TikTok Shopとは?
TikTok ShopとはBytedance社が提供する縦型ショート動画SNS「TikTok」上で、直接商品を販売・購入できる通販機能です。
企業やクリエイターはショート動画やライブ配信で商品を紹介することができます。視聴者はおすすめされたコンテンツを視聴し、外部サイトに遷移せずTikTok上で商品詳細を確認して決済まで完了することができます。
このような特徴からTikTokショップは、「ディスカバリーEコマース」と呼ばれています。
日本でTikTok Shop提供開始はいつから?
TikTok Shopは2025年6月30日に日本でリリースされました。
MTGやKINUJO、ヤーマン、日清食品、Yogibo、アンカー・ジャパン、I-ne、KATE(花王グループ)、ユニリーバ・ジャパン、ラコステジャパン、ウィーゴー、CAGUUU、SHOPLISTなどをはじめとした日本で事業を展開する企業がすでに参画しています。
グローバルではアメリカや東南アジア、EUなどの16の国と地域で利用可能で、1500万以上の販売事業者がTikTok Shopに登録しています。
TikTok Shopの主な機能・提供サービス
TikTok Shopの主な機能や提供サービスについて解説していきます。
買い物カート付きショート動画(In-Feed Shoppable Video)
TikTokのショート動画に商品タグを付与することが可能です。
視聴者は動画上で商品タグをタップして商品詳細ページに遷移し、そのまま決済まで完了することが可能です。

ライブコマース(LIVE Shopping)
TikTokのライブ配信画面上にショップタグを表示することが可能です。
ライブ配信中にアイテムを紹介し、視聴者の製品に関する質問にリアルタイムに回答しながら、スムーズに購入につなげることが可能になります。

中国や海外では、好きなライバーから商品を買う「応援消費・推し消費」の側面が非常に強いです。
投げ銭でお金を落とすだけではなく、商品を購入することで自分も欲しいものを手に入れつつ、ライバーやクリエイターを応援できるようになる点が、ユーザーにとってもライブコマースを魅力的に感じるポイントと言えます。
プロダクトショーケース(Product Showcase)
自社アカウントのプロフィール上に商品が一覧表示されるプロダクトショーケースを表示することができます。特定の製品群をキュレーションしたカスタム製品コレクションを作成することも可能。
ユーザーは一覧から個別の商品をタップすることで、商品詳細を確認し、決済を完了できます。

ショップタブ(Shop Tab)
商品をTikTok Shopのマーケットプレイス上に掲載することができます。
TikTokユーザーはショップタブから商品を検索したり、おすすめされた商品を閲覧することが可能。
企業としては、ショップタブ上で新たなユーザーに商品を発見してもらえる可能性があります。

アフィリエイトプログラム
企業はTikTokショップのアフィリエイトプログラムを活用することで、数千人規模のTikTokクリエイターと協業し、商品をプロモーションすることが可能です。
協業したクリエイターは企業のプロダクトショーケースから製品を選択して、動画やライブ上で紹介できます。
企業はクリエイターの動画経由で発生した売上に対してアフィリエイト報酬を支払います。
アフィリエイトプログラムを活用することで、TikTokショップを幅広いオーディエンスにリーチしたり、クリエイターのファンの態度変容を促したりすることを期待できます。
ショップ広告「GMV Max」
TikTok Shopに対応した広告ソリューション「GMV Max」も7月中に展開予定のようです。
買い物カート付きショート動画、ショーケース、ショップタブなどのショート動画コンテンツに対応する「Product GMV Max」と、LIVE配信に対応する「LIVE GMV Max」の2種類が提供される予定。
GMV MAXの特徴としては、既存のオーガニック動画クリエイティブやLIVE配信コンテンツを自動で取り込むことができたり、オーガニックトラフィックやアフィリエイトトラフィックのシグナルと広告データを統合して、広告のパフォーマンス最適化が可能な点です。
GMV MAXを活用することで、オーガニック投稿では届かない、多くのTikTokユーザーに製品に関する広告をリーチすることが可能になります。
ライブコンテンツはどのタイミングで見られるか分からないという側面があるため、海外ではライブの名シーンを切り抜いて動画広告化し、ライブに誘導するという方法もよく使われています。
FBT(Fulfilled by TikTok)
TikTokは販売企業に代わって、在庫保管、商品ピックアップ、包装、物流配送を行う物流代行サービスFulfiled by TikTokを提供していきます。
TikTokに物流に関する業務を委託することで、ブランドは商品開発やショップ運営に集中することが可能になります。

TikTok Shopの費用
日本のTikTokショップの費用は未公開のため、2025年6月時点では不明です。
ただし、先行してサービス提供されている海外市場から推測が可能であり、おそらく初期は5%程度で、段階的に引き上げられることが推測されます。
各国で共通しているのは導入の初期費用や月額費用は無料で、販売手数料のみ発生する点です。
2021年にサービス開始したイギリスにおいては、初期は販売手数料が一律で5%。新規出店から90日間は優遇措置として1.8%に割引されるキャンペーンが実施されていました。現在では一律で9%まで引き上げられています。
米国では2023年にTikTok Shopが提供開始され、イギリスと同じく初期は割引キャンペーンが実施されていましたが、段階的に引き上げられ、現在では8%となっています。初期は固定手数料として1決済あたり$0.3の手数料がありましたが、現在は廃止されています。手数料には決済処理に関する費用も含まれており、別途クレジットカード手数料等を支払う必要はありません。
インドネシアやマレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムなどの東南アジア各国では、5〜20%の範囲で商品カテゴリごとに細かく手数料率が設定されています。一般的な商品カテゴリではおおよそ5~10%台ですが、電子機器などでは15~20%前後に設定されているケースもあります。
TikTok Shopを導入するメリット
TikTok Shopを導入するメリットは以下が挙げられます。
検索に至る前の潜在顧客を購買に繋げやすい
GoogleやAmazonなどのマーケットプレイスで購入するユーザーの大半は、すでにブランドを認知していて、購入を検討している層です。
このような層は購入意欲が高く購入率が高いですが、母数が少なく、競合性が高いデメリットがあります。
TikTok Shopであれば、検索に至る前の膨大な未顧客に対してリーチし、直接購入につなげることができるメリットがあります。
効果を測定しやすい
TikTokなどのSNS活用においては、施策の売上に対するインパクトを可視化しづらい側面があります。
TikTok ShopであればTikTokから直接購入に至るので、TikTok施策の売上インパクトを明確に分析することが可能になります。
購入検討層の最後の一押しになる
ECサイトの画像やテキストの説明だけでは情報が足りず、購入に迷っているユーザーは多く存在するものです。
TikTokのショート動画やライブショッピングを活用することで、色味や大きさなど豊富な情報を提供しつつ、リアルタイムに顧客の疑問を解消することができます。検討中のユーザーの最後の一押しになる可能性があります。
TikTok Shopの始め方
ここからはご自身で開設作業を行う場合の準備するものと、開設の流れを紹介します
事前に準備が必要なもの
- 有効なメールアドレスまたは電話番号
- 事業所の所在地や担当者の氏名などの情報
- 法定代理人、取締役、または企業に対する重要な支配権を持つ個人の身分証明書、およびビジネスライセンス、登録証明書、または同様の公式文書
- 銀行の口座情報
TikTok Shopの開設方法
以下の流れでTikTok Shopの開設が可能です。
※下記は公式記載の内容ですが、開設方法が変更されている可能性があります。
- Seller Centerにログインするか、TikTokアカウントまたはメールアドレス / 電話番号で新規登録します。
注:TikTok Shopへの登録に組織アカウントを使用することはできません。
- 国を選択して「入力」をクリックします。
- どのようなビジネスタイプのショップを設定するか、あるいは個人名で販売を行うかを選択します。
注:ビジネス用のショップを作成する場合は、法人名(企業名)や雇用識別番号(EIN)などの情報を提供する必要があります。
- 情報認証のステップを完了します。
- ショップの倉庫 / 集荷先を設定します。
- 国または地域を入力し、事業所の番地を入力します。
- 問い合わせ担当者の氏名を入力します。
- 郵便番号を入力します。
- 電話番号を追加します。
- ショップの返送先を入力します。
- 「返送先として設定」をチェックすると、倉庫 / 集荷先を返送先として使用することができます。返送先住所・問い合わせ担当者・郵便番号・電話番号を追加して返送先を設定することもできます。
- 利用規約にチェックを入れて同意します。
- 「ビジネスを開始」をクリックします。
次に、Seller Centerで商品の販売/サービス提供を行うためには、適用法のもとで身元や適格性を確認するための資料の認証を行う必要があります。
- Seller Centerのホームページに移動します。
- 「書類を認証」をクリックします。
- 「書類をアップロード」をクリックします。
- 販売者情報で、ビジネスタイプとして「法人」または「個人事業主」を選択します。
- 「ショップ名」を選択します。
- 個人事業主の場合、パスポート、政府発行の身分証明書、または運転免許証の裏表の写真をアップロードします。
- 法人の場合は、次の画像のアップロードが必要となります。
- 法定代理人、取締役、またはそ企業に対する重要な支配権を持つ個人(PSC)の政府発行の身分証明書。
- 準拠法のもとで店舗での商品の販売およびサービスの提供を行うための資格を有することを証明するビジネスライセンス、登録証明書、または同様の公式文書。
- これらの資料のアップロードが完了したら「送信」をクリックします。
資料を提出すると、アカウント申請は承認待ちとなります。アカウントが審査を通過しなかった場合は、資料の再提出に関するアドバイスが記載されメールが送信されます。
ビジネス資料の検証が無事完了した後は、購入代金の受け取りや返金手続きに必要な銀行口座をショップに紐づける必要があります。
- Seller Centerのホームページに移動します。
- 「銀行口座の連携」をクリックします。
- 「アカウントの連携」をクリックします。
- アカウント名・銀行名・銀行口座番号・メールアドレス・住所・部屋番号を入力します。
注:個人事業主の場合、アカウント名は登録名と同じである必要があります。法人の場合、アカウント名は会社名と同じである必要があります。
- これらの必須情報の入力が完了したら、「送信」をクリックします。
これらすべての手順が完了したら、ショップに商品を追加できるようになります。
TikTok Shopで売上を伸ばすコツ
TiklTok Shopの売上を伸ばすためには以下のポイントを抑えておきましょう。
ライブ配信でショップタグを利用する
ライブ配信は顧客から質問を受け付け、リアルタイムに疑問を解消しながら商品の魅力を伝えることができる強力なコンテンツフォーマットです。
疑問が解消され、商品の魅力を実感した顧客がスムーズに購入できるように商品タグを設置するようにしましょう。
クリエイターとコラボする
TikTokユーザーはお気に入りのクリエイターからの発信を信頼して購買行動を起こします。
企業の公式アカウントだけでなく、相性のいいクリエイターとコラボして、自社のショップを紹介してもらうことで、幅広いリーチを確保し、顧客を態度変容につなげることが可能になります。
ショップ広告(GMV MAX)を活用する
公式アカウントからのオーガニック投稿だけだとリーチできるユーザー層は限定的です。
ショップ広告を活用し、魅力的な商品をより多くのユーザーに届けるようにしましょう。
TikTok Shopの成功事例
海外でTikTok Shopの活用に成功している事例を紹介します。
フリーズドライキャンディーブランド「Cuza Candies」

Cuza Candiesは、アメリカを拠点とする、主にフリーズドライキャンディーを製造・販売している家族経営の小規模菓子メーカーです。
Cuza Candiesは、TikTok ShopとTikTok広告を戦略的に組み合わせて活用することで、大きな成果を挙げることに成功しました。
▼数値成果
売上(GMV):広告経由で約24,000ドルの売上を達成
広告投資収益率(ROAS):2倍を記録
販売件数:900件以上の販売を達成
特に、TikTok Shopの導線を整備し、既に人気の高かった動画をベースに広告配信を行うことで、より自然な形で消費者の購買行動を促進することに成功しています。
オーラルケアブランド「MySmile」

MySmileは、歯のホワイトニングキットやオーラルケア製品を提供するアメリカのブランドです。これまでShopifyやAmazonを通じて製品を販売してきましたが、新たな収益源の開拓と顧客基盤の拡大を目的に、TikTok Shopを活用した販売チャネルの構築に取り組みました。
TikTok Shopの導入:シームレスな購入体験を提供するため、TikTok内での製品販売を開始しました。
Shop Adsの活用:売上拡大を図るため、Shop Adsを活用し、より広いユーザーにShopをリーチしました。
クリエイターアフィリエイトプログラムの活用:既存の製品ユーザーであるクリエイターと連携し、製品の使い方を紹介するデモ動画を作成しました。これらのコンテンツは、TikTok Shopのビデオショッピング広告として活用されました。
これらの施策により、MySmileはオーガニック、アフィリエイト、ペイドの各チャネルを効果的に統合し、TikTok ShopでのROIを最大化しました。
▼数値成果
売上(GMV):TikTok Shopの導入後、3か月以内に100万ドル以上の売上を達成
広告投資収益率(ROAS):3倍のROASを維持しながら、Shop Adsの週次予算を5桁台まで拡大
顧客獲得単価(CPA):自社ウェブサイトへの通常の広告キャンペーンと比較して、CPAを80%削減
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TikTok Shopに関する今後の展望についてホットリンクの増岡宏紀と、「抖音(ドウイン)」のEC代理店制度で実績を積んだNOVARCAの笹川剛志氏による対談を実施しました。
今後のTikTok Shopの活用方法を模索している方は合わせてご覧ください。

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