SNSコラム

【事例】言及数140%アップ! 整腸剤「ビオスリー」が取り組む、安心と親しみを生むX(Twitter)活用

更新日:2024年12月24日
公開日:2024年9月18日
X(旧Twitter)活用 | 事例

ホットリンクでは、2024年1月より整腸剤「ビオスリー」のX(旧Twitter)アカウントの運用をご支援しています。

薬機法(旧薬事法)を遵守しながらの発信が必須で、SNS活用のハードルが高いと言える指定医薬部外品でありながら、ビオスリーに関する言及数(※)は2024年8月末現在、ご支援前と比較して140%アップしました。

本記事では、ビオスリーのマーケティングを担当されている山下大輔様に、ホットリンクの水谷大輝・萩原愛梨・林陽菜を交え、製薬業界におけるSNS活用のポイントやビオスリーが実践するX運用についてご紹介します。

※「言及数」とは、リポストや返信なども含めた全ての投稿を指します。リポストや返信を除いたオーガニック投稿は「UGC数(ユーザーによるクチコミの数)」と表します。

(インタビュー・執筆・編集:倉内夏海 撮影:三谷優太

 

アリナミン製薬株式会社
プロダクト戦略本部 マーケティング部 リサーチ・定番基幹ブランドグループ 課長代理
山下大輔様


株式会社ホットリンク
ソーシャルメディアコンサルティング本部 アカウントコンサルティング1部
萩原愛梨


ソーシャルメディアコンサルティング本部 アカウントコンサルティング2部
リーダー 水谷大輝
林陽菜

腸活や整腸剤に関する話題が、少しでも多くX上にあふれるように

――まずは、山下様の担当業務やミッションを教えてください。

山下:私はビオスリーのマーケティングを担当しており、現在は宣伝も兼務しています。

 ビオスリーは「酪酸菌など3つの菌で、腸内フローラと大腸のバリア機能を改善し、日ごろの便通を整える」という効果で、整腸剤というカテゴリーのなかでは、ユニークかつハイグレードな商品です。また、2019年に誕生した比較的新しいブランドでもあります。

 それらを踏まえ、週に1回以上整腸剤をんでくださるような、ミドルヘビー層の整腸剤ユーザーを商品のターゲットとしています。具体的には、30~60代の男女がマーケティングの対象となります。

 ターゲットとする方々のなかで「整腸剤と言えばビオスリー」と想起されることを目指し、ブランドの認知獲得に注力しています。

――整腸剤を積極的に使われる、いわゆる「整腸剤ユーザー」には、どのような特徴があるのでしょうか。

山下:2種類に分類されると思っています。

 まずは、おなかの悩みを抱えている層で、従来からのターゲット層です。そして、最近増えてきているのが、日常的に悩みを抱えているわけではない、健康意識の高い方たちです。

 後者は腸を整えることで、腸だけではなく、肌や代謝、免疫にも良い影響があるという認識をもっています。健康維持のために整腸剤を利用する傾向があり、いわゆる「腸活」を行っている方たちです。

――そのような方々にリーチし、認知を獲得するためにSNSを活用されているのですね。ビオスリーのマーケティング活動におけるSNSの位置付けや、役割を教えてください。

山下:先ほどもお伝えした「整腸剤と言えばビオスリー」や、「腸活と言えばビオスリー」という認知の形成に役立てたいと考えています。そのためには、SNSをどのように活用するか、SNSで何を発信するかが重要です。

 ある時、「お客様が整腸剤に求めていること」を調査したことがありました。すると、上位を占めたのは「親しみやすさ」「安心感」だったのです。

 競合となる商品は、発売から何十年も経っているものが多く、歴史が長いからこその安心感や信頼感を得ているんですよね。

 一方、ビオスリーは歴史が浅く、まだまだ発展途上のブランドです。そこで、ユーザーと双方向のコミュニケーションが取れるXを活用することで、安心感や信頼感、親しみやすさを醸成し、整腸剤や腸活における第一想起につなげたいと考えています。

――「安心感や信頼感につながる発信」とは、例えば、成分を紹介するような内容でしょうか。

山下:アカウントを開設した2023年頃は、そう捉えていた部分もあります。効果効能などをストレートに発信する製品の宣伝が、安心感や信頼感につながるのではないかと。

 しかし、迷いもありました。企業が言いたいことを一方的に発信する「単なる宣伝」では、いくら発信を続けても、SNSユーザーには響かないのではないかと思ったんです。

 Xに限らず、SNSの主体は生活者ですよね。そこに企業が入っていくのだから、自社の商品やブランドのことばかり押し出しても、誰も見たいとは思えない気がしました。大事なのは、その空気に溶け込み、お客様の日常に入って馴染んでいくこと。「お客様にとって有益な情報」でないと、興味をもってもらえないと思いました。

 押し付けがましくなく、それでいてビオスリーや腸活や整腸剤に関する情報が、世の中に少しでも多く発信されている。そんな状態を作るための発信を、ビオスリーのXアカウントで行っています。

アカウントが成長したことで、UGCにも目を向けられるようになった

――そのようにXを活用していくパートナーとして、ホットリンクをお選びいただきました。どのような経緯があったのでしょうか。

山下:当時はアカウント立ち上げ期だったので、まずはフォロワー数をKPIにしました。1年ほどで、目標にしていたフォロワー数は達成できました。

 次の目標を考えた時、「ホットリンクさんにご提案いただいた、UGC活用に目を向けよう」と、社内で意見が一致したんです。

 その頃には、私を含めた弊社チームにもSNSに関する知見が溜まっていました。実際に運用したことで得られたものが多いですね。だからこそ、KPI設計の難しさも感じていました。

水谷:悩まれる企業様は多いですね。

山下:初年度は、私たちにとってはフォロワー数が重要だと思っていました。整腸剤としては新参者であるビオスリーの認知度を測る指標として、フォロワー数が分かりやすかったのです。アカウントのトップを見れば、誰でも一目で分かりますから。

 ただ、UGCを軽視していたわけではありません。分かりやすい指標を追うところから始めて、アカウントが次のフェーズに入ったところで、「UGC数をKPIにしようか」「改めて、ホットリンクさんに相談しよう」と判断しました。

リポスト・UGCの合算で、Xでの「ビオスリー」への言及を増やす

――ビオスリーのXアカウントのご支援は、主に水谷さん・萩原さん・林さんが担当していますね。役割分担を教えてください。

水谷:私は責任者として、ご支援の全体像を把握しながら、「現在の状況に対して何をすべきか」という枠組みを考えています。SNS戦略を検討したり、打ち手の起点を考えたりしています。

萩原:私と林さんは、投稿する内容のアイディア出しや、投稿文の作成、UGCのリポストなどを担当しています。X広告を配信する際は、ターゲティングの設定も行います。

林:日頃の投稿の中でPDCAを回したり、広告のターゲティングの拡張といった細かな調整も、萩原さんと一緒に行っています。

――現在のKPIはUGC数ですか?

水谷:山下様ともお話をして、リポストや返信も含めた「言及数」をKPIにしています。

 UGCが重要である一方で、薬機法遵守の観点から、発信する内容やリポストする投稿への配慮が必要不可欠です。

 そのような状況で、UGC数だけを重視してKPIとして追っていくことが、果たして本当に認知の獲得や最終的なゴールである安心感の醸成につながるのか、断言が難しいと考えました。

 UGCを重視する理由の一つに、「第三者からの発信であるため、ユーザーに受け入れられやすい」という点があります。それと近い効果を期待できるのがリポストです。

水谷:ユーザーは、「良い商品だ」「有益な情報だ」と感じたら、リポストを行います。UGCとリポストの両方を増やしていくことで、X内に流通する「ビオスリー」という言葉の総量が増えていきます。

水谷:これによって「X上で投稿をよく見かける」と感じてもらえたり、「実際に使っている人のクチコミが出ている」という安心感の醸成につながると考えました。

――UGCやリポストを増やすための施策として、具体的にどのような投稿を行っていますか?

萩原:ホットリンクから提案させていただき、今年の4月から、ユーザーがよりビオスリーについて発信したくなるような投稿を強化しています。

 より効率的に認知を得るために、広告も実施しました。その結果、5月に行った投稿では300万以上のインプレッションを獲得しました。

林:ビオスリーのブランドアンバサダーである中村アンさんが、ご厚意でリポストしてくださったのも嬉しかったです。中村さんのファンの方々にも、この施策を知っていただく機会になりました。

萩原:たくさんの方に見ていただいたことで、引用ポストやリポストに加え、ビオスリーに関するUGCも増えました。

 広告のターゲットには、腸活に興味のあるユーザー層も含めました。その層からのハッシュタグ付き投稿も確認でき、届けたかった層にアプローチすることができました。

山下:アカウント運用を始めてから1年足らずのため、UGCを生み出す手法に関する知見は限定的でした。そのため、この件に限らずご支援全体を通して、適切なタイミングで適切な手法を提案していただけることを、非常に心強く感じています。

水谷・萩原・林:ありがとうございます!

山下:いざ実施してみると、効果的である施策が多いです。投稿には至らなかったアイディアにも印象深いものがあり、提案内容をいつもとても頼りにしています。

ご支援開始5ヵ月で言及数は140%、UGC数は103%アップ

――ご支援開始から8ヵ月ほど経過しましたが、現在感じている成果や手応えを伺えますでしょうか。

山下:先日行ったブランド調査でビオスリーは腸活に適した整腸剤である」というイメージがカテゴリーの中で最も高いスコアでした。テレビCMやWeb広告も実施しておりますが、Xでの発信もこの結果に貢献していると感じています。

 また、X以外の場も含め、世の中でビオスリーに言及してくださる方が増えたな、という実感があります。社内のメンバーはもちろんのこと、小売店様に話題に出していただくようになったり、ドラッグストアでビオスリーを手に取ってくださっている方を実際にる機会も増えました。Amazon様では、整腸剤カテゴリーで高い評価をいただいています。

 これらは、SNSも含めた様々な施策が上手くいっていることの表れだと捉えています。

水谷:ありがとうございます!

――Xでの言及量は、どれくらい増えているのでしょうか。

水谷:我々がご支援を開始した1~5月と、昨年の同期間を比較した結果、言及数は140%増となりました。UGCも103%増です。

山下:売上も120%以上増加しています。

水谷:多くの人が日常的に利用するわけではない医薬品・医薬部外品において、言及数・UGC数ともに右肩上がりで増えているのは、私たちとしても嬉しいですね。

山下:いずれも高い増加率だと認識しています。言及数もUGC数も、生活者が行動を起こさないと増えない数字です。それらが増えているのは、すごくポジティブなことだと感じますね。

水谷:もちろん、先ほど山下様もおっしゃったように、Xも含めた様々な施策の成果だと認識しています。

 UGCが増えたことで、Xでビオスリーの情報に触れる方が増え、購入につながり、また購入して服用する方が増え、UGCも増加した。その両輪が相乗効果でうまく回っていると捉えています。

――萩原さんや林さんは、どのように感じていますか?

林:広告の成果を見てみると、ターゲットとしている腸活層からの反応が多く得られています。

 広告のターゲティングについても、「こういったターゲットから反応が得られているから、その層に刺さる投稿もしてみよう」といった改善が、言及数の増加に貢献していると思います。

 UGCを見てみると、購入報告をされている方も増えてきています。レシピ投稿を引用リポストしてくださっている方の特徴を洗い出してみると、30~40代で腸活や健康に関心のあるアカウントが多いことも分かりました。

萩原:広告を配信すると、どのようなユーザー層からの反応が良かったかが明確になります。その特徴を定例会でお話しすると、山下様に「実際に、そういう方がよく整腸剤を買われています」と言っていただくことも多いです。

 実際の購入層と、X上での広告成果の良いターゲット層が合致しており、適切なターゲティングができているのだと実感しました。

――広告のターゲティングを、投稿内容に活かした例を教えてください。

萩原:食べることやお酒を飲むことが好きな層に向けて、食べ物関連の話題を投稿に取り入れました。また、30~40代の方だと家庭をもっている方もいらっしゃるので、ご家族で行けるお出かけスポットを紹介する投稿なども行っています。

ユーザーと共に、整腸剤や腸活という「カテゴリー」を盛り上げていく

――これまでの投稿の中で、特に印象的だったものを教えてください。

水谷:私は、レシピ投稿全般が印象に残っています。例えば、このような投稿ですね。

 この投稿は、ビオスリーのアピールというよりは、腸活をされている方や腸活が気になっている方に向けて、レシピを紹介しています。腸活に関連するレシピを紹介しているのですが、とてもエンゲージメントが高く、インプレッションも伸びています。

 企業アカウントでは、商品のアピールや商品に関する情報が一般的です。ビオスリーのアカウントでは、そこから枝分かれさせていき、ユーザーの興味関心に沿った情報を紹介できているため、エンゲージメントが高いのだと感じています。

 「ビオスリーがいいね」というよりは、腸活に興味のある人たちがビオスリーの投稿を見ていたり、楽しんでくださるような状態を作りたいので、レシピ投稿は毎回印象に残っていますね。

――確かに、特定の層に向けた投稿が高いエンゲージメントを得られているというのは、狙った訴求ができていることの現れだと言えそうですね。

萩原:私も、レシピ投稿で思い出したことがあります。

 あるレシピ投稿の引用ポストを辿っていったら、ユーザー同士の会話のなかでレシピを紹介してくださっている方がいたんです。さらに会話を遡っていくと、ビオスリーで紹介したレシピを実際に作ってくださった投稿も見つけました。

 「作ってみた」という投稿に対して、別のユーザーが「美味しそう」とコメントし、「レシピはこれだよ」とビオスリーの投稿を引用してくださっていたのです。こういった形でも、ビオスリーから発信した内容が伝搬していっているのだと、実感できました。

――それでは最後に、今後「こんな投稿をしたい」「こんなアカウントとして成長していきたい」などの展望を聞かせてください。

萩原:整腸剤のアカウントではありますが、ユーザーの関心に合わせた投稿を行うことで、より身近に感じてもらえるアカウントになりたいです。

 Xに限らず、SNS全般の特徴ですが、一方的な発信ではなく双方向のコミュニケーションに強みがあります。そんなSNSの特徴と、企業アカウントとしての専門性の高さを掛け合わせて、親しみやすさと信頼性の両方が感じられる運用を続けていきます。

林:やはり、目指すのは「腸活と言えばビオスリー」として、第一想起されることです

 そこはぶらさずに、ビオスリーだけを押し出していくというよりは、腸活や整腸剤に関心のある層に共感していただき、その過程でUGCが生まれてインプレッションの獲得にもつなげられるよう、注力します。

水谷:おなかに悩みを抱えている人たちが「何をのもう」となった時に、まず最初に「ビオスリーかな」と思ってもらえる状態を作ることが一番の目標ですね。

 そのために必要な打ち手がXだけでなく他にもあれば、そちらもご提案させていただきたいです。SNSアカウント単体の最適化というよりは、「ビオスリー」というブランドを中心に、ブランドとしてどうあるべきかを考え、必要な施策を模索していきたいです。

山下:そもそも医薬品関連のSNS活用は、難易度が高いです。

 食品や日用品とは違って、薬というもの自体が必要になった時、つまり病気になった時にのむものなんですよね。健康だったら必要とされないものなので、日常的に言及されるものではないというのが前提にあります。

 ただ、ブランド自体が浸透してきたり、健康意識が高まってきたことで、SNSでの整腸剤に関する会話が、以前よりも活発になってきています。その中で、「ビオスリーが」というよりも、整腸剤や腸活というカテゴリーが盛り上がっていければいいなと思っています。

――山下様、ありがとうございました!

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