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この記事の内容
各業界で活躍するさまざまなプロフェッショナルと、SNSやマーケティング、ビジネスのあり方について考える対談シリーズ「ザ・プロフェッショナル」。モデレーターを務めるのは、元ホットリンクCMOであり、GiftX代表のいいたかゆうたです。
今回のゲストは、アドビ株式会社の加納宏徳さんです。
現在は、アドビ社が提供する「Adobe Express」のSEOを担当しており、PLG=「Product-Led Growth(プロダクトレッドグロース)」の考えに基づいた企画も、積極的に展開しています。アドビの持つプロダクト・歴史を活かした戦略の背景にある思いを、ホットリンクのプランナーである本田真也も交えて伺いました。いいたか、澤山とは既知の間柄でもあります。
(撮影:小林一真 執筆:サトートモロー 取材・編集:澤山モッツァレラ)
加納 宏徳(かのう ひろのり)さん
アドビ株式会社にてSEOスペシャリストとして、Adobe Expressのグロースチームに所属。学校からドロップアウトして10年間独学で英語やWEBを学び、その後越境EC立ち上げ、不動産スタートアップ、海外Webマーケティング代理店を経てアドビへ(現職)。コンテンツマーケティングとSEOを専門とする。趣味は世界中から応募がある大会でグランプリを受賞した折り紙。
いいたか: アドビさんのお話を伺う前に、加納さん自身について。すごくユニークな経歴の持ち主ですよね。
加納: そうかもしれません。不登校で10年独学など紆余曲折を経て、キャリアのスタートは越境EC「A-JANAIKA JAPAN(ええじゃないかJAPAN)」の翻訳担当でした。でも気づけば、カスタマーサービスから商品説明の記載、翻訳、写真編集、動画撮影やYouTube投稿など、EC運営全般を担当するようになりました。
この頃、WebマーケティングやSEOの勉強を始めました。同じタイミングで、ホットリンクさん主催のセミナーにも参加しています。
その後は半年だけスタートアップ企業で働いた後、越境ECに特化した海外Webマーケティングを行なう世界へボカン株式会社(以下、ボカン社)へ転職しました。ここで3年間メディア運営やSEOを担当した後、2022年6月にアドビへ入社したという経緯です。
いいたか: 入社からもうすぐ1年経ちますが、アドビ社での仕事はどうですか?
加納: とても楽しいですね! やりたいことをロジカルに説明できれば、社歴の浅い僕でもチャンスを与えてもらえますし、どんな意見でも真摯に聞いてくれます。すごく風通しのいい環境ですね。
本田: 自分次第で、裁量をどんどん広げていける環境なんですね。
加納: 自分からやると言った以上、言い訳できないプレッシャーはありますけどね。とはいえ、失敗を怖がる雰囲気はありません。エンジニアが作った会社ということもあり「まずはやってみる」精神で小さなテストと失敗を重ねて、どんどん学んでいく文化が醸成されています。
日本企業だと、失敗しないようにとにかく準備を重ねるパターンも多いですよね。準備に数ヶ月かけて、施策を実行して、次に対策会議を行なって... 比べると、アドビはどんなアイデアでもまずはテスト、その結果を見て改善していく社風なので、PDCAの実行スピードがとても早いです。
(アドビ日本オフィスのエントランス。写真提供:加納様)
いいたか: ちなみに、アドビのマーケティングはどんな組織体制になっているのでしょうか?
加納: ざっくり説明すると主に「プロダクト軸」「施策軸」「顧客軸」という3つの軸で分けられています。例えばプロダクト軸はAdobe PremiereとPhotoshop、施策軸はメールで利用促進などという形で、複数のプロジェクト・プロダクトに関わる人も珍しくありません。
ここにエンタープライズ向けか、中小企業向けかという顧客軸も加わります。厳密にはもっと複雑だったりするのですが、3つの軸で決まる役割を元にチームが結成されていくので、設計としてすごく面白いです。
またアドビは平均在籍年数が長いため、「ある施策のプロフェッショナル10年目」という方もおり、仕事への鋭いフィードバックをもらえたりもします。知らない視点からの指摘は発見があって楽しいですし、基本はノリのいい方ばかりなので、これからがすごく楽しみです。
いいたか: アドビ社のマーケティング施策の特徴である PLG(プロダクトレッドグロース)は、プロダクトに営業・マーケティング機能を持たせて、グロースを目指す考え方のことですよね。
加納: そうです。有名な事例だとNotionやZoom、ChatGPTなどが当てはまります。広告で利用者を増やすのではなく、プロダクト起点での使いやすさや面白さから、お客様を広げていく戦略だと捉えています。
PLGで必要なのは、ユーザーからユーザーへと広まる仕組み作りです。Notionの場合、他の人とドキュメントなどを共有できる仕組みを通じて、認知や興味の輪が広がっていきました。
アドビのソフトウェアのうち、Adobe Expressのターゲットはプロフェッショナル層やエンタープライズ層だけではなく、ノンデザイナー層が多くを占めるのも特徴です。具体的には、ライターさんや編集者さんのように、記事制作の一環としてサムネイルを作ったりする方、または飲食店で来月の推しメニューを伝えるためチラシを作るような人。
つまり本来「デザイナー」ではない人が顧客にメッセージを伝えるため、お客さんとコミュニケーションするためにデザインの力を必要としてる人が、サクッと使えるアプリです。
よく僕は分かりやすく「焼肉屋の店長」「カフェの店員」などを引き合いに出すことが多いのですが、Adobe Expressはそういったお店で見かける、チラシを簡単に作れる強力なツールです。
Adobe Expressはソフトウェアやアプリのインストールが必要なく、ブラウザ上で無料で利用できます。ここは月額利用料金やアカウント登録が必要なAdobe Creative Cloudとの、大きな違いです。
無料+ブラウザで完結する、間口の広さを生かせる戦略としてPLGが選ばれました。それと並行して今まで以上に認知を獲得できるよう、情報発信に力を入れていく予定です。合わせて全社で行っている「デジタルを通じた地域の活性化」という取り組みにもAdobe Expressのワークショップを取り入れています。
いいたか: 今回インタビューを受けてくださったのも、そうした戦略の一環なのですね。入社してから、どんな施策に取り組まれてきましたか?
加納: 日本チームとして、例えば2022年7月には東京・下北沢商店街で「街の広作室」というデザインワークショップを開催してます。ここではテンプレートを2−3ステップで編集してバレンタインチラシや求人募集、イベント告知、個人事業主の名刺を作ってもらう体験をしています。
またAdobe Expressで作ったものは商用利用可能なので、すぐ仕事に使うものを中心に作られていた方が多かったようです。
また、2023年1月25日〜2月8日にかけて、プロバスケットボールチーム「アルバルク東京」さんとコラボキャンペーンを開催しました(参照)。
(実際に会場でAdobe Expressブースが設置されている様子。写真提供:加納様)
この企画は、アルバルク東京さんが公式素材を提供して、それをAdobe Expressで編集してツイートすると、さまざまなプレゼントが当たるものです(参照)。
スポーツにおいて、公式から素材提供されることも、ファンが自由に加工を許可されることも珍しいと思います。非常にインパクトがあったようで、2週間のキャンペーン期間中に多くのファンが投稿してくれました。1人で何度も投稿してくださった方もいます。
投稿内容を見ていると、編集に慣れてきたのか、クオリティがどんどん上がっていました。僕たちの用意したデザインテンプレートに対して、「これとこれを組み合わせよう」と創意工夫してくれたのが伝わって嬉しかったですね。
アルバルク東京さんも、「こんなにすてきなUGCが生まれるとは」と喜んでいました。チーム、ファンの方々、そして僕たちにとってすごくいい施策だったと思います。
いいたか: まさに、三方よしの企画になったわけですね。
本田: 私は野球が好きなのですが、チームを応援したい思いで画像を作成しようと思っても、現状は公式が認めていない素材を加工するしか手段しかなく、諦めてしまいます。ファンのモヤモヤを解消する、すごくいい施策だと思います。
いいたか: あと、ライターの5歳さんが自転車で日本を横断する企画があったじゃないですか(参照)。「何をやっているんだろう、この人は」と驚かされました(笑)。あれは、加納さんから提案した企画だったんですか?
加納: アドビは、チャレンジを歓迎する文化なので(笑)。「怒られるまで、エクストリームな企画をやろう」と思ったんです。
Adobe Expressは、ノンデザイナー層向けのプロダクトです。特に、個人商店や地域の定食屋さんなど、スモールビジネスを展開する方々を想定しています。
例えば定食屋さんに行くと、店頭にポスターが貼ってありますよね。そのポスターを制作するのは、結構大変だと思うんです。そこで「地域のお店や道の駅をめぐって、Adobe Expressでポスターを作り直す」企画はどうかと考えました。
そんなことを5歳さんと話していたら、彼から「ただ地域のお店に行くだけじゃつまらない。日本を横断しましょう」と提案されて。それでお願いすることにしたんです。企画の途中で自転車を盗まれた投稿を見た時は、不謹慎ながら笑ってしまいました(笑)。
いいたか: まさか、5歳さんからの提案だとは思いませんでした(笑)。
日本縦断中なのですが自転車が盗まれてしまったようです。ずぶ濡れで立ち尽くしております。 pic.twitter.com/v4mSvvdQia— 5歳 (@meer_kato) August 20, 2022
日本縦断中なのですが自転車が盗まれてしまったようです。ずぶ濡れで立ち尽くしております。 pic.twitter.com/v4mSvvdQia
いいたか: Adobe Express以外のプロダクトについて、アドビ社はこれまでどんなマーケティング活動を行なってきたんですか?
加納: 挙げるとキリがないのですが、特に個人的に面白かったは、1990年代の施策です。この時代はAdobe Photoshop、Adobe Illustratorが発表されたのですが、当時写真やイラストをデジタルで加工・編集すること自体が新しく、発売当初は受け入れられませんでした。実際、すぐに人気になったものの、そこにはユーザーさんへの地道な活動があったんです。
業界トップのイラストレーター、アーティストの方々にまずは使ってもらうため、アドビは彼らを招き、1989年に第1回の「Art Directors Invitational」を開催しました。3日間の集中研修でIllustratorや、Photoshopの使い方をじっくり伝えたんですね。そしてそういった会で出た機能案を製品にどんどん追加して行きました。
(AdobeのクリエイティブディレクターRussell Brown氏(左着席)が、1990年のArt Directors Invitationalで、アーティストのNicholas Callaway氏(中央着席)、英国の画家David Hockney氏(右、立ち)、他の同僚と語らっている。写真提供:アドビ社)
また、デジタルツールに馴染みがない旧来のデザイナーさんに受け入れてもらえるよう、パッケージデザインにも相当な力を入れて、専用のデザインチームを結成し、厳しい品質基準の元、プロに納得してもらえるパッケージになるよう、入念に設計していました。
これを繰り返していくうちに、写真家コミュニティや出版社などで、Photoshopを使ってくださる方が徐々に増えていきました。「あの人が使っているのなら」という空気が伝わっていった結果、製品の緻密さと性能の高さも相まって、「ググる」と同じように、「Photoshopする」が一般でも使われる動詞になるほど、人気になりました。
アドビは現在も「Adobe Max」「Adobe Summit」といった、ユーザーさんとの交流を目的としたカンファレンスを毎年開催しています。昔から、ファンと一緒にプロダクトを育てる姿勢を貫いてきたのだなと感じます。
参考: Adobe MAX 2022 | クリエイティブカンファレンス Adobe Summit
いいたか: 30年以上前から、アドビ社ではエバンジェリスト(日本語で「伝道者」の意味。高度なIT技術・トレンドを分かりやすく伝える役目)的な考えが、自然と形成されていたのですね。
本田: それにしても著名なフォトグラファーの方の価値観をなぜ変えることができたのか、すごく気になります。
加納: これは僕の意見なのですが、Photoshopには写真から余計なものを取り除くなど、写真の質を上げるための便利機能がたくさん用意されています。地道な布教活動を通じて「フォトグラファーの仕事を奪うのではなく、支えるツールだ」という認識が伝わったのが大きな要因ではと考えています。
その結果、「Photoshopで大幅に加工した自身の写真」で作品展を開く写真家さんも現れたほど、意識の変化があったそうです。
あと個人的な豆知識として面白かったのは、Photoshopは元々「Illustratorの付属アプリ」ぐらいの期待値で発売されたそうです。ただイラストを作る人よりも、写真を編集する人の方が圧倒的に多かったため、アドビの看板商品になるまで成長しました。発売当初は誰も予想していなかったのが興味深いです。
本田: Adobe Expressはマス向けの商品であり、他のプロダクトとは違う発信が求められると思います。情報発信において、気を付けていることはありますか?
加納: コミュニケーションにおいて意識しているのは、Adobe Expressは決して「プロのデザイナーを置き換えるアプリではない」という点です。
詳しく説明するために、ある中小企業勤務のデザイナーさん事例を紹介させてください。
この方は、普段の仕事でPhotoshopとIllustratorを使用してデザインを作成しています。お客さんとのやり取りを円滑化するため、Adobe Expressで専用のデザインテンプレートを作成して渡しているそうです。お客さんが自由にテンプレート内のテキストを差し替えるだけで、SNS投稿できる状態で。
こうやってデザインと日々の運営を別のツールで棲み分けることで、お客さんはデザインの難しい話を考えずにAdobe Expressで簡単に情報発信ができ、デザイナー側はPhotoshopやIllustratorでより緻密な難易度の高いデザインに集中できるんです。それぞれが、本来の仕事に集中できている状態です。
また大きな方針として「プロやクリエイターへのリスペクトがない企画」は、絶対やらないようにしています。その上でAdobe Express、Photoshop、Illustratorそれぞれを、得意とする分野で組み合わせていくことを意識して情報発信しています。
いいたか: ミスコミュニケーションが生まれると、プロダクトの棄損になってしまいますからね。
加納: そういった点で、ユーザーさんの声を聞くことができるSNSは、コンテンツマーケティングの要だと思っています。僕の専門SEOは、「1対N」の情報発信が基本。ユーザーさんから直接的にフィードバックを得られる機会はなかなかありません。
SNSの場合「ここが使いづらい」「この機能が面白い」というフィードバックがすぐ返ってきます。アルバルク東京さんの企画でも、機能に対する感想やご意見がたくさんつぶやかれていました。SNS活用では、コンテンツを広める手段とユーザーさんの声を聞くことを、ペアで考えて取り組んでいきたいですね。
本田: ユーザーの声を聞くという意味では、ユーザーインタビューに近いものがありますね。
加納: そうかもしれません。SNSでのフィードバックは逐一メモして、プロダクトチームに伝えています。機能改善やテンプレートの追加を行なうことで、「気づいたら不満点が解消された」と思っていただければ嬉しいですね。
デザインに関して言えば、Adobe Expressはアメリカのプロダクトで、テンプレートも10万以上あるのですが英語圏にちなんだものが多いですね。七五三など、日本ならではの文化に合わせたテンプレート作りにも取り組んでいきたいです。
本田: ホットリンクでも、クライアントに関するクチコミを調べて「お客様はこう考えていたのか」と判明するケースは少なくありません。毎日担当のクライアントのクチコミを調べ、その内容を受けて、発信する文脈を考えたり、施策を考えます。UGCは、ファクトとしても大切な存在だと実感しますね。
加納: アドビでもトップが集まる定例会や、一定規模のミーティングでは、いつも冒頭にユーザーの声を共有する場を設けて、その後本題に入ります。ユーザーさんのリアルな困りごとを知り、目線を合わせるようにしているんです。
いいたか: SNSも含めて、加納さんは今後どんな活動に力を入れていきたいですか?
加納: アドビはこれまで、Adobe MaxやAdobe Summitといった交流の場を設けていました。そういったコミュニティ活動を、もっとオンラインでも加速したいと考えています。Adobe ExpressのYouTubeチャンネルも立ち上げ中ですし、他にも少しずつ企画が動き始めています。
またSEOスペシャリストとしては、当たり前ですがまずSEOでパフォーマンスを発揮してプロジェクトを成功させたいですね。そこを押さえた上で、SNSや動画などの施策に取り組みたいです。
アドビはマーケティング部署の規模が大きく、各分野の専門家、スペシャリストがたくさんいます。コンテンツ起点で、そうした専門家たちと部署をまたいで施策に取り組んでいけたら楽しそうだなと考えています。
本田: 多方面のエキスパートが、自由に活動しているのは面白いですね。
アドビさんの話を伺って、改めて「いいプロダクトあってこそ良質なクチコミが生まれる」と感じました。フォトグラファーの皆さんに受け入れられたことも、今もプロダクトがグローバルに愛されていることも、プロダクトが優れているからこそ、すべてのサイクルが回っているのだなと理解できました。
今回は、お忙しい中ありがとうございました!
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