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ブロックチェーンとは?特徴・種類・活用事例を徹底解説

2024年07月22日
AI・WEB3

最終更新日:2024年8月13日

ブロックチェーンとはデータを安全に管理し、内容の検証をステークホルダーのみならず第三者も可能になる形に保管することで、改ざんを防ぐための技術です。

それにとどまらずデータの扱い方、個人のデータ管理、付き合い方すらも変えうるポテンシャルを持つ技術でもあります。

ブロックチェーンを理解するために、まずは基本的な要素について説明します。

ブロックチェーンの基本的な要素

まず、ブロックチェーンの基本的な要素について説明します。

・暗号化技術:暗号化技術は、データの内容を第三者に分からないように保護し通信するための技術です。たとえば、メールや大切な情報を送る際に使われます。この技術により、データの情報が漏れることなく、送信者と受信者の間でのみ情報がやり取りされます。

・P2P通信:P2P通信とは、データを送り合うユーザー同士が、個人間で直接やりとりする方法です。これは、中央のサーバーを介さずにデータがやり取りされるため、より効率的でセキュリティの高い通信が可能です。たとえば、友達同士で直接ファイルを交換するイメージです。

・分散型台帳技術:分散型台帳技術は、データや権限を分散して管理する方法です。一つの場所にデータを集中させるのではなく、複数の場所に分散させることで、データの改ざんや消失を防ぎます。これは、複数のコピーを持つことで安全性を高める、バックアップのようなものです。

・コンセンサス・アルゴリズム:コンセンサス・アルゴリズムは、ブロックチェーンに格納するデータを検証するノードが合意に達するための仕組みやルールのことを指します。みんなで意見を出し合って最終的な決定を行なうために守るべきルールや手順のようなものです。たとえば、新しいデータを追加する際には特定の問題にいち早く正解する必要がある、ブロックチェーンが分かれた時には長い方を正しいとし短い方は破棄する、などのルールがあります。

ブロックチェーンの特徴

ブロックチェーンには、以下のような特徴があります。

・改ざん耐性:データが一度記録されると、後から変更することが非常に困難です。これは、記録されたデータが複数の場所に分散して保存されるためです。

例えるなら、村人全員で共有する巨大な石碑に記録を刻むようなものです。一度刻まれた内容を変更するには、村中の石碑を全て同じように書き換える必要があります。これは非常に困難で、ほぼ不可能な作業です。

・高可用性:システムが一箇所の障害によって停止することがなく、常に利用可能な状態を保ちます。

例えるなら、複数の井戸がある村のようなものです。一つの井戸が枯れても、他の井戸から水を汲むことができるので、村人は常に水を得ることができます。システムも同じように、一部が故障しても他の部分が機能し続けるので、サービスは中断せずに利用可能です。

・ビザンチン障害耐性:システム内の一部が不正な行動をしても、全体の信頼性が保たれる特性です。

これは、村の重要な決定を下す会議のようなものです。会議には10人の長老が参加していますが、そのうち2-3人が嘘をついたり、間違った情報を伝えたりしても、残りの正直な長老たちの意見によって、最終的に正しい決定が下されます。

システムも同様に、一部のノードが不正確な情報を発信しても、大多数の正常なノードによって全体の信頼性が保たれるのです。

ブロックチェーンの種類

ブロックチェーンには、いくつかの種類があります。

1.パブリックチェーン:これは、誰でも参加できるオープンなブロックチェーンです。たとえば、ビットコインやイーサリアムがこのタイプに該当します。
2.プライベートチェーン:特定の組織やグループだけが参加できるブロックチェーンです。これは、企業内部のデータ管理に使用されることが多いです。
3.コンソーシアムチェーン:複数の組織が共同で運営するブロックチェーンです。これは、複数企業が協力してデータを管理する際に利用されます。

ブロックチェーンは、その参加者の範囲や管理方法によって、主に以下の3つの種類に分類されます。それぞれの特徴と用途について詳しく説明します。

1.パブリックチェーン

パブリックチェーンは、誰でも自由に参加し、取引を検証できるオープンなブロックチェーンです。主な特徴は以下の通りです。

1.高い透明性:全ての取引記録が公開されているため、誰でも確認することができます。
2.分散性:中央管理者が存在せず、ネットワーク参加者全員で管理を行ないます。
3.セキュリティ:大規模なネットワークによって、高いセキュリティが確保されます。
4.スケーラビリティの課題:参加者が多いため、取引処理速度に制限があることがあります。

代表的な例として、ビットコインやイーサリアムが挙げられます。これらは主に仮想通貨やスマートコントラクトのプラットフォームとして利用されています。

2.プライベートチェーン

プライベートチェーンは、特定の組織や個人のみが参加できる閉鎖的なブロックチェーンです。主な特徴は以下の通りです。

1.高速な取引処理:参加者が限定されているため、高速な取引処理が可能です。
2.カスタマイズ性:組織のニーズに合わせて、システムをカスタマイズしやすいです。
3.プライバシー保護:取引情報を外部に公開する必要がないため、機密性の高い情報を扱えます。
4.中央集権的な側面:管理者が存在するため、完全な分散システムではありません。

プライベートチェーンは、企業の内部管理システムや、銀行の決済システムなどに利用されています。例えば、JPMorganのQuorumは、金融取引のためのプライベートブロックチェーンプラットフォームです。

3.コンソーシアムチェーン

コンソーシアムチェーンは、複数の組織が共同で運営するブロックチェーンで、パブリックチェーンとプライベートチェーンの中間的な性質を持ちます。主な特徴は以下の通りです。

1.限定的な参加:事前に承認された組織のみが参加できます。
2.部分的な分散性:複数の組織で管理を行なうため、ある程度の分散性が確保されます。
3.効率的な合意形成:参加者が限定されているため、効率的な合意形成が可能です。
4.柔軟性:参加組織間で取り決めたルールに基づいて運営できます。

コンソーシアムチェーンは、複数の企業や組織が協力して情報を共有する必要がある場合に適しています。

例えば、サプライチェーン管理や、金融機関間での情報共有などに利用されています。具体的な例として、R3のCordaプラットフォームがあり、金融機関や企業間の取引に使用されています。

これらの異なるタイプのブロックチェーンは、それぞれの特性を活かして様々な分野で応用されています。使用目的や参加者の範囲、求められるセキュリティレベルなどに応じて、適切なタイプのブロックチェーンが選択されます。

今後も、これらの基本的なタイプをもとに、より専門化された、あるいはハイブリッド型のブロックチェーンが開発される可能性があり、技術の進化とともにその応用範囲がさらに広がることが期待されています。

ブロックチェーンの応用例

ブロックチェーン技術は、さまざまな分野で応用されています。以下にいくつかの具体例を紹介します。

金融業界

ブロックチェーンは、金融業界での取引記録や決済システムに利用されています。

これにより、取引の透明性が向上し、取引コストが削減されます。たとえば、国際送金の際には、従来の銀行システムよりも速く、低コストで送金が可能になります。

さらに、ブロックチェーン技術は以下のような金融サービスにも革新をもたらしています。

1.クロスボーダー決済:Rippleのようなブロックチェーンベースのシステムにより、国際送金の時間とコストが大幅に削減されています。
2.スマートコントラクト:イーサリアムなどのプラットフォームでは、自動執行される契約(スマートコントラクト)が可能となり、金融取引の自動化と効率化が進んでいます。
3.証券取引:ブロックチェーンを利用した証券取引システムにより、決済時間の短縮や取引の透明性向上が実現しています。
4.デジタル通貨:中央銀行デジタル通貨(CBDC)の開発にもブロックチェーン技術が活用されており、より効率的な通貨管理が可能になっています。

サプライチェーン管理

ブロックチェーン技術は、商品の流通経路を追跡するために利用されています。これにより、商品の出所や品質を保証することができます。

たとえば、食品業界では、生産地から消費者に届くまでの全ての過程を記録し、品質の管理を行ないます。

ブロックチェーンを活用したサプライチェーン管理の具体的なメリットとして以下が挙げられます。

1.トレーサビリティの向上:製品の原材料調達から製造、配送、販売までの全過程を追跡できます。
2.偽造品対策:高級ブランド品や医薬品などの真正性を保証し、偽造品の流通を防止します。
3.効率化:サプライチェーン全体の可視化により、無駄を削減し、効率的な在庫管理が可能になります。
4.持続可能性の証明:環境に配慮した生産過程や公正な取引を証明することができます。

ヘルスケア

ヘルスケア分野でもブロックチェーン技術は応用されています。患者の医療記録を安全に管理し、複数の医療機関間でのデータ共有を可能にします。

これにより、患者の医療情報の一貫性とプライバシー保護が確保されます。

ブロックチェーンのヘルスケアへの応用には、以下のような例があります。

1.電子健康記録(EHR):患者の医療データを安全に管理し、必要に応じて異なる医療機関間で共有できます。
2.医薬品のサプライチェーン:医薬品の製造から流通、販売までの過程を追跡し、偽造薬の流通を防止します。
3.臨床試験データ管理:臨床試験のデータをブロックチェーン上で管理することで、データの改ざんを防ぎ、試験の透明性を高めます。
4.医療保険の請求処理:保険金請求のプロセスを自動化し、効率化することができます。

不動産

不動産取引においても、ブロックチェーン技術を用いることで透明性と効率性を担保することができます。

所有権の証明や取引の記録をブロックチェーン上で管理することで、取引の信頼性を高めることができます。これにより、不動産取引の手続きを簡略化し、コストを削減できます。

ブロックチェーンの不動産分野への応用には以下のようなメリットがあります。

1.所有権の明確化:不動産の所有権情報をブロックチェーン上で管理することで、所有権の移転や確認を迅速かつ安全に行なえます。
2.スマートコントラクトによる自動化:スマートコントラクトとは、条件が満たされると人の手を介さず契約が実行される仕組みのこと。賃貸契約や購入契約をスマートコントラクトで自動化し、取引プロセスを効率化できます。
3.不動産投資の民主化:不動産をトークン化することで、少額から不動産投資に参加することが可能になります。
4.デューデリジェンスの効率化:物件の履歴や関連文書をブロックチェーン上で管理することで、物件調査のプロセスを簡素化できます。

エンターテインメント

音楽や映画などのコンテンツの著作権管理にもブロックチェーン技術が利用されています。これにより、クリエイターの権利を保護し、公正な収益分配が可能となります。たとえば、音楽配信プラットフォームでは、再生回数に応じて自動的に著作権料が支払われる仕組みが導入されています。

エンターテインメント業界でのブロックチェーン応用には、以下のような例があります。

1.著作権管理:楽曲や映像コンテンツの使用状況を正確に追跡し、適切な著作権料の分配を可能にします。
2.NFT(非代替性トークン):デジタルアートやコレクションアイテムの所有権を証明し、新たな収益モデルを創出しています。
3.チケット販売:コンサートやイベントのチケット販売をブロックチェーン上で管理し、転売問題やチケット偽造を防止します。
4.ファンエンゲージメント:アーティストと直接つながるプラットフォームを提供し、新たなファンサービスや収益モデルを可能にします。

これらの応用例は、ブロックチェーン技術が様々な産業に革新をもたらし、既存のビジネスモデルや業務プロセスを変革する可能性を示すものといえるでしょう。

ブロックチェーンの課題と展望

ブロックチェーン技術は多くの可能性を秘めていますが、同時にいくつかの課題も存在します。以下に各課題についての詳細な説明をお送りします。

スケーラビリティ

ブロックチェーンのスケーラビリティ(処理能力)はまだ限られています。特に、ビットコインやイーサリアムのようなパブリックチェーンでは、取引の増加に伴い処理速度が低下する問題があります。この課題を解決するために、さまざまな技術的な改良が進められています。

スケーラビリティの問題に対する主な取り組みには以下があります。

1.レイヤー2ソリューション:メインチェーン上での取引を減らし、オフチェーンで処理を行なう技術のこと。例えば、ビットコインのライトニングネットワークやイーサリアムのポリゴンなどがあります。
2.シャーディング:ブロックチェーンを複数の小さなチェーン(シャード)に分割し、並列処理を可能にする技術です。イーサリアム2.0で導入が予定されています。
3.サイドチェーン:メインチェーンと並行して動作する別のブロックチェーンを使用し、処理を分散させる方法です。
4.新しいコンセンサスアルゴリズム:Proof of Stake (PoS)やDelegated Proof of Stake (DPoS)など、より効率的な合意形成メカニズムの開発。

これらの技術により、ブロックチェーンの処理速度と処理能力の向上が期待されています。

規制

各国の規制もブロックチェーンの普及に影響を与えています。

政府や規制当局は、ブロックチェーン技術の利用に対して一定のルールを設けることで、消費者保護や不正行為の防止を図っています。これにより、企業や開発者は法的な対応が求められる場合があります。

規制に関する主な課題と取り組みには以下があります。

1.法的フレームワークの整備:多くの国で、ブロックチェーンや暗号資産に関する法律の整備が進められています。例えば、日本の改正資金決済法や、EUの暗号資産市場規制(MiCA)などがあります。
2.KYC/AML対応:Know Your Customer(顧客確認)とAnti-Money Laundering(マネーロンダリング対策)の要求に対応するため、ブロックチェーンプロジェクトは適切な本人確認プロセスを導入する必要があります。
3.データプライバシー:GDPRなどのデータ保護規制との整合性を確保するため、ブロックチェーン上のデータ管理方法の見直しが必要となっています。
4.クロスボーダー規制:国際的な取引に関する規制の調和が課題となっており、各国の規制当局間での協力が進められています。
5.スマートコントラクトの法的位置づけ:スマートコントラクトの法的拘束力や責任の所在について、法的な整理が進められています。

これらの規制上の課題に対応することで、ブロックチェーン技術の健全な発展と普及が期待されています。

エネルギー消費

特にビットコインのマイニングには大量の電力が必要とされ、環境への影響が懸念されています。この問題を解決するために、よりエネルギー効率の高いコンセンサス・アルゴリズムの開発が進められています。

エネルギー消費問題への対策には以下のようなアプローチがあります。

1.Proof of Stake (PoS)への移行:イーサリアムなど多くのブロックチェーンプロジェクトが、エネルギー効率の高いPoSアルゴリズムへの移行を進めています。
2.再生可能エネルギーの利用:マイニング施設を水力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギー源の近くに設置する取り組みが増えています。
3.カーボンオフセット:一部のブロックチェーンプロジェクトでは、炭素排出権取引や植林活動などを通じて、環境への影響を相殺する試みがなされています。
4.エネルギー効率の高いハードウェアの開発:より省電力なマイニング機器の開発が進められています。
5.グリーンマイニングの推進:環境に配慮したマイニング方法を採用する企業や団体を支援する取り組みが行なわれています。

これらの対策により、ブロックチェーン技術の環境負荷を軽減し、持続可能な発展を目指す動きが広がっています。

これらの課題に対する取り組みが進むことで、ブロックチェーン技術のさらなる普及と、社会への貢献が期待されています。

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