SNSコラム

『沈黙の~』シリーズ著者・ウェブライダー松尾さんと語るコンテンツの未来 #バズらない話をしようか

2020年11月20日
SNSコラム

ホットリンクはこれまで、ゲストや参加者の方々とお酒を飲みつつSNSやマーケティングについて学ぶ「#ノミナー」を開催してきました。

しかし新型コロナウイルスの影響でイベントは延期に。「今だからこそ楽しく学べる場所を、皆様に提供できないだろうか」と模索した結果、新企画「#バズらない話をしようか」がスタートしました。

本企画は、いいたかゆうたがマスターをする都内某所のBar「#ダークソーシャル倶楽部」にゲストをお招きし、SNSやマーケティング、ビジネスについて語り合うオンラインイベントです。

2020年10月27日にBarへ来てくれたのは、株式会社ウェブライダーの松尾茂起さん。
会場には、zoomで参加可能な「特別枠」の皆さんのほか、アシスタントに吉岡沙織さんが参加してくれました。

協賛はオリオンビール様スナックミー様。ご提供いただいたお酒・おつまみを楽しみました。

クマレルで「優しい人が集うバー」を作りたかった

いいたか:
まずは松尾さんの自己紹介をお願いします。

松尾:

京都に本社を持つ、株式会社ウェブライダーという会社の代表を務めております。ウェブマーケティング、特に検索エンジン集客を軸としたWeb集客の支援をさせていただいております。

過去には『沈黙のWebマーケティング −Webマーケッター ボーンの逆襲−』『沈黙のWebライティング—Webマーケッター ボーンの激闘—』という、ちょっと変わった本も出版しました。

いいたか:
僕と松尾さんの出会いは、「ferret」の取材でしたよね。実は僕、はじめてお会いした時松尾さんのことが怖かったんです。

松尾:
え、そうなの!?

いいたか:
会った瞬間から物腰柔らかい方で「あ、これは大丈夫な人だな」とはなったんですが(笑)。書籍タイトルに「沈黙の」って付いてるからそう思ったのかな。

松尾:
言葉を発しないみたいなイメージってこと? 完全にセルフブランディングをミスってるなあ(笑)。

いいたか:
あくまでイメージです(笑)。ウェブライダーさんは、6月に「クマレル」をリリースしたじゃないですか。

4月に開催した「#NEWWORLD2020」で、松尾さんがこのサービスについて詳しく教えてくれて以来、いいサービスだなと思っていて。今はどんな状況なんですか?

松尾:
「クマレル」はまだまだ開発途中のα版で、β版にもなっていないサービスです。SEOもまだ強くないですが、想定よりもたくさんの方が使ってくれています。アクセスを分析すると、「こういう場所がほしかった」という思いで、ユーザーさんが自力で見つけ出してきてる感じがあります

「最近こういう悩みがあるけど、誰に相談すればいいか分からない。ネット掲示板は怖いな」という知人に対して、「こういうサービスがあるよ」みたいに、クチコミのクチコミのクチコミで、クマレルにたどりついているらしいんですよね

いいたか:
僕が松尾さんからクマレルの構想を聞いた時、ご自身の実体験を踏まえて作っているなと思ったんですね。どんな背景で、クマレルをリリースしたんですか?

松尾:
僕、知らない人と交流するのが結構好きなんですよ。人見知りなので交流するのは得意ではないけれど、一期一会とか「旅の恥はかき捨て」が好きで。この人とは今夜しか多分会わないから、気兼ねなく話せるよねって関係性がすごく好きなんです。

でもコロナ禍が本格化するにつれて、「このままじゃ知らない誰かと交流することができなくなる」と思って。そういう場所をネットに作りたい。さらに言うと、出会う人は皆いい人で、カウンター横に座ったら知らない間にジントニックを一杯おごってくれるみたいな。そういう優しい場所を作りたかったのがきっかけでした。

いいたか:
僕はお酒も人と話をするのも大好きなんですが、コロナ禍でその機会が一切なくなってしまって。その間ずっと「このフラストレーションはどう消化すればいいんだ」ってなっていました。まだ密を避けて距離を保つ必要があるけれど、ようやく少しずつ楽しみが戻っている感じがします。

書き手としての覚悟、編集者のやるべきこと

いいたか:
一旦zoomからの質問を受け付けますか。

参加者様①:
松尾さんは文章を書く時、普段どんなところにこだわっていますか?

松尾:
文章を書くのって苦手というか、苦しいんですよね(笑)。自分が思う文章が書けないからこその苦手意識があって、そこをクリアしないと仕事ができない。こういう時は、誰かに文章を読んでもらって「これでいいよね」と落とし所を決める事が多いです。他の人に止めてもらうみたいな

「これで十分じゃないですか」と言われたところを基準点に、あと少しだけ背伸びしてから納品します。どこが100点満点か分からない時に、誰かに「ここが80点だよ」と基準を示してもらわないと、永遠に終わらないって自分で分かるんです。だからこそ、誰かにその基準を作ってもらうよう意識しています。

吉岡:

他にいらっしゃいますか?

参加者様②:
いいたかさんも松尾さんも、他のライターさんの記事を編集する時に、どこまで修正指示を出しますか? あまり多く口を出すと、自分の記事みたいになってしまうと思います。そのバランスをどう取っていますか?

いいたか:
これは僕も松尾さんに聞きたいです。

松尾:
ウェブライダーでは2段階あって、まずはうちのスタッフがフィード・フォワードをして、改善指示を出すライン。そして僕が指示を出すラインです。

大体はスタッフのラインですごくいい状態になるんですけど、僕のラインまで来た時は割と容赦なく、「松尾道場へようこそ」みたいな感じでフィード・フォワードしますね(笑)。

ただし、僕は「こうしてください」と指示は出しません。「僕の主観ではこう思いました」という感じで、案として提示します。たとえ修正指示の数が多くても、相手に選択肢を与えてあげないと、「じゃああんたが書けよ」となってしまう。

絶対に書いた本人よりも、見た人のほうが多く気付けるものです。どんなプロでも他の方に見られたら、何かしらの指摘が入ります。完全無欠な要塞のような文章は存在しません。
この前提がないと、改善点を伝えても全否定された気分になります。どう相手に伝えるかが重要ではないでしょうか。

いいたか:
僕も「ferret」を立ち上げた時、自分がメディアコンセプトを作る以上、最終編集者であるという思いで指示修正をしていました。それで実際に修正しようと赤入れすると、原稿が真っ赤になってしまうことが多くて。

ライターさんにはそれぞれ特性がある以上、コンテンツが何の目的で存在するのかがより重要だと考えるようになりました

このコンテンツは誰のために書かれたものか。それを1番のベースに置いてブレていなければある程度は許容していいのか、という思いを常に持っています。

ダークソーシャル倶楽部も含め、ホットリンクではさまざまな対談をしています。そこでも細かいことは言っていません。読者にどれだけスッキリして読み終えてもらうかが大事だと思うので。

松尾:
今、いいたかさんめっちゃいいこと言った!

正直文章って、よほど破綻していない限り読めちゃうんですよ。一見読みづらい文章としても、書いた本人が自信を持って書いたのなら、それでいいんです。
重要なのは、ライターとして「あなたはどこまで覚悟を持っていますか」という話だと思います

そして編集者は、ライターさんの強みを引き出してあげるために、フィードフォワードしてあげる。だからこそ、フィードフォワードは「質問」にしないといけないんですね。この表現について、どう考えましたか? どう思いましたか? って。

僕は質問というのは、「質を上げる問い」と考えています。質問をたくさん飛ばして答えるうちに質が上がった先に、「これは自分の記事だ」と覚悟と自信を持って世に出せれば、それでいいんだと思います。

いいたか:
記事制作は、どうしても手法ドリブンの話が先行しがちじゃないですか。キーワード数をもっと増やしたほうが、検索順位が伸びるとか。それも大事なことではあるんですけど、コンテンツを読んだ後、相手がどんな態度変異を起こすかの方が重要だと思います

仮に「テキーラ」で検索順位が1位だけれど、態度変容が起きないコンテンツ。10位かもしれないけど、記事を読んだ後にテキーラを飲みたくなる記事。この2つだったら、後者の方が僕はいいコンテンツだと思う。

…なんだか、すごくいい話になっていますね(笑)。

高品質少記事メディアと、中品質多記事メディアの生きる道

吉岡:
YouTubeからも質問がきています。「ウェブライダーは、少ない記事でしっかりトラフィックのあるメディアを複数作ってきた実績を持っていると思います。一方で、大量生産系メディアもまだまだ多いです。高品質少記事メディアと中品質多記事メディアは、それぞれ今後どうなると思いますか?

松尾:
高品質少記事メディアと中品質多記事メディアって、若干立ち位置が違うと思っていて。2つの違いは「ストック」と「フロー」だと思うんですよ。もしストック記事にしたいなら、完全に高品質にすべきだと思うんです

うちが制作したコンテンツに、「映画おすすめ」で検索すると1位の記事があります。この記事はむちゃくちゃ分析と研究を重ねて作りました。アンケートもかなりの数を取っていますしね。2〜3か月くらい、サイト1つ作るくらいの熱量をかけて作りました。

こういう記事が検索上位にいる以上、フロー記事ではまず勝てないと思います。大量生産の記事が悪いとは、決して思いません。

ですが最近になって、SEOとフロー記事の文脈が合わなくなっている気がするんですね。フロー記事はSNSとコラボして接触頻度を上げたり、YouTubeとうまくかけ合わせたりした方が、うまくくいくと思います。

いいたか:
この話は、検索エンジンマーケティングの課題・問題にもつながる気がします。

松尾:
今の若い人は、SNSのフォローやYouTubeのチャンネル登録のように、検索しなくてもいい自分の快適な空間を作る文化があるらしいんです。こういう文化が根ざすと、検索って弱いんですよね。今ある心地いい世界から、一歩飛び出す行為なので。

そうなると、検索だけでユーザー行動が完結させることは厳しくなるでしょう。ちょっと足を運んだバーに、素敵なマスターがいて、そのバーに通うようになる。今後は検索という行為を、次のアクションにつなげるファーストタッチという立ち位置で考える必要があるでしょう

いいたか:
検索するって能動的な行動じゃないですか。情報が知りたいとか、このメディアの情報が見たいとか。SNSは受動的な存在である以上、情報を得る方法も変わってきています。その変化に対して、どうコンテンツをマッピングさせるかは、すごく重要なことだと思いますね

松尾:
情報をめぐる世界が、すごく多次元的になりましたよね。昔だったらSEOで上位表示したら、もう勝ちみたいな側面があったじゃないですか。
今はSEOで上位表示した「あと」のことを考えないといけません。SEOの先にあるブランディングというか、一貫して存在感をアピールすることはすごく重要なことだなと。

はてブの数、およそ39,000。松尾のインプット・アウトプット流儀

吉岡:
「松尾さんは普段、どんなインプットをされているか知りたいです」という質問が来ています。

松尾:
よくぞ聞いてくれました(笑)。

僕が一番インプットで活用しているのは、ニュースアプリですね。あとはKindleで本やマンガを買いまくります。テレビもめちゃくちゃ見ていますね。Twitterも情報を知りたい人はとりあえずフォローします。

とにかく情報の新陳代謝が生まれるようにしているんです。そのなかで、今でもずっと使っているのがはてなブックマークです。かれこれ10年以上使い続けていて、ブックマークの数は39,000くらいまで貯まっています(笑)。

僕ははてブを使う時、「意思のないブックマークはしない」という絶対ルールを設けています。ホッテントリ(はてなブックマークの人気エントリー)に入っていて、1,000ブックマーク付いているから自分も付けたりはしません。

自分の役に立ちそう、話のネタになりそう、コンテンツに使えるかもという時だけ、ブックマークを付ける。そうやって10年以上かけて得た知見が、コンテンツ制作にも役立っています。

いいたか:
「Books&Apps」の安達裕哉もすごくて。彼は自分が話して「いいな」って思ったキーワードを、全てEvernoteにまとめているんですよ。それ以外にも、書籍でいいなと思った言葉もまとめているみたいで。

いいたか:
約5年前にその話を聞いて以来、僕も真似しています。マンガを読む時も、誰かが口にした言葉をバーっとメモっておくんですね。それで久しぶりに記事を書こうと思うと、すぐに書き出すことができるんですよ。

Kindleのマーキングハイライトに秘められた可能性

いいたか:
Kindleだと、他のユーザーがマーカーを付けたハイライトが表示されるじゃないですか。ここには何人がマーカーを入れましたとか。あれもいいですよね。

僕、最初に本を読む時ってかなり流し読みするんです。とりあえずタイトルと目次を読んだ後は、パーッとめくる。その時に、他のユーザーがマーキングした部分に目を通すようにしています。

マーカーの入っている場所って「僕は死にません!」みたいな、ドラマの名言に近い。そこを読むと、書籍の「定形」がある程度つかめるんですね。でも、ドラマのなかにはもっと内容の濃い場所があって、その名言が成り立っているわけじゃないですか。そこも知りたくなって、その書籍を読み込んでいきます。

松尾:
ドラマ『半沢直樹』で例えるなら、土下座のシーンに誰もがマーカーを引くわけだけど、本当に面白いのは、土下座の前のストーリーにあるという感じでしょうか。

あのKindleのマーカーみたいなロジックを、Webコンテンツに落とし込めたら面白いと思うんですよね。ここの部分を何人が読んでいましたよ。コンテンツ全体のアクセス解析だけじゃなく、言葉単位の分析にも注目してみたいですよね。ちょっと研究してみようかな(笑)。

いいたか:
やる価値ありますね。このキーワードで10人購入しましたとか。

松尾:
そういう意味では、Google Analyticsも素晴らしいけれど、YouTubeアナリティクスは鬼ってるなと思います。時間軸の解析で、どこで離脱したか、どこが一番見られているか分かるんですから。

いいたか:
シングメディアさんがカンペを出していますね。あれは「そろそろ終了です」の合図です。

松尾:
ここからなのに!? 今まさに大サビが来ているところなのに!(笑)

いいたか:
これまで僕が最後を締めていたんですが、前回からゲストの方にお願いしています。松尾さんにはメッセージを添えてもらって、最後にこのイベントのタイトルである「バズらない話をしようか」で、この場を締めてください。

松尾:
最後になかなかのハードルを課しますね、油断できないなあ(笑)。では…いきますか。

今宵はここダークソーシャル倶楽部にて、繰り広げられた数々の言葉の共演。
次回は果たしてどのような言葉の共演がされるだろうか。
次回、いいたかが加速する。漆黒のソーシャルメディアマーケティング、今夜も俺のインデックスが加速するッ……

…あれ、締めてなかった?

しまった、一番大切な言葉忘れてた(笑)。

 

バズらない話をしようか。

次回の開催は12月1日(火)の18:30〜20:00です。

提供:
オリオンビール
スナックミー

配信:
シングメディア

 

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