SNSコラム

自分の正しさを貫く。ハヤカワ五味さんのSNSとの付き合い方 #ノミナー

2020年02月18日
SNSコラム

2020年1月30日、年が明けて最初となる恒例イベント「お酒片手にSNSマーケティングを学ぶ会」、略してノミナーが開催されました。第6回のゲストは、コンテキストデザイナー/アントレプレナーのハヤカワ五味氏

ランジェリーブランド「feast」やラフォーレ原宿「LAVISHOP」、生理用品のセレクトショップ「illuminate」など多くのブランド・ショップを運営する、株式会社ウツワの代表取締役も務めるハヤカワ氏と当社CMOの飯髙が、トークセッションを実施。

2020年代のマーケティング戦略がテーマになるかと思いきや、話はハヤカワ五味さんのこれまでの事業戦略や、SNS活用にまで広がって(脱線?)いきました。

25歳のハヤカワ五味が、今本を書いた理由

飯髙悠太(以下、飯髙):
いつもは楽しく飲んで話してって感じだったけど、初めての女性ゲストということもあって、結構緊張してます(笑)。

飯高さん

 

飯髙:
今日大阪の出張からの帰りで、五味ちゃんの本『私だけの選択をする22のルール』を読ませていただきました。

五味ちゃんは今25歳だよね。本を書くのってすごい大変だと思うんです。なぜこのタイミングで本を書いたのか、どういう思いがあったのか聞きたいです。

ハヤカワ五味氏(以下、ハヤカワ氏):
私にとって、ちょうど転換期だったというのが大きいです。これまで自分の意思で立ち上げた事業は、ありがたいことに早い段階で売上が立っていました。でもilluminateでは、スタート前から入念な準備を重ねました。

じっくり時間をかけるというタイミングで、過去の自分を振り返るきっかけがあって。色々反省する部分も多かったんです。ここ半年〜1年で自分の視座が上がるのは感じていました。そうすると、以前の自分の感情を忘れてしまうんじゃないか。このタイミングで「当時のハヤカワ五味」を残すことで、その情報を求める人に届けることができると思って。年始から新しい事業を起こすので、一区切りの思いで書きました。

ハヤカワさん

飯髙:
なぜ視座が上がったんだろう?

ハヤカワ氏:
立ち止まったことじゃないかなと。
これまで私にとって、「頑張り続ける」とか「ショート寸前までやる」って結構簡単なことでした。この半年で、一度それを辞めてみたんです。そうすると、自分の立ち位置や本当にやりたかったこと、これまでの取組の成果がクリアに見えてきました。この感情って、誰にでも当てはまるものじゃないんだなって。ある意味正気に戻ったことで、自分を俯瞰できたなって思います。

飯髙:
いい意味でも悪い意味でも、急ぎ過ぎていたってことかな。

ハヤカワ氏:
そうですね。生き急いでたというか、目の前のことに集中することをよしとしてしまっていたのに、気づけたんだと思います。

かわいいデザインに依存しない生理用品を広げたい

飯髙:
五味ちゃんはilluminateで、生理用品を扱うわけだよね。なぜこのタイミングで、生理用品業界に飛び込もうと思ってるのか。将来的にどんな社会を目指しているのかすごい気になります。

ハヤカワ氏:
実は私、生理はあまり辛くなかったんです。ある意味「当事者」ではありません。この問題にコミットしようと思ったのは、同級生が卒業制作で生理用品を作ったのがきっかけです。その課題提起が素晴らしいのと、その子から「製品化したい」と相談されて、取り組もうと決めました。

最初は簡単に作れると思っていました、下着にも関わっていたし。でも実際にやってみて、かなり難しい市場だと思い知ったんです。生理用品の販売シェアってドラッグストアだけで65%あります。その店頭で売るためには、なるべく面で目立つデザインが必要です。生理用品の箱物が大きくて、女の子っぽいデザインばかりなのって、そうした小売のロジックが関係しているんだと知りました。

ここを理解した上で新しいブランドに取り組める人じゃないと、取り組めない事業だなと再認識して。適任がいなかったから、私が引き受けたという面もあります。

ハヤカワさん2

飯髙:
もっと多様性があっていいと思う一方で、ドラッグストアの文脈は無視できないね。五味ちゃんの中で、マーケットを広げるためにどんな女性に使ってほしいかのイメージはある?

ハヤカワ氏:
illuminateの根本には、「なぜ生理用品はかわいいデザインに依存しているのか」って思いがあります。コンドームって男性がつけるものだけど、利用者はカップルだから買い手は2種類の人が想定できます。生理用品は子宮を持つ女性が使うものだけど、全員が「女性らしさ」を好むわけじゃありません。

生理があることと女性らしさを、同一視しなくもいい。そこを疑いながら、性別関係なく捉えられるデザインを追求したいです。そこに賛同してくれる人に、買ってもらえたら嬉しいなあ。

「生理用品業界は今後縮小していく」のが、業界の中の常識です。でも私は、逆に市場は拡大すると思うんです。女性の単身者は増え続けていて、必然的に自分で使えるお金も増えていく。実際に今、化粧品業界の伸びってすごいじゃないですか。

生理用品も、お金を使う場所があればまだまだ成長していくはずです。illuminateはピルとかの関連用品も含めて、思想でそうした購買行動が成立するブランドになれると思っています。

SNSを使い続けて感じた「いい面」と「悪い面」

飯髙:
ここまで一切SNSの話をしていないので、ちょっと戻します(笑)。五味ちゃんがSNSを活用する中で、事業に与えたいい影響・悪い影響はどんなものがありましたか?

飯高さん2

ハヤカワ氏:
よかったのは、発信し続けたことで思想に共感した人が、採用しやすくなったことですね。全国の優秀な方が、全員うちに来ているんじゃないかって思えるくらいで、とてもありがたいです。

でもこの状態になったのって、feast時代から数えると6年くらいかかっていて。最初の3年は、地獄のように採用できませんでした。やっぱり最初は警戒されたり、上辺だけ伝わってミスリードされたりしましたね。

例えばうちの会社は、「人を助ける・女性をエンパワーメントする」って思想を抱えています。ですがそれが誤解されて、「この会社に入るとエンパワーしてもらえる」と思った人が集まってしまったんです。こういう勘違いが最初は頻発しました。

あと、私の社員って皆意識が高いし、意図的に社会問題には目を向けている子が多いです。それこそ世界情勢とかコロナウイルスや、子宮頸がんの問題とか。でも多くの女性は、明日デートで何を着るかとか、好きな人からLINEが返ってくる方がずっと大事なんです。広い視野で物事を見て、逆に視野が狭くならないようにする必要があるなって思います。

飯髙:
自分のSNSのタイムラインと世の中のタイムラインとは別なんだよね。
SNS関連の事業を支援する身としては、これはすごい脅威に思っていて。今の時代で正しくSNSと向き合うには、どうすればいいと思う?

ハヤカワ氏:
新しいことを知れたり、人とつながる安心感は大きいじゃないですか。でもTwitterって街中と同じで、いろんな人がいます。この前街中を歩いていたら、モデルを探しているって声をかけられたんで、いりませんって答えたんです。

そうしたら、後ろから相手が「俺もお前のこといらねえよ!」って叫ばれて。

ハヤカワさん3

会場:

ハヤカワ氏:
街中だから「やばい人がいるなあ」で終わったけど、Twitterだとテキストベースで、相手がどんな人か分からないじゃないですか。人格者でもやばい人でも同じ文字なんで、いろんな人がいるって事実を見落として、テキストだけ見ているとしんどくなっちゃいます。

SNSに流れる大量の情報は、うまくザッピングしてインプットできます。それと同じくらいの感覚で、暴力的な言葉を受け流せるようになればいいかな。特に疲れている時や、依存気味になっているときは距離を置いた方がいいです。私も今は、一旦距離を置いています。

KPIはフォロワー増加ではなく、正しいと思う情報を発信しづけること

飯髙:
五味ちゃんって最初期にフォロワーがどっと増えて、メディアにも多く出るようになったじゃないですか。フォロワーを増やすというタイミングと今とで、SNSとの向き合い方は変わった?

ハヤカワ氏:
でも私って、知名度のわりにフォロワーは少ないと思います。友人やお母さん世代に知られているのは、テレビや新聞、ラジオで名前を聞いたことがあるってことが多いんです。ぶっちゃけ、知名度には13万フォロワーくらいいてもいい気がする。

でもそうなっていないのは、普通にきついことも言うし、意見に迎合してこなかったからかなって。気に入られたいというスタンスが一切ないから、それを求める層がごっそり離脱しています。だから今のフォロワーさんは、かなり選抜されたメンバーだと思います(笑)。

私は常に、自分が正しいと思っていることを発信しているから、否定されても傷つくことはそこまでないです。落ち込みはしますけどね。アンチも一網打尽にしてきたんで、比較的少ないです。「あいつに中途半端にからむと結構面倒くさいぞ」みたいな。

だから今までも、フォロワーを増やすことはKPIにしてきませんでした。自分が正しいと思う情報、伝えたいことをKPIにしてきてて、それは今も変わらないです。クソリプにも一切反応しないんで、フォロワーさんにとっても治安がいいんじゃないかな。

会場:

プロダクトを広めるならSNSのアルゴリズムを理解しよう

飯高:
せっかくなので、質問にも随時答えていきたいと思います。せっかくの機会なんで、どんどん五味ちゃんに質問してください。あ、どうぞ!

参加者:
スタートアップで全くフォロワーがない状態から、プロダクトを売りたいと思ったとき、最初にこれをやるべきみたいな戦略はありますか?

ハヤカワ氏:
SNSをやる中で、大事だけど抜け落ちやすいのが、そのSNSのアルゴリズムを理解することだと思います。Twitterで物を売るのが目的なのに、フォロワーを伸ばすことが目的になっている企業はすごい多いです。

フォロワー数がほとんど0の状態から、今ならTikTokの方が流入を見込めます。そこで一定の流入が見込めるようになったタイミングで、YouTubeやTwitterをやるのがいいかなって。SNSの特性上、拡散性には違いがあります。TikTokは初速がかなり保証されているから、いいコンテンツを投稿すれば基本的に伸びるんです。

YouTubeもいいコンテンツなら拡散されるけど、いいコンテンツの定義に「再生時間」が含まれるので、ある程度時間がかかります。Twitterはいいコンテンツでも、タイムラインでRTされないと伸びにくい。各SNSの特性を理解した上で、どれをやるべきか考えればいいと思います。

飯髙:
単一チャネルだけで施策を打つのは、限界があると思っていて。僕らはTwitterの基盤データを元に提案しますが、最終的にはInstagramもYouTubeもやりましょうとなることがほとんどです。InstagramでもTwitterでも、コンテンツに対する受け手の感情は全然違いますから。

飯高さん3

商材や自分の感情から、どの文脈でUGCを生むか設計しよう

参加者:
UGCが生まれるように、フォロワーさんにどんな施策を打つべきですか?

ハヤカワ氏:
自分がSNSで何を投稿するかを想像してみるといいですよね。小難しいことは言いづらくて、本の感想とかだと「そうじゃない」って意見の対立にもつながりやすい。

その中で「おいしい」って投稿は正義で、一番ハードルが低いと思います。今日のノミナーの協賛にもなっているスナックミーはわかりやすいですよね。私も「スナックミーおいしい」って自分でつぶやいて、自分でも買い始めました。

普段自分がどの感情で投稿しているかの、逆算から考えるといいんじゃないかと思います。

飯髙:
みなさんがどんな商材を扱うかで変わると思います。例えばコスメなら、「これは肌が荒れなかった」とか、実際に使った時の思いがあるかどうかで商材は売れやすくなります。

でも、コンビニに当たり前に並ぶコモディティ化した商品は、UGCが生まれにくいです。缶ビールとか。口コミについては、製品ベースとコミュニケーションベースの2種類があって。最近ならONE PIECEを起用した日清食品のCMは、コミュニケーション文脈の口コミを生んでいますよね。

飯髙:
商材の設計を考えた上で、現状のレビューとかを分析して、口コミや投稿内容を決めていくって方法が一般的かなと思います。あともう1つは、シンプルに「牛丼といえば吉野家」みたいに、一般ワードを取りに行くって方法です。吉野家に関しては、一定層から反論があるかもしれないけど(笑)。

例えばノミナーにお菓子を提供してくれるスナックミーで話をしますが、「お菓子の定期便」はまだ一般化していないですよね。でも流行り出したら絶対にスナックミー一強になると思います。「自分たち=〇〇」という文脈を10個くらい作って、それを投稿内容にしてみる。受け手も同じ文脈で投稿すれば、それを口コミにするわけです。

ハヤカワ氏:
商材自体が口コミの生まれにくいケースもありますよね。それこそ生理用品とか検査キットとか。あとは妊活とか。こういう場合は、まず妊活を話題にしてプロダクトとの結びつきを強くする。間に1つ噛ませるって手法も有効だと思います。

飯髙:
ちょうど今日、お笑い芸人のバービーさんの記事が上がってたよね。五味ちゃんも参加しているソフィの『#NoBagForMe』プロジェクトの対談として。

「生理のおもしろ話、もっと共有したい」バービー×瀧波ユカリ“女のホンネ”対談

飯髙:
記事では生理に対してどう思っているのか、バービーさんが赤裸々に語っている。こういう対談が話題になることで、「生理のことを声に出していいんだ」って文脈になれば、五味ちゃんの製品が話題の中心にもなれる。マーケットを広げるって点で言えば、今この話題を話すことは、本当に恥ずかしいの?っていうピントを合わせることはポイントになると思います。

ハヤカワ五味が考える「炎上の防ぎ方」

参加者:
プロダクトが伸びる過程で、炎上は切り離せない問題だと思います。プロダクトやブランドを成長させる上で、炎上対策とはどう向き合っていますか?

ハヤカワ氏:
めちゃくちゃ気をつけています。あるプロジェクトの話ですが、間に入っていた代理店が、何をすると炎上するか1mmも理解していなかったんです。実際に私含め、関係者全員で「そんなこと投稿したら炎上しますよ!」って止めた場面もあって。

案の定炎上して、カスタマーサポートにすごい量の苦情が入り、プロジェクトそのものが存続の危機に陥りました。私の役目の1つには、プロジェクトが何としても炎上しないようにするという役目もあるんだと痛感しましたね。

基本的に、炎上する一番の大きな原因は「責任転嫁」かなと思います。ぼやが出た段階でアカウントや会社が丁寧に謝罪すれば、そこまで大きく燃えることはありません。大抵、炎上するのは「俺らは間違っていない。担当者が、会社が、プロジェクトが、フォロワーが悪かった」みたいに、周りに責任を押し付けたときですね。

あとは主語に気をつけたり、テキストで勘違いの余白を作らないことです。さまざまな属性の人はもちろん、悪意を持って切り取られたとしても、勘違いできないテキストになるよう気をつけます。炎上はテーマというより、言い方が原因になることが多いと思いますね。

ハヤカワさん4

自分のやりたい事業のために目的と手段を間違えない

参加者:
私は副業でショップをやっています。インフルエンサーマーケティングでフォロワーを増やしたら、自分のブランドを伝えたい客層より、若い世代がフォロワーになってくれたんです。ブランドイメージと製品を求めるお客様で乖離してしまい、SNSの投稿の難易度も上がってしまいました。ここから事業をどう切り替えていこうか、悩んでいます。

ハヤカワ氏:
目的と手段を間違えないことが、大事じゃないでしょうか。フォロワーを増やすのは手段ですよね。目的が売上を伸ばすことなのか、自分のやりたいことをすることなのか、それ次第で決まるんじゃないでしょうか。

自分のやりたいことを実現したいなら、フォロワー数が0になっても方向性を切り替えて、それでも支持してくれる10人くらいのフォロワーが残ればいいんじゃないかなって。売上を伸ばしたいなら、今のフォロワーに合わせて変えるのが正解だと思います。副業だからこそ、目的にコミットして行動するといいですよ。

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イベント終了後は、乾杯とともに参加者と登壇者・ハヤカワさんとの交流会を開催。トークセッションでは聞けなかったことを聞くために、多くの参加者が五味さんの元へ集まり、時間をオーバーするまで会話が絶えませんでした。

2月のノミナーゲストはbaigie枌谷氏・ウェブライダー松尾氏

2月25日のノミナーでは、株式会社ベイジ代表の枌谷力様と株式会社ウェブライダー代表の松尾茂起様を特別ゲストとしてお招きし、当社CMOの飯髙とともに2020年代のWebとSNSについて語っていただきます。

ゲストも参加者も混ざって、お酒を呑みながらざっくばらんにWebマーケティング/SNSマーケティングについて語れる会です。
ここでしか聞けない話も飛び出ることが予想されます。

  • マーケティング担当者はWebとSNS施策をどういう位置づけで考えればいいの?
  • WebマーケティングとSNSマーケティングで相乗効果を出すためにはどう運用すればいいの?
  • マーケターとしてどんなキャリアを積むか迷っている

などといった疑問や悩みをお持ちのマーケティングご担当者様は、ぜひお気軽にお越しください。

【baigie枌谷氏・ウェブライダー松尾氏登壇】お酒片手に2020年代のWebとSNSを語る #ノミナー

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