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AI活用で、質・量・速度を満たす情報発信を。ホットリンク・マーケティング本部

2024年05月20日
AI・WEB3

最終更新日:2024年6月20日

ホットリンクでは、全社的にAI活用を促進しています。自社のBtoBマーケティングに取り組むマーケティング本部でも、インタビュー記事の作成やナレッジの蓄積、自社メディアの文体の抽出、既存コンテンツをメルマガに変換するなど多様な使い方で業務効率化を実現しています。

具体的なAI活用法について、ホットリンク・マーケティング部長のナルカミヨシアキ、広報でインハウスエディターのピーター澤山モッツァレラ(CNS本部兼務)がそれぞれの活用術をご紹介いたします。(編集・文 澤山モッツァレラ)

骨太な記事と制作スピードの両立を(ナルカミ)

――ホットリンクのBtoBマーケティングにおける、情報発信の重要性についてお聞かせください。

ナルカミ:BtoBマーケティングを推進していく上で、SEOのコンテンツや認知目的のコンテンツを出していく、情報発信していくということはここ数年間ずっと取り組んできたことです。今後も、その重要性はますます高まっていくと考えています。

 その中で「骨太な記事を作りたい」というのは、過去から変わらずに大切にしていることです。ただ、コンテンツ制作に関わる人数が少ない中で、いかにクオリティの高い記事を生産性高く作っていくかは大きな課題でした。編集チームの人数が少ないことに加え、書籍の執筆や外部メディアへの寄稿など兼務する業務と並行する必要があり、人手が足りない状況にありました。

 また、骨太な記事を書こうとしたとき、一番濃いノウハウを持っているのはクライアントを直接支援している現場のメンバーです。彼らの知見を取り入れたいのですが、現場のメンバーに直接記事を書いてもらうのは業務負荷を考えるとかなり厳しい。

 そこでインタビュー形式を採用し、そこにAIを活用することで「生産性高く質の高い記事を作れるのでは」と考え、澤山さんとも協力して制作フローにAI活用を取り入れています。

――具体的な制作フローについて教えてください。

ナルカミ:まず現場メンバーにインタビューを行ない、それを書き起こしてChatGPTやClaude3などのツールで自然な日本語に調整、最終的に人間が編集するという形で進めています。これにより、本当に爆速で記事を作成できるようになりました。まさに「AIの力によって生産性が上がった」事例だと言えます。

 また、弊社のカスタムGPTsを作り、過去のインタビューやセミナーの内容などのノウハウを集約させることも行なっています。これによって、「あの情報はどこにあったっけ」といった状況を解消し、必要な情報を素早く引き出せる環境を整備していきたいと考えています。

Claude3の登場が大きな転機に(澤山)

澤山:私は編集者であり、CNS本部・マーケ本部に兼務で所属して横断的なコンテンツマーケティングに取り組みつつ、社内のAI活用推進を担当しています。

 2023年初頭、初めてChatGPTに触れたときは衝撃を受けました。「人と同じような反応が返ってくる」「雑に投げたメモを、マークダウン記法で整えてくれる」「優秀なアシスタントを廉価で得た気分だ」みたいな。生成AI活用推進は会社の方向性とも合致していたため、さまざまなAIツールについて費用補助をいただいて試せることになりました。

 ただ、なかなか理想通りの展開とはいかず。ChatGPTにしても当初の期待値は大きかったものの、いわゆるZero-Shot、Few-shot(それぞれプロンプトの種類)で業務に使えるほどではなく、プロンプトにはコツが必要でした。

 2023年における生成AIツールは期待させては期待値以下、「帯に短し襷(たすき)に長し」といった感想で終わることが多く、自社の業務を飛躍的に伸ばす結果には至りませんでした。ところが、2024年にClaude3が登場したことで状況は一変しました。

――どのぐらいの変化があったのでしょうか?

澤山:大きな変化は、「アバウトな指示でもかなりの完成度が出る」ことです。テキストの出力に関して、(あくまで2024年1月時点での)ChatGPTを60点とするとClaude3は70点ほどの精度が出ました。「大幅な手直しが必要」だったものが、「少し手直しすれば出せる」レベルになったのです。

 さらに2023年にさまざまなAIツールで試行錯誤したこともあり、私自身のAIへの指示出しもこなれてきました。Zero-Shot、Few-shotのような雑駁な指示ではSNSマーケティングにおける専門性の高い出力は難しいため、文字起こしツールで起こした記事をAIライティングツールで読み込ませ、明確な構成案を与えるなどして、AIに出力内容を理解させるよう努めたのです。結果、相当な精度の初稿が可能になりました。

 そこでClaude3はいける。マーケティングチームのワークフローに組み入れるべき」と判断し、部内に展開して活用を推進しました。マーケティング本部長である鹿倉さんの理解もあり、現在ではオウンドメディアを担当するメンバー全員がClaude3を活用しています。

 今後はClaude3活用の練度を高めつつ、さまざまなAIツールを引き続き紹介して社内でのAI活用を推進したいと思っています。

異なる媒体での活用/メルマガ原稿を1日で30本(ピーター・澤山)

――ここからは具体的な活用事例について伺います。ピーターさんは、どんな活用事例がありますか?

ピーター:私が主に使っているのは、文字起こしのブラッシュアップですね。Nottaで粗く文字起こしを出力し、それをClaude3にかけてブラッシュアップしてもらったものを編集して記事化するということを行なっています。

 また、私も運営に携わっている女性向けメディア「fasme」用の記事を作るときにはChatGPTも活用しています。fasmeはホットリンクのオウンドメディアとは文体が異なり、ポップな口調も多いメディアです。♡や♪なども使ってOKな媒体なので、媒体に合った文体に修正するよう指示を出しています。

 まずはChatGPTにfasmeの既存記事を10本程度読み込ませ、その特徴を10個ほど出力するようにリクエスト。そこで出力された記号の使い方や文末の特徴などをもとに、Claude3で、原稿を「fasmeの記事らしい口調でアウトプットしてください」と依頼しています。

 特徴を洗い出してもらったことで、自分で推敲したり新しく書いたりする際にも、「fasmeならこのような文体だ」と参考にできるようになりました。普段とは異なるテイストの記事を書く必要がある場合、こういう形でChatGPTを活用し、特徴の分析から出力までアシストしてもらうのはおすすめの使い方です。

――澤山さんは、どんな活用事例がありますか?

澤山:いくつかあります。まずメールマガジン用にコンテンツを大量にリライトしたことです。

 まだ全記事は出ていませんが、メールマガジンの原稿を1日で30本リライトしてインサイドセールスチームにお渡ししました。すべてClaude3を使い、弊社のオウンドメディア過去記事やセミナーの文字起こしなど、さまざまなコンテンツ資源をリサイクルする形で出力しています。

 SNSマーケティングに関して必要な情報は、無限には存在しません。トレンドの移り変わりはあるものの、何年経っても変わらず重要な情報もあります。弊社が提唱するULSSASや三枚おろしといったフレームワークもその一つでしょう。そうした記事群が弊社のWEBに多く所蔵されている一方、再利用はそこまで進んでいませんでした。

――リライトが進まなかった背景はどういうものでしょうか?

澤山:リライトには多くの労力が必要であり、1人の編集者が集中して書いても1本につき1~2時間はかかると思います。他の業務を抱えながらなので、なかなか着手が難しいところでした。

 それが、Claude3を活用することで1本わずか5分で初稿を出せるようになりました。すでにあるデータ(ホットリンクWEB)の質が高く、情報の粒が揃っているため、AIに明確に指示出しをすることで簡単に再構成が行なえました。私自身が担当したコンテンツもありますが、これは過去の担当者全員のレガシーだと思います。

 また「質の高いデータを与えれば、良いアウトプットが出る」とわかっていたので、他の取材記事についてもAI文字起こしを編集し、取材背景と狙い、構成案など細かめに指示を出してClaude3に入力しました。結果、AI活用後は初稿は平均1営業日、社内確認には平均3営業日目で出せるようになっています。

 従来では内製にせよ外部パートナーにお任せするにせよ初稿までは10営業日、社内確認にはさらに3営業日を見る必要がありました。初稿の制作工数が10営業日→1営業日に短縮されたのは、劇的な変化といって差し支えないと思います。

――ありがとうございます。最後にナルカミさん、今後のAI活用についての展望を教えて下さい。

ナルカミ:そうですね。もちろんAI活用は全社的に取り組んでいることですし、マーケティング本部でも重視しています。ただ、それ以前に私が大事にしたいのは「骨太の記事を届けること」ですね。これは前任者やその前の時代から変わらない、ホットリンクの情報発信におけるベースの考え方だと思います。

 その上で、AIを活用しながら、効率的に質の高い情報をお届けしていきたいと考えています。これまでホットリンクが発信してきたコンテンツのクオリティや骨太さは変わりません。むしろ、AIの力を借りることで、より多くの有益な情報をお届けできるようになるはずです。

 これからもAIを有効活用しながら、皆さまのお役に立てるよう、尽力していきたいと思います。

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