SNSコラム

Meta2025年1Q決算から見えたSNS活用のヒント。広告事業の好調やAI戦略をどう活かすか

更新日:2025年7月3日
公開日:2025年7月3日
Instagram活用 | SNSコラム

2025年4月30日(米国時間)に「Q1 2025 Earnings Call」が公開されました。売上高は前年同期比16%増の423億ドル、純利益は166億ドルと、堅調な業績が示されました。

しかし、注目すべきはそれらの数字だけではありません。CEOであるマーク・ザッカーバーグ氏は「AIによるあらゆる事業の変革」を語っており、なかでも広告領域におけるAI活用が、今後の成長を左右する中核的な要素であることが明言されました。

ターゲティングやクリエイティブ制作におけるAIの介在が深まり、Metaは「広告配信の自動化」から「成果の自動創出」へと、広告の定義そのものを変えつつあります。単なる効率化にとどまらず、AIを活用して広告の成果を最大化しようとする姿勢が際立ちました。さらに、Meta AIの普及やThreadsの成長、インフラ投資の加速など、プロダクト・テクノロジー・収益基盤までもが、AIを軸に再編されていくことが明確に示されました。

本記事では、企業のSNS活用支援に実績を持つホットリンクのソーシャルメディアコンサルタントである北原一輝が、Metaの決算資料を「どんな戦略が語られていたのか」「私たちのSNS活用にどう活かせるのか」という観点で読み解き、マーケティングや広告運用に携わる方々に向けたヒントをお届けします。

(編集:倉内夏海

この記事に登場するメンバー

北原 一輝
株式会社ホットリンク コンサルティング営業本部 副本部長
ソーシャルメディアマーケティング本部 Instagram事業推進室

広告代理店にて大手ブランドの広告からイベント、プロモーションまで総合的なコミュニケーションプランニングを多数手がける。2021年にホットリンクに入社し、幅広い業界のコンサルティングやInstagram専門家として研究、分析、メソッド開発に従事。

広告の最適化から、AIがつくる「成果自動化の世界」へ

Metaの2025年1Q決算では、広告事業が引き続き堅調に推移していることが示されました。広告売上は前年同期比で16%増加し、インプレッション数は5%、平均広告単価は10%上昇しています。

こうした成長の背景にあるのは、AI技術の進化と運用の自動化です。同資料では、企業が「売上を上げたい」「新規顧客を獲得したい」といった目的と予算だけを入力すれば、あとはAIが自動でターゲティングやクリエイティブの最適化を行う、という世界観が提示されています。

実際、Metaが提供する「Advantage+スイート」や、最新の広告推薦モデル「GEM(Generative Ads Recommendation Model)」はその一端を担っています。たとえば、Facebook Reelsにおいては、GEMの導入により広告のコンバージョン率が5%向上したという成果が報告されており、AIによる広告配信の質が着実に改善されていることがわかります。

また、AIによるクリエイティブ生成の機能も進化を続けています。画像生成や動画のアスペクト比最適化などが広告主に提供されており、これまで人の手で対応していた工程の多くがAIによって自動化されています。生成AIによるバーチャル試着のテストも進められていることが、明らかにされました。

ザッカーバーグ氏は、広告を「AIエージェントによる成果創出サービスに進化させたい」と明言しています。広告運用の現場では、入札・配信・測定といった各ステップが徐々に自動化されてきましたが、今後は「成果そのものの最適化」をAIが主導する時代が到来するかもしれません。

このように、広告運用におけるAI活用は「効率化」から「成果の最大化」へとシフトしています。マーケティング担当者としては、従来の手動運用にこだわるのではなく、AIの進化を味方につけて「人がすべき判断とAIに委ねるべき判断」を見極める視点が重要になると予測できます。

滞在時間とエンゲージメントを伸ばす“AIレコメンド”の真価

同資料では、「プラットフォーム上でのユーザーの滞在時間」が着実に伸びていることが報告されました。過去6ヵ月間での利用動向を見ると、Facebookでの滞在時間は7%、Instagramは6%、Threadsでは35%増加となっています。これらは、レコメンデーション精度の向上と、生成AIの活用によるUX改善が寄与した結果とされています。

とくに注目なのは、大規模言語モデル(LLM)とレコメンドエンジンの統合です。Metaでは、ユーザーの興味や行動履歴に応じてより関連性の高いコンテンツを提示するため、AI技術を活用したレコメンドの改善が進められてきました。たとえば、ThreadsではLlama(ラマ。Metaが開発している言語モデル)を活用した新たなレコメンドにより、滞在時間が4%増加したという具体的な成果も示されています。

また、Meta AIの個別対応機能も本格的に展開されはじめています。ユーザーの過去のやりとりや関心に応じてパーソナライズされたコンテンツを提示することで、アプリ上でのエンゲージメントを高めています。今後は、静的なレコメンドにとどまらず、「対話しながらコンテンツを楽しむ」「AIがユーザーの嗜好にあわせて動的に生成する」といった体験の広がりも期待されます。

このように、MetaはAIによるレコメンドの最適化を「単なる精度向上」ではなく、「コンテンツとの関係性の再構築」として捉えていることが読み取れます。ザッカーバーグ氏が「コンテンツの進化はテキスト→写真→動画と進んできたが、今後は『触れて、応答しあう』双方向体験へ移行する」と語っているように、より没入感や参加感のあるSNS体験が重視されるかもしれません。そうした“体験の進化”を担う存在として、Metaは「Meta AI」を戦略の中核に据えています。

Meta AIとインフラ戦略――「自社主導」への強いこだわり

今四半期の決算説明では、Meta AIに関するアップデートも多く語られました。Meta AIとは、Metaが自社のアプリ群(Facebook、Instagram、WhatsAppなど)に組み込んで提供するAIアシスタントです。チャット形式での利用に加え、コンテンツのレコメンドや生成、ユーザー体験の向上といった領域でも幅広く活用されています。

こうした動きの背景には、MetaがAIの研究・実装・提供を“自社主導”で進めているという強い方針があります。たとえば、Metaは大規模言語モデル「Llama 4」を4月に初公開しており、今後はさらに大規模な「Llama 4 Behemoth(ベヒモス)」も計画中です。

ザッカーバーグ氏は、AIモデルを自前で構築する理由として、「インフラに最適化した設計にできること」「自社ビジネスにとって不可欠な基盤であり、他社依存を避けるべきであること」の2点を挙げています。Behemothのような大規模モデルは直接提供するのではなく、そこから蒸留して、より効率的で低遅延な小型モデルを作成・展開する方針です。これにより、大規模モデルの高度な知能を実用的な形で届けることを目指しています。

企業のSNS担当者が押さえておきたい「Metaの現在地」

このように、MetaはAIの活用にとどまらず、研究・インフラ・実装・体験設計にいたるまでを一気通貫で手がける「AI企業」への転換を明確に打ち出しつつあります。ここから見えてくるのは、AIを通じて事業の生産性とユーザー体験の両立を追求する企業としての現在地です。

広告事業で得た収益をAI基盤の拡充へと投資し、その成果を広告・プロダクトの強化に還元するという循環が成立しつつある今、同社が目指す未来像はSNSプラットフォーマーという枠を超えようとしている段階にあると言えるでしょう。

マーケターとして押さえておきたいのは、こうした流れが単なる“技術の進歩”にとどまらず、私たちのSNS活用や広告設計にも影響を及ぼすという点です。Metaの技術進化を「すごい!」で終わらせるのではなく、以下のような問いを立て直すきっかけにしていきましょう。

・広告運用における人とAIの役割分担はどうあるべきか
・ユーザーが思わず反応したくなるコンテンツ設計とは何か
・自社のSNS活用が、より体験価値を生むものになっているか

Metaの決算資料には、単なる数字の報告を超えて、今後のプロダクト戦略や広告運用の方向性、さらにはSNSの進化の兆しが端的に表れています。とくに今回のように、好調な業績を背景に語られる発言は、「どこに手応えを感じ、どこをこれから伸ばしていきたいのか」が明確に読み取れる点で、マーケターにとっては非常に価値の高い情報源です。

Metaの進化は、私たちがこれからのSNS活用を考えるうえで、大きなヒントを与えてくれる存在と言えそうです。みなさんの実務にもお役立ていただければ幸いです。

Instagramの戦略策定・運用はプロにご相談ください

ホットリンクはSNSマーケティングに長年携わり、多くの企業様のInstagramマーケティングを支援をしてきました。自社開発した分析ツールも活用し、データ分析に基づいた運用をすることで売上アップ・認知拡大を実現いたします。

経験豊富なSNSコンサルタントがInstagramの戦略策定〜運用のポイントまで具体的にご提案しますので、お気軽にお問い合わせください。

X(旧Twitter), Instagramマーケティングについてお悩みの方へ

プロ視点の解決策をご提案いたします!
まずはお気軽にご相談ください

03-6261-6933受付時間:平日9:00-18:00
今すぐ相談する24時間365日受け付けています
お問い合わせエリアのイメージ
SNSで売上アップ・認知拡大を実現ホットリンクのSNSマーケティング支援
まずは相談してみる サービス紹介資料を見る
ホットリンクに相談してみる