画も。

③スターバックスならではのクイズを出題

スタンプ機能を使ってユーザーにクイズを出題する企画もたびたび行われています。スターバックスのファンやコーヒー好きだったら答えたくなるような、少しマニアックなクイズが出題されることが多いです。

④ユーザーの悩みに答えるような質問

ユーザーが困っていそうなことや課題に感じていることをヒアリングする企画も投稿しています。回答は後日、スターバックスのスタッフが行うそうです。

顧客の声を企業が進んで集めにいく企画は、「丁寧で親切な企業」という印象を持ってもらえる可能性があります。自社への信頼感や安心感も覚えてもらいやすくなるでしょう。

Instagramをはじめ、SNSは企業とユーザーが近距離でつながれたり、ユーザーが声を届けやすい場でもあります。この事例は、そうした特性をうまく反映しているようです。

ユーザーとの双方向的なコミュニケーションのきっかけを企業側が作ることで、ユーザーは能動的にブランドに関わりやすくなります。
スターバックスのような地道なコミュニケーション活動は、企業のファンを増やしたり選ばれるブランドになりやすくしたりするメリットを生むでしょう。

小売:良品計画「無印良品」

シンプルで洗練されたデザインの商品に、ロハスで「ていねいな暮らし」を表現した世界観のファンも多い「無印良品」。Instagramのアカウントでは日用品から住宅まで、実に多種多様な商品が投稿されています。

事例のポイント:
・世界中の店舗の写真投稿
・無印良品ならではのノウハウコンテンツ

具体的な事例

①世界中の店舗の写真投稿

無印良品はグローバル企業のため、世界中に店舗を構えています。

公式アカウントからは、たびたび国内や世界の店頭、店舗の中の様子がわかる写真が投稿されています。

無印良品というブランドのイメージがそのまま海外にも輸出されているようです。国を超えても変わらない世界観やブランディングを訴求していることがうかがえます。

店舗の実際の様子がわかる投稿は、ユーザーやブランドのファンの「お店に行ってみたい」という心理を刺激できるメリットもあるでしょう。
店舗でしか味わえないような無印良品の雰囲気や世界観も見せることで、店舗への集客に活用しているのかもしれません。

②無印良品ならではのノウハウコンテンツ

日用品・衣料品・雑貨・家具・食品など、生活に必要なあらゆるモノを商品化している無印良品。「暮らし」そのものにアプローチしている無印良品だからこそ、ユーザーに伝えられる生活の知恵も発信しています。

「くらしのコツ」とタイトルがつけられた一連のコンテンツでは、日々の暮らしを少しランクアップするような、ちょっとした生活上の工夫やノウハウが無印良品らしい視点で語られています。テーマに合った商品が紹介されることもあれば、無印良品のオウンドメディア、Webサイト上の特集ページに誘導されることも。

ユーザーの役に立つと同時に、ブランドがもつ強みをアピールした企画となっています。

メディア:VOGUE GIRL JAPAN

世界的ファッション雑誌『VOGUE』の日本版姉妹雑誌である、『VOGUE GIRL JAPAN』。
『VOGUE』の妹的な本誌はティーンから20代の女性を中心に人気があり、Twitterで毎週のようにトレンド入りしている「しいたけ占い」の掲載誌でもあります。誌面の写真やプロモーション動画以外にもInstagram独自のコンテンツを投稿しています。

事例のポイント:
・「#本日のご褒美」でエディターセレクトのモノやショップを紹介

具体的な事例

・「#本日のご褒美」でエディターセレクトのモノやショップを紹介

2019年4月から始まった、『VOGUE GIRL JAPAN』のエディターがユーザーにオススメのアイテムやショップを紹介する「#本日のご褒美」企画。毎日更新されており、月曜日から日曜日まで、毎曜日異なるテーマに基づいた投稿が行われています。

ファッションアイテムや化粧品に留まらず、生活に取り入れられそうなアイテムやカルチャーも紹介している点がポイント。世界的ファッション雑誌らしく、ライフスタイルの提案まで行っているようです。

・「#月曜日はスウィーツの日」

・「#火曜日はビューティの日」

・「#水曜日はお花の日」

・「#木曜日はショッピングの日」

・「#金曜日はカルチャーの日」

・「#土曜日はおうちの日」

・「#日曜日はグルメの日」

「#本日のご褒美」シリーズには、必ず投稿に「#エディターのお気に入り」というハッシュタグもついています。
実際に雑誌を作っている中の人(編集者)の存在も訴求することで、ユーザーに親密感を覚えてもらいたい意図があるのかもしれません。編集者の存在をコンテンツからにおわせるのは、雑誌ならではのアプローチといえそうです。

レジャー:東京ディズニーリゾート

レジャー施設を運営する企業アカウントのなかでも、フォロワー数第1位を誇るのが「東京ディズニーリゾート」です。

事例のポイント:
・フォトジェニックなパーク内の写真
・ゲストの投稿(UGC)の紹介

具体的な事例

主に投稿されているのは、東京ディズニーランドとシーの様子やディズニーキャラクターたちの写真。思わず東京ディズニーリゾートに出かけたくなるような、「夢の国」らしいワクワクするコンテンツがたくさんアップされています。

①フォトジェニックなパーク内の写真

東京ディズニーリゾートのアカウントの魅力は、なんともいってもフォトジェニックな写真です。東京ディズニーランドとシー、双方のパーク内のひとコマやショーの様子などを収めた写真は、どれも高いクオリティの作品となっています。

たとえば、夕日を背景にした美しい写真。

紅葉が美しい時期には、秋らしさを感じる一枚を。

行事に合わせた投稿も数多いです。元日には着物を着た人気のディズニーキャラクターが新年のあいさつをしています。

一枚一枚にかなりのこだわりを感じる写真ばかりです。

②ゲストの投稿(UGC)の紹介

東京ディズニーリゾートの公式ブログでは、ゲスト(来訪者)にハッシュタグ「#tokyodisneyresort」をつけたパーク内の写真投稿を呼びかけています。

参考:「インスタグラムはじめました。 | 【公式】東京ディズニーリゾート・ブログ」 東京ディズニーリゾート

リポストではなく、公式アカウントが投稿主から写真を借りて新たにハッシュタグやコメントをつけて紹介している形です。

キャプションには毎回、「これからもゲストのみなさんの写真をご紹介します。#tokyodisneyresortなどをつけて投稿してくださいね」と、UGCの投稿をお願いする文章が書いてあります。

これだけの高いクオリティが並ぶ写真に混じって自分の投稿が紹介されたユーザーは、きっとうれしいでしょう。ゲストを第一に考えるディズニーらしいファンサービスにも見えますし、東京ディズニーリゾートのリピーター増やユーザーエンゲージメントアップの施策にも見えます。

まとめ

企業のInstagram活用事例を業界別に紹介してきました。

自社の商材やサービスの特徴によって、訴求したいユーザー層や消費者行動、経営上の課題も異なります。

本文中で紹介してきた事例をそのまま転用するのではなく、「自社の商品やサービス、そしてSNS上の課題と照らし合わせたときにどのようにアイディアを取れ入れられるか?」といった観点で参考にしていただけると幸いです。

 

Instagramを始めとするSNSを活用した独自性の高いマーケティング施策で、クチコミによるファンの増大化と売上アップに成功した事例はこちらをご覧ください。

 

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