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この記事の内容
最終更新日:2022年9月20日
ホットリンクCMO・いいたかゆうたが、各業界のトッププレーヤーを迎えてお送りする対談シリーズ「ザ・プロフェッショナル」。今回のゲストは、インサイトフォース株式会社代表取締役・山口 義宏さんです。
マーケティングに強くなりたい、というニーズはどんな会社にもあるはず。一方、どのように「マーケティングの強い組織」を実現すればいいか、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。 インサイトフォース株式会社代表取締役・山口義宏さんは、「いかに社内で横断連携が取れるか」「誰も気づきや答えを持たない会社は存在しない」「合意形成にコストをかけよ」と述べています。 個別最適の組織から、どのようにして全体最適の組織へと成長していくか。数多くのブランドコンサルティングに従事してきた山口さんと、弊社CMOいいたかの9,000字を超える骨太トークをお読みください。 (撮影:八木竜馬 進行・執筆・編集:澤山モッツァレラ)
山口: 今回はお声がけありがとうございます。貴社とは、いいたかさんもそうですし桧野さん(安弘、ホットリンク執行役員 CEO)とも昨年お会いして、すごく共感できる方々だなと思っていました。
いいたか: 桧野とは、昨年初対面なんですね。もっと長いと思っていました。
山口: 意外とそうなんですよ。どこに共感しているかというと「できないことはできないと言う」が一つ、もう一つは「できることは、誰よりも深く考えている」ということですね。
僕が「こういう人たちとお仕事したい」というか、個人として共感するのは前工程でターゲットにどういう価値を提供したいかをきちんと議論し、施策に落とし込んでいる会社です。当然、そういう会社はうまく行きやすいと思います。
僕はキャリアが長くなってヘンに気を使われることも多いんですが、施策に落としこまれる手前の戦略領域のブランドの話だけを「これこそが本物のブランディングである」みたいな思いはゼロなんです。
「施策の実行がメインの人は、戦略やブランディングを気安く語るな」という思いが透けた上流工程マウンティングみたいな話はナンセンスでバカバカしいなと思ってて。
僕は「上流/下流」ではなく「前工程/後工程」という言い方を好みますが、前工程の戦略策定であっても「施策展開するときに、これとこれを押さえたプランニングはするべきです」くらいの施策の要件はしっかり考えて戦略を考えます。施策に無知では、機能する戦略にはならない。
逆に言えば、施策領域でいい仕事をされている会社は、前工程の戦略もしっかり考えられているし、キャッシュポイントの軸足が違うだけで、案件のなかでの工程や考えていることは近いと思うんですよね。
いいたか: 確かにそうですよね。この間インタビューさせていただいたウェブライダー松尾さんやアナグラム阿部さんとも、似たような話になります。ウェブライダーさんならSEO、アナグラムさんなら広告ですが結局やることって前工程から考えないと何も決まらないんですよね。
山口: そう。前工程から考えるのは一緒なんです。呼び方が違ったり、切り方やフレームワークのアプローチが違うだけで。
いいたか: 上とか下ではないんですよね。
山口: どっちが、ではなく「&」なんですよね。戦略がダメなまま戦術を頑張っても積み上がる成果はでないし、逆もしかり。それを担う人々が協力しあう必要があるし、お互いフィードバックしあって連携する必要があります。
例えば弊社は案件の座組で、広告代理店さんの下で仕事を請けることはないのですが、クライアントさんの下で共同作業することはたくさんあります。
クライアントの下でうちがストラテジーと施策展開時の要件を整理し、施策展開の領域になったら代理店さんに入ってもらうし、戦略の仮説検証の定性インタビュー調査なんかは広告代理店さんにも同席していただきます。
ブランドとして感じてもらいたい価値と顧客インサイトの双方を深く理解してもらってから、広告クリエイティブを提案してもらうほうが成功確率は高い。個人的に、広告など施策領域の成果の再現性が高く優れていると感じる方々は、アイデアのキレがいいだけでなく前工程の戦略やインサイトの理解が深い人たちだと思います。そこに立場の上とか下はなく、連携があるだけです。
いいたか: うまくいっている会社は、個別最適ではなく全体最適で考えているということですよね。
山口: 僕は性格が楽観的という部分はありますが、マーケティング業界は良くなっていると感じます。特に、若い人たちは成長が早く、優秀ですよね。羽生善治さんがおっしゃる「学習の高速道路」の存在を、若い世代から感じることはとても多いです。
僕はいま43歳ですけど、デジタルで数字のPDCAを回してマーケティングしている人が増えたのってここ十数年の話です。
今の若い人たちは、最初から数字のフィードバックが見える中でマーケティングをやっている。売上でも広告のパフォーマンスでもそうですが、マーケの仕事って世に出た後にうまくいったか、市場の審判がくだされ、そこから学ぶ、つまり自分がやった仕事の答え合わせでの学習が大事だと思っていて。
若い世代は、市場からのフィードバックに触れる頻度と解像度が上がり続けている。もちろんマーケティングで数字化しにくい重要なことがあるのは否定しないのですが、今の時代に20歳からスタートした5年間と、フィードバックの数字も頻度も低い昔の5年間とでは、どう考えても前者のほうが成長に必要な情報にさらされる機会は多いと思います。
――確かに、若い世代のマーケターはとても優秀な方が多い印象です。
山口: だから僕自身の競争力維持には常に危機感があるんですけど、未来に対してはポジティブに思っています。優れた人が事業会社にも支援側にもいる、良い時代だなと。
昔は会社単位での交流も少ないし、マーケティングカンファレンスなんて少なかったので、社外の優れた人にアクセスできなかったんですよね。今はいくらでも業界の先輩、同年代など社外の優れた人とコンタクトを取れる。小さな会社でもフリーランスでも、関係性さえ作れば情報を得られるわけです。
いいたか: 本当にそうですよね。僕は36歳になりますけど、僕から見ても情報へのアクセスは圧倒的に変わったと感じます。最初の会社では、テレアポリストを紙で管理してましたから。「この引き出しにあるやつをA読み・B読みに分けて、朝から架電していく」みたいな。
ウチにまもなく新卒3年目になる子がいますが、3年目ともなると細かいところは分からなくても全体感が見えているので、経営者と話してもそれなりに筋の通った会話ができるんですよね。
山口: 旅行に例えたら昔は「地球の歩き方」しか情報源がなかったのが、今は未踏の地でも誰かが行った情報を取れるわけです。それぐらい、マーケの世界でも得られる情報の差ができている気がしますね。
いいたか: 山口さんのお仕事はプロダクトのブランディングや組織づくりといったものがあると思いますが、比重でいうとどこが多くなっていますか?
山口: 弊社案件の全体では、経営よりのものから商品・サービスの競争力向上まで多様ですね。BtoCとBtoBの比率は7:3くらいです。ただ、そのなかで僕がプロマネするものは、BtoBや経営に近いブランドポートフォリオの投資の見直しの案件比率が増えています。
例えば自動車会社や化粧品会社だと、大きな会社なら数十のブランドを持っているわけです。そこで前年度売上からの何%という惰性予算でやるのではなく、伸びる余地が大きなブランドに大きく投資し、伸びしろが少ないところは投資を削って我慢してもらうような意思決定の支援です。
個別の商品ブランドや施策を頑張って伸ばすことも難しいし大事なんですけど、ブランド数の多い企業の場合、投資の傾斜配分を変えられるかどうかは数年の累積で業績に決定的な差がでます。予算が縦割り傾向な日本企業が、特に苦手な意思決定です。
複数ブランドを持つ企業のCMOと呼ばれる人の仕事において重要なのは、ヒト・モノ・カネの傾斜配分にどれだけメリハリをつけられるか。「その投資が、未来にどう伸びるか」を見極められるか。そこをうまくやれるかどうかは、日本企業の大きな経営課題ですし、弊社としても大きな支援テーマの一つですね。
ブランドの現在の収益性評価で投資ポートフォリオを見直すならば、それこそ名だたる経営コンサルティング会社が非常に上手ですが、今後のブランド力や商品力による伸びしろを顧客視点で評価するという視点が入ってくると、ブランドや顧客視点に強い弊社が関わる価値があると感じています。
――リソース配分は、大きな企業になるほどインパクトが大きくなりそうですね。
山口: そうですね。組織づくりでいうと、弊社がクライアントさんの組織マネジメントをすることはないですが、「組織のマーケティング力を高めたい」というニーズは、潜在的なものを含めれば尽きることなくありますね。
マーケティング力に、「これで十分」ってゴールはないじゃないですか。しかも、マーケティング力がすでに高い会社さんに限ってさらに強化したい傾向があるというか。
いいたか: そうですね(笑)。
山口: そういう意識が高いからこそ強いのかもしれないですが、「マーケティングが強い組織になりたい」という巨大なニーズは漠然とありますね。そこを弊社がお手伝いするケースはあります。
インサイトフォースの受託スコープでいうとマーケティング組織の設計、マーケターの採用要件や育成要件なりのプログラムを作ることは、規模が大きな組織になるとあるかな、という感じですね。
山口: マーケティング能力を高める視点でいうと、現在アドバイザーとして関わっているマーケティング学習アプリ「コラーニング」を出している株式会社グロースXは、一つの解だと思っていて。
僕らはストラテジー策定で関わりますが、実行するのはクライアントさんです。そこの実行なり運用が機能しないとき、自分たちがずっと張り付いてるわけにもいかないわけです。
戦略を具体化した施策の実行レベルを高める支援において、「コラーニング」を紹介し、その仕組みが導入されていると、その後に入ってくる人たちのスキルが底上げされ共通言語もできる。うまくいきやすい状態になります。インサイトフォースという会社としても、すごくシナジーがありますね。
――どういう部分にシナジーが起きやすいんでしょうか?
山口: インサイトフォースとしては、クライアントさんの実行力があがれば、戦略の成果が出やすくなります。グロース Xのアドバイザー視点で言えば、クライアントから「コラーニング」のプロダクトに対するフィードバックを得られます。どちらの立場からも、とてもいいシナジーが起きています。
いいたか: 確かに、いいシナジーですね。マーケティングにチカラを入れている会社ほど、育成にも予算をちゃんと掛けますし。マーケティングの重要性への理解ってすごく大事で、理解できていない企業はコストを掛けないので必然的にいい人材を採れなくなる。
山口: マーケティング力って、会社のアセット(資産)そのものだと思っていて。
資産なので持っているだけではお金にならないけど、うまく運用すればマネタイズできます。メーカーさんは研究開発にすごくお金をかけますけど、それと同じだと思っていて。
どの資産がいつマネタイズされるか、事前にはわからないじゃないですか。それと同じで、マーケティングのチームを作ってスキルを強化しても、例えばこの個別の研修がいついくらお金を生むかはわからない。
でも、それがわからなくても製品や素材の研究開発なら企業は投資を続けますよね。研究開発も人材開発も、基本的には一緒だと思うんです。
いいたか: 僕もいろんな会社で働いてきましたが、ホットリンクも前職(ベーシック社)も理解があってやりやすいです。僕が「これは正しいから、やったほうがいい」というと、アクセルを踏んでくれるんですよね。もちろん、最終的な成果はみられますけど。
山口: 最終的には、経営観や人間観かもしれないですね。人に対して一定レベルのインプットをし、実践につなげる機会まで設定すれば成長すると信じるか否かの世界というか。
山口: 僕がよく言うのは、「投資すべきはボウリングの1番ピン」ということです。
どこに投資すべきかが原点です。施策コンセプトもクリエイティブも運用も大事ですが、「そもそもどの顧客層に、どの施策を実行するか」という意思決定と、投資の量が成果をもっとも規定します。
投資の量が成果を左右する部分は、先ほどのブランドポートフォリオの意思決定の重要性につながります。マーケティングをやる人は、事業会社の発注側であれ、外注支援の受注側であれ、この見極めが最も大事だと思います。
いいたか: それは間違いないなあ……。
山口: 弊社も「そもそもブランド戦略を軸にした投資をしても、リターンが見込めないタイミング」と思ったら案件をお断りすることがあります。でも、それで結果的に信頼を得られることもあるんですよね。
結局、誠実であることが一番で。ビジネス的に成果がでないと思ったらお断りするし、成果で貢献できそうと思えばご一緒させていただく。ビジネスにおいて誠実であることは僕の生き方としても、インサイトフォースという会社として、とても大事にしています。
成果が出ないとわかりきったコンサルティングを売ると、市場の評判も社内のモチベーションも低下します。
よくマーケリアルサロンで言われるのは、「山口さんが言うなら、とりあえずウソではないだろう」ということですね。もちろん自分も損得にまみれたビジネスパーソン(笑)なんで、ビジネスの利害に関わるポジショントークがゼロではないけど、ウソをついてまで誘導しようとはしない。一応、そう思っていることは伝わっているのかなと思います。
いいたか: それはそうですよねえ……誠実であることはとても大事。
山口: 「あいつが何かを推しているときは、本当に推してるんだな」と思っていただけているのかなと。
山口: ところで、キャリアの悩みで「自分の仕事が狭い範囲で回っていて、先行きが不安」という相談を受けることがあります。割と定番だと思いますが、僕の回答は「頼まれてないなら、提案すればいいじゃない」ですね。マリー・アントワネット的な話ですが、それ以外の解を知らないです(笑)。
役割を振ってもらえないなら、自分の思うよりよい戦略や施策を、健全な越境行為で提案したり、勝手に実行できるレベルのことならやってみる。そして結果を出し、「その仕事を担える人」という評価を勝ち得るということです。
マーケティングって、4P含めた全体最適によって成果を出すことだけだと思うんです。商品だけがすごくいい、プロモーションだけが優れている、PRだけが目立つ、SNSだけがいい、そういった個別最適で成果は出ないと思います。
必然、いかに社内で横断連携が取れるかが重要になる。コンサルティングしている上で思うのは、「誰も気づきや答えを持たない会社は存在しない」ということです。
――それぞれ触れている接点が違うわけで、誰かが答えを持っているものだと。
山口: そう。例えば小売チャネルの営業をしている方はバイヤーを通じてすごくいい情報を持っているし、研究開発をしている人はいいシーズやその活かし方の見解を持っている。そういうことはたくさんあります。ただ、部門を横断した瞬間に情報が流通しなくなるケースがあるだけで。
僕らはクロスファンクショナルチームという言い方をしますが、部門横断型の検討チームを10~15名ぐらいで作って、マーケットの状況認識をすり合わせ、持っているネタや気づきを全部テーブルに上げてもらうんです。そこで情報をそろえてから検討します。
意見の違いの8割は、持っている情報の違いが生み出す認識の違いです。情報をそろえ、意思決定に合理的な理由を求めるスタイルでやれば、そこまで大きく意見は割れません。
アナログですが、大きな組織のマーケティング意思決定において、クロスファンクショナルチームでの情報共有以上の仕組みはないと思っています。もちろん天才オーナーの鶴の一声で決まるならいいですが、それはオーナー企業で機能するやり方。合議制の会社は、こうやるしかないと思います。
個別最適で頑張っても、成果には限界がある。いかに全体最適にするか、ですね。部門を超えた会議体がないなら、自分がいろんな人と顔見知りになること。
――ないなら作ればいい、ということですね。
山口: そうです。よくあるのが、事業部が商品コンセプトとして「これが売りです!」って社内で伝えても、広告宣伝部や販促の部門が「それはヒキにならない」といって、それぞれ違う訴求のクリエイティブをつくってしまうケース。
「どちらが正しいのか?」という論点もありますが、そこがバラバラで足並みそろわないことが成功確率を大きく下げます。
後工程になって「これではうまくいかない」と言われてスジが曲がってしまう。大きな組織のあるあるです。誰が悪いとかでなく、合意形成にコストをかけないことにはアウトプットに一貫性が生まれないし、消費者に魅力が届かない。いかに部門横断の検討をし、コンセプトのコアを見出すかは非常に大事だと思いますね。
自分たちで熱量を持って仮説を考えることも大事ですが、実際に商品・サービスを買って享受している顧客の声に素直に耳を傾けることは重要です。うまくいかない会社は、顧客の声を聞くフリをしながら、結局は意に沿わない話は受け止めず、意思決定に反映していないんですよね。
山口: 僕らは、再現性ある成功法則があるとすれば、「経営インサイトと顧客インサイトの交差点」に答えがあると考えています。
経営インサイトというのは、その企業の強みや気質を含めた特性です。その2軸を深く見いだせるプロであれば、おおよその答えは出てくると思っているんですね。
乱暴に言えば、この2軸のスジが良ければ細かいフレームワークや商品知識のマニアである必要はない。弊社で僕より成果を出すプロマネがいるんですが、びっくりするほどバズワードを知らないし、興味もないんです。「なんかかっこいい横文字使うけど、それ、成果出るんですか? 美味しいんですか?」みたいなスタンスの悪さが際立ってまして(笑)。
そこまで行く人は極端ですが、そのプロマネはクライアントと成果へのコミットメントは高いし、実際にクライアント企業の業績にインパクトを出すし、クライアントからは信頼されて指名のリピートが来る。別に、新しい知識のインプット不要と言いたいのではなく、成果を出すうえでは、知識もワンオブゼムで組み合わせる要素のひとつです。
いいたか: 誰を幸せにするのか、と考えたら究極の部分はつかめていますよね。全体最適でみても、本当に経営インサイトと顧客インサイトだと思います。個別解にしちゃうと複雑に見えるけど、シンプルにまとめちゃえばこの2つを残しておけばだいたい紐付いていく。皆わかってるはずなんですけどね。
山口: スコープが狭いマーケティング施策領域のビジネスほど、競合と差別化するためにその領域の解像度を上げてアプローチやフレームワークを細かくしていく、となりやすい。新規受注を獲得するうえでは最適解ではあるのですが、それをクライアントが実践して成果出せるのか? と問われると危ういものも多い。
新しい考え方やフレームワークが好きな事業会社のお客さんはいて、「その新しいやつで一回実践してみたい」というニーズは一定数あります。でも、成果が出ないと、その一周で終わってしまうんですよね。
いいたか: われわれホットリンクは次年度の計画を作るとき「ポジショニングを置いてくれ」と言われるんですが、完全無視して他になにもないポジションを作るんです。「空間もグラデーションもある中、平面だけでポジションを見ることに意味がありますか?」と。
山口: 近い思想は弊社にもありますね。「経営と顧客のインサイトを重視し、業績にインパクトある成果をもたらします」って何の時事性もないですよね(笑)。
弊社は目新しさがないし、ポジショニングが取れないから地味な存在という自覚はあります。あえて言えばブランディングを標榜する会社のなかでは、業績インパクトにこだわる姿勢が強いみたいなものはあります。ですが、そもそも秘密保持契約があるし、弊社のクライアントも実績もブラックボックスなので、何やってるか外からはよくわからないですし。
でも、そういう会社は時流キーワードに乗った急成長もしにくいですが、地に足つけて顧客満足が担保されていればつぶれにくく、生き残りやすいとは思います。規模感は違いますが、ホットリンクさんも弊社も「バズワードに乗っかりにいく経営をしない」という点は共通していると思いますね。
ただ、マーケットでわかりやすいポジションを取らないので良さが伝わる速度が遅い(苦笑)。なので、弊社も御社もセミナーや書籍など接点が深くて接触時間が長いものに触れないとコンバージョンしにくいと思います。でも、そこを丁寧にやっていくしかないのかな、と思います。
山口: 「○○ならA社」という、カテゴリからの第一想起のポジションを取れると、お客さんの引き合いはたくさん入ってきますよね。
でも、例えばホットリンクさんにとって「とりあえずSNSやりたくて予算をつけました」ってお話は誤解を恐れずに言えばノイズな面もあると思うんですよね。弊社も同様で、「最近流行ってるからブランディングを」といったオーダーを無闇に増やさないためには、そういうポジションを取らないことが大事で。
――「とりあえず」「流行り」のオーダーが来ないポジショニングを大事にされているんですね。
山口: 会社のサイズを大きくしないようにし、そのリソースのなかで成果を出すための効率というか燃費を大事にしているので。人数を増やさないまま、引き合いが増えすぎると、営業を断るだけの人を置くことになってしまいます。それは問い合わせしてこられた企業にも申し訳ないですし。
リードの絶対数ではなく、なるべく相性のいいリード顧客を増やしたいわけです。それが、事業の効率性にとても響くので。
自分がビジネスのスケールに興味がないというわけではありません。僕を含めたインサイトフォースの主要メンバーが「コンサルティング事業の標準化とスケール」に興味がないだけです。
過去に在籍していた会社のコンサル事業では、東証一部上場も経験しています。現在も、クライアントの事業のスケールは追求しています。事業スケールや資本主義に興味ない人間では、まったくないです。むしろ、そこそこガツガツしてるほうだと思います(笑)。
たまたま、インサイトフォースの事業とメンバーの特性からは現在のやり方が最適解というだけで、燃費よくステークホルダーが三方良しで満足するバランスをつくることに職人的にこだわっているつもりです。
あ、ついでにお伝えすると、インサイトフォースは「顧客市場での競争力向上を目的にしたブランディングやマーケティング支援」に特化しているため、社内の一体感やモチベーション向上など社内の何かを目的にしたご依頼は全てお断りしています。ぜひ、ここは書いてください。そうしたらお断りする依頼が来なくなるので、お問い合わせいただく方含め、全員の労力が減ります(笑)。
いいたか: 間違いないですね、断るのも心が痛いですから。僕もいろんな連絡をもらいますが、例えば「相談したいんです」と言われても、そもそも相談じゃダメなんですってなったりします。
山口: 僕もそこそこ人は良いので(笑)。期待いただいたものを断るって小さなストレスなんですよ。
いいたか: とてもわかります。今回は、多岐にわたる興味深いお話をありがとうございました!
今回の「ザ・プロフェッショナル」もお楽しみいただけましたか? 本シリーズでは、今後も各業界で活躍するさまざまなプロフェッショナルをお招きして対談を行ないます。過去の記事はこちらからご覧ください。
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