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月刊アイ・エム・プレス
ソーシャルメディアは選挙キャンペーンをどう変えるのか?
第4回「立候補者のソーシャルメディア活用」 を寄稿いたしました

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ソーシャルメディアは選挙キャンペーンをどう変えるのか? 第4回「立候補者のソーシャルメディア活用」 を寄稿いたしました

2013年09月25日
月刊アイ・エム・プレス 2013年09月25日

月刊アイ・エム・プレス 2013年09月25日

今回は、7月の参院選で実際に立候補者がどのようにソーシャルメディアを利用したかについて述べますが、ソーシャルメディアの本来のパワーを最も活用したと思われる三宅洋平さんの事例にフォーカスして、リポートしてみたいと思います。本稿を執筆するに当たって、改めて三宅洋平さんの演説動画を見直し、改めてそのメッセージに心が熱くなりました。臨場感をお伝えするため、原稿をこれまでのです・ます調から、言い切り調に変えることをご了承くださいませ(笑)。

ブームを作った 「選挙フェス」

この連載を通して述べてきたように、どんなにネットが発達したとしても、日本の選挙においてはマスメディアの影響力が非常に大きい。

三宅洋平さんは、東京都比例区に緑の党から出馬。全国的にはほぼ無名で資金力ゼロの状態から選挙戦をスタートした。最終的に緑の党が当選枠を獲得できず落選したものの、彼が獲得した票数は17万6,970票で、この票数は、比例区の全候補者162人の中で26位、比例区当選者48人の中でも26位という驚異的な数値だった。

彼は、「選挙フェス」と呼ばれるようになった野外ライブ・コンサートによる新しい手法で、選挙キャンペーンを展開した。路上や駅前の特設ステージに、彼の友人であるラッパー、ジャムバンド、DJなどが次々に登場し、演奏を披露。自身はその後に、政治演説というよりも、リズムに乗ったラップのようなかたちでメッセージを伝えた。その様子がTwitterやFacebookに書き込まれ、人を呼び、また、選挙フェスの動画がYouTubeにアップされ、それを見た人がTwitterやFacebookで拡散した(「三宅洋平」に関する動画は、選挙がスタートしてから500本以上、YouTubeに投稿された)。動画のみならず、彼の選挙フェスの活動を紹介するブログ記事や、草の根応援ページ、さらには、彼の動画のまとめページが作られるといったように、小さかった渦がみるみる大きな渦へと成長していった。

その様子と三宅洋平さんに関するクチコミの累積数の推移をグラフで見ると、指数関数的に後になればなるほどクチコミ数の増加が加速しており、まさにブームが巻き起こっていたことがわかる。(ブームになっているかどうかをクチコミから発見するには、その対象に関する書き込みの累積数のグラフを見るとよい。ブームでない商品やサービスの場合、クチコミ数は一定量を保ち、発言数の累積グラフは直線的に伸びていく。しかし、ブームになる時には、一定期間に発言する人の数が増えるので、累積グラフにすると、直線よりも急激なカーブでグラフが上昇していく。)

全国的に無名で、組織基盤も持たずに、資金もなかった三宅洋平さんが、なぜこのようなムーブメントを起こせたのか?

そのひとつの要因はもちろんソーシャルメディアの存在なのだが、ほかにもブログ・Twitter・Facebook・YouTubeを活用していた立候補者は多かったにもかかわらず、その人たちにはできなくて、なぜ彼だけがブームを起こせたのだろうか。

さざ波が順々に伝わる メカニズム

成功のキーワードは、「共感」と「『あなたが』動く」の2つに集約できると思う。彼はまず、音楽や彼のカリスマ性を使って有権者の感情を揺り動かし(共感)、心にさざ波を起こす。そして、心を揺り動かされた有権者に、その心のさざ波を次の人に伝えろ!と訴え掛ける。「『俺』が情報を伝える」ではなく、「『あなた』が次の人に情報を伝え、心震わせる」ことが重要なのだと訴えたのだ。

これを、もう少しマーケティング・ファネル的に模式化してみよう。

メッセージの元の発信者(L0)は、最初の受信者(L1)に直接メッセージを伝える。L0のメッセージ力は強いので、L1に「興味」を持たせたり、「共感」させたりできる。しかし、L1の状態が「共感」までであれば、メッセージはL2の階層の人には伝わらない。次に「共有」の場合には、L2にメッセージは伝わるが、L1からL2へのメッセージはL0からのものよりもメッセージ力が弱いため、L2の状態を「共有」以上に持っていく可能性はほぼない。従って、多くのメッセージは、2階層目の人に伝わった段階で伝播が止まる(図表1)。

図表1 共有だけでは2階層目までしか届かない

これが、選挙に限らず、キャンペーンでソーシャルメディアによる情報拡散を狙っても、3階層目以降に情報が伝播しない理由なのだ。

ところが、L1の状態が「推薦」まで行った場合は、L2の人に対して「あなたもL0の話を聴いてみなよ」「L0を見てみなよ」と推薦する。その推薦によって、L2が実際にL0に接触したとすると、それはすなわち、L2がL1になったことになる。

するとL2は、L0からの強いメッセージを直接受けることになるので、最初のL1同様「推薦」の状態にまでなる可能性が出てくる。そうすると、L2はL3をL1に引き上げ、…(繰り返し)…となって、情報が順々に次の階層に伝播していく(図表2)。

このように、メッセージの受信者に、「共感」「共有」させるのみならず、さらに上の「推薦」という段階まで引き上げないと、情報の伝播は実現できないのだ。

今回、さまざまな立候補者がソーシャルメディアでの情報発信を行ったが、その多くが情報の受け手を「認知」「興味」の段階までしか引き上げらなかった。三宅洋平さんは、「選挙のキャンペーンって、自分たちがやってきた音楽ライブのイベント企画と同じだよ」と発言している。彼は、相手に「興味」を持たせ、「共感」させ、そして、ほかの人に「推薦」させるまでにしないと、大きなムーブメントが起こせないことを知っていたのだ。だからこそ、「俺が頑張るんじゃない。あなたたちが頑張るんだ」「次の人にこのさざ波を伝えてほしい」と常に発言していたのだ。企業キャンペーンの企画の際に、このことを頭の片隅に置いておいてほしい。

さて、今回は、立候補者の立場からソーシャルメディアの活用を振り返ってみた。次回は、TVなどメディアの立場から、選挙におけるソーシャルメディアの活用状況を振り返ってみたい。

図表2 推薦がムーブメントを引き起こす

【内山幸樹氏プロフィール】Koki Uchiyama

1995年、東京大学大学院在学中に日本最初期の検索エンジン「NIPPON SEARCH ENGINE」の開発に携わる。1997年、東京大学大学院博士課程を中退し、在学中に創業にかかわった検索エンジンのベンチャー企業に専念。数々の先端的Webシステム開発を担う。2000年6月(株)ホットリンクを設立し、代表取締役社長に就任。検索エンジン、ソーシャルブックマークサービス、ブックマーク共有型検索エンジン、レコメンデーションエンジン、ブログ分析サービスなどのWeb2.0的先端サービスの開発を先導する。著書に『仮想世界で暮らす法(ブルーバックス)』『1時間でわかる図解WEB2.0』。デジタルハリウッド大学院客員教授も務める。

株式会社ホットリンクについて(コード番号:3680 東証マザーズ)
株式会社ホットリンク

ホットリンクは、「データとAIで意思決定をサポートする」企業です。
最先端のAI(人工知能)技術を搭載したソーシャル・ビッグデータ解析ツールやレポーティングサービスにより、ビジネスにおける意思決定をサポートします。また、AIによるソーシャル・ビッグデータ分析を軸にクライアントの販売促進・認知拡大に繋がるプロモーションサービスをはじめとしたソリューション提供を行い、ソーシャルメディアマーケティングをワンストップで支援します。さらに、国内事業で培ったAI技術をクロスバウンドマーケティング 領域へ適応し、今後さらなる成長を実現します。

設立日:2000年06月26日
資本金:1,446百万円(2018年3月末時点)
代表者:代表取締役社長 内山 幸樹
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