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ホットリンクグループCEO・内山幸樹が考える「ソーシャルメディアとWeb3」

2022年04月15日
AI・WEB3

最終更新日:2024年6月20日

2021年の終わり頃から、ネットニュースやSNS上で目にする機会が増えた「Web3」という言葉。ウェブの進化段階を表す概念で、関連するワードとしてブロックチェーンやメタバース、NFTなどがあげられます。

ホットリンクでは、2018年頃からブロックチェーン専門のグローバルのベンチャーキャピタルへの投資や、東京大学の「ブロックチェーンイノベーション寄付講座」に参画。2022年1月には、グループCEOの内山幸樹さんが「Web3 Conference Tokyo」に登壇しました。

今回は、日本のインターネット黎明期から第一線で活躍する内山さんに、「Web3とソーシャルメディア」をテーマにインタビューを実施。Web3の到来を、少しでも身近に感じていただければ幸いです。

(執筆・編集:倉内夏海

 

代表取締役グループCEO 内山幸樹(うちやま・こうき) 

2000年に株式会社ホットリンクを創業。世界中のSNSデータアクセス権販売と、国内及び中国市場向けにSNSデータを活用したマーケティング支援を展開。2018年よりブロックチェーンを活用したLGBTの課題解決方法として「Famieeプロジェクト」を着想。翌年に一般社団法人Famieeを設立し、代表理事に就任。2019年4月には、新経済連盟が発足した「多様な性的指向・性自認の活躍促進プロジェクト」チームリーダーに就任。

Web3に至る潮流

―ブロックチェーンやメタバースに代表される「Web3」は、まだまだ世間には浸透していない概念と言えます。まずは「何をもってWeb3なのか」を教えていただけますか?

内山:
Web3を語るには、いろいろな切り口があります。一般的な定義とは異なるかもしれませんが、「内山的解釈」として話しますね。

Web3が生まれる前は、Web1.0やWeb2.0がありました。Web1.0は、簡単に言えば、いろんなホームページを見るだけの「READ」の時代。Web2.0は、見ることに加えて情報が双方向で発信できるようになった「READ&WRITE」の時代。良い情報を簡単にシェアできる「良い世界」が生まれると期待されていました。

しかし、Web2.0の到来によって、FacebookやGoogle、Appleなどのプラットフォームがあまりにも大きな影響力を持つようになりました。そこには当然、危険や不安が伴います。

それらを払拭し、特定の人物や企業に権限を握られない、みんなが社会に貢献する世界を実現するために、Web3の時代が始まりました。

―メガプラットフォーマーによる中央集権から分散型への転換が、Web3を表す特徴の一つなのですね。

内山:
そうですね。「自律分散」という特徴もあって。みんなが自律して、好き勝手にやっているように見えるけれど、全体として一つの機能にもなるものを指す言葉です。

これが、DAO(Decentralized Autonomous Organization)と呼ばれる自律分散型組織にも繋がっていくんですが、DAOの定義もなかなか難しいですね(笑)。

この他にも、Web3には「読む・発信する」の「READ/WRITE」に加えて、「信用」のTRUSTが加わりました。単なる情報だけでなく、Web上で信用の保証ができるようになったと言われます。デジタル上のデータに対して信用保証ができるようになったので、仮想通貨が生まれたり、デジタルアートの所有権をNFTとして表せるようになりました。

TRUSTに関連する透明性・検証可能性という言葉でWeb3を定義することもありますね。

―内山さんは、Web3のどんな特徴に可能性を感じていますか?

内山:
私の中ですごく響いているのは「スピード10倍、スケール10倍」という性質ですね。

「Web3 Conference Tokyo」でも言及されていましたね。これからは、ユニコーン企業がどんどん増えると。

内山:
例えばStake Technologies株式会社は、自社のブロックチェーン「Aster Newtork」を作り始めてからわずか2年で、アスターネットワークで利用されるトークン(一種の仮想通貨)を上場させました。仮想通貨取引所に上場したトークンの時価総額は2,000億円を超えています。

以前は「起業してユニコーン企業(時価総額が1,000億円以上)を目指しましょう」とか「時価総額1兆円企業を目指すのに何十年かかる」という状況だったのに、Web3では2年で1千億円、5年後には1兆円を目指すようなスケールになっています。

このスケールとスピードを可能にしている要素の一つがトークンエコノミーという仕組みです。私がWeb3で特に注目している特性であり、とても可能性を感じます。

ソーシャルメディアとWeb3にはどんな関係があるのか

―では、ソーシャルメディアとWeb3には、どのような関係があると考えていますか?

内山:
ソーシャルメディアはWeb2.0の代表格とも言えますが、前述したとおり、FacebookやTwitterなどのプラットフォーマーが力をもちすぎてしまいました。

「ソーシャルメディアの発展による反省点からWeb3が誕生した」というのが、両者の関係性を表す一番シンプルな答えです。

―SNSマーケティング支援事業を行なうホットリンクにも、Web3到来の影響は当然ありますよね。

内山:
そうですね。例えば、ソーシャルメディアの代表格であるFacebookが社名をMetaに変更しました。Metaは将来的に、メタバース(仮想空間)でのサービスを提供する会社に進化すると宣言しています。

このことから、企業と消費者のコミュニケーションの場が、SNSからメタバースに移行していくとが考えられます。

現状では、仮想空間=ゲームの世界と認識している方も少なくありませんが、ゲームだけでなくさまざまなエンタテインメントが仮想空間上で行われるようになったり、Zoomでやっている会議も、仮想空間上のオフィスで行われるようになるでしょう。

24時間ある1日のなかで、消費者がメタバースで過ごす時間が徐々に増え、究極的には、遊びや買い物、友だちとの会話など、生活の大部分が仮想空間上で行われるようになるかもしれません。

消費者がメタバース空間で過ごす時間が増えれば、企業が独自のアバターを作ったり、メタバース上で自社の店舗をもつようになるでしょう。すると、メタバース空間上でクチコミが生まれるでしょうし、企業のマーケティング活動も行われるようになります。

これまでは、市場として企業のSNSマーケティング支援が盛り上がっていましたが、これからはSNSだけではなく、メタバース空間も含めたプロモーション企画の提案や広告を運用する企業も増えてくるかもしれません。

―そうなると、メタバースならではの強みを活かしたプロモーションも必要になりますね。

内山:
私は、Web3とホットリンクは相性がいいと思っています。

Web3という言葉が日本で取り上げられるようになったのは2021年末からですが、ホットリンクがWeb3に取り組み始めたのは、2018年頃からです。

 

参考記事:これまでの歩み|株式会社ホットリンク

 

内山:
当時から、Web2.0がWeb1.0をディスラプトしたように、いつかソーシャルメディアをディスラプトするような大きな波が来るかもしれないと、ホットリンクの経営陣で考えていました。

ブロックチェーンに向けた動きとして、ホットリンクでは次の3つに取り組みました。

 

(1)アメリカのブロックチェーン専門のベンチャーキャピタルに投資し、そこから世界最先端の動向把握

(2)東京大学「ブロックチェーンイノベーション寄付講座」の設立と優秀人材とのネットワーク構築

(3)一般社団法人Famieeの支援を通じて、ブロックチェーンサービス立ち上げのノウハウ獲得

 

上記以外にも、私は2018年に、ニューヨークで開催された世界最大級のブロックチェーンカンファレンス「Consensys NY」や、ドイツのベルリンで行なわれた世界最初のWeb3カンファレンスである「Web3 Summit in Belrin」に参加しました。

そして、Web3 Summit in Berlinに参加していた数少ない日本人メンバーらと、それから約3年間、2週間に1度Web3勉強会を続けてきました。

また、私が今住んでいるサンフランシスコは、Web3にとって世界で最もアツい都市の一つに挙げられています。そんなサンフランシスコに住んで、直にWeb3の動きを見ています。

“Web3”は遠い未来の話ではない

―Web3の最先端に触れている内山さんの肌感として、Web3の到来は何年後ぐらいになりそうでしょうか?

内山:
一部の人には、もうきていますよね。

例えば、世界中の何億という人がプレイしているゲーム「あつまれ どうぶつの森」も正に一種のメタバースですよね。仮想空間上に大勢が集まって、コミュニケーションを楽しんでいます。バーチャルオフィスもメタバースの一つの例と言えます。

私がCEOを務めている、アメリカにあるホットリンクのグループ企業・Effyis, Inc.(エフィウス)は、今年から経営会議を全てFacebookのメタバース空間上で行なっています。

従来のオンライン会議よりも遥かに「一緒にミーティングしてる感」があるんですよ。

考えごとをしていればアバターが頬付をつくし、アバターの表情から、反対意見をもっているんだなとか、眠いんだなというのも分かります(笑)。ミーティングルームを山の中のリゾート施設に変えたり、海辺の施設に変えたりもできるので、気分転換にもなります。

今はまだ導入のハードルが高いかもしれませんが、「こちらの方がコミュニケーションしやすいね」となれば、使い始める企業は多いでしょう。

―始まってるところではもう始まっていて、「果てしなく遠い未来の話」などでは全くないわけですね。

内山:
Metaのマーク・ザッカーバーグは「10年ぐらいかけてメタバースにシフトしていく」と発言しているように、マスと呼ばれる多くの消費者への浸透は、まだ先になると思います。でも、「果てしなく遠い未来」の話ではありません。

ホットリンクでは、これからも先進的な取り組みを続けていきます。Web3とソーシャルメディア、Web3とホットリンクの相性の良さをポジティブにとらえて、来るべき未来に備えましょう。

こんなにもWeb3に至る動きをとらえている企業は、日本にはなかなかありませんよ。

―内山さん、ありがとうございました!

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