SNSコラム

コロナによって変わること/変わらないことを見つめ直す #NEWWORLD2020 DAY6

2020年05月07日
SNSコラム

新型コロナウイルスの影響は、人々の生活を一変する事態に発展しています。政府による緊急事態宣言発令と、各自治体からの外出自粛要請。激動のさなかにある今、私たちにできることはないだろうか。

そんな思いから、ホットリンクは各界のリーダーをゲストに招き、時代の変化に対応するヒントを探るカンファレンス「#NEWWORLD2020」を開催することとなりました。

#NEWWORLD2020 - 各業界をリードする15名をゲストに激動の時代のマーケティングを語る|イベント・セミナー|ホットリンク

2020年4月22日〜5月1日の平日の7日間にかけ、毎回異なるゲストを招いて行う当カンファレンスでは、オンライン会議ツールZoomを使用。リリースからわずか3日という期間にもかかわらず、現在では4,000名を超えるイベントとなりました。

DAY6のゲストは、オールユアーズ代表の木村まさしさんと、ナノユニバース経営企画本部WEB戦略部部長の越智将平さんの2人です。

当社CMOの飯髙とともに、私たちが今できること、この時代をポジティブにとらえるための考え方を語っていただきました。

※DAY6は二部構成形式

DAY5の記事はこちらから。

企業・個人のアイデンティティが、世界をよくする力になる #NEWWORLD2020 DAY5

コロナではなく「お客さま」を主語にした商売を貫く

〜第一部 オールユアーズ代表 木村まさし〜

飯髙悠太(以下、飯髙)
木村さんは昨日の登壇者も話題にしていましたが、新型コロナウイルスで会社はどんな状況ですか?

木村まさし(以下、木村)
結果から話すと、現段階で売上はやや伸びています。僕たちは比較的早めに、2月から準備をはじめました。店舗を閉めなきゃいけないのは予想できたので、2月〜3月半ばまで、どんなアクションができるかを議論したんです。

3月頭に取り組んだのは、布マスクの販売です。いつも製造をお願いしている工場が、日本からのキャンセルが増えていたと耳にしていました。PRのつもりはなく、工場の足しになればと思っていたんですが、想定外の反響があり予期せぬ新規顧客の獲得につながりました。

その後、3月26日には実店舗をすべて閉め、オンラインに移行しました。オールユアーズは2019年9月から、自宅試着を実施しています。うちの商品を2〜3サイズお送りして、合わないサイズは返却いただくというものです。

この自宅試着とオンラインを組み合わせて、お店と同じ体験ができると考えました。そこからスタートさせたのが、Zoomを使ったプライベート接客です。

飯髙
オンライン接客のよさや難しさは、どんなところにありますか?

木村
難しさは、オンライン上だと商品のテクスチャ、手触りがわからない点ですね。やはり、オンラインではできることが限られます。逆にオンラインのよさは、お客さまにとって実店舗ならではのプレッシャーやストレスがないということです。

オンライン接客では、商品選定とサイズ相談をするところまで。試着をして購入するまでに、僕らは介在しません。お客さまにとって、買うかどうかをその場で決めなくていいのは大きなメリットです。

最初に対応したお客さまから、このよさを実感しました。オンラインのプライベート接客は、高い満足度につながるなと。

これまでのオンライン上におけるコミュニケーションのクロージングは、店舗への送客まででした。それが今は、「購入」というコンバージョンにまでつながる。Twitterをはじめ、SNSで購買動機を強く後押しできるようになりました。

飯髙
木村さんは強い思想を持ってビジネスをされているから、「こういう商品が届くんだ」とイメージしやすい気がします。しかしコモディティ化されている商品は、こうしたイメージが難しいと思うんですよね。

木村
ブランドアクションの一挙手一投足が評価されるなか、どんなメッセージを発するか。ここで買わないといけない理由、買いたくなる理由を積み上げることが、今後さらに重要になると強く感じます。

商売の本質は、コロナでは変わらない

飯髙
木村さんはwithコロナ、afterコロナといった言葉をどう考えていますか?

木村
誤解を生む表現かもしれませんが、コロナさえもひとつのトレンドだなと。決して商売の本質は変わっていないですよね。

自分のお客さまは誰なのか。何をすると喜んでくれるのか。変わったことよりも、変わらないことを考えるのが大事だと思います。

ゲストの皆さんも、実はその点を強調していた気がするんです。そのうえで、これまでのやり方が通用しないという課題に向き合い、軸をぶらさずどう変化できるかが、大切なことではないでしょうか。

飯髙
商売の本質は変わらず、コミュニケーションやデリバリーの手法が変わるわけですね。

木村
今もまだまだ最適解は生まれていないし、アプローチの方法はもっと多様化していくでしょう。ある意味、大手も中小もフラットな地平線に立っているので、誰にでもチャンスがあると思います。

飯髙
コロナ禍による影響で、生き方や働き方はどう変わると思いますか?

木村
僕は茨城に住んでいて、そこでオンライン接客をやっているんですが、正直すごく快適です。「東京で店舗やる意味あるかな?」とさえ思っています。まだスタッフにも話したことないんですけどね(笑)。

もちろん物理的に会うという点で、東京にもメリットは多いです。しかしこれからは、生きる場所の多様化も進むと思います。僕に限らず「オンラインで結構できるな」と感じた方は多いじゃないですか。そのなかで大切になるのは、販売員の持っている定性データを、どうオンラインと同期させるかだと思います。

店舗に立つ販売員って、お客さまと仲良くなってLINEを交換して、新着情報をお伝えするなど、チャットによる接客を天然でやっているんですよね。

オンライン接客が発展すれば、オールユアーズの優秀なスタッフが集まったオールスター店舗が、オンラインに誕生するかもしれません。そうなれば、販売員の地位はもっと向上するんじゃないかな。

主語は「コロナ」ではなく「お客さま」であることを忘れない

飯髙
オールユアーズもマスクの販売などをしましたが、他の企業や団体でいいなと思った取組みはありますか?

木村
大阪府にある泉大津市という自治体の事例でしょうか。ここは「繊維のまち」として知られているんですが、マスク不足が深刻化しはじめたころ、いちはやく行政が地域の繊維メーカー・小売店と連携して、マスクの生産・供給を行なったんです。

繊維のまち・泉大津」のマスクプロジェクト開始!|泉大津市

行政が旗振り役になると「うちは面倒見てくれないのか」などの不公平感がどうしても生まれてしまうんです。それでも、社会の不安を拭い去るために決断・行動した市長は、すごいなと思いました。

飯髙
オールユアーズでも、今後なにかチャレンジしていきたいことはありますか?

木村
実は今日の8時に、新商品としてTシャツをリリースします。

「着たくないのに、毎日着てしまう」Tシャツができました。|note

これまでの商品は無地のものばかりですが、企業と連携してプリントTシャツを販売する予定です。というのも、Tシャツってメディアの側面を持っていると思うんです。

僕たちは「SNS上のコミュニケーションをエモーショナルにやろう」というスタンスを掲げています。それなら、プロダクトにもエモーショナルな側面を盛り込みたいねと。

withコロナの時代を、どういうメッセージで切り抜けていくのか。ぜひポジティブなメッセージを寄せたい企業と、コラボしたいですね。

飯髙
発表がとても楽しみです。最後に視聴者の皆さまへ、メッセージをお願いします。

木村
最初に考えるべきは、お客さまはコロナじゃないということです。

コロナを主語に語りだすと、どんどん身動きがとれなくなってしまいます。お客さまを主語にして、今何ができるかを考える。そのことに、視聴者の皆さまと一緒に取り組んでいければ嬉しいです。

より早く到来した未来に、悲観せず生き抜いていこう

〜第二部 ナノユニバース経営企画本部WEB戦略部部長 越智将平〜

飯髙
DAY6はアパレルデーになりました。ナノユニバースは新型コロナウイルスの影響をどう受けていますか?

越智将平(以下、越智)
ナノユニバースは全国に70店舗あるんですが、今営業しているのは1店舗だけです。当然売上を見ると、背筋がゾクゾクするような状態ではあります(笑)。

越智
それでも比較的、僕たちはマシな方かなと。ナノユニバースは昔からECに先行投資していて、ブランドのEC化率が50%近くまで進んでいるんです。コロナ禍でECの売上が伸びているなか、ここにきて軸足をシフトしたことが活きています。

飯髙
お話を聞くたび、50%という数字に驚いてしまいます。

越智
ECにはZOZOTOWNのようなECモールと、直営EC(自社EC)の2種類あります。ここにきて顕著なのが、直営ECの伸びです。これまで地道に続けてきた、お客さまへの施策が一気に花開いた印象があります。

そのひとつが、チャット接客です。うちのサイトおよびアプリで、販売員が直接対応するサービスなんですが、ここの売上がわかりやすく伸びています。サイトの売上全体の約8%は、チャット接客での購入です。

これまで、チャット接客は本社社員のしごとでした。今は店舗スタッフがリモートで接客できる準備を進めています。

飯髙
国内のEC化は追い風にあると思いますが、業界全体でみるとどうでしょう?

越智
やはりみんな口をそろえてEC、とは言っています。しかし今後、ファッションECが飽和状態に向かうと思います。そうなった時、すべてのECの売上が伸びるわけではありません。店舗では得られた情報がECで補完できないと、購入には至りません。ECそのものを磨いていかないと、生き残れないとは思います。

ECでできること、実店舗だからできること

飯髙
越智さんはwithコロナ、afterコロナをどう感じていますか?

越智
これからの社会で、たくさんのことが変わると思います。特に僕たちをはじめ出店拡大でチャネルをつくり、ブランド性を保ってきた店舗は「ECだけでそれを担保できるのか?」という課題にさらされるでしょう。ここで生き残るには、根本的なリブランディングが必要です。

具体的には、もっとユーザーに近いブランドを作らないといけないということです。参考となるブランドは、やはりオールユアーズさんかな。先ほどの話もそうでしたが、コロナ禍でもほとんど動じていないじゃないですか。以前から顧客とつながって洋服を作っていた人たちは、この状況を恐れていません。

越智
一方で、変わらない側面もあると思います。EC化で店舗が必要なくなるかと言えば、決してそれはないでしょう。EC化を進めるメリットが多い業種と、実店舗だからこそできることが多い業種はそれぞれありますが、洋服はその中間に位置しています

今まで購入したことのないブランドを、いきなりネットで買うのって怖いじゃないですか。生地感や、羽織ってみた時のシルエットなど、実際に着ないと分からないことも多いです。

EC化は進めつつも、店舗で着られる選択肢も提示できるようにする。両方のいいところを機能として持ち合わせインフラを整えた企業が、生き残ると思います。

飯髙
確かに、実店舗には仲のいいスタッフさんができると、自分に合う洋服を提案してくれるというよさはありますよね。

越智
そうですね。今まではお店に行くまで、仲のいいスタッフがいるか分からないことが多かったと思います。

アパレルではお客さまとスタッフとの関係が一期一会になりがちですが、美容室のように来店時、スタッフさんを予約することができればどうでしょう。こういう課題には、ITが介在する余地が十分残っている気がします。

コロナで生まれた「強制理解」を、生き方・働き方にどう活かすか

飯髙
企業も個人も、これから生き方や働き方が大きく変わると思います。越智さんはその変化をどう考えますか?

越智
今回の変化は、コロナになったから起きたこととは、どうしても思えません。日本の少子高齢化のもっと進んだ未来が、単純に短縮化して引き起こされただけだととらえています。

地方人口や労働人口が減少するなかで、小売としてのあり方を変えようと、どの企業・個人も戦略を練ってきました。コロナを通じて、そんな戦略への強制理解が生まれた気がします

実は販売員にチャット接客をしてもらう案は、ずっと社内で却下されていたんです。「スマホをいじりながらの接客は、お客さまに失礼だ」と。しかしコロナ禍によって危機感が生まれたことで、チャネルを問わず自分たちの能力を発揮しないといけないという認識に変わりました。

個人的には、未来に描いていた店舗を、より短い期間で実現できそうだと思っています。

飯髙
店舗・スタッフのあり方が大きく変わるというのが、越智さんの話でもよくわかります。

越智
もちろん、多くのスタッフは不安の中にあります。そこで、チャット接客などデジタル営業の能力を、資格制度化したいと思っているんです。これまで個々人のノウハウだった接客を、資格という形で公的技術として認める。それを取得することで、自信を持ってほしいなと考えています。

飯髙
得意不得意はあると思っていて、それがわかれば適材適所で活かせますね。越智さんが印象に残っている、他のアパレルブランドのアクションはありますか?

越智
ザラが2020年春夏のコレクションを、モデルの自撮りで紹介したことでしょうか。

「ザラ」が2020年春夏コレクションを公開 モデルの自撮りで商品紹介も|WWD JAPAN

カメラマンがいて、屋外の場合はロケハンをして、ライティングを調整して……と、従来行われてきた手法ではなく「モデルの自撮りで十分コンテンツが成立する時代が来たんだな」と感じました。

僕たちはEC用の撮影を社内で行っています。どうしても撮影はリアルにやらないといけないというところで、世界的な企業が率先して新しい手法を取り入れたのは、かっこいいですよね。

飯髙
今までの当たり前を、大きく覆した事例ですね。ザラに限らず、企業のマーケティング活動は大きく変化しています。越智さんのなかで、どんな点を意識したほうがいいと思いますか?

越智
マーケティングがマス広告ではなくなるにつれ、いちブランドの発信よりも、ひとりの優秀なインフルエンサーのSNS発信のほうが、高い宣伝効果を得られます。これから店舗スタッフの「個のパワー」をどう扱うかで、予算配分も大きく変わるんじゃないでしょうか。

これからEC化が進むほど、おそらくリスティング広告などの単価も上がっていくことでしょう。よりオーガニックな流入を集めるために、スタッフなどの個の力を高めていきたいですね。

飯髙
ありがとうございます。最後に視聴者の皆さまへ、メッセージをお願いします。

越智
ファッション業界は今、多くの人が絶望に包まれています。経営悪化はもちろん「ニューワールドでは洋服の優先順位がさらに下がるんじゃないか」という懸念も、その要因の1つです。

ですがECの内訳を見ると、意外にもコートなど「今それを買って、どこに着ていくの?」という商品が売れているという実態があります。

「コロナが収束したらどこへ行こうか」など、ステイホームでもファッションを想像している方はたくさんいます。絶望感だけでなく、より外出に対する期待感が高まっている状態でもあるわけです。

コロナ禍を悲観的にとらえるのではなく、いいサービス・いい商品を作っていけば、ニーズは十分高まるはずです。皆でこの苦難を耐え忍び、雨のやむ日を待ちましょう。

 

――木村さん、越智さん、ありがとうございました。

DAY7の模様は5月11日(月)に公開予定です。


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