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この記事の内容
最終更新日:2024年9月27日
2024年4月より、ホットリンクでは社内業務における生成AIツールの活用を本格化させています。AI活用推進のための体制も整え、さまざまな部署で業務の自動化や工数削減などに取り組んでいます。
今回は、SNS運用代行業務での投稿テキスト作成の効率化を目的に作られた「投稿作成bot」をご紹介します。
「投稿作成bot」とは、特定のX(旧Twitter)アカウントの投稿内容などを読み込ませたGPTs(カスタムGPT)です。商品名などの固有名詞を入れるだけで、そのアカウントの特徴を踏まえたX投稿用のテキストを複数アウトプットします。
運用代行業務を担うアカウントコンサルティング2部 リーダーの北山裕貴は、「投稿作成botによって作業時間が約4割削減できた」と話します。作成に着手した当時の課題や作成の過程、実際に活用した手応えなどを聞きました。
(インタビュー・執筆・編集:倉内夏海)
株式会社ホットリンク ソーシャルメディアコンサルティング本部 アカウントコンサルティング2部 リーダー 北山 裕貴
2021年、ホットリンクに新卒入社。SNSコンサルタントとして、大手電気メーカーや外食チェーンのクライアントを担当。自社のマーケティング業務にも携わり、SEOやコンバージョン改善なども行う。2024年5月には、マーケティングメディア「日経クロストレンド」にて「【1週間で分かるマーケ講座】「X」マーケ活用の新常識」を担当。
――まず、「投稿作成bot」作成のきっかけを教えてください。
北山:全社的にAI活用を進めていくにあたり、私が所属するソーシャルメディアコンサルティング本部ではAIを活用した工数削減にフォーカスしました。
そこで、本部内で「どの業務に時間をかけているのか」というアンケートを取ったところ、投稿の分析やデータ整形などの様々な業務がある中で、投稿する内容のアイディア出しや投稿テキストの作成に一番時間がかかっていることが分かりました。そして、投稿作成に関する工数を削減できれば、一番インパクトが大きいだろうと考えました。
加えて、AIを活用したテキスト生成は、高いクオリティのアウトプットが可能なのではないかという見込みもありました。インパクトの大きさと実現可能性の高さが重なって、投稿作成でのAI活用を推進することにしました。
――なるほど。実際、人力で投稿作成を行う場合、どのようなプロセスを踏むのでしょうか?
北山:最初に「どんな投稿を作るのか」というアイディアを考えます。どの商品で、どんな切り口で、どんな人に向けて投稿を作るのかを設計するフェーズです。
そこから具体的に、過去の成功パターンや、逆にうまくいかなかったものなどの事例を集めます。そして、「過去にこういう結果が出ているから、今回はここを検証ポイントにして、テキストをこんな風に作っていきましょう」という投稿の意図を決めて、実際のテキストを作っていきます。投稿を一つ考えるのに、大体15分から20分くらいかかります。
その後、投稿で使用する画像を選んだり、場合によっては画像や動画を作ったりしますが、「投稿作成bot」は投稿テキストを作るところに特化しています。
――なるほど。複数の投稿を定期的に作成するとなると、かなりの工数がかかりそうですね。「投稿作成bot」の開発はいつ頃から始まったのでしょうか?
北山:2024年の春からです。スタートは、R&D部門と事業サイドの連携を強化しようというところからでした。生成AIの活用を前提としていたわけではなく、幅広い選択肢の中から絞っていって、最終的に「投稿作成bot」の作成にたどり着きました。
――「投稿作成bot」の開発プロセスについて、詳しく教えてください。何から始めたのでしょうか。
北山:最初のステップとして、そもそも「投稿作成botで何を成し遂げたいのか」を決めました。具体的には、サービス評価とプロジェクト評価という2つの観点から、「ここまで達成できたらこのプロジェクトは成功だよね」と判断できるように基準を設定しました。
――どのように決めていきましたか?
北山:サービス評価とは、生成されたテキストの質に関する評価です。SからCまでの4段階を設定しました。最初に、「ここまでできたら最高だよね」という理想的な状態を言語化し、それをSとしました。Sを起点に、Sより一つ下の段階をのA、Aより一つ低い段階をB…と、決めていきました。
【サービス評価の基準】 ・S:画像・テキストともに修正・加筆なしで提出できるレベル ・A:テキストは提出できるレベル ・B:3割程度の加筆で提出できるレベル ・C:素案としては活用でき、大幅に修正する必要あり
北山:その上で、「コンサル部ではここまでAIでできると嬉しいのですが、実現可能ですか?」という相談を、R&D部にしました。投稿テキストに合わせて画像を選んだり生成したりするところまでは難しいという判断があり、最大でもAランクまでを目指すことにしました。
テキストに関しては、「加筆なしでそのまま出せるのが理想」と定義し、そこから順にB・Cランクを決めていきました。
――なるほど。プロジェクト評価についても教えてください。
北山:はい。プロジェクト評価は、いかに「作業時間を削減できたか」という観点での評価です。以下のように設定しました。
【プロジェクト評価の基準】 ・A:複数のアカウントに導入され「工数削減」・「成果向上」につながる ・B:複数のアカウントに導入され「工数削減」につながる ・C:1つのアカウントに導入され「工数削減」につながる
――評価基準を設定したら、いよいよ開発ですね。北山さんからの依頼でR&D部が構築していったのでしょうか?
北山:いえ、基本的にソーシャルメディアコンサルティング本部が手を動かしました。私と本部長の山本さんで毎週30分ほど時間を取って、GPTsの構築作業を行いました。
作業内容としては、対象となるアカウントの情報をChatGPTに読み込ませたり、プロンプトを磨き込んだり、アウトプットのチェックをしたりしました。読み込ませる情報は全て一般的な公開情報のみとしていますが、さらに情報漏洩に配慮して、オプトアウトも設定をしました。
一定のデータを読み込ませたら実際に投稿作成を行い、出てきたアウトプットを評価して、また改善するという流れを繰り返しました。評価は「投稿目的への適応度」「日本語としての違和感のなさ」「商品情報の正しさ」といった観点で採点し、エクセルで一覧できるようにまとめました。
――投稿作成botの構築、開発本部が主導していたのかと思っていました。
北山:私たちで進められた理由は、botの作成にGPTs(カスタムGPT)を利用したためです。やりたいことを会話形式でChatGPTに伝えていくため、専門的な知識がなくてもbotの作成を実行できました。
技術的なところで分からないことがあったり、よりスムーズに進めたい工程があったりした時は、R&D部の力を借りました。「学習データの読み込みには、どのファイル形式が最適か」など、具体的なアドバイスをいただきました。
――開発時、苦労した点や工夫した点はありますか?
北山:AIにとってわかりやすく指示を伝えることに気を付けました。例えば、言葉の定義や表記を統一することが重要でした。エンゲージメントをある箇所では「Eng」と略し、別の箇所では「エンゲージメント」とカタカナで書くといった揺らぎがあると、AIが正しく読み込んでくれないことがあったんです。
また、指示の出し方も工夫しました。同じ内容の指示を送る場合でも、一文で長い文章で送るのではなく、短く簡潔に区切って伝えることが効果的でした。「これをしてください。次はこれをして、これを参照してこれをしてください」というように、シンプルに伝える方がアウトプットの精度が高くなりました。
最初は思うようなアウトプットが出ず、「実現は無理かもしれない」と思った時期もありました。しかし、ChatGPTに与える情報の粒度を細かくしたり、読み込ませる事例の量を増やしたりすることで、ある時点から一気にアウトプットのクオリティが上がりました。毎週のミーティングを4、5回ほど重ねた頃でしたね。
その瞬間、「このまま情報の粒度を上げたり事例を増やしていけば、かなり良いものができるんじゃないか」という手応えを感じたんです。
――そんな瞬間があったんですね…!
北山:はい。地道な設計や調整、入力作業が必要でしたが、その努力が報われた瞬間だったと思います。
――開発中に、他のメンバーにもbotをテスト利用してもらったと聞いています。
北山:私と同じブランドを担当しているメンバーにお願いしました。その時点では「そのまま提出できるレベル」ではありませんでしたが、「草案として活用できるレベル」という評価をもらいました。そこで得たフィードバックも、botに反映していきました。
――2024年7月で、一旦「投稿作成bot」は完成したと聞いています。北山さん自身も活用されていますか?
北山:はい、頻繁に利用しています。利用前と比較すると、作業時間が約40%削減できています。クオリティの面でも、自分が1から作ったものと「投稿作成bot」で作ったもので、極端な差はないと感じています。
ただ、企画や文面に凝りたい投稿や、「こういう内容を試してみたい」といった検証を行う場合には、自分で1から作っています。
――当初設定した評価に照らし合わせると…?
北山:サービス評価では「B:3割程度の加筆で提出できるレベル」、プロジェクト評価では「C:1つのアカウントに導入され工数削減につながる」と判断しました。
――では、今後の展望としては、「いずれの評価でもAを目指す」でしょうか?
北山:いえ、現状では、このbotの性能をさらに上げることよりも、他のアカウントへの横展開を進めています。様々なアカウントで「作業時間の40%削減」が実現できれば、かなりインパクトがあるためです。
「投稿作成bot」の横展開はすでに進めています。そのなかで、投稿内容をパターン化できるアカウント・できないアカウントがあり、前者は投稿作成botの活用が相性良いことがわかってきました。
商品数が多いブランドでも、過去の成功パターンの蓄積が一定数あれば、それを転用できます。商品の特徴と過去の成功パターンと組み合わせることで、投稿を作成できます。
反対に、毎月のように特徴の異なる商品が発売されたり、新規のキャンペーンを実施していたりする場合は、botの活用に向きません。実際にテストしたところ、変数となる要素が多いアカウントや、個別具体性が高いアカウントでは適用が難しいと感じました。
――横展開は、どのように進めていますか?
北山:最初に作ったGPTsの指示文をテンプレート化し、各アカウントの情報を与えれば、ある程度のアウトプットが出せるようにしました。
さらに、R&D部に協力してもらい、Notionを使って情報を一元管理するデータベースを作成しました。これにより、アカウント名を入力するだけで、そのアカウント用のGPTsが作られ、商品名や投稿目的などの情報を入れるだけで投稿用テキストのアウトプットができるようになりました。
――「横展開しやすい仕組み」もすでに構築されているのですね。
北山:はい。まずは私が担当しているアカウントや、相性の良いアカウントから実践しています。すでにできていることでの省力化はもちろん、ユーザーにより好まれるアウトプットになるよう、引き続き取り組んでいきます。
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