SNSコラム

顧客体験を磨き上げ「カジュアル面談」をポジティブワードへ。Meety中村拓哉×ホットリンクいいたかゆうた #ザ・プロフェッショナル

2022年06月13日
SNSコラム | ザ・プロフェッショナル

ホットリンクCMO・いいたかゆうたが、各業界のトッププレーヤーを迎えてお送りする対談シリーズ「ザ・プロフェッショナル」。今回のゲストは、株式会社Meety代表取締役の中村拓哉さんです。

Meetyは2019年10月にプロダクトをリリースしたものの、直後の新型コロナウイルス感染症拡大で、大幅な事業転換を余儀なくされます。

その後、Meetyは2020年10月に「カジュアル面談プラットフォーム」として再出発します。Meetyは、今では月間ユーザー数7万人以上、利用企業数500社以上にまで成長しました。

大波乱の中でスタートしたMeetyは、どのようにして市場に受け入れられたのか。中村さんに、復活劇の裏側とサービスにかける思いを語っていただきました。

(撮影:小林一真 執筆:サトートモロー 編集:澤山モッツァレラ/私がエレン

「ゆるやかな接点を作れる場所」が、転職市場に求められている

いいたか:
中村さんがMeetyを立ち上げた経緯について教えてください。

中村:
大学時代に起業家サークルを立ち上げ、経営者の方々と知り合ううちに「彼らのようになりたい」と思い始めました。

大学卒業後、2011年にSpeeeに入社して営業や人事を経験しました。人事時代の経験が原体験となり、企業側にも候補者側にも「ゆるやかな接点を作れる場所」が求められていると感じたのが、Meetyを立ち上げたきっかけです。

いいたか:
サービスを立ち上げる中で、転職市場にどのような問題意識や課題を抱いていたんでしょうか?

中村:
今の転職マーケットは、圧倒的に候補者が強い立場にあります。

ひとりのエンジニアに対して、何十社も企業がオファーを出している。その結果、採用市場における勝ち負けがハッキリしている。採用市場で勝てない企業って、非常に悲惨な状況です。

にもかかわらず、候補者体験にはなぜか変化がありません。会社側にもてなされるわけでもなく、今も職務経歴書などの資料を用意して、スーツを着て会社へ行くわけです。

そこで注目されたのが、転職前から関係性を作るリファラル的な採用方法です。

中村:
Twitterで「よければ話を聞いてくれませんか?」とDMが届くほど、候補者は引く手あまたな状態です。プロダクトマネージャーやエンジニア・デザイナーといった専門職ほど、この傾向は顕著ですね。

本当に気軽なコミュニケーションが取れればいいんですが……。結局、面接は従来型のまま。ウィンドウショッピングのように会社をのぞければいいのに、そうはなっていません。

いいたか:
人材を取り巻く状況と採用市場の実態が、マッチしていないんですね。

中村:
例えば某ミートアッププラットフォームでは、エントリーがあるとその情報はプラットフォーム上に蓄積され、当日の運営情報はGoogleフォームやスプレッドシートに蓄積されます。

選考でそれをATS(採用管理システム)へ移していたため、データが混在していたんですね。これを解決できるようなプラットフォームを作ろうと考えました。

しかし、その後すぐにコロナ禍になってしまって……。イベント自体が難しくなり、ミートアップ事業から、別の事業へとピボットする必要に迫られました。
そこで注目したのが、「カジュアル面談」です。

「カジュアル面談」をポジティブワードに

中村:
ミートアッププラットフォームも、カジュアル面談も、やりたいことは変わりませんでした。

ただ、Twitterで「カジュアル面談」と検索していただくと分かるんですが、実はこのワードって炎上していることも多いんですよ。

「カジュアル面談行ったら、普通に志望動機を聞かれた」
「カジュアル面談って話だったんだけど、落選したんだけど。どういうこと?」

カジュアル面談という言葉自体に、きな臭い空気感がありました。候補者の期待値に、合っていなかったわけです。

いいたか:
なぜ、そうしたミスマッチが起きているんでしょうか?

中村:
カジュアル面談を「質の低いアポ」と捉える方が多いのが原因だと思います。

人事のKPIは「採用人数」です。カジュアル面談のようにふわっとしたアクションは、優先度が下がりがちなんですよね。僕も、人事時代はカジュアル面談に良いイメージがありませんでした。

とはいえ、採用市場は明らかに候補者優位で、気軽に会社を知る場所が求められている。市場のニーズを考えて、カジュアル面談プラットフォームというサービスにピボットしました。

カジュアル面談がネガティブワードだと知ったとき、僕たちで新しい言葉を開発しようという意見もありました。
しかし、「カジュアル面談」を僕たちでポジティブな言葉にするぞと打ち出すことで、共感を生むんじゃないかと考えたんです。

いいたか:
カジュアル面談という言葉にネガティブなイメージがあることは認識しつつも、サービスとして立ち上げることにした、と。不安もあったんじゃないでしょうか?

中村:
不安でしたね。Meetyの立ち上げから約半年は「無風状態」でしたし、カジュアル面談が立ち上がるたびにチャットで渾身の感謝をお伝えしていました。立ち上げ期は開発業務以外は実質僕だけでしたから、ユーザーさん一人ひとりに丁寧なサポートを心がけていました。

サイト内コンテンツの見せ方も、かなり意識しましたね。コンテンツの工夫により、Meetyを見かけた方に「このサービスにはお宝がいっぱいある」と感じていただけるような体験を作って、なんとか立ち上げ初期を乗り越えました。

いいたか:
中村さんの努力もあってか、最近ではカジュアル面談がポジティブな言葉になっている実感があります。

僕も「この人いいな」という人には、TwitterでDMを送るんですよ。ここにいる澤山も、DMを通じてうちに入社しました。

Twitterでも募集をかけますが、TL上ではユーザーの目に入るのは一瞬です。
Meetyだと、とりあえずページを設置して定期的につぶやくだけで、人が来てくれます。これだけでも、採用側としてはありがたいんですよね。

それに、カジュアル面談という形式のおかげで、今まで扱いにくかったテーマにも取り組みやすくなった原体験があります。

僕は、Meetyで「真面目にマーケターのキャリア相談のります!」という部屋を立ち上げていました。1ヶ月で15名くらいの方とお会いしたんですが、「マーケターには学ぶ場所がない」という課題がハッキリと見えました。

この気づきをきっかけに、今度はnoteで企画を立てました。

参考:マーケターとして「日々の学びを共有し合い応援し合う場」を作りたいから、作ります(※先着30名)|いいたかゆうた|note

先着30名の企画に対して、1日で130名が集まったんですね。このグループをSlackで運営したのですが、Meetyでの面談を実施したことも、立ち上げたきっかけのひとつとなっています。

ちなみに、マーケターのキャリア相談をした方のうち、うちにぴったりな方がひとりいたんですよ。すぐに人事につないで面接させてもらって、近々入社が決まっています。

中村:
いいたかさんの原体験は、まさに僕たちの理想とするMeetyの使い方です。

Meetyには、キャリア相談に乗っていただいたりコミュニティを作ったりと、採用に直結しない動きも多いです。

VC(ベンチャー・キャピタル)の方が起業家の発掘のためにMeetyの部屋を設けたり、投資先の採用支援をしていたりという動きもあります。こうしたコンテンツは、ほかの採用サービスには見られない「Meetyの価値」だと思うんですよね。

中村:
多様なつながりが作れるのも、Meetyの価値のひとつです。
従来のミートアップイベントでは、イベント後に飲み食いしながら雑談できる場所があり、そこで横のつながりが生まれました。

ウェビナーでは、こうしたつながりを作れません。とくに、プロダクトマネージャーやエンジニアリングマネージャー界隈はミートアップ文化が盛んでした。横のつながりの中で、エンジニアの評価制度などの相談をしていた。

Meetyはこうした場所がなくなってしまったというペインに、うまく寄り添えているのかなと。採用目的ではなくエンジニアリングマネージャー同士で雑談するという部屋も、結構見られるんですよ。

いいたか:
ホットリンクも2月ごろから、ビジネスサイドのリーダー陣でMeetyアカウントを作成したんですよ。とりあえず会社を知ってもらう入り口を増やそうってことで。

実際にカジュアル面談を作成してみると、思った以上に多くのユーザーさんからの応募があって。Meety内で、いろいろなつながりを探している人がいるんだと感じます。

中村:
つながりというと、最近発見したことがあります。
Meetyには、いいたかさんのような方もいれば、メルカリCTOの若狭建さんやLayerX CTOの松本勇気さんもいる。その気になれば有名人と話せるし、ほかの転職サイトにはいない方が登録しているのも、Meety独自の価値です。

でも実際は、有名かつ立場のある方ではなく、現場の方の話を聞きたいというニーズが多いんです。
もちろん、有名な方に話を聞きたいというユーザーさんも多いんですよ。一方で、知名度の高い方にビビってしまう方も少なくありません。

いいたか:
たしかに僕も、社会人1年目の時は経営者ではなくて、自分よりひとつ上のレイヤーの方に話を聞きたい気持ちの方が大きかったです。その感覚に近いのかもしれませんね。その後すぐに、Twitterを通して経営者の方にも気軽に「会いたい」と言えば会えることを知って、ガシガシ連絡してお会いさせていただきましたが(笑)。

中村:
企業目線では「うちのCTOが部屋を立ち上げました!」という方が、バリューを感じてもらえると思うじゃないですか。でもユーザー目線では、「現場にいるiOSエンジニアに話を聞きたい」というニーズが多い。これは大きな気づきでしたね。

SNS施策の鍵は「どこから着火させるか」

いいたか:
Meetyのローンチ後、半年はなかなか動かなかったという話がありました。大きくサービスとして動いたのは、どんなきっかけがあったんでしょうか?

中村:
ローンチ初期から、僕たちのコンセプトに共感してくれる声はありました。熱狂的なクチコミもあったおかげで、無風状態でも自分たちのサービスを信じられました。

大きな変化があったのは、2021年の夏です。LayerX、Ubie、メルカリといった名だたる企業が、Meetyを積極的に使い始めるようになったんです。

LayerXで人事・広報領域を管掌する執行役員の石黒卓弥さんという方がいます。彼はMeetyローンチ初期からサービスを使ってくださっていて、Meety経由で2名ほど採用されていました。その経験から、「Meetyを会社全体でやったら面白いんじゃないか」と考えて、LayerX社内にMeetyを広めてくださったんです。

それをきっかけに、Meetyがスタートアップ界隈で一気に着火しました。

界隈の有名人も、こぞってTwitter上でMeetyを紹介してくれて。8月のお盆明けあたりで、ユーザー数が10倍、20倍と急増しました。

もともとLayerX、Ubieの2社は「スタートアップ界隈で採用がかなりうまい」というブランディングがあったので、ほかのスタートアップもMeetyを使い始めたんです。

いいたか:
短期間でものすごい伸びを見せたんですね。

中村:
Meetyのサービスが広がったきっかけのひとつはTwitterでした。そのため、SNS施策においては「どこから着火させるか」はとても意識しています。

東洋経済が毎年行っている「すごいベンチャー100」という企画に乗っかろうと、東洋経済が発表した翌日に、掲載された企業様用の特設ページをMeetyで作ったんですよ。「#すごいベンチャー100」というハッシュタグを付けると、このページに掲載されるようにしました。

Twitter上でこの企画がかなりシェアされて、「掲載されたみんなも出してみたらどう?」と、企業様がSNSで発信してくださったんです。ほかの企業様からも、「うちも出したい」と問い合わせをいただきました。

結果的に「すごいベンチャー100」に掲載されたベンチャー企業の多くにMeetyをご活用いただいており、この企画経由で数百個以上はコンテンツが作られたと思います。

いいたか:
企業から企業へ、バイラルでどんどん広がっていったんですね。

中村:
Twitterで拡散された成功体験を踏まえると、Meetyのグロースにはユーザーの皆さんの協力が不可欠です。だからこそ、企画を考える際には「ユーザーの皆さんにとって面白い企画なのか?」「SNSでついシェアしたくなるか?」という視点を忘れないように気をつけていますね。

採用における「最もハードルの低い受け皿」というポジションを獲得

中村:
Twitterのスタートアップ界隈がMeetyのことを話題にし始めてくれたタイミングで、「企業の裏側へ突撃!略してウラ凸。」という企画も始めました。

Meety内で会社ページを立ち上げる企画なんですが、例えばホットリンクさんなら、いいたかさんやメンバーが自社ページにたくさんコンテンツを作る。そのコンテンツがSNSでシェアされて、投稿を呼び水に、ユーザーがMeetyを訪問して会員登録をする。

各企業様がこうした流れを作ってくださった結果、引き合い数もサイト内コンテンツも一気に充実し始めました。

いいたか:
ユーザー数やコンテンツが一気に増えたことで、事業にどんな影響があったでしょうか?

中村:
プロダクトの価値や開発の方向性が、キレイに見えるようになりました。

例えばユーザー数増加により、運営が想定しないユースケースがあふれていきました。

BuzzFeed Japanからnoteに転職した鳴海淳義さんが、Meetyでキャッチボールの相手を募集し始めたんです。こんなコンテンツが出てくるなんて、思わないじゃないですか(笑)。実際に、キャッチボールしたときの画像もアップされていましたね。

いいたか:
鳴海さんらしいですね(笑)。

中村:
サウナや麻雀、ゲーム『スプラトゥーン』の募集があったり。かと思えば、信託型ストックオプションの勉強会といった真面目な募集もあったり……。

こうしたユースケースがあふれていくのを見て、いい流れだなと思ったんです。

心理的安全性が確保された状態で、ふらっと他社さんの話を聞ける。まさに、僕たちが目指す「ポジティブなカジュアル面談」が実現されているなと。

いいたか:
ほかの人材系サービスでは、たしかにこうしたコンテンツは見られないですね。

中村:
ありがとうございます。Meetyに登録・申し込みやすい状態に貢献した要因のひとつは、カジュアルなコンテンツのキュレーションだったと思います。採用系サービスのコンバージョンレートは、通常1〜2%ほどですが、Meetyで人気のあるコンテンツはその数倍はあります。

コンテンツ企画やTwitterでの拡散などの蓄積もあり、Meetyは募集者・候補者の双方にとって「最もハードルの低い受け皿」になれたんじゃないかなと思っています。
「酒でも飲みながら、うちの開発環境について話しますか?」みたいな感じで、ほかの媒体とは違うブランドやカルチャーが確立されてきたかなと。ユーザーさんの使い方によって、Meetyのバリュー・プロポジションが言語化されてきたと思います。

いいたか:
既存のダイレクトリクルーティングやほかのサービスは、転職意欲が少なからずないと使わないじゃないですか。Meetyは、転職意欲はないけれど、会社のことを知るきっかけを作ってくれる場所になっていると感じます。

ユーザーファーストにこだわり続けるプロダクトに

いいたか:
Meetyのグロースを考える上で、中村さんがツイートしていた「Meetyのグロースは雰囲気」「定量とかじゃなくて世界観」という言葉は、かなり重要だと思ったんですよね。

中村:
もちろん定量的に分析することは大事です。ただ今のMeetyは、世界観が醸成されていることで成り立っているプロダクトなんです。

Meetyには目新しい機能はありませんし、技術的にも決して高度なプロダクトではありません。僕たちは「このプロダクトいけるな」と感じた段階から、定量的なKPIをあまり重視しなくなりました。

それよりも、ユーザーにとがった体験を提供できているかどうか? 雰囲気が守れているか? Meetyの世界観が崩れていないか?
こうした視点がプロダクトの初期フェーズにおいては、一番大事だと思っているんです。

そのため、僕たちはN1(特定の一人)インタビューを非常に大事にしています。ユーザーさんに、Meetyを使ったときの感想を細かくヒアリングして、ユーザーインサイトを元にプロダクトを作るよう心がけているんです。

いいたか:
KPIドリブンで機能を作るのではなく、インサイトやユーザー体験をもっとも重視している点には、とても共感します。

今後、Meetyはどのようなサービスを目指していきたいですか?

中村:
現在、僕たちは一般的な採用目的としての「カジュアル面談」よりも広義な意味で、「カジュアル面談」という言葉を使っています。今後のサービス展開において、その考え方を持ち続けられるか否かは重要だと思っていますね。

それと、いちユーザーの体験にこだわり抜きたいです。

Meetyで定義するユーザー体験は、募集者と応募者の2つの側面があります。
まず募集者視点から話すと、Meetyの前身であるミートアップイベントのプラットフォームでの失敗から、反省を活かそうとしています。プラットフォームのローンチ後、約3ヶ月で約200社に使っていただいた経験から、僕の中では立ち上げられそうな感覚を持てていたんです。
しかし実態はプロダクトの力ではなく、僕のゴリ押しの営業があったから触っていただいていただけでした。

7ヶ月のピボット期間で「あのサービスは、正直募集者に刺さっていなかったな」という反省がありました。

募集者にとって一番うれしいことは、良い出会いにつながることです。
なので次にプロダクトを作るときは、もっとN1にこだわろう。ユーザーさんが喜んでくれるサービスを作ろうと、心に決めました。

中村:
一方で応募者の目線に立つと、僕は社内で「『カジュアル面談って最悪だよね』という応募者体験を変えていきたい」と語っています。

そのためには、応募者に徹底的に寄り添うことがMeetyの勝ち筋になると思っています。

なぜなら、採用市場におけるパワーバランスは候補者に移ってきているのに、候補者の体験は一向に変わらない。ここを変えられたら、「後発でも勝負できる」という思いがあります。

「この企業とコミュニケーションを取るのなら、Meety経由の方が現場の生の声を聞ける」
「Meetyはカジュアル面談が保証されているから、こっちの方が有利じゃん」

といった想起を獲得し、気になる企業を見つけたらまずMeetyで探すという流れを作りたい。
そのために、今後も候補者体験を徹底的に磨き上げたいと考えています。

 

今回の「ザ・プロフェッショナル」もお楽しみいただけましたか? 本シリーズでは、今後も各業界で活躍するさまざまなプロフェッショナルをお招きして対談を行ないます。過去の記事はこちらからご覧ください。

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