SNSコラム

『あなたの番です』から読み解く、クチコミと視聴率の関係性

2021年01月06日
SNSコラム

最終更新日:2023年6月12日

※こちらの記事は2019年9月に社員の個人noteで公開された記事をベースに加筆修正を施しています。

こんにちは。増岡(@hirokimasです。

2クールに渡って放送してきた『あなたの番です』が、先日最終回を迎えましたね。
「あな番ロス」という言葉も使われてるほどで、約半年間、日曜日を楽しみにしてた人多かったんじゃないかなと思います。僕もその一人です。

このドラマ、SNSマーケティングに携わってる人間としては、とても興味深いものでした。黒幕が誰なのかを推測させる仕掛けと、それにより考察クチコミを量産したことです。
ということで今回は考察によるSNSへの影響と、さらに視聴率への影響までを分析した結果を公開します。

なお今回の分析ではドラマの内容には触れず、最後のオチがどうだの評論もしません! それは妻とたくさん話しました。
あくまでもクチコミの盛り上がりと視聴率についてデータで考察したものとなります。

クチコミの広がり

こちらが『あなたの番です』の放送日です。特別編を入れると全21話。

画像1

 "あなたの番です"のクチコミ数

画像2※「BuzzSpreader powered by クチコミ@係長」の10%サンプリングデータから抽出
※リツイートを除く

期間中の『あなたの番です』に関する全ツイート数(RT除く)は、約2,200,000件。
毎週放送日にツイートが多発し、ざっくり3段階で回を重ねるごとに件数が伸びているのがわかります。

ドラマは毎週放送するんだから、回重ねるたびに増えてくのは当たり前じゃね? と思われがちなので(僕もそう思いました)、他のドラマも分析してみました。

毎度高視聴率を叩き出し続ける『ドクターX』のクチコミ推移

画像3

こちらは今期ドラマで人気の『凪のお暇』

画像4

どちらも視聴率は高く、かつクチコミ数も多く出ているのですが、右肩上がりには伸びていないことがわかりますね。
『あなたの番です』の急増具合のすごさが窺えます(上記ドラマについても、視聴率との関係性を後述します)。

考察がクチコミ増加に与えた影響

伏線祭り、なんだか怪しい描写、ヒント動画、出演者からのヒント、LINEチャットボット(AI奈々ちゃん)などなど……。考察で盛り上げようとしたと思われる制作サイドの狙いは見事にハマったようで、SNS上はたくさんの考察投稿が溢れてました。
ヒントっぽいものがありすぎて、どの考察もそれっぽいし、もはや考察現場はカオス状態(何度騙されたか)。

こちらが考察に関するツイート推移です。

 "あなたの番です and 考察"のクチコミ数

画像5※「BuzzSpreader powered by クチコミ@係長」の10%サンプリングデータから抽出
※リツイートを除く

考察についてのツイート数は約170,000件でした。
大きなクチコミの流れは全ツイートのものと大差ありませんが、このデータで特に面白いのは、この部分。

考察クチコミ推移色付け_2

他のドラマだと、放送日じゃない日にはクチコミ数は大きく落ちてしまうんですが、あな番は放送終了後も波形の山が落ち過ぎずに、多くのクチコミが発生され続けているのが特徴です。

クチコミの波形というのは、入射角と反射角が同じになるという法則のようなものがあります。
つまり、急激に伸びたクチコミは急激に下がってしまうんです。
これは番組も勿論そうですが、バズを狙ったプロモーションなどでもよく見られる波形です。

しかしあな番は、リアルタイムで「面白い!」という感想をクチコミするだけではなく、後から考えて考察をする仕掛けを施すことで波形の最下部は積層しています。
この効果で視聴者を増やすことに貢献していそうです。

また、Twitter上でクチコミが増えていると言うことは、リアルな世界でも同じようにクチコミされている可能性が著しく高いと言えます。
ドラマを見ていないときにも友達との会話のネタになってる可能性が高いと考えると、友人のクチコミに影響された視聴効果はかなり大きいと言えるでしょう。

ちなみに、全ツイートから考察ツイートを除くとこうなります。

 "あなたの番です-考察"のクチコミ数

画像7

放送日以外のクチコミは一気になくなってしまいました。
やはり放送日以外のクチコミを支えていたのは考察ツイートだということがわかります。

クチコミ数と視聴率との関係性

視聴率とクチコミ数を合わせてみると、このような結果となりました。

『あなたの番です』クチコミと視聴率の関係

視聴率と比較_2

クチコミの増加と同じように、視聴率も右肩上がりに伸びていることがはっきりとわかります。
3段階に分けて伸びているのも同様ですね。

前編(1話〜10話)では、視聴率は10%に満たず、大コケするのでは? と心配されていたようです。
前編ではクチコミもあまり発生していないですね。後編に比べると考察する要素がまだまだ少なかったということが大きく影響していると思われます。

そして前編最終話(10話)で、まさかのヒロインが殺害されるという掟破りな展開もあり、一気にクチコミが増えています。
ここから考察クチコミがどんどん増えていき、それと同じように視聴率も伸び、遂に13話で10%を超え、見事V字回復となりました(パチパチ)。

以上のデータから『あなたの番です』では、クチコミ数と視聴率が相関して伸びているということはわかりました。

では、他のドラマだとどうなのでしょうか。
先ほど挙げた2つのドラマも同じようにグラフ化してみます。

『ドクターX』クチコミと視聴率の関係

ドクターX視聴率_2

なにより恐ろしいのは視聴率20%越えという圧倒的強さ(笑)。

ただ、視聴率は高いものの伸びているわけではなく、最終回を除いてほぼ横ばいになっています。
一方でクチコミ数は、初回と最終回での盛り上がりはあるものの、それを除くと横ばいとなっています。

『凪のお暇』クチコミと視聴率の関係

なぎ視聴率_2

こちらも初回放送から10%以上の高視聴率ドラマですが、クチコミは初回放送がもっとも高く、右肩上がりにはなっていません。
同じように、視聴率も右肩上がりにはなりませんでした。
また、面白いことに第5話でクチコミが大きく落ち込むとともに、視聴率も下がっています。

『逃げるが恥だが役に立つ』クチコミと視聴率の関係

逃げ恥視聴率_2

2016年のドラマなのでちょっと古いですが、クチコミが影響したドラマと言えば、ということで逃げ恥のデータも見てみました。

クチコミと視聴率の増加傾向に相関性が確認できます。クチコミが増えることで、新規視聴者が増えて視聴率に好影響を与えたと言えるでしょう。
あなたの番ですと似たような形になっています。

外部要因もあるので細かい部分のズレはありますが、上記いずれのデータも、クチコミの波形との相関は見て取れるかと思います。

まとめ

色々データをみてきましたが、ソーシャルメディアマーケティングの観点で以下のようにまとめてみました。

① 『あなたの番です』の考察させる仕掛けは、クチコミを積層させることに貢献した

② 放送時間以外でもクチコミが発生するような仕掛けができれば、クチコミの積層に良い影響を与えることができそう

③ クチコミ推移と視聴率推移は相関傾向にある
→つまり、クチコミを右肩上がりに積層させることは視聴率を伸ばすことに起因しやすい

いかがだったでしょうか。
また面白いデータがあれば分析してみたいと思います。

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今回分析に利用したツールはこちら。
BuzzSpreader Powered by クチコミ@係長

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