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この記事の内容
最終更新日:2024年8月27日
ブロックチェーンとはデータを安全に管理し、内容の検証をステークホルダーのみならず第三者も可能になる形で保管することで、改ざんを防ぐための技術です。
それにとどまらずデータの扱い方、個人のデータ管理、付き合い方すらも変えうるポテンシャルを持つ技術でもあります。
ブロックチェーンのメリットを理解する前に、ブロックチェーンの基本的な仕組みについて解説します。
まず、ブロックチェーンの基本的な要素について説明します。
・暗号化技術:暗号化技術は、データの内容を第三者に分からないように保護し通信するための技術です。たとえば、メールや大切な情報を送る際に使われます。この技術により、データの情報が漏れることなく、送信者と受信者の間でのみ情報がやり取りされます。
・P2P通信:P2P通信とは、データを送り合うユーザー同士が、個人間で直接やりとりする方法です。これは、中央のサーバーを介さずにデータがやり取りされるため、より効率的でセキュリティの高い通信が可能です。たとえば、友達同士で直接ファイルを交換するイメージです。
・分散型台帳技術:分散型台帳技術は、データや権限を分散して管理する方法です。一つの場所にデータを集中させるのではなく、複数の場所に分散させることで、データの改ざんや消失を防ぎます。これは、複数のコピーを持つことで安全性を高める、バックアップのようなものです。
・コンセンサス・アルゴリズム:コンセンサス・アルゴリズムは、ブロックチェーンに格納するデータを検証するノードが合意に達するための仕組みやルールのことを指します。みんなで意見を出し合って最終的な決定を行うために守るべきルールや手順のようなものです。たとえば、新しいデータを追加する際には特定の問題にいち早く正解する必要がある、ブロックチェーンが分かれた時には長い方を正しいとし短い方は破棄する、などのルールがあります。
ブロックチェーンには、以下のような特徴があります。
・改ざん耐性:データが一度記録されると、後から変更することが非常に困難です。これは、記録されたデータが複数の場所に分散して保存されるためです。
たとえるなら、村人全員で共有する巨大な石碑に記録を刻むようなものです。一度刻まれた内容を変更するには、村中の石碑を全て同じように書き換える必要があります。これは非常に困難で、ほぼ不可能な作業です。
・高可用性:システムが一箇所の障害によって停止することがなく、常に利用可能な状態を保ちます。
たとえるなら、複数の井戸がある村のようなものです。一つの井戸が枯れても、他の井戸から水を汲むことができるので、村人は常に水を得ることができます。システムも同じように、一部が故障しても他の部分が機能し続けるので、サービスは中断せずに利用可能です。
・ビザンチン障害耐性:システム内の一部が不正な行動をしても、全体の信頼性が保たれる特性です。
これは、村の重要な決定を下す会議のようなものです。会議には10人の長老が参加していますが、そのうち2-3人が嘘をついたり、間違った情報を伝えたりしても、残りの正直な長老たちの意見によって、最終的に正しい決定が下されます。
システムも同様に、一部のノードが不正確な情報を発信しても、大多数の正常なノードによって全体の信頼性が保たれるのです。
ブロックチェーンには、いくつかの種類があります。
1.パブリックチェーン:これは、誰でも参加できるオープンなブロックチェーンです。たとえば、ビットコインやイーサリアムがこのタイプに該当します。 2.プライベートチェーン:特定の組織やグループだけが参加できるブロックチェーンです。これは、企業内部のデータ管理に使用されることが多いです。 3.コンソーシアムチェーン:複数の組織が共同で運営するブロックチェーンです。これは、複数企業が協力してデータを管理する際に利用されます。
ブロックチェーンは、その参加者の範囲や管理方法によって、主に以下の3つの種類に分類されます。それぞれの特徴と用途について詳しく説明します。
パブリックチェーンは、誰でも自由に参加し、取引を検証できるオープンなブロックチェーンです。主な特徴は以下の通りです。
1.高い透明性:全ての取引記録が公開されているため、誰でも確認することができます。 2.分散性:中央管理者が存在せず、ネットワーク参加者全員で管理を行います。 3.セキュリティ:大規模なネットワークによって、高いセキュリティが確保されます。 4.スケーラビリティの課題:参加者が多いため、取引処理速度に制限があることがあります。
代表的な例として、ビットコインやイーサリアムが挙げられます。これらは主に仮想通貨やスマートコントラクトのプラットフォームとして利用されています。
プライベートチェーンは、特定の組織や個人のみが参加できる閉鎖的なブロックチェーンです。主な特徴は以下の通りです。
1.高速な取引処理:参加者が限定されているため、高速な取引処理が可能です。 2.カスタマイズ性:組織のニーズに合わせて、システムをカスタマイズしやすいです。 3.プライバシー保護:取引情報を外部に公開する必要がないため、機密性の高い情報を扱えます。 4.中央集権的な側面:管理者が存在するため、完全な分散システムではありません。
プライベートチェーンは、企業の内部管理システムや、銀行の決済システムなどに利用されています。たとえば、JPMorganのQuorumは、金融取引のためのプライベートブロックチェーンプラットフォームです。
コンソーシアムチェーンは、複数の組織が共同で運営するブロックチェーンで、パブリックチェーンとプライベートチェーンの中間的な性質を持ちます。主な特徴は以下の通りです。
1.限定的な参加:事前に承認された組織のみが参加できます。 2.部分的な分散性:複数の組織で管理を行うため、ある程度の分散性が確保されます。 3.効率的な合意形成:参加者が限定されているため、効率的な合意形成が可能です。 4.柔軟性:参加組織間で取り決めたルールに基づいて運営できます。
コンソーシアムチェーンは、複数の企業や組織が協力して情報を共有する必要がある場合に適しています。
たとえば、サプライチェーン管理や、金融機関間での情報共有などに利用されています。具体的な例として、R3のCordaプラットフォームがあり、金融機関や企業間の取引に使用されています。
これらの異なるタイプのブロックチェーンは、それぞれの特性を活かして様々な分野で応用されています。使用目的や参加者の範囲、求められるセキュリティレベルなどに応じて、適切なタイプのブロックチェーンが選択されます。
今後も、これらの基本的なタイプをもとに、より専門化された、あるいはハイブリッド型のブロックチェーンが開発される可能性があり、技術の進化とともにその応用範囲がさらに広がることが期待されています。
関連記事:ブロックチェーンとは?特徴・種類・活用事例を徹底解説
ブロックチェーン技術は、ビジネスや社会に大きな変化をもたらす可能性を秘めています。
ブロックチェーンを活用する主なメリットは5つありますので、それぞれ解説していきます。
ブロックチェーンの特徴のひとつは、情報を一か所ではなく、多くの場所で分散して管理することです。これにより、ネットワークを構成するサーバー(ノード)が止まったとしても、全体のシステムは安全に保たれますしシステムがダウンする可能性も低く抑えることができます。
また、ブロックチェーンに記録されたデータは、変更や削除が非常に難しくなっています。新しい情報を加える際にはノードによる検証と同意が必要であり、不正な取引の発生を防ぐとともに、データが本物であることを担保しています。
透明性という点では、ブロックチェーンは誰でも見ることができる場所に置いてある掲示板のようなものです。すべての取引の履歴が確認できるため、ビジネスの透明性が高まります。さらには、ブロックチェーン上のデータは、様々なアプリケーションやシステムで利用されます。そのため、ユーザーはサービスごとに会員登録することなく、アプリケーションやシステムを利用することが可能です。
たとえば、Googleアカウントひとつで様々なサービスにログインできるように、暗号資産ウォレットひとつあるだけで会員登録することなく、暗号資産を使った決済サービスを利用したり、暗号資産を使って買い物したりすることができます。
ブロックチェーンを使うことで、事業者は様々な面でコストを減らすことができます。
まず、銀行や仲介業者を通すことなく、取引が直接できるようになります。結果として、手数料を大幅に減らすことができるのです。特に、海外送金の際はコスト削減のメリットが大きくなります。
また、契約の実行や取引の確認を自動化することも可能です。これにより、人件費を減らせることはもちろん、紙の書類も少なくなり、管理費用も削減することができます。
さらに、データを一か所で管理する従来のシステムと比べ、維持費を削減することも可能です。また、データの改ざんや不正アクセスに強いため、セキュリティ対策の費用も抑えられる可能性が高いと言えます。
ブロックチェーンを使うと、仕事の進め方が大きく変わります。
まず、お金のやり取りがとても速くなります。今まで海外送金に数日かかっていたものが、数分から数時間で完了するようになります。これによって業務のスピードが上がり、お金の流れもスムーズになります。
また、契約の管理も簡単になります。たとえば、イーサリアムでは「スマートコントラクト」というプログラムを組むことで、契約の内容を自動的に執行することができます。これによって人為的なミスが減り、契約に関わる作業時間も大幅に短縮されます。
たとえば、保険金の支払いや不動産の取引など、条件を満たしていれば自動的に処理が行われるようになります。
さらに、情報の共有と管理も効率的になります。ブロックチェーンでは、関係者全員が同じ情報をリアルタイムで見ることが可能です。これにより、情報のズレや同じ作業を何度も行うといった無駄がなくなります。
ブロックチェーンにおいて、一度記録された情報は変更することは基本的にできません。
新しい情報を追加する際には、多くの参加者の同意が必要です。間違った情報や不正な取引があれば排除されます。その結果、システム全体の信頼性が保たれます。
さらに、ブロックチェーンには中心となる管理者が基本的にはいません。従来のシステムでは、管理者の信頼性に頼る部分が大きく、管理者が不正をしたり、システムが攻撃されることでシステム全体が影響を受けるリスクがありました。
ブロックチェーンでは弱点となる部分が一ヶ所に集中していないため、システム全体の信頼性が高まります。
トレーサビリティとは、物やデータの動きを追跡できる能力のことです。ブロックチェーンを使うと、トレーサビリティが大きく向上し、あらゆる場面で効果を発揮します。
たとえば、食品業界では、畑で作られた野菜が消費者の手元に届くまでの全ての過程を追跡できます。これにより「どの食品がどこからいつ運ばれたのか」といった詳細なデータが分かるようになり、問題が起きてしまった際にも素早く対応できるようになります。
製造業でも同様です。部品の調達から最終製品の組み立てまでの過程を細かく記録できるため、品質管理が向上し、不具合が見つかった時にも原因をすぐに特定することが可能です。
また、高級ブランド品や芸術作品においては、偽物対策に役立ちます。製品の製造から販売までの履歴を、誰も変更できない形で記録できるため、その商品が本物かどうかを簡単に確認することができるのです。
ブロックチェーンは革新的な技術ではありますが、いくつかの課題も抱えています。ここでは、ブロックチェーン技術の活用を検討する際に注意しておきたい7つのポイントを解説します。
ブロックチェーン技術には、短時間で多くの人が利用する際に、ブロックチェーン上の情報処理が追いつかないケースがあります。これは「スケーラビリティ問題」と呼ばれ、特に多くの人が利用するパブリックブロックチェーンで顕著です。
たとえば、ビットコインは1秒間に約7回の取引しか処理できません。クレジットカード会社が1秒間に数千回の取引を処理できますので、比較するとブロックチェーンは非常に遅いのです。1秒間に処理できる取引回数を増やすための新しい技術開発が進んでいますが、それでも既存のシステムと比べると遅いと感じる人は多くいます。
このような処理速度の制限は、ブロックチェーンの仕組みに原因があります。
新しい取引について記録する際、ネットワーク全体で確認が必要なため、時間がかかってしまいます。取引が増えると、処理待ちの列が長くなり、確認に時間がかかってしまうのです。
また、手数料も上がるため、少額での取引も難しくなります。この問題を解決するため、さまざまな方法が提案されていますが、まだ完全には解決されていません。
スケーラビリティの問題は、ブロックチェーン技術が広く使われるようになるための大きな障害となっていますが、この課題を克服することができれば、ブロックチェーンはより多くの分野で活用される可能性があります。
ブロックチェーン技術を活用する際は、大量の電力が消費される傾向にあります。なぜなら、「プルーフ・オブ・ワーク(PoW)」と呼ばれる方式を使っているからです。
PoW方式では、新しい取引を記録する権利を得るために、複雑な計算問題を解く必要があります。この計算をするためには、多くのコンピューターのパワーが必要であり、結果として大量の電気を使います。
ビットコインの年間電力使用量を、国が1年に消費する電力使用量と比較したレポートによると、マレーシアに続いて27番目の使用量(145.9TWh)にのぼります。2022年の世界におけるデータセンターでの電力使用量が最大で340TWhで、これが世界の電力需要の1.3%でした。これを踏まえると、ビットコイン関連の電力消費量がいかに多いか想像しやすくなると思います。
この大量のエネルギー消費は、環境への影響が心配されています。特に、石炭や石油などを使って電気を作る地域では、温室効果ガスの排出につながる可能性もあります。
また、その結果として安い電気を使える特定の場所に大きな施設が集中する傾向がありますが、これはネットワークの分散性を損なう可能性があるでしょう。
この問題を解決するため、より少ないエネルギーで済む新しい方式の採用や、再生可能エネルギーの利用が進められていますが、まだ完全な解決には至っていません。
ブロックチェーン技術は革新的な技術である一方、導入と運用をする際は高度な専門知識が必要になってきます。ブロックチェーンの活用を検討する企業にとって、ブロックチェーンを正しく理解し、効果的に実装するハードルが高いのが実情です。
分散型システムの設計、暗号技術の実装、コンセンサスメカニズムの選択など、「技術的な複雑さ」が課題になる部分は多岐にわたります。これらの要素を適切に組み合わせ、安全で効率的なシステムを構築するには、総合的かつ高度な技術力が求められるのです。
また、既存のシステムとの統合も大きな課題です。多くの企業は長年使用してきた従来のデータベースやソフトウェアを持っており、これらとブロックチェーンを連携させるには複雑な開発が必要となります。
エンジニアの人材確保においても、大きな課題があります。ブロックチェーン技術に精通した開発者やエンジニアは少なく、需要も高いため年収も高いのが現状です。
その中で経験・スキルが豊富な人材を確保するのは難しく、人件費も高騰する傾向にあります。
加えて、ブロックチェーンの導入コストも高額になりがちです。ハードウェアの調達、ソフトウェアの開発、ネットワークインフラの整備など、様々な面で大きな投資が必要です。さらに、セキュリティ対策や監査にもコストがかかります。
このような「複雑さ」「コストの高さ」は、多くの企業がブロックチェーン技術の導入を躊躇する要因となっています。
ブロックチェーンが革新的な技術であるため、既存の法律や規制の枠組みに収まりきっておらず、多くの国や地域で法整備が遅れているため、法的な不確実性が存在します。
たとえば、スマートコントラクトが「正式な契約として認められるかどうか」という点について、法的な共通見解はまだ出されていません。
スマートコントラクトは、プログラムによって自動的に執行される契約のような機能を持つプログラムですが、これが従来の契約法の枠組みでどのように扱われるべきか、明確な指針が不足しています。
また、各個人が権利として持っている「個人情報を削除してもらうことができる権利」と、「ブロックチェーンのデータを消せない仕組み」が、法律上ぶつかり合っています。
EU一般データ保護規則(GDPR)などのプライバシー法は、個人データの削除権を規定していますが、「ブロックチェーンの仕組みとどのように両立するか」という点においては、まだ明確な解決策が示されていません。
暗号資産の規制も国や地域によって大きく異なり、一貫性がありません。ある国では合法とされる取引が、別の国では違法となる可能性があり、国際的な事業展開を行う企業にとっては大きな課題となっています。
法規制の整備は徐々に進んでいるものの、技術の進歩のスピードに追いついていないのが現状です。
ブロックチェーンの重要な特徴の1つに「不可逆性」があります。つまり、ブロックチェーン上で一度記録された情報は変更や削除が極めて困難であるということです。
この特性によってデータの信頼性が高まる一方で、いくつかの課題を引き起こしています。
たとえば、誤った取引が発生した場合、従来のシステムでは簡単に修正できましたが、ブロックチェーンではそれができません。また、個人情報や機密情報が誤ってブロックチェーンに記録されてしまった場合、その情報を完全に削除することもできません。
スマートコントラクトにおいても、不可逆性は重要な課題です。契約内容にバグや脆弱性が見つかった場合、その修正が非常に難しくなります。結果として、セキュリティのリスクや金銭的な損失につながる可能性があります。
ブロックチェーン技術は新しい技術であることから、プログラムに潜在的な脆弱性を持っていることがあります。
暗号資産業界には、オープンソースの精神を大切にするカルチャーがあります。このカルチャーのおかげで、新しいサービスの開発スピードが早くなります。
その一方で、十分なコード監査が行われることなくプログラムが広く利用されるケースがあります。実際に、広く使われているコードに脆弱性があり、そこを突いた攻撃により多くの暗号資産が流出した事件が起こったこともあるのです。
一度デプロイされたスマートコントラクトは変更が困難であるため、プログラムのエラーやセキュリティの弱点が致命的な問題につながる可能性があります。
ブロックチェーンの分散型システムの性質上、従来のシステムとは異なる攻撃方法が存在します。たとえば、フラッシュローン攻撃やリエントランシー攻撃など、ブロックチェーン特有の脆弱性に対処する必要があります。
また、実際のブロックチェーン環境を完全に模倣したテスト環境を作ることが難しいため、本番環境でのみ発見される問題が存在する可能性があります。
このため、スマートコントラクトの安全性を確保するには、綿密な監査が必要ですが、専門知識が必要かつコストも高くなります。
これらの問題に対処するため、厳格なコード監査とテストプロセスの導入、セキュリティ監査の標準化、開発者教育とベストプラクティスの共有などの取り組みが行われています。
ブロックチェーン技術の普及における大きな課題の一つは、一般のユーザーが暗号資産を扱うことに不慣れである点です。
多くの人にとって、暗号資産の概念自体が新しく、理解が難しいものです。従来の通貨や金融システムとは大きく異なる仕組みを持つ暗号資産は、その仕組みや利用方法、リスクなどを理解するのに時間がかかります。
特に、公開鍵と秘密鍵の管理、ウォレットの使用方法、トランザクションの仕組みなどは、技術に詳しくない一般ユーザーが理解するのは簡単ではありません。
また、暗号資産の保管と管理も大きな課題です。ユーザーは自身の資産を安全に保管する責任を負いますが、これは従来の銀行システムとは大きく異なります。秘密鍵の紛失や盗難によって資産を永久的に失う可能性があり、ユーザーにとっては大きなリスクです。
また、暗号資産の価値の変動性も、ユーザーにとって大きな不安要素でしょう。多くの暗号資産は、従来の通貨と比べて価格変動が大きく、一般の人が保有する上で不安要素になっていています。
暗号資産をはじめとしたブロックチェーン技術の強みを最大限活用するためには、これらの技術をより多くの人々が理解し、安心して利用できるようにすることが必要不可欠です。
ブロックチェーンの強みが発揮された活用事例を4つご紹介します。
三井倉庫ロジスティクス(MSL)は、物流の「2024年問題」に対応することを目的の一つに、ブロックチェーン技術を活用した物流管理システムを本格稼働させたことを2024年8月7日に発表しました。
ブロックチェーンを使うことで、サプライチェーン全体の最適化、ペーパーレス化によるドライバーの業務効率化・拘束時間の削減・環境負荷の低減、リアルタイムで商品の出荷から納入までの取引履歴を記録することで不正行為の抑止などが期待できるとのことです。
株式会社丸井グループは2022年6月、公募自己募集型デジタル債を発行しました。
この取り組みは国内事業会社としては初めてで、この社債はブロックチェーン上で発行・管理されるセキュリティ・トークンとして発行されました。セキュリティ・トークンとは、証券の形でトークンへの投資が可能になる仕組みです。
本来は証券会社が販売する証券を自社で発行することで、発行体から投資家へ直接アプローチする座組を構築できる、利払を金銭以外で可能になる、社債を小口化することで従来よりも多くの投資家にアクセスできることなどが期待されています。
本取り組みは、丸井グループが発行するエポスカード会員を対象としています。1回目の発行時は、募集3時間で1億円をこえる申し込みがありました。これは発行予定額の20倍程度だったそうです。続く発行でも10倍を超える申し込みがあり、期待の高さが伺えます。
取り組みの結果としては、投資したユーザーはエポスカードの利用頻度や金額が増えたとの結果もあり、投資家とのエンゲージメント向上にも寄与しているといえます。
Modhaus(モッドハウス)は、Web3技術を使ったK-POPのエージェンシーです。
特にtripleS(トリプルエス)は韓国を中心に大きな人気を誇るグループで、日本でもSony Musicからメジャーデビューが決定しています。
tripleSの公式YouTubeチャンネルには約260万人の登録者がいたり、ファン投票でファーストアルバムのタイトル曲となった「Girls Never Die」が韓国の音楽番組で高い評価を集めるなど、人気あるアーティストを輩出しています。
同社はCOSMOというモバイルアプリケーションを介し、ファンがブロックチェーンの存在を意識することなくアーティストの成長に直接参加できるプラットフォームを構築しています。これがModhausが通常のエージェンシーと一線を画す特徴です。
ユーザーは「NFT」という言葉をアプリ内で見ることはありませんが、アプリ内で購入できるカードはすべてNFTとして発行されているものです。
決済にはクレジットカードが使われるため、暗号資産を持たなくともNFT購入ができます。このNFTを保有しているファンは、新しいメンバーやグループメンバー決定などの投票に参加できます。
どのファンがどのメンバーに投票したのか、特定のアイドルが表示されるNFTがどれくらい売れたのかなどは、誰でも確認できるようになっています(参考:Dune)。この透明性は、ブロックチェーンを使っているからこそであるといえます。
資生堂の子会社ザ・ギンザは、タイムレスな美を追求するスキンケアブランドとして、2021年にスキンケア製品をリニューアルしました。
このリニューアルに際し、グローバルでのDX加速を実現するため、ブロックチェーン技術を活用して顧客体験を向上させる新たな取り組みが行われました。
具体的には、製品にQR/RFIDタグを導入し、購入情報をブロックチェーン上で管理。これにより、偽造品の防止や、オンラインとオフラインでの購入データの統合が実現され、顧客によりパーソナライズされたサービスが提供されています。
ブロックチェーンを取り入れることで、ブランドの信頼性と透明性を強化し、顧客に対して「本物であること」を証明することが客観的に可能になります。
また、クロスボーダーでのO2Oマーケティング(オウンドメディアやWeb広告などのオンラインの場から実店舗などへユーザーを誘導するマーケティング)施策と偽造品対策の推進が可能となり、ブランド体験を一貫して提供することも実現しました。
他の業界でもブロックチェーンを活用することで、次のようなメリットを享受することができます。
ブロックチェーンは、金融業界での取引記録や決済システムに利用されています。
これにより、取引の透明性が向上し、取引コストが削減されます。たとえば、国際送金の際には、従来の銀行システムよりも速く、低コストで送金が可能になります。
さらに、ブロックチェーン技術は以下のような金融サービスにも革新をもたらしています。
1.クロスボーダー決済:Rippleでは独自の分散台帳技術を開発しており、国際送金の時間とコストが大幅に削減されています。 2.スマートコントラクト:イーサリアムなどのプラットフォームでは、自動執行される契約(スマートコントラクト)が可能となり、金融取引の自動化と効率化が進んでいます。 3.証券取引:ブロックチェーンを利用した証券取引システムにより、決済時間の短縮や取引の透明性向上が実現しています。 4.デジタル通貨:中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発にもブロックチェーン技術が活用されており、より効率的な通貨管理が可能になっています。
ヘルスケア分野でもブロックチェーン技術は応用されています。患者の医療記録を安全に管理し、複数の医療機関間でのデータ共有を可能にします。
これにより、患者の医療情報の一貫性とプライバシー保護が確保されます。
ブロックチェーンのヘルスケアへの応用には、以下のような例があります。
1.電子健康記録(EHR):患者の医療データを安全に管理し、必要に応じて異なる医療機関間で共有できます。 2.医薬品のサプライチェーン:医薬品の製造から流通、販売までの過程を追跡し、偽造薬の流通を防止します。 3.臨床試験データ管理:臨床試験のデータをブロックチェーン上で管理することで、データの改ざんを防ぎ、試験の透明性を高めます。 4.医療保険の請求処理:保険金請求のプロセスを自動化し、効率化することができます。
不動産取引においても、ブロックチェーン技術を用いることで透明性と効率性を担保することができます。
所有権の証明や取引の記録をブロックチェーン上で管理することで、取引の信頼性を高めることができます。これにより、不動産取引の手続きを簡略化し、コストを削減できます。
ブロックチェーンの不動産分野への応用には以下のようなメリットがあります。
1.所有権の明確化:不動産の所有権情報をブロックチェーン上で管理することで、所有権の移転や確認を迅速かつ安全に行えます。 2.スマートコントラクトによる自動化:スマートコントラクトとは、条件が満たされると人の手を介さず契約が実行される仕組みのこと。賃貸契約や購入契約をスマートコントラクトで自動化し、取引プロセスを効率化できます。 3.不動産投資の民主化:不動産をトークン化することで、少額から不動産投資に参加することが可能になります。 4.デューデリジェンスの効率化:物件の履歴や関連文書をブロックチェーン上で管理することで、物件調査のプロセスを簡素化できます。
これらの応用例は、ブロックチェーン技術が様々な産業に革新をもたらし、既存のビジネスモデルや業務プロセスを変革する可能性を示すものといえるでしょう。
これまでWeb3について、さまざまな情報をお伝えしてきました。しかし、この新しい技術を自社に取り入れるには、まだまだ学ぶことが多いはずです。
特に、Web3は新しい分野ですから、情報の多くが英語で書かれています。日本語の情報だけでは、十分な知識を得られないかもしれません。それらの情報がリサーチや、業界に対する知識ある人物により精査されているとも限りません。
ここまで読んでくださった方向けに、子会社「Nonagon Capital」が提供するニュースレターへの登録フォームをお知らせします。ファンドが投資決定のために行う情報収集の仕組みと、サンフランシスコを拠点として活動してきたからこその視点から作成されるニュースレターを通じ、企業担当者や経営幹部が把握しておくべき動向を把握するお手伝いをしております。他のWeb3関連のニュースレターと異なるのは、日本の大企業向けに国内外の重要なニュースをまとめて配信している部分です。
技術の変化のスピードは年々加速しています。継続的に最新情報を入手することをおすすめします。この機会にぜひ、ご登録ください。
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トピックは、国内の大手企業が知らないでは済まされないトレンドや大企業が応用しやすいトピックを選び、どのような形で幅広い既存のビジネスに応用可能なのか、思考を巡らすきっかけや事業立ち上げ、運営の基礎をつくります。
特にブロックチェーンの恩恵を受けられると弊社が考える業界(金融、SIer、通信、インターネット、ゲーム、保険、不動産、IoT、メディア、広告、商社、エンターテイメント、食飲料、不動産、モビリティ、旅行、製造業、エネルギー、ヘルスケアなど)の各企業が運営するCVCや事業部の方々がWeb3のビジネスを実行する上で有益な情報を提供しています。
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