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この記事の内容
ホットリンクでは2024年4月より、業務における生成AIツールの活用を本格化させています。推進体制を整え、さまざまな部署で自動化や工数削減に取り組んでいます。
本格化させた直後の2024年4月と同年7月を比較すると、「週に5日以上」利用する社員の割合は19.5%から35.8%、「週に3~4回」利用する社員の割合が27.1%から35.8%へと上昇しました。また、工数削減に寄与した社内事例(※)も生まれています。
※参考記事:作業時間40%減! SNSコンサルタントと開発メンバーで実現したGPTs「投稿作成bot」とは
着実に普及が進んでいる背景には、どのような意思決定や取り組みがあったのでしょうか。本プロジェクトを牽引する執行役員の大野俊太郎と、アドテクノロジー本部 部長の美川貴彦に、全社AI活用を掲げるホットリンクの「これまで」と「これから」を聞きました。
(インタビュー・執筆・編集:倉内夏海)
株式会社ホットリンク 執行役員 経営企画担当 大野俊太郎
2019年6月、ホットリンクに入社。前職のインターネット広告代理店勤務時より一貫して企業のソーシャルメディアマーケティング支援に従事。コンサルティング本部の部長・本部長を経て、2024年1月より執行役員に就任。
株式会社ホットリンク アドテクノロジー本部 アドテクノロジー部 部長 美川貴彦
2020年5月、ホットリンク入社。アドテクノロジー部の部長として、SNS広告運用業務に従事。2023年からは社内のAI活用プロジェクトを牽引し、部署を横断した業務の効率化に取り組む。
――ホットリンクは、2024年4月より本格的に「全社AI活用」を推進しています。ただ、AIツール自体はそれ以前から導入していますね。
大野:そうですね。2023年4月から、全社員にChatGPTの有料の個人プランを付与しています。
経緯としては、2022年12月頃にChatGPTが登場し、AIの実用化が世の中的な話題となりました。2023年の1月からは、社内にもChatGPTを活用し始めるメンバーが現れて、「いいね」「業務で活用できそう」という声が上がっていました。
その時期の取締役会でも、AIツールに関する話題があがっていました。そして、CEOである桧野さんからの提案で、全社導入が決まりました。あれこれ準備をして、社内向けに発表したのが2023年4月でしたね。
――桧野さんがChatGPTの全社導入を提案した背景には、どのような考えがあったのでしょうか。
大野:「使っていきましょう」というより、「使っていかないと時代に取り残されるのではないか」といった思いからの発言だったと感じています。AIが多くの作業に対応できるようになれば、業務の構造自体が変わるため、投資対象として捉えるべきだという考えがあったのだと思います。
――それから約1年後、2024年春に大野さんから以下のような方針発表がありました。
――「具体的な目標をもって、管理をしながら、組織的に、AIをとにかく使い倒そう」という方針になった経緯を教えてください。
大野:2023年から、「今後の仕事の仕方が変わるかもしれない」とは思っていました。
しかし、全社導入から1年が経ち、業界の構造や仕事の「当たり前」が変わっていく中で、「この変化に遅れをとれば、取り返しのつかない差が生まれる」という確信が生まれました。お客様も当然AIを活用していく中で、「私たちがAIを活用しない」という選択肢はないだろうと。優先度と緊急度が高まっている実感がありました。
改めて、ChatGPTを使った業務効率化や品質の向上を「会社事」として進める必要があると経営層で判断し、その思いを込めて上記の方針を定めました。
美川:そこから、社内の動きも活発になりましたね。
――ちなみに、大野さんと美川さんは、いつからこのプロジェクトに関わっているのでしょうか。
美川:私は2023年4月頃から関わっています。もともと私が所属するアドテクノロジー本部では、広告運用業務で積極的にAIを活用していました。早い段階からツールを調べたり、プロンプトのブラッシュアップや生成AIにコードを書かせて業務アプリのリプレイスなどを行ったりしていたので、その流れで全社的なAI活用を推進するメンバーに選ばれたのだと思います。
大野:私は、美川さんよりも後から関わるようになりました。もともと部署を横断した全社的な取り組みは、私が所属する経営企画室が担当することが多いです。経営課題としてAIの活用が最優先事項の一つとなっているため、経営企画室の立場から、このプロジェクトを推進しています。
――2024年の方針発表と近い時期に、ホットリンクではChatGPTのチームプラン(ChatGPT Team)が導入されました。
美川:ホットリンクが全社導入を行った2023年4月時点では、ChatGPTにチームプランが存在しませんでした。
2024年1月にチームプランが発表され、まずは開発本部に要件をチェックしてもらいました。その後、財務経理部で支払い方法などを検討し、2024年の4月に個人アカウントから切り替えました。
――チームプランへの切り替えには、どんなメリットがあったのでしょうか。
美川:チームプランでは、GPTs(カスタムGPT)やチャット履歴の共有機能がセキュアな状態で行えます。チームに所属するメンバーのみがアクセスできるように設定することで、社内での情報共有がより安全且つスムーズになりました。
また、個人プランでは全員が学習データのオプトアウトを行う必要がありました。必須の作業である反面、その管理が大変でもありました。業務利用を活性化するにはこの点がリスクで、特にお客様からいただいたデータを扱う際の大きな障壁でした。それが、チームプランへの移行により解消できた点は大きいです。
大野:運用面でも大きなメリットがありました。
個人プランでは、各自で利用料を支払い、給与と一緒に振り込む形をとっていました。為替換算などもあり、経理処理が非常に煩雑でした。チームプランで一括精算できるようになったことで、その処理からも解放されました。
――セキュリティと運用、両面でメリットがあったのですね。チームプラン導入時には、ポリシーや利用ガイドラインの改訂もありました。
大野:はい。セキュリティポリシーは、2023年に個人プランを全社導入した時から制定していました。開発本部が中心となり、入力してはいけない情報の種類などを明記したものです。
利用を推進する上で最低限のルールがないと、「どこまで活用していいか」を個人の判断に委ねすぎてしまい、利用しづらさやセキュリティ面で危険が伴うと考えたためです。
その後、チームプラン導入時に、AIセキュリティ管理チームを設立しました。法務や財務のほか、AIに精通しているメンバーが参画しています。
大野:このチームの役割の筆頭にセキュリティポリシーの更新を加えました。チームプラン導入時には、既存のポリシーをアップデートし、利用実態に即した使用方法を明確にするよう求めました。
――利用ガイドラインは、どのようなものですか?
美川:こちらは、より実務に即した内容となっています。「会社支給のChatGPT Teamのアカウントを使用する」「過度な依存を避ける」といったことを明記しています。
大野:セキュリティポリシーも利用ガイドラインも、アップデートしたら必ず社内Slackで全社員に周知しています。詳細はNotionに記載し、いつでもアクセスできるようにしています。
――社内の利用促進の裏側で、安心して利用するための土壌作りも行っていたのですね。
大野:そうですね。やはり、ガンガン活用してもらうためにも、セキュリティ面への配慮は欠かせません。活用するメンバーの立場で考えても、安全性が確保されていないと、実務で使いにくいと思います。
ChatGPTを導入した2023年に、本格的に活用を推進できなかった理由もここにありました。「ガンガン使ってほしい」と社内に発信しておきながら、何か問題が起きたらどうするのか。正直なところ、ホットリンクとしてのスタンスを決めきれていませんでした。
美川:2023年はかなり探り探りで、様子見の期間でもありました。「リスクゼロで行こう」という方針だったんです。「リスクがあるなら使わない」ぐらいの考えでしたね。
大野:そうですね。でも、2024年に入ってから状況がかなり変わりました。企業もセキュリティを担保した上でAIを活用しているという事例が増えてきて、「使っていない方が遅れているのでは」という空気感になったなと。
だからホットリンクも「ガンガン活用していこう」という方針に変えました。「これはやっちゃだめ」「事前確認が必須」という項目を並べるよりも、AIツールの活用を前提に考える。チームプランの導入で一定の安全性は担保されるようになったので、推進していきやすくなりましたね。
美川:NGや確認事項が増えすぎると、「じゃあ使いません」という空気にもなりかねません。出来る限りのリスクヘッジをし、それでもリスクがゼロではないことをしっかり認識した上で、ガンガン活用していこうと私たちからも発信しています。
――なるほど。このように土壌を整えても、AI活用に苦手意識があるメンバーもいると思います。より多くのメンバーに積極的に使ってもらうために、取り組んでいることはありますか?
大野:あります。取り組んだこととしては、二段階あります。まず、今年の4月の時点では、社内向けに利用状況把握のためのアンケートを実施しました。
大野:そのなかで使っていない理由を探り、アンケートの結果を社内にも共有していました。
美川さんと動き出した今年の7月頃からを、第2段階と位置づけています。部署ごとにAI活用に関するSlackチャンネルを作って、気軽に質問や相談、情報共有が行えるようにしました。全社員参加のSlackチャンネルも継続しています。
また、現在も続く取り組みとして、業務フローの棚卸しを全社的に行っています。
実態の把握に留まっていた第一段階とは打って変わって、現在は「より活用してもらうためにどうするか」を考え、実行するに至っています。
――社内アンケートは7月も取っており、10月も実施予定ですね。アンケートの結果から見えてきた「使っていない理由」はどのようなものでしたか?
大野:4月時点では、やはり「使い方がわからない」「使った方がいいんだろうけど、何に使ったら有効なのかイメージできない」という声が多かったです。「使おうと思っても、使いどころがわからない」という課題を解決していく必要がありました。
美川:7月もほとんど同じで、「使いどころがわからず、使いきれていない」という回答が約半数でした。そこがネックになっている印象だったので、活用事例を共有したり、部署ごとに会話がしやすいようなSlackチャンネルを設けました。
メンバーレベルでの利活用促進については、すでに使えている人と全然使っていない人に二分化しているので、使えている人たちに実際の使い方をどんどん共有してもらいました。
ChatGPTの利用事例をたくさん出していって、まだ使えていない人にも「こういう時に使えばいいんだ」とインプットしてもらい、そもそも「業務でAIツールを使おう」という発想を持ってもらうことが狙いでした。そのための草の根活動もずっとやっていました。
――草の根活動とは?
美川:例えば、私が所属するアドテク部のリーダー陣に「こういうことができるんだよ」と伝えたり、実際にプログラムを作って見せたりしました。
その結果、非エンジニアでプログラミング経験のないメンバーもデータが扱えるようになりました。また、リーダーから各メンバーへ「これはChatGPTに聞いてみよう」と促してくれる機会も増え、ツールの利用者が増えていきました。
※参考記事:業務のAI化を促進し、非エンジニアでもデータを扱える体制に。
――AIツールという新しい文化を社内に浸透させるために、大事なことは何でしょうか。
美川:くり返し伝えることが一番大切だと思います。一度だけ「やってみてね」と伝えても、なかなか動いてもらえません。
また、情報を見ているだけだと「へー」「こういうことができるんだ」で終わってしまうので、Zoomで画面共有をしながらChatGPTを開いてもらい、その場ですぐに試してもらうなど「使わざるを得ない場面」も意図的に増やしていました。
そこから使っていく人は増えた気がしますし、使う気持ちになった人も増えたように感じています。
大野:私の場合は、デモンストレーションができるレベルではなかったので、あまりそういったことはできていませんでしたが、「AIという単語をたくさん使う」ことは意識的にやっていました。
ホットリンクには100人を超える社員がいて、新しいツールを浸透させるのは難しい課題です。でも、100人以上のメンバーに一斉に発信するのではなく、私から本部長に指示を出し、部長からリーダー、メンバーへとAIの重要性を伝えてもらうようにしています。
本部長に伝える際や、全社員が参加する全社会の場でAIに関する話を増やすことで、少しずつでも「自分事化」が進んでいくと思っています。
また、AI活用に関するSlackチャンネルの名前を変更したことも重要でした。最初は「ChatGPT研究所」から始まり、「AIビジネス研究所」を経て、現在の「ai活用強化チャンネル」になりました。
大野:この名前にしたことで、「ChatGPTやAIのビジネス活用に関心がある一部の人たちのためのチャンネル」ではなく、「全メンバーに関係があり、発信してOKなチャンネル」という印象を与えられたらと思いました。
――すでにいろいろな動きがありますが、これからどんな取り組みを行っていきたいですか?
大野:私たちが目指すのは、「AIを使った業務推進が当たり前になっている世界」です。その実現に向けて必要な取り組みは、これからも続けていきます。
今やっていることは意識改革的な面が強いですが、将来的には意識する・しないに関係なく、「AIを使っているのが当たり前」の状況にしたいと考えています。それをいかに実現していくかが、私や美川さんのミッションですね。
美川:現在、全部署で業務の棚卸しを行い、業務フローの言語化・明確化を進めています。明確になったフローにAIを組み込んでいくことで、その流れに従うだけでAIが使える状態にしたいですね。
現在は既存の業務フローにAIを組み込むことに留まっていますが、Dify(ディファイ)などのサービスも活用して、AIドリブンで業務フローを組み立て直すこともやっていきます。
大野:業務フローの見直しは、私たちだけではスピード感をもって実行できません。各部署・各メンバーとの連携や共有も必須で、ますます全メンバーに「自分事化」してもらう必要があります。
そこで、2024年9月よりAI活用を評価制度に組み込んでいます。これは「AIを活用してみよう」ではなく「AI活用が必須」と思ってもらうための重要な施策と位置づけています。
――評価制度を変えるのは大きな決断だったと思います。どのようなプロセスで決まったのでしょうか?
大野:ざっくりとした説明になりますが、桧野さんを中心とした経営層で決定し、人事が評価項目に落とし込みました。
既存の評価制度に組み込むには難しい部分もありましたが、元々あった「業務効率化」という項目を「AIを活用した業務効率化」に書き換えるなど、既存のフローや仕組みに合致するように整理しました。
これは未来に向けた施策の中でも、現状で一番大きな取り組みです。評価軸として機能するのか、どのような結果になるのか予想できない部分もありますが、実現したい未来に向けてきちんと活用していきます。
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