SNSコラム

Threadsは、オウンドメディアとして活用せよ。SNSのプロ集団が解説するThreads活用【イベントレポート】

2023年10月11日
SNSコラム

最終更新日:2024年7月11日

InstagramやFacebookの運営元であるMeta社から、2023年7月にリリースされた短文投稿SNS「Threads(スレッズ)」。

ローンチから約3ヵ月が経過しましたが、「マーケティング活動や広報活動において、どのように活用できるのか」「そもそも取り組むべきなのか」に悩む方も多い印象です。

そこで、ホットリンクは2023年9月12日にウェビナー「Threadsの最新情報から活用法まで!SNSのプロ集団が予測するThreadsの未来」を開催。当社のSNSコンサルタントとして、企業のInstagram活用の支援やThreads活用の研究を行う北原が講師を務めました。

本記事では、基本となる考え方から活用方針の立て方、Threadsの未来予測など、ウェビナーの内容をたっぷりご紹介します。

(執筆:ヒガシダシュンスケ 編集:倉内夏海

登壇者紹介

北原 一輝
株式会社ホットリンク コンサルティング2部 部長

ファッション専業の広告代理店にて約2年半勤務し、主にラグジュアリーファッションブランドのATLからBTLまでプランニング〜進行を担当。2021年9月にホットリンクに入社。インテリアやアルコール飲料メーカーのコンサルティングを担当。Instagramチームにて、Instagram専門家として研究や啓蒙を担当。Z世代のひとりとして、Z世代視点でのプランニングを得意とする。

ThreadsとはどんなSNSなのか

Threadsは「テキストでつながる新しいアプリ」をテーマに、2023年7月6日(日本時間)にMeta社よりローンチされました。X(旧Twitter)の競合アプリとして注目され、ローンチから5日間でユーザーが1億人を突破したことでも話題を集めました。

※参考:メタの「スレッズ」、登録者1億人突破 ローンチから5日間で(ロイター)

Threadsはテキスト・画像・動画を投稿したり、他の利用者との会話に参加することができます。Instagramのアカウントと同期されるため、Instagramのアカウントを持っていれば、すぐに利用できます。

テキストが主体のSNSのため、Xと比較されることが多いアプリです。しかし、ホットリンクとしては「ThreadsとXは別物」と考えています。

ThreadsとXの機能面を比較してみました。

Xは140文字まで投稿できるのに対し、Threadsは500文字まで投稿が可能です。

また、一度の投稿に使える画像の枚数にも違いがあります。Xは最大で一度に4枚までの投稿が可能です。しかし、枚数が増えるごとにタイムライン上での画像サイズも小さくなり、4枚だと1枚の4分の1のサイズとなります。

Threadsでは、一度に最大10枚までの投稿が可能です。写真がメインであるInstagramのユーザーにとっては、非常に馴染みやすいのではないでしょうか。

Threadsはまだ誕生したばかりのアプリなので、「アカウントの検索機能しか無く、投稿内容は検索できない」「投稿に関するデータが見れない」など、改善点もあります。

一方、一度に投稿できる文字数や画像がXよりも多く、動画の再生時間も長いため、「表現しやすい環境が整っているアプリ」とも言えそうです。「Instagramのテキスト版」のようなSNSでありながら、Instagramにはないリポスト機能が備わっている点も特徴の一つです。

Threadsのキーワードは「会話」からのユーザー同士のつながり

次に、ホットリンクが考えるThreadsのユーザーイメージをお伝えします。

前提として、ユーザーは「自身にとっての居心地の良さ」で、よく使うSNSを選びます。そのため、新しいSNSが登場しても、元々Xに居心地の良さを感じている人の多くはXを使い続けるでしょう。

その中で、現在Threadsを活発に使っているのは、元々Instagramをよく使っていて、DMやストーリーズで他のユーザーとコミュニケーションをよく取っている人が多い印象です。

InstagramのDMでやり取りされていたテキストや、ストーリーズにアップされていた投稿を、Threadsというよりオープンな場でのコミュニケーションに移行したユーザーが中心であると言えそうです。

ホットリンクでは、Threadsでのキーワードは「会話」だと考えています。

Instagramには、Xのようにユーザー同士でリプライをし合ったり、コメントから新しいミームが生まれるという文化が、ほとんどありませんでした。そのため、ユーザー同士の会話はDMというクローズドな場で行われていました。

例えば、Instagramに特定の投稿があったとしましょう。それをAさん・Bさんが見ました。それぞれ良いと思ったので、Aさんは友人であるCさんに、Bさんも友人のDさんにDMでシェアして会話をします。

ただしこれだと、同じ投稿なのに、A・CさんグループとB・Dさんグループにつながりは生まれません。Meta社としては、個別のグループ同士をつなげていきたいという意図で、「ひとつの掲示板」を投稿で作れるThreadsを立ち上げたのではないかなと考えられます。

よりオープンな場所で会話をして、輪を広げていけるというサービスが必要だったのです。

Threadsの「おすすめ」に投稿した内容が表示されるには

Threadsのタイムラインは、「おすすめ」と「フォロー中」で構成されています。画面上部のアイコンをタップすると「おすすめ」と「フォロー中」のタブが出現し、切り替えが可能です。

おすすめタブに載ると、不特定多数のユーザーに表示されるため、「いいね」やフォロワー数が伸びる要因になります。

おすすめタブには、どういったアルゴリズムがあるのでしょうか。もちろん、日々刻々と変動はありますが、普遍的な要素としては、以下の図のようになると推測されます。

・興味関心のあるジャンル
自身や投稿している内容や、他のユーザーのどんな投稿に「いいね」をしたかという行動パターンから導き出される

・Threads全体でエンゲージメントが高い投稿

・共通の友人やフォローしているアカウントに近しい人の投稿

この中のどれか一つが高ければ良いというわけではなく、三要素がミックスされた結果が、おすすめタブとして表示されていると考えられます。

この中の、エンゲージメントについて、実際に「コメントが多い投稿はどれほど伸びるのか」検証しました。下記は弊社が支援するクライアント様のデータを抜粋したもので、赤線が「コメント数」、青線が「フォロワー数」を示しています。

図を見ると、実際にコメントが多くついたタイミングで、ぐっとフォロワーが伸びているのがわかります。

投稿してから2日経つと、新規フォロワー数が落ち着いてくるので、投稿がおすすめされる目安としては「1日」と言えそうです。

企業はどうThreadsを使っていけばいいのか

ここからは、実際にどのような考え方でThreadsに取り組んだらいいのかを解説していきます。優先度順に、3つ挙げていきます。

①公式アカウントを開設し、1投稿はしておく
Threadsが誕生したことで、1フォロワー当たりの価値というのは向上しました。というのも、Threadsが「Instagramと連携することが必須」のサービスだからです。

アカウントを開設すると、これまでのInstagramフォロワー(かつThreadsユーザー)に通知が送られます。初投稿したときにも通知が届くため、最初からアカウントを認知されやすい土台があります。

実際にアカウントを開設しただけで、Instagramから多くのフォロワーが流れてきて、フォロワー数が伸びたというクライアント様もいました。

このような背景からも、アカウントの開設だけでも行っておくとよいでしょう。公式の偽アカウントを作成するようなユーザーもいるので、誤解を招く前に、対策を打っておきましょうという意味もあります。

アカウント名は、ユーザーが検索から見つけられるように、「ブランド名」と「プロダクトのカテゴリー名」を入れることをおすすめします。

②伸びるアカウントの要素を知る
次に、Threadsで伸びやすい投稿に関してです。いかにコメントをもらえるか、いかに会話を生み出せるかが重要な点となってきます。

以下は弊社のご支援先である、dポイント様の投稿のキャプチャーです。「今あなたが欲しいものを返信で教えてください」というように、ユーザーに会話を促し、実際にアクションが起こっています。コメントのハードルを下げるために、「絵文字で教えてください」というのも有効な手段です。

フォロワーがどのようなコンテンツに反応するのか、さまざまな観点でPDCAを回していくと、よりユーザーとのコミュニケーションに結びつく投稿ができるようになります。

③投稿ルールを定める
新たなソーシャルメディアが誕生したことで、「余分に工数がかかる」「忙しくて取り組めない」という声もあると思います。そのタスクの状態に合わせて、本日は4つの投稿ルールを用意しました。

上から順に、工数がかからない運用ルールになっています。

1の「Instagramリポスト式」は、Instagramの投稿がいつも通り完了したら、シェアボタンからThreadsにするだけで完了します。複数枚画像があるような投稿は、Threads上だと最初の1枚目しか表示されないというデメリットはありますが、ワンクリックでできるのは工数も少なく魅力的です。

続いて2、3番目の「素材活用式」ですが、すでに他のSNSで投稿した素材をThreads上でも転用して投稿を作るという手法です。

最後が「Threadsオリジナル式」です。これは一からオリジナルコンテンツを制作するというもので、工数はかかりますが、競合が少ないため、早めにトライしてみると成果につなげられるかもしれません。

ウェビナー内 Q&Aコーナー

企業のThreads活用について言及した後、セミナー参加者からの質問を受け付けました。みなさんの参考にもなりそうなものを2つピックアップして、ご紹介します。

Q.企業公式アカウントを担当しています。写真を撮るのが苦手なのですが、Threadsにはどのような画像を上げるのがよいでしょうか?

A.綺麗な写真にこだわる必要はありません。

あまり綺麗に撮りすぎてしまうと、「広告感」が出てしまい、ユーザーから好かれないクリエイティブになってしまいがちだからです。より生っぽさやリアルさがあったり、タイムラインに馴染むような写真であればOKです。

ホットリンクの支援企業様のなかには、手元にあるiPhoneでサクッと撮って、そのまま投稿している方もいらっしゃいます。

Q.「ThreadsのMAUは減り続けている」と聞きますが、それでもThreadsのアカウントを作ったり、発信を行うべきでしょうか?

A.たしかに、ピークよりもMAUは減っているという記事も出ていますが、アカウント自体は作っておくことをオススメします。

おそらく、Threadsへの期待が高かった分、『まだ機能が不十分じゃん』となり、ユーザーが離れていったのだと推測できます。今後機能がアップデートされていく可能性も高く、XやInstagram、TikTokが普及していった頃と同じように、Threadsが起点のニュースもいずれ生まれると思います。

話題になってから慌ててアカウントを開設するのではなく、今から準備しておくことが大切だと考えています。

Threadsは今後どうなっていく?

最後に、今後のThreadsはどうなっていくのか、未来予測をしていきます。

まず大前提として、Threadsのような新しいメディアが増えたとしても、人の「可処分時間」は変わりません。今後新たなソーシャルメディアが参入したとしても、生活者が自由に使える時間(例:仕事が終わってから寝るまでの時間)は変わらないということです。

4マスが主流だった時代は、職場や学校でテレビ番組の話題で盛り上がっていました。しかし、現在はそれぞれの人がそれぞれの好きなメディアを選ぶ、「メディアの分散化」が起きています。

テレビや新聞などは見ずに「Xしか見ない」「Instagramしか見ない」という人も珍しくなく、今後は「Threadsしか見ない人」が現れる可能性も十分にあります。

そうなった時に、Threadsのアカウントを作っていなかったり、活用を始めていなければ、顧客との接点が失われてしまうかもしれません。

繰り返しになりますが、マーケティング活動においてはトリプルメディアの観点が重要です。

・オウンドメディア:自社メディア(公式アカウント)としての活用
・ペイドメディア:広告の活用
・アーンドメディア:UGC活用

この考え方に落とし込むと、現状のThreadsは広告のメニューがありません。公式としても「10億人にリーチできるまで広告メニューは出さない」と発表しており、ペイドメディアとしての活用が現状できません。

基本的に大手の企業様は、多額の広告費を使って、ペイドメディアを軸にSNSを活用しているというケースが多いです。そのため、大手企業の多くがまだThreadsに参入していないというのが現状です。

つまり、今は大手企業と同じ土俵で公式アカウントの運用だけで戦えるということになるので、チャンスがあるとも言えます。

アーンドメディア活用に関しては、「この商品が美味しかった」というUGCはタイムラインには流れてきますが、ブランド名やキーワードでの投稿の検索が現状ではできません。例えば気になる商品があって、その商品のクチコミを調べたいと思っても検索ができず、アーンドメディア活用もなかなか難しい状況です。

結果的に、現時点でも始められるオウンドメディア活用で実験を繰り返し、いずれ可能になるアーンドメディアやペイドメディア活用に備えておくことが、Threads活用の現状での正解だと考えています。

もちろん、広告メニューが出た際は、Threadsの在り方は大きく変わっていくことが予測されます。今後アップデートがされていく前に、今からこのアプリに慣れておくだけでも、先行者利益のような形で今後もグロースが見込めるでしょう。

Threadsセミナーのまとめ

本日お話した内容のまとめです。

Threadsとは:会話がキーワード
・同じ興味関心同士のユーザーがテキストで繋がることを期待
・重要な指標は「コメント(返信)数」「引用投稿数」

取り組むべきこと
・まずはアカウントを開設し1投稿する
・投稿する際は以下の観点をもつ
 - 投稿へコメントが付くか?
 - 投稿をきっかけに会話が生まれるか?
・投稿形式を選定する
 - 他メディアを転用するか?
 - オリジナルコンテンツを生成するか?

未来予測
・ユーザーの可処分時間は変わらない
・現状はオウンドメディア活用が最も効果的。グロースさせ、UGCを創出できるとベスト
・広告出稿が可能になった際は、手法が変わる可能性も考えられる

 

セミナーのレポートは以上になります。

ホットリンクには、ThreadsやInstagram、X、TikTokなど、各種SNSを活用したマーケティングに精通したメンバーが在籍しています。データ分析と独自のロジックにもとづき、戦略策定からアカウント設計、効果測定、クリエイティブ制作に至るまで、総合的なSNSマーケティング支援を行なっております。

 

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