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Web3とは?基礎知識・事例・歴史を徹底解説

2024年07月02日
AI・WEB3

Web3とは

 Web3とは、インターネット上でのデータの所有や信頼、決済処理などが、特定の企業だけでなく利用者にも分散されている新しいインターネットの形態とその基盤技術のことです。

 Web3の中心となる考え方は、ブロックチェーン技術を使って、よりユーザー中心で透明性の高いインターネットを実現することです。重要な原則は、以下の3つになります。

  • データの分散化:データを特定の企業のサーバーではなく、ネットワーク上の多くのコンピューターに分散して保存することで、セキュリティと透明性を高めます。
  • ユーザーによるデータの所有権とコントロール:ユーザーが自分のデータを管理でき、仲介者なしでインターネットとやり取りできるようにします。
  • トークンを使った新しい経済システム:デジタルの通貨やトークンを使って、新しいビジネスモデルを生み出し、ユーザーの参加を促進します。

 特定の企業や個人だけでなく、利用者みんなで意思決定ができる分散型のシステムを構築できることがWeb3最大の特徴といえます。

 例えるなら、インターネットは大きな図書館のようなものです。これまでのインターネットでは図書館が図書や利用者の個人情報を管理し、それに基づいて図書の貸し出しを管理していました。そのため、利用者の意思とは関係なく図書の貸し出しが停止したり、図書館の利用規約が変わったりして、利用者にとって不便な状況が発生していました。

 しかしWeb3の図書館では、利用者一人一人が自分の個人情報を管理できるようになり、勝手にユーザー情報が書き換えられたり、何かしらの理由で個人情報が漏れたりするような事態を防ぐことができます。また、自身の意思で図書館の運営に主体的に関わり、その貢献度に応じて報酬を受けとることも可能です。

 Web3では、ブロックチェーンという技術が重要な役割を果たします。ブロックチェーンは、一定期間の取引情報をまとめて、時系列に並べてデータを保管する仕組みです。これにより、データの改ざんが難しくなり、セキュリティと透明性が向上するのです。

このようにWeb3は、これからのインターネットの在り方を大きく変える可能性を持っています。

Web3の歴史

 Web3の歴史を理解するためには、まずインターネットの歴史を振り返る必要があります。Web1.0は「静的ウェブ」と呼ばれ、情報提供を主な目的とした静的なウェブページが中心でした。ユーザーはコンテンツを読むことはできましたが、インタラクションやコンテンツ作成の機会はほとんどありませんでした。

 2000年代半ばになると、Web2.0の登場によりインターネットは大きく変化しました。FacebookやYouTubeなどのプラットフォームが登場し、ユーザーが自由にコンテンツを作成・共有できるようになりました。これにより、インターネットはより民主的になりましたが、同時にデータの中央集権化という問題も生まれました。

 例えるなら、Web2.0までの世界は「大きなショッピングモール」です。このモールでは、たくさんのお店(プラットフォーム)があり、お客さん(ユーザー)は自由に店内を歩き回って買い物を楽しむことができます。しかし、モールの管理者(大企業)は、お客さんの行動データを収集し、広告に利用して利益を上げているのです。

 お客さんは、自分のデータがどのように使われているのかよくわからないまま、モールを利用し続けています。これが、Web2.0の抱える中央集権化の問題だと言えるでしょう。

 Web3は、こうした問題を解決するために生まれました。Web3の世界では、お客さん一人一人がデータを所有し、自分の意思で管理することができます。つまり、大企業に依存しない、より自由で民主的なインターネットの実現を目指しているのです。

 Web3は、まだ発展途上の技術ですが、私たちがインターネットとどう向き合うべきかを問いかける、重要な概念だと言えるでしょう。データの所有権や利用方法について、私たち一人一人が考えを深めていく必要がありそうです。

Web3は「アンチテーゼ」から始まった

 Web3は、中央集権的なインターネットや資本主義の在り方に対する新しい発想として誕生しました。Web3の歴史は以下のように分類できます。

黎明期

 2008年、金融危機の影響が残る中、「サトシ・ナカモト」と名乗る人物がビットコインに関するホワイトペーパーを公開しました。ビットコインは、ブロックチェーンと呼ばれる技術を使った電子マネーで、誰でも利用できる分散型システムです。インターネットに関わる多くの人がこのホワイトペーパーに感銘を受け、ブロックチェーンの技術に大きな可能性を感じ、この分野に取り組み始めました。

ICOブーム

 ICO(Initial Coin Offering)とは、プロジェクトがトークン(仮想通貨)を発行し、投資家に販売して資金を集める方法です。株式公開と似ていますが、主幹事証券会社を介さずに国境を越えて資金調達できるため、多くのプロジェクトが生まれました。有名なのはイーサリアム、NEM、Filecoinなどです。

 イーサリアムは2014年にホワイトペーパーを公開し、スマートコントラクト(ブロックチェーン上で自動的に契約が実行される仕組み)を提唱しました。同年にICOを行ない約1,800万ドルを調達しました。しかし、この時期にICOを通じて資金調達を行なったプロジェクトの多くは計画倒れに終わり、さらに詐欺的なプロジェクトも多数あったため、各国で規制の対象となりました。

DeFiサマー

 2020年夏、DeFi(Decentralized Finance=分散型金融)が注目を集めました。DeFiは金融の民主化と包括的なサービス提供を目指し、誕生しました。

 DeFiではブロックチェーン技術を使い、銀行など中央機関を介さずに、暗号資産の貸借や運用ができます。従来は保有や売買が中心でしたが、DeFiにより新たな収益源が生まれたことで、多くの人が参入しました。

NFTサマー

 2021年夏は「NFTサマー」と呼ばれ、NFT(Non-Fungible Token=非代替トークン)が大ブームとなりました。NFTはデジタルアートやゲームアイテムなどの所有権をブロックチェーン上に記録できます。発行や取引の手間が少ないことから、アーティストらに広く受け入れられました。とりわけ、既存のプラットフォームの高い手数料に不満を持つクリエイターにとってメリットがありました。

 NFTの人気に火をつけたのは、デジタルアートの「Everydays: The First 5000 Days」が6,930万ドルで販売されたことです。これを機に取引が活発化し、CryptoPunksやBored Ape Yacht Clubなどのプロジェクトが大量の資金を集めました。

 NFTの影響はゲーム分野にも及びました。「Axie Infinity」は、NFTのキャラクター「アクシー」を育成・取引するゲームです。東南アジアで、このゲームのプレイによる収入で生活が改善された人々の話が広まり、注目を集めました。

 投機的な側面を危惧する意見も、一部でありました。しかし、もともとブロックチェーンにはunbanked(アンバンクト)と呼ばれる銀行口座を持つことができない層に恩恵をもたらすことが期待されていたため、ゲームによる収益獲得については業界内から好意的な意見も出ています。

Googleトレンドに見るWeb3の盛り上がり

Web3がいつ注目されたのか

 GoogleトレンドではWeb3関連の検索キーワードの人気の移り変わりがわかります。日本では「ブロックチェーン」に一定の人気がある一方、「NFT」は2021年に急激に検索が増えています。これは2021年にNFT、特にデジタルアートのNFTが大きな話題となった時期と重なっています。

 世界全体でも同様の傾向が見られ、さらに「Crypto(暗号資産)」の検索も2021年5月にピークを迎えています。この頃、暗号資産への関心を高める出来事が重なりました。

 1つ目は、中国政府が企業による暗号資産の支払いを禁止したことです。2つ目は、もともと冗談半分で作られた「Dogecoin」の価格が急騰したことです。3つ目は、ビットコインの価格が最高値に達した後、短期間で30%も暴落したことです。イーサリアムの価格も連動して大きく下落しました。

 こうした一連の出来事により、暗号資産や関連領域への注目が一気に高まったと考えられます。NFTなどWeb3の概念への関心も同時期に高まっていったようです。



大企業におけるWeb3活用事例

 ブロックチェーンの実際の活用事例について、3つの企業を例に挙げて説明します。

1)ウォルマート
 米大手スーパーマーケット、ウォルマートがアボカドのサプライチェーンを透明化し、事業者も消費者も食品の出自を簡単に確認できるシステムを導入しました。その基盤に使われていたのがブロックチェーンです。

 この取り組みは、食の安全を確保し、リコールや廃棄による財務損失を最小限に抑えるために重要な、農産物の出所と流通過程を追跡する上での重大な課題への解決策として実現されました。

 ウォルマートはIBMと提携し、Hyperledger Fabricフレームワーク上に構築されたIBM Food Trustというブロックチェーンプラットフォームを採用しました。このプラットフォームは、農場から店舗まで農産物がたどるプロセスを自動で記録するデジタル台帳とシステムを開発しました。

 このプロセスは、農家、パッキング担当者、運送業者、ディストリビューター、リテーラーなど、サプライチェーンの各参加者が、自分の担当するプロセスについてのデータを入力することから始まります。このデータには、農産物の出所、取り扱い、保管条件、輸送などの詳細が含まれます。このデータはブロックチェーンに保存され、後から変更できない記録が作成されます。

 このシステムの導入により、ウォルマートはアボカドの出所と流通過程を数秒で追跡できるようになり、食の安全問題に迅速に対処できるようになりました。また、サプライチェーンのすべての認可された関係者は同じデータにアクセスできるため、透明性が確保され、不正や管理ミスが減少し、企業側のコスト削減にも寄与しました。

2)資生堂
 資生堂は、子会社が立ち上げたラグジュアリー化粧品ブランド「ザ・ギンザ(THE GINZA)」向けに、IoT連携ブロックチェーンツール「YUBIKIRI」を導入しました。

 YUBIKIRIは、マーケティングとサプライチェーン管理(SCM)を結びつける世界初の技術であり、各製品のライフサイクルをリアルタイムで追跡し、透明性を大幅に向上させます。

 資生堂は、IoTセンサーを活用してサプライチェーンの各段階でデータを収集し、ブロックチェーン上に保存します。これにより、製品が消費者の手に渡るまでの全プロセスが可視化され、サプライチェーン全体の効率が向上します。

 また、消費者は製品の真偽を確認することができ、信頼性が高まります。ブロックチェーン技術の導入により、企業はより透明で効率的なサプライチェーンを実現し、顧客満足度を向上させることができます。また、改竄が不可能に近いため、保存されたデータの真正性も保証されています。

 このツールの導入により、資生堂は製品の信頼性と安全性を確保し、消費者の信頼を高めることを目指しています。YUBIKIRIは、製品がどのように製造され、どのように流通し、どのように販売されるかを詳細に記録します。これにより、企業は製品の品質管理を強化し、不正防止やリコール対応を迅速に行なうことが可能となりました。

3)スターバックス
 スターバックスは、従来のロイヤリティプログラム「Starbucks® Rewards」を進化させ、2022年にPolygonブロックチェーンを活用した「Starbucks Odyssey Beta program(以下Odyssey)」を導入しました。

 Odysseyは、商品購入ごとにNFTとしてデジタルスタンプを発行し、顧客と従業員が収集する仕組みです。これにより、ポイントの売買が可能となり、消費者に新たな体験価値を提供していました。

 Odyssey内の専用マーケットプレイスではデジタルスタンプの取引が可能で、初回配布されたNFTが2,000ドルで取引された例もあります。このシステムにより、これまでのポイントプログラムでは不可能だったデジタルアイテムの売買が実現しました。

 また、デルタ航空との提携により、スターバックスのリワード会員がデルタのスカイマイル会員とアカウントを連携することで、さらなる特典を享受できます。例えば、スターバックスでの購入1ドルにつき1マイルを獲得でき、デルタ航空の利用日には二重のリワードポイントを獲得可能です。

 このプログラムは2024年3月31日をもってサービス停止が決定されていますが、スターバックスは今後もWeb3の活用を模索し続ける姿勢を示しています。

Web3で変わる、企業とユーザーの関係性

 企業がWeb3に取り組む方法は、様々なものが考えられます。NFTによるデジタルアート販売、独自ブロックチェーン構築、暗号資産決済導入など、選択肢は多岐にわたります。その中でも比較的取り組みやすい施策が、顧客エンゲージメントへのWeb3活用といえるでしょう。

 顧客エンゲージメントとは、企業が顧客との関係性を深めることです。Web3ではその手法が従来と変わってきます。

 Web1.0時代、企業は一方的に情報を発信し、商品販売を促すのみでした。ユーザーから意見を聞くこともほとんどありませんでした。Web2.0になり、SNSなどを通じて企業とユーザーが双方向でやり取りできるようになりました。ユーザーは企業のコミュニティに参加し、商品開発に間接的に関われるようになりました。しかし、最終的な意思決定は企業側にあり、ユーザーはあくまで意見を言うだけの存在でした。さらに、ユーザーの貢献から生まれた利益は企業に独占されていました。

 Web3ではこの関係性が変わります。ユーザーに対して経済的インセンティブ(報酬)を与えることで、よりユーザーを巻き込めるようになるのです。

 具体的には、トークン(仮想通貨)やNFT(デジタル所有権)をインセンティブとして付与します。これまでは熱心なファンしかコミュニティに参加しませんでしたが、報酬があればより多くのユーザーが関与するようになります。

 さらにWeb3には「コミュニティ主導」の考え方があります。企業側がユーザーの意見を実行し、成功も失敗も共有するのです。つまり、従来の企業主導から、協調した意思決定へと関係性が変化するということです。

 NFTやトークンを単にマーケティングに使う場合は従来と変わりませんが、Web3の本質的な考え方を事業に取り込むなら、企業のあり方自体を見直す必要があります。

 ユーザーへのインセンティブ付与やコミュニティ主導により、より密接な関係性を構築できます。同時に、ユーザーの貢献から得られた利益をユーザーに還元することで、Win-Winの関係が生まれます。このようにWeb3は、企業と顧客の新たなエンゲージメント形態をもたらします。

企業におけるWeb3活用についてさらに学び、考えませんか

 これまでWeb3について、さまざまな情報をお伝えしてきました。しかし、この新しい技術を自社に取り入れるには、まだまだ学ぶことが多いはずです。

 特に、Web3は新しい分野ですから、情報の多くが英語で書かれています。日本語の情報だけでは、十分な知識を得られないかもしれません。それらの情報がリサーチや、業界に対する知識ある人物により精査されているとも限りません。

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