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株主の皆様へ|2025年度の振り返りと2026年度の成長戦略

目次

1. 全体サマリー
2. 事業別:2025年の検証と2026年の注力項目
3. 全社横断テーマ:検証とアップデート
4. 2026年に向けた全社方針の総括

1. 全体サマリー

1-1. 本資料の位置づけ

本資料は、2025年冒頭に公表した株主向けホワイトペーパーで掲げた方針について、その後の取り組みを振り返り、2026年に向けた注力領域を整理することを目的としています。
2025年は、事業の方向性を明確にするとともに、
・ソーシャル・ファーストマーケティングという考え方の全社的な展開
・AI活用の推進
・株主還元方針の明確化
といったテーマを中心に取り組みを進めてきました。

その結果、想定通りに進んだ点がある一方で、前提の見直しや取り組み方の再整理が必要な点も見えてきています。本資料では、こうした検証結果を踏まえ、2026年にどこへ経営資源を集中していくのか、その判断の背景をお伝えします。

1-2. 2025年方針に対する全社的な振り返り

2025年は、各事業・全社テーマにおいて一定の実装が進んだ一方で、収益性や意思決定への接続といった点では引き続き課題が残る一年でした。

1-3. 2026年に向けた全社の優先事項

2026年に向けた全社の優先事項
2025年の振り返りを踏まえ、2026年は以下の点を全社的な優先事項とします。

1-4. 本資料の構成

本資料の前半では、事業別に2025年の検証と2026年の注力項目を整理しています。
後半では、ソーシャル・ファーストマーケティングをはじめとする全社横断テーマ(AI化、株主還元)について、事業戦略を支える判断軸として検証と方針整理を行っています。

なお、各事業の詳細な説明については、2025年に公表した株主向けホワイトペーパーをご参照ください。
https://www.hottolink.co.jp/ir/shareholder-info/

2. 事業別:2025年の検証と2026年の注力項目

2025年期首のホワイトペーパーでは、各社ごとに注力施策を設定し、事業の成長および収益性の改善に取り組む方針を示しました。本章では、これらの施策について、2025年を通じた進捗状況を整理し、当初の想定に対してどの程度実行できたのかを検証します。

本検証では、個別施策の成否を評価すること自体を目的とするのではなく、各事業が置かれたフェーズや、今後の注力領域を見極めるための材料として位置づけています。そのため、評価は定量的な達成度に加え、事業環境や優先順位の変化を踏まえた総合的な観点から行っています。

以下の表では、各社が掲げた主な注力施策について、進捗状況を「◎・○・△」の3段階で整理するとともに、その背景や補足事項を簡潔に記載しています。

評価基準:
◎想定以上の進捗が見られたもの
〇概ね想定通りに進捗したもの
△想定にはいたらず、引き続き検討・調整が必要なもの

※本章では、各施策の具体的な内容や事業モデルの詳細な説明は割愛し、進捗状況の整理に重点を置いています。

SNSマーケティング支援事業

『事業概要』
ホットリンクの中核事業であり、ソーシャル行動データを活用したSNSマーケティング支援を提供しています。SNS上に蓄積される膨大なデータを分析し、戦略設計から運用、効果測定まで一気通貫の支援を行うことで、クライアント企業のブランド認知向上や売上拡大に貢献しています。AIによる自動最適化などテクノロジー活用を進め、インフルエンサー活用やコンテンツ企画など広範な施策設計も実施しています。また、メディア事業「fasme」といった関連サービスによるユーザー接点の深化も進めています。

 

『2025年注力項目と検証』
SNSの活用が企業のマーケティング活動において不可欠となり、広告運用やコンテンツの役割も年々高度化しています。当社はこのような環境変化を踏まえ、既存の顧客基盤を軸に、事業の効率性と収益性の両立を意識した運営を進めてきました。その上で、2025年の注力項目として設定した施策の検証内容を、以下のイラストで整理しています。

 

『検証を踏まえた2026年の注力項目』
2026年に向けて、SNSマーケティング支援事業では、ULSSAS AD※を軸とした支援モデルの深化と拡張に注力します。
戦略設計からコンサルティング、運用代行、広告配信までを一気通貫で提供することで、当社グループならではの価値を明確にし、顧客数および取引規模の拡大を図ります。

また、コンテンツ・クリエイター・コミュニティと広告を掛け合わせた取り組みや、自社メディアの活用を通じて、従来型のSNS運用にとどまらない成果創出を目指します。
加えて、AI活用を前提とした業務フローの確立により、提供量の拡大と品質の両立を実現し、事業の再現性と収益性を高めていきます。

 

 

※ULSSAS ADとは
ULSSASは、ユーザーによる投稿(UGC)を起点に、「いいね・拡散」「SNS検索」「Web検索」「購買」「再投稿」が連続して起こる、SNS時代の購買行動モデルです。広告による一時的な獲得とは異なり、ユーザーの体験共有が次の購買行動を生み、継続的に広がっていく点が特徴です。一方で、UGCを自然発生に任せた場合、量や立ち上がりの面で課題が残ることがあります。そこで広告を購買目的ではなく、UGCを生み出すきっかけとして活用するのがULSSAS ADです。広告を通じてUGCの発生と拡散を促し、持続的な認知拡大と売上成長につなげていきます。

DaaS事業

『事業概要』
世界中のソーシャル行動データや市場データを収集・加工し、企業や研究機関向けに提供するデータサービス事業です。データ提供は、ライセンス契約によるデータ取得と、自社開発のクロールシステムによるオープン情報収集の両面で行われ、収集したデータはAIやLLM(大規模言語モデル)を用いた分析・付加価値化を施されています。高精度なデータセットを提供することで、戦略的な意思決定や施策実行を支援し、クライアントのデータ活用を加速しています。

『2025年注力項目と検証』
AIの実装が進むにつれ、データは「保有するもの」から「活用されるもの」へと役割を変えています。また、デジタルリスクへの対応ニーズも高まっています。こうした外部環境を背景に、当社はデータ提供のあり方を見直し、付加価値の向上に取り組んできました。2025年の注力項目として設定した施策の検証内容を、以下のイラストで整理しています。

 

『検証を踏まえた2026年の注力項目』
これまでDaaS事業では、主にSaaSベンダー向けに汎用性の高い市場データ(ソーシャルリスニングデータ)を提供してきました。
一方で近年、生成AIや分析AIの普及を背景に、単なる大規模データの取得から、特定用途に最適化され、AIが直接読み込み即座に活用できるデータへの需要が高まっています。

こうしたデータ活用の高度化・多様化を踏まえ、DaaS事業では、既存のSaaSベンダー向けデータ提供から、AI企業・地政学関連分野・大規模データ基盤向けへと事業構造の見直しを図ります。そして、データの活用方法や価値の変化を前提に、提供先の多様化と収益モデルの再定義を進め、持続的な成長に向けた基盤構築を推進します。

具体的な取り組みとして、生成AI・分析AIを活用するエンドクライアント向けに、学習・分析用途を想定したデータ(AI Ready Data)提供を強化するとともに、地政学リスクや安全保障分野における政府・関連企業向けの提供領域を拡大します。

加えて、Snowflake等の大規模データ基盤との連携を通じて、顧客の分析環境に組み込まれる提供モデルを確立し、事業の継続性とスケーラビリティを高めていきます。

Web3関連事業

『事業概要』
ブロックチェーン領域を中心に、Web3の成長機会を捉えた事業展開を行っています。主な活動領域は、①将来性の高いプロジェクトへの投資、②分散型ネットワークの取引検証を担うバリデーター事業、③暗号資産(DeFi)事業の実運用などです。Web3領域の技術・市場機会を活かし、投資リターンの最大化と安定的な基盤の構築を目指すとともに、蓄積したノウハウを他企業へのコンサルティング等へ展開しています。

『2025年注力項目と検証』
技術革新や金融インフラの進化により、企業を取り巻く事業環境は大きく変化しています。当社は中長期的な成長を見据え、Web3関連の投資や実証を通じて新領域への取り組みを進めてきました。今後の成長につながる可能性を見極めるため、2025年に向けて進めている施策の検証内容を、以下のイラストでご紹介します。

『検証を踏まえた2026年の注力項目』
2026年に向けて、Web3事業では、投資・運用・事業開発を組み合わせた取り組みの推進に注力します。AI×Web3および金融領域を中心に、成長性とリスク管理の両立を意識した投資を継続するとともに、バリデーター運営やDeFi運用を通じて、安定的な収益機会の獲得を図ります。

また、Nonagon AIで培った知見や技術資産を活用し、将来的なスケールが見込める新規事業の開発に取り組むことで、中長期的な成長ドライバーの創出を目指します。これらの取り組みを通じて、Web3領域における事業基盤の強化と収益性の向上を進めていきます。

各事業の詳細な説明に関しては、『株主の皆様へ:Web3関連事業について』を参照ください。
https://www.hottolink.co.jp/ir/shareholder-info-02/

3. 全社横断テーマ:検証とアップデート

本章では、前章で整理した各事業の取り組みを横断的に捉え、当社グループとして掲げた全社的な考え方がどの程度実装されたかを検証します。

3-1. ソーシャル・ファーストマーケティングの検証

当社グループは、ソーシャル行動データを起点として、施策の設計・評価・改善を行う「ソーシャル・ファーストマーケティング」を、事業運営および意思決定の基本的な考え方として位置づけています。
2025年は、この考え方が単なるコンセプトにとどまらず、各事業のオペレーションや提供価値にどの程度実装できたかを検証する一年でした。

その結果、各事業において、ソーシャル行動データを起点としたデータ駆動型の取り組みが具体化し、施策評価や意思決定のあり方に一定の変化が生じています。

SNSマーケティング支援事業
SNSマーケティング支援事業においては、月次でのアテンション推移の可視化や、各種SNS施策の効果を定量的に分析し、レポートとして提供する仕組みを当社が構築しました。
これにより、SNSマーケティング支援における分析・報告業務の効率化と標準化が進み、当社のオペレーション全体の生産性向上につながっています。

あわせて、クライアントにおいては、施策の成果を感覚的に判断するのではなく、ソーシャル行動データに基づいて客観的に把握することが可能となり、その後の戦略立案や施策実行に活用されるケースが増えています。

これらの取り組みを通じて、当社は、単に施策を実行する立場にとどまらず、ソーシャル行動データを価値に変換し、クライアントの意思決定を支援する役割を担うようになりました。

SNSマーケティング支援事業においては、ソーシャル・ファーストマーケティングの考え方が、提供価値として一定程度実装された一年であったと評価しています。


DaaS事業

DaaS事業においては、Snowflakeとの連携を進めることで、顧客のデータニーズに対する提案の幅が拡大しました。
従来は主にSaaSベンダー向けのデータ提供が中心でしたが、Snowflakeのマーケットプレイスの活用や営業連携を進めることで、データを実際に活用するエンドクライアント企業への提案余地が生まれています。

これにより、単なるデータ供給にとどまらず、活用シーンや意思決定プロセスを意識した提案が可能となり、データを起点とした事業展開に向けた基盤整備が進みました。

DaaS事業においては、ソーシャル行動データを「提供するもの」から「活用されることを前提としたもの」へと位置づけを拡張できた点において、ソーシャル・ファーストマーケティングの考え方を事業モデルに反映する足固めができた一年であったと認識しています。


Web3関連事業

Web3関連事業においては、Nonagon Capitalを中心に、Web3上のトランザクションデータや投資・コミュニティ活動に紐づくデータ解析に取り組んできました。
ブロックチェーン上に記録される取引データを収集・分析し、短期間で価格が急騰するミームコインやトークンの特徴、投資家の売買行動や収益構造などを多角的に可視化しています。

これらの分析では、単なる価格推移の把握にとどまらず、投資家ごとの売買タイミングや行動パターンを学習対象とすることで、意思決定の傾向を抽出してきました。
その結果、Web3市場における成功した投資行動の共通要素や、データとAIを前提とした意思決定モデルの可能性について検証を進めています。

現在は、これまでの取り組みを通じて蓄積された分析手法やデータ活用に関するノウハウを整理し、今後の事業展開に活かすフェーズに移行しています。

Web3領域においても、「データ×AI」を起点とした意思決定アプローチが有効であることを実証できた点を強みとし、将来的な新規事業の創出や既存事業とのシナジーにつなげていく方針です。

3-2. AI活用に関して

2025年期首のホワイトペーパーでは、当社グループにおけるAI活用を、単なる業務効率化の手段ではなく、事業運営や意思決定の前提となる基盤として位置づけました。
個人がツールとしてAIを使う段階にとどめず、業務プロセスそのものにAIを組み込み、組織として再現性のある事業運営を行うことを狙いとして掲げてきました。

この方針のもと、2025年はAIを前提とした業務設計の実装と検証を進めました。
「AI活用率60%」を目標として設定した社内プロジェクトにおいては、対象業務の約70%までAI活用が進展し、当初想定を上回る水準に到達しています。
また、社内調査では、社員の96.4%が週3回以上AIを活用していることが確認されており、AIが一部の専門業務に限られた存在ではなく、日常業務の前提として定着し始めている状況が見て取れます。

具体的な成果として、SNSマーケティング支援における広告運用プロセスの再設計があります。
AIを前提とした広告運用システムの導入により、社内コミュニケーションコストは44%削減され、出稿作業に要する時間も39%削減されました。
これは、AI活用が単なる作業効率化にとどまらず、業務フローそのものの見直しと標準化につながっていることを示しています。

これらの取り組みを総合的に踏まえ、当社グループのAI活用は、個人レベルの活用段階を超え、業務プロセスにAIを前提として組み込む段階まで到達したと認識しています。
2025年は、AI活用のピラミッドにおける第2段階(業務プロセスへのAI組み込み)を完了した一年であり、AIが組織として機能し始めたフェーズであったと位置づけています。

一方で、AIを経営判断そのものに組み込み、事業ポートフォリオの選択や経営資源の配分といった意思決定に直接活用する段階については、2025年時点では検証途上にあります。
すべての判断がAIを前提として行われているわけではなく、引き続き人の判断に依存する領域も残っています。
2026年に向けて、当社グループは、2025年に到達した「業務プロセスへのAI組み込み」を出発点として、AI活用の次の段階に挑戦していきます。
具体的には、AIを分析や施策評価にとどめず、事業の優先順位付けや経営資源の配分といった意思決定プロセスへと接続することを目指します。

これは、AI活用のピラミッドにおける『第3段階(経営・意思決定へのAI統合)』への挑戦であり、2026年はその検証と実装を進めるフェーズと位置づけています。

3-3. 株主還元に関して

2025年期首に公表したホワイトペーパーでは、当社グループが株主視点を重視した経営へと転換することを明確にし、株主還元を含む資本政策についても積極的に検討していく方針を示しました。

2025年は、事業面では赤字の状況にありましたが、こうした方針のもと、潤沢な手元キャッシュを活用し、配当の実施および自己株式の取得を行いました。これらの取り組みは、短期的な業績動向に左右されることなく、株主との関係性を重視し、企業価値向上を経営の重要テーマとして位置づけていることを、具体的な行動として示したものです。

一方で、現時点における配当の原資は事業利益ではなく、事業活動を通じて安定的に株主還元を行う段階にはいたっていません。当社グループとしては、今後の業績回復および黒字基調への転換を通じて、より持続的な株主還元が可能な財務基盤の構築を目指していきます。

4. 2026年に向けた全社方針の総括

上記の検証(事業別の進捗および全社横断テーマ)を踏まえ、当社グループは、2026年に向けて事業運営および経営判断の軸をより明確にし、持続的な成長に向けた再設計を進める必要があると考えています。

具体的には、ソーシャル・ファーストマーケティングの考え方を、一部の施策や機能にとどめることなく、事業横断での意思決定プロセスへと接続していきます。
あわせて、収益性と再現性の高い領域に経営資源を集中させることで、事業活動を通じたキャッシュ創出力の回復と強化を図ります。

これらの取り組みを通じて、黒字基調への転換と財務規律を意識した経営を実現し、株主還元を継続可能なものとする経営基盤の構築を目指していきます。