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INTMAX Block Builderをゼロから起動:そして私は“ステートレスの深淵”を覗いた:前編

2025年12月10日

はじめに

ホットリンク社R&D部のサンティです。最近は、Nonagon社と連携して、Web3について色々と調査やPoCを進めています。

このブログ記事ではINTMAXという意欲的で興味深いイーサリアム レイヤー2プロジェクトのBlock Builderの立ち上げ及び運用について紹介したいと思います。Block Builderとは、他の暗号通貨におけるバリデーターに当たるものです。

通常、ブロックチェーンのバリデーターノードというと高性能で頑健なサーバが必要なケースを思い浮かべるでしょう。でも、ご安心ください! INTMAXの粋な設計によって、ブロック生成プロセスの処理は極めて軽いのです。Raspberry Piで構築・運用した方もいたほどです。さらに、INTMAX Block Builderは自由に立ち上げて参加できて、ETH報酬とsITX(Scroll INTMAX)トークン報酬をダブルで獲得することができるのです。つまり、バリデーター界隈でも珍しいダブルインカムです。

しかし、インターネット上で見つかるINTMAX Block Builderに関する本家の解説は全て英語です。また、暗号資産ウォレットに関する個人による解説記事は少なく、詳細な説明がある記事はさらに限られています。そこで、本ブログでは、INTMAXの基本からBlock Builderの運用まで、日本語で簡単にご紹介しましょう。前編である本記事ではINTMAXの基本、後編の記事ではBlock Builderの運用を取り上げます。

※本記事は技術的な情報提供を目的としており、暗号資産への投資を推奨するものではありません。Block Builderの運用には技術的知識とコストが必要であり、収益を保証するものではありません。運用は自己責任で行ってください。

INTMAXとは何か?

INTMAXは、イーサリアムの「ゼロ知識証明(ZK, Zero Knowledge Proof)」技術を活用して高速かつ低コストの取引を実現することを目的としたレイヤー2ブロックチェーンプロジェクトです。

従来のL2と異なり、状態(state)を持たない“Stateless Rollup”を採用し、スケーラビリティとセキュリティを両立させます。

ユーザーの署名データだけを扱うため、高いプライバシーを保ちつつ、数万人の同時利用でも処理が詰まりにくい設計が特徴です。

また、ウォレットUXの改善にも取り組み、「誰でも直感的に使えるWeb3」を目指しているそうです。

INTMAXのコア技術の特徴

1. Stateless zk-Rollup(ステートレス型ロールアップ)

INTMAXの最大の特徴は、従来のロールアップのように「状態(state)」をチェーン側で保持しない点です。

ユーザー自身が必要なstate情報を保持し、ZK証明によって正当性だけを検証します。これにより、

・ノードの負荷が極めて小さい
・ストレージ不要のためスケール限界が高い
・超高スループットを実現

というメリットが得られます。

2. zk-SNARKを活用した高効率な検証

INTMAXはゼロ知識証明(ZK)を中核に置き、主にzk-SNARK系の技術でトランザクションの正当性を証明します。

データの公開量を最小限にするため、高いプライバシーとスケーラビリティが両立します。

3. 超軽量クライアント設計

ロールアップの中心処理を「署名の検証」に限定することで、軽量かつ高速の処理が可能です。

ブロックチェーンのUXを大幅に改善する思想があります。

 Scrollとの関係

Scrollは「EthereumのzkEVM(ゼロ知識でEVMを再現するL2)」として開発されており、INTMAXとは技術スタックが異なるが補完的な関係にあります。

ポイント

1. ScrollもINTMAXもzk技術を採用するL2

共通点は「ZK技術 × Ethereum L2」という点。

2. アプローチが大きく異なる

3. 協調可能なエコシステム

INTMAXは「EVMと互換性のあるレイヤー」と接続しやすい設計で、Scroll上のアプリケーションや資産とも橋渡し(bridge)可能。

ScrollはEVM完全互換を目指すため、INTMAXと組み合わせればzkネイティブなエコシステム拡大が期待できます。

おわりに

どうでしょうか? 私個人としては、これまでの暗号通貨と比較して、INTMAXのプライバシーに配慮した点や低コストでバルク送金可能な点がとても興味深く、またステートレスがゆえに自由参加可能な点に感銘を受けました。

本ブログ記事の後編では、INTMAXのBlock Builderの立ち上げ方法について詳細に説明していきます。

筆者について

セーヨー・サンティ
株式会社ホットリンク 開発本部 R&D部

データサイエンティスト。タイ王国出身。キングモンクット工科大学(KMITL)工学部卒業、東京大学大学院工学系研究科電子情報工学専攻博士課程修了。博士(工学)。2007年、ホットリンクに入社し、ソーシャルビッグデータの分析・活用に取り組んでいる。近年はXマーケティング支援技術の研究開発を担当している。

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